浦和レッズは本気だ。3月28日からJエリートリーグに参戦する。チームには必ず21歳以下の選手を3人以上エントリーすることが義務付けられており、若手が実戦経験を多く積む舞台となる。
編成から運営まで着々と準備を進める強化部の堀之内聖は言う。
「クラブとして、若い選手たちの出場機会をつくるのはずっと課題でした。その解決策の一つとして、今回はエリートリーグに参加しました。トップチームに所属する選手に加えて、トップにチャレンジさせたいアカデミーの選手、そして将来レッズに来る可能性のある高校生、大学生にも出場してもらいたいと思っています。今後、運営していく上で大変なこともあるかもしれませんが、まずはトライします」
今年に入って、アカデミーとスカウト陣はより連係を深めている。綿密にプランを練る作業が日々続く。
現在、トップチームで出場機会の少ない昇格1年目の福島竜也、高卒ルーキー藤原優大、大卒ルーキーの大久保智明らにとっては、経験を積む貴重な舞台になるはずだ。
OBの堀之内自身、かつてエリートリーグと同じような趣旨で開催されていたサテライトリーグでプレーし、実戦経験を積んで成長した一人である。
「僕の場合、大卒1年目はトップでベンチ入りすらできなかったので、サテライトリーグがアピールの場でした。公式戦のような扱いだったこともあり、トレーニングマッチとはモチベーションも違いました」
選手の育成はもちろんのこと、運営、広報、マネジャーとクラブスタッフにとっても学びの場となる。そして、気になるのはJエリートリーグを戦うチームの指揮を執る人物だ。
堀之内氏は口元をふっと緩め、もったいぶりながら応えてくれた。
「リカルド ロドリゲス監督ではありませんよ。気になりますよね? それは平川忠亮コーチです」
今年5月で42歳を迎える平川は、トップのコーチを務めて3年目。筑波大を卒業後、17シーズンにわたり浦和一筋で現役キャリアを過ごした。レッズを知り尽くす大切な人材である。
クラブはJエリートリーグを通し、選手同様、指導者の成長も促していく。チーム全体を底上げし、トップの強化につなげる。
「若手だけではなく、中堅、ベテランももっと伸びてもらいたい」
今季はホームで5試合、アウェーで5試合が予定されている。裏方でチームを支える堀之内も、強化部スタッフとしてまた大きくなるはずだ。
(取材/文・杉園昌之)
外部リンク