「Jリーグ開幕のときは名古屋グランパスにいました。横山さんからオファーをいただいて、こちらに移籍したんです」
①選手の健康管理
②怪我の予防(テーピングやストレッチなど)
③負傷者の応急処置
④リハビリ
「レッズには今、4人のトレーナーがいます。僕がリハビリを見て、他のお三方が健常な選手のケアを主にやっています」
「僕は鍼灸マッサージの資格を持っていて、東洋医学がベースのトレーナーなんです。東洋医学の根本は、私たち施術者が治すのではない。選手自身が治すのをお手伝いをする、ということなんです」
「僕はクリスチャンなので、神様からのギフトという考え方からすれば、確かに僕の手はゴッドハンドかもしれないですが、『なんでも治せる』という意味合いなら、ゴッドハンドでもなんでもない。体の特性をロジカルに考えて、70%しか機能していない箇所を100%働くようにしているだけなんですよ」
「例えば、ある選手が足首を捻挫して、ものすごく腫れているとします。それをかばうために、膝や股関節周りの筋肉が固くなってしまう。そこには血管が通っているので、そこの筋肉が血管を締めちゃうと、血流が悪くなる。
「カウンセリングというか。長期のリハビリの場合は、大まかな流れを説明するだけでなく、特に若い選手には不安を取り除くようなアプローチも大事だと思っています」
「せっかく時間があるんだから、その選手が復帰したときに、少しでもオマケを付けて復帰させてあげたいなと。簡単ではないですが、例えば、足が速くなりたいという選手には、リハビリのプログラムにそうしたメニューも添えたりするんです」
「ヨーロッパの場合、ライセンスを取得する際にあらゆる勉強をされているんでしょうね。リハビリの細かいところまでは介入してきませんが、トレーニングを進めていくなかで、その流れにリハビリをどう組み込んでいくかなど、それぞれの監督から影響を受けました」
「オジェックさんは90年イタリアW杯で西ドイツが優勝したときにコーチをされていて、理化学の見識も深い方でした。今、体幹とかスタビリティトレーニングとかが流行っていますが、すでに当時オジェックさんからその重要性を聞いていた。だから、レッズは体幹やスタビリはけっこう早く導入しています。
「ミシャがオフ明けのひとコマ目の練習を僕に任せてくれたんです。そこでリハビリの最終段階に行うプログラムを選手全員にやらせてみました。健常な選手ならできて当然のプログラム。でも、試合に出ている選手ができないことがある。
「レッズが僕の一部なのか、僕がレッズの一部なのか」と野崎は苦笑する。
「僕は、贅沢なサポーターなのかもしれないですね。誰よりも選手のそばにいられるわけですから」
「先日のヴィッセル神戸戦(YBCルヴァンカップ・プレーオフステージ第1戦)で関根(貴大)のクロスから伊藤(敦樹)くんが素晴らしいゴールを決めたじゃないですか。あまりに鮮やかだったので、テレビで見ていて『ミラクルだ!』と思ったんです。そうしたら後日、ウガ(宇賀神友弥)からこんなことを聞いて」
「その話をウガから直接聞いて、鳥肌が立ちました。あのゴールはほとんど、ウガのゴールじゃないかと。ミラクルではなく、ロジカルなゴールだったんだと。そんな話を選手から直接聞けるなんて、役得ですよね」
(取材/文・飯尾篤史)