「周りには見せないようにしているんですけど、内に秘めているんです」
「シーズンの入りとしては、非常にいいスタートが切れました。そこから勝ったり負けたりがある中で、大敗したこともありましたし、チームとしての課題も見えてきたかなと。ただ、大敗した次の試合では、ゼロに抑えて勝利することができました。そういう意味ではチームとしてリバウンドメンタリティーを見せることはできたかなと思っています。
「キャプテンになる前からもそうなんですけど、このチームの中心選手だという自覚を持つとともに、それに相応しい立ち居振る舞いというのは意識しているというか、大事にしています。だから、これもキャプテンになったからというわけではないですけど、負けた試合の後が一番大事だと思っています。しっかりファン・サポーターの目を見て挨拶する。下を向くような姿を見せることなく、スタジアムを去るようにしています」
「変わらないのもどうなのかなって思うんですけどね(苦笑)。でも、キャプテンになったから積極的にしゃべるようになったということもないですし、できればプレーで、姿勢で、チームを引っ張っていきたいんです。口で言うのは簡単ですからね。そこは自分の身体で表現していきたいと思います」
「個人のところでは、特にコンディションを意識しようと思って、今シーズンは入ったところがありました。さらに、中断期間には、体脂肪率を2%くらい落とすことができたんです。おかげで身体がちょっと軽くなったように感じています。あとは34歳になって、筋トレの量を逆に増やしたんです。まだまだ、やらなければいけないなって。
「危機感でしかないんですよ。今季は降格もないですし、チームには年齢も若くて、いい選手がいる。いつ、若手にチャンスが与えられるかわからない状況なので、まだまだ浦和レッズのゴールを守りたいという気持ちがあるからこそ、うかうかしていられないんです」
「だから、今シーズンは僕にとっても本当に勝負の年だと思っていますし、簡単にその座は渡せないという気持ちを秘めながらトレーニングしています。クラブも従来どおりの入場料収入が得られない中で、当然、目を向けられるのは年齢が上の選手や年俸が高い選手になってくる。そうした状況においても、より高いパフォーマンスでチームに貢献できるかどうか。今までにない危機感を持っていますし、だからこそチームの勝利のためにすべてを捧げたいんです」
「若いときにGKは経験だ、経験だって言われていて、そのときは経験なんてなくても平気だろうって思っていたんですけど、今は試合を重ねていくたびに、経験って大事なんだな、大きいんだなって思うんですよね」
「ファン・サポーターからしたら、ビッグセーブに見えがちですけど、GKからしてみたら、あれはある程度、予測できるシュートなんです。だから、普通というか」
「自分たちから見て、左サイドからファーにクロスが来て、そちらに体重移動していた中で、逆方向に打たれたシュートだったので。斜め前にトライできたというのと、利き手じゃない左手で止められたのも大きかったですね。右と左では手の出し方も違いますし、あのセーブで乗れたところもあったと思います」
「自分のなかでは悔しいという感情はもちろんあって……やっていて悪くはないけれども、最終的に3失点していたり。失点は確かに昨シーズンよりも多いんですけど、でも、他のせいにはしたくないんですよね。
(取材/文・原田大輔)