「関西地区大学野球選手権・準決勝、近大6-3大商大」(6日、南港中央球場)
まるでメジャーリーガーや!阪神からドラフト1位指名された近大・佐藤輝明内野手(21)は、大商大戦に「4番・三塁」で先発。三塁守備で大リーガーさながらの素手キャッチで魅せると、打撃ではあと数十センチというフェンス直撃の2点適時三塁打と攻守で存在感を発揮した。奈良学園大と関西国際大の勝者と戦う8日の決勝戦が大学ラストゲームとなり、一発を放って有終の美を飾る。
誰もが単なるバント処理だと予測した。それでも佐藤は想像をはるかに上回るプレーを見せた。ボテボテの打球に全速力でチャージし、素手でキャッチ-。メジャーリーガーをほうふつとさせる規格外のワンプレーで、周囲の視線を一気に独り占めにした。
2点リードの三回1死一塁。伊原のバントが三塁前に転がると、佐藤は前進して二塁封殺を狙うため、とっさに素手で捕球した。「あそこでセカンドを刺そうと思ったんですけど、ちょっと無理だったので一塁に投げました」。併殺こそ奪えなかったが、好判断のプレーに近大・田中監督も驚嘆する。
「珍しいですね素手で捕って。あの子らしいっちゃあの子らしい。臨機応変にできる子なんでね」。佐藤は高校時代からメジャーリーグのプレー集を見てきたが、その影響も大きいのかもしれない。
三塁守備で手本とするのは「アレナド」と即答。ロッキーズに在籍し、メジャーで8年連続ゴールドグラブ賞を獲得する名手だ。アレナドも素手でキャッチし、矢のような送球が魅力で「見るのが好きです」。世界を代表するプレーヤーから守備の極意を学んだ。
さらに「4番より3番が好き」と話す佐藤は、今年初の4番で出場。打撃では豪快なフルスイングを披露した。2点リードの七回2死一、二塁、左腕・花村の高め直球を捉え、ダメ押しとなる右翼フェンス直撃の2点三塁打。「行ったかなと思ったんですけど、パワーが足りませんでした」と笑うが、強烈な打球音が球場に響いた。
矢野監督から「40本塁打、40盗塁」を期待されている佐藤だが、この日は走攻守ともに素質の高さ、スケールの大きさを感じさせた。3打数1安打2打点で、第1打席は左手首に死球を受けたが「大丈夫です」と問題がないことを強調する。
泣いても笑っても8日の決勝戦が大学最後の試合だ。「きょうみたいにしっかり守って、打つところで打って勝てたら良い。(本塁打を)1本打てるように頑張ります!」。有言実行の一発回答で母校を優勝へ導き、プロの世界に飛び込む。
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