浦和レッズでは最長身の191cm。
大きいのは体だけではない。石井僚の足元を見ると、驚きのビッグサイズ。
大きな黄色のスパイクに目を丸くしていると、20歳のGKは笑って答えてくれた。
「足は31センチです。このサイズでもあるんですよ。ユース時代は特注でしたけど」
ナイキから手厚いサポートを受けており、困ることもないという。
幼い頃はそうもいかなかった。小学生の頃はジュニア用サイズがなく、大人用のモデルを履いていた。当然、それなりに値も張る。
「親には金銭面で負担をかけました」と頭をかく。
当時はまだGKではなく、ポジションはボランチ。身長はすでに170センチを超えており、背番号10番をつけて、キャプテンを務めていた。
GKに転向したのは中学校からだ。
当初は思うようにシュートを止められず、思い悩んだりしたが、身長はぐんぐん伸びた。牛乳は苦手でも、毎日のようにヨーグルトを食べて、中学1年生から2年生で10センチも高くなった。
高校に入学し、浦和ユースに入る頃には186センチに。上背に比例するように足のサイズも大きくなった。高校1年生で31センチ。靴選びには難儀した。最も大変だったのは学校生活だ。
「上靴のサイズがなかったんですよ。当時は最大29センチのものを履き、かかとをつぶしていました」
石井だけに認められた特例である。上靴からかかとがはみ出たまま、高校生活を送り続けた。足のサイズこそ止まっているが、身長は卒業する頃には190センチに到達した。
GKにとって高さは大きな武器。ハイボールの強さは言わずもがな。シュートストップの技術も磨き、トップ昇格を果たした。
プロ1年目の昨季は出場機会には恵まれなかったが、そのポテンシャルは底知れない。身長も1センチ伸びている。長い手足を生かしたセービングもさることながら、大きな足から繰り出すキック力も並外れている。
まさに必殺技だ。
冗談まじりに「16文キックですね?」と問いかけると、きょとんとしながら「なんですか、それは?」と聞き返された。正確には13文であるが、会話を弾せたかったのだ。しかし、問題はそこではなかった。
「ジャイアント馬場さん(1999年に逝去)というプロレスラーを知りませんか?」(記者)
「聞いたことがないですね」(石井)
2000年生まれの守護神が知らないのも無理もなかったか。ただ、今季こそ公式戦で令和の"13文キック"が飛び出すことを期待したい。
(取材/文・杉園昌之)
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