「美術の授業で絵本を作ることになって描いた絵だったんです。本当は起承転結で4ページの物語になっているんですけど、SNSに載せたのは1枚目の『起』と4枚目の『結』の部分なんです」
「東京五輪がなければ、多分、帰ってきていないと思います」
「ずっと海外でプレーするという思いで1年半前にレッズレディースを出たんです。そう考えると、人生は何が起こるか分からないですけど、思っていたものが覆るくらい、自分の中では大きいことなんだと思います」
「あなたの夢であり人生という道に、石を置くようなことはしたくない」
「レッズレディースではなく、他のチームという選択肢もあったのかもしれません。でも、自分はレッズでプレーしたいと思って帰ってきましたし、他のチームを考えることすらなかったですね。ドイツから帰ってきたときも、いつも顔を出していましたし、当時はフライブルクの選手でしたけど、浦和レッズはずっと自分のホームだったんです」
「得点を決められる中盤の選手って、少ないと思うんですよね。だから、自分はそういう選手になっていきたいですね。シュートという武器もあれば、パスや他のプレーも活きてくる。だから、ゴールは意識したいですね」
「フライブルクに加入して間もないころだったんですけど、紅白戦で私がドリブルしてゴール近くまで侵入したんですね。もう一人、選手が走ってきたのでパスを出したんです。そうしたら、その選手は私がシュートを打つと思っていて、直前まで走っていたのに立ち止まっていたんです。そのせいで、私が出したパスは流れてしまって。そのとき、相手のCBをしていた選手に『今はシュートでしょ!』って怒られたんです。相手のDFに、ですよ」
「ドイツではゴール前でのシーンが明らかに多いんです。シュート練習も多いし、日本とは意識、感覚が全然違うと思います」
「トップ下やFWに近いポジションでプレーしていたので、監督からはゴールを求められました。もともとGK出身の監督だったこともあって、シュートではどこを狙え、クロスに対してはこういう入り方をしろと、細かいプレーに至るまでいろいろなことを教えてもらいました。そうした環境でプレーしてきたことで、自分の引き出しは増えたと思います」
「一方でゴールがすべてではないというか。ボランチでプレーしたときに、ゴールばかりを意識してしまうと、良いプレーができない。だから、ゴールに向かってプレーはするけど、自分が得点することにはこだわりすぎないようにしたいとも思っています」
「去年が2位だったから今年は1位になれるのかというと、そんなに甘くはないと思います。だから、ゼロからのスタートというか、そのくらいの気持ちで戦わなければいけない。私自身は、新しいチームの一員として、しっかりフィットしていけるように、自分の持っているものを出していきたい。自分の良さを加えながら、優勝を目指していきたいですね」
(取材/文・原田大輔)
(後編に続く)