阿部勇樹の特長のひとつに判断力がある。
攻撃では、どこにポジションを取るべきか。ドリブルなのか、パスなのか、シュートなのか。パスを出すなら、どこに出すのか。守備では、どのスペースを埋めるべきか。どのタイミングで相手にプレッシャーを掛けるのか……。
ピッチ上で即座に判断し、最適なプレーを選択する。さまざまな経験から導き出される判断はいつも正確で、そのスピードも年齢を重ねるごとに冴えを増す。
しかし、そんな阿部でもすぐに答えを導けないことがある。
沖縄キャンプでトレーニングマッチを行った際、栄養士の管理のもと、沖縄そばとジューシー(沖縄風炊き込みご飯)が選手、スタッフに提供される。
栄養を摂ることが前提の食事は、例えば、病院食に代表されるように、得てして味が薄いもの。しかし、この沖縄そばと炊き込みご飯は、口にした選手やスタッフが顔をほころばせるほど、美味なのだ。
宇賀神友弥が「絶対に夜ご飯食べられない」と苦笑しながら、沖縄そばとジューシーのフルコースを食べていることから、いかに美味しいかがお分かりいただけるだろう。
そこに阿部がやって来た。トレーニングマッチを終え、時刻は16時前。夕食まで3時間余りしかない。
食べるべきか、我慢して夕食を待つべきか……。
迷った末に、阿部が下した結論は……量を減らして食べることに。「(栄養士の)石川(三知)大先生のおかげでケガもなく」という宇賀神の言葉に、“ノリボケ”するほど上機嫌になったのであった。
(浦和レッズオフィシャルメディア)
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