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明本考浩の心に刺さったエスクデロ競飛王のレッズ愛

2021年2月5日 18:29 浦和レッズニュース

 栃木県宇都宮市で生まれ育った明本考浩にとって、小学生時代からアカデミーに所属してきた栃木SCは特別なクラブである。

 栃木ユースから進んだ国士舘大を卒業する際、J1クラブからも声が掛かったが、J2の地元クラブを選んだほどだ。

 だから、40試合7得点の成績を残したルーキーイヤーの2020年シーズン終了後、J1を含むいくつかのクラブから話があっても、簡単には移籍する気になれなかった。

 しかし、浦和レッズからのオファーが届いた時、気持ちが一気に傾いた。

「まさかこんな魅力的なクラブから声を掛けてもらえるなんて。素直に嬉しかったし、直感で『ここだ!』と思いましたね」

 もっとも、愛着のあるクラブをたった1年で離れることにためらいもあり、即決はできなかった。

 そんな明本の相談に乗ってくれたのが、栃木の先輩であり、レッズのOBであるエスクデロ競飛王だった。

「浦和からオファーが来たことを伝えたら、セルくんは驚いていましたね。『それはもう絶対に行くべきだ』って。あの頃はもう毎日、セルくんと話していました。そのなかでセルくんの浦和に対する熱い思いも聞かせてもらって」

 レッズのアカデミー出身で、トップチームで8シーズンを過ごしたエスクデロである。レッズのすべてを知っていると言っていい。最高の練習環境が整っていて、所属選手のレベルも高い。そうしたレッズの魅力のなかでもエスクデロが最も熱っぽく語ったのが、ファン・サポーターの声援、スタジアムの雰囲気だった。

「『埼スタの雰囲気は最高だぞ。あの数万人の前で活躍したら、お前、もうヤバいぞ』って(笑)。『お前なら、走り回っただけで埼スタを沸かせられるんじゃないか』とも言ってくれました。そういう姿を自分でも思い浮かべて、浦和でプレーしたくなった。自分の力をJ1の舞台で試してみたいし、浦和でチャレンジできるなら、こんなに素晴らしいことはない。挑戦したいという気持ちがどんどん膨らんでいったんです」

 明本とエスクデロの関係性を知ったレッズの強化部は、明本に15番を用意した。エスクデロがレッズ時代に背負っていた番号である。

「『15番でいいよね?』って提示されて。僕もセルくんの番号を引き継ぎたいと思っていたので、嬉しかったですね」

 エスクデロが「走り回っただけで埼スタを沸かせられる」と語ったように、明本の魅力のひとつが「驚異的」と称されるほどの運動量だ。栃木時代にはプレッシングの急先鋒として、2度追いどころか、4度追い、5度追いも苦にせず走り回り、相手チームを混乱に陥れていた。

 その走力のハードワークの原点となったのが、大学時代だ。栃木ユース時代は10番を背負う中心選手だったが、トップチーム昇格は叶わなかった。進学した国士舘大学でも1、2年生の頃は、トップチームの試合に絡めなかった。

「落ち込んだ時期もありましたけど、そこで腐らずやり続けたことで成長できました。もともと国士はフィジカルトレーニングが多くて、頑張って取り組んだことでスタミナが付いたし、メンタルも鍛えられて、守備能力も磨くことができたんです」

 歯を食いしばって壁を乗り越え、ボランチとして頭角を表すと、4年時には大学選抜の一員としてユニバーシアード・ナポリ大会に出場するまでに成長を遂げた。

「無名だった僕が成り上がれたのは大学で鍛えられたおかげ。本当に感謝しています」

 もうひとつの魅力が、ポリバレントな能力だ。

 ユース時代は2列目、大学時代はボランチ、栃木時代にはFWも務めた。そのユーティリティ性は、高いサッカーIQを備えている証だろう。

「いや、得意なポジションがないだけです(苦笑)。与えられたポジションを全力でやるのが僕のスタイル。それは常に意識しています」

 即時奪回を掲げるリカルド ロドリゲス監督のスタイルにおいて、明本のインテンシティ(プレー強度)やトランジション(攻守の切り替え)は大きな武器になるに違いない。

 一方で、リカルド ロドリゲス監督はポジショニングによって相手とのズレを生み出し、論理的にボールを動かすスタイルにも取り組んでいる。

 それはボールを手放すことも厭わなかった栃木時代のスタイルとは正反対と言えるものだが、だからこそ、レッズにやって来た意味がある。

「相手と駆け引きをして、相手を食いつかせてボールを動かすスタイルは、これまで取り組んだことがなかったので、すごく勉強になっています。自陣からビルドアップして、自分たちがボールを保持する時間が長いぶん、ポジショニングや動きの質が問われる。それを身に付けられれば、もうひと回り、ふた回り大きくなれるんじゃないか、と思っています」

 始動から2週間が経ち、今ではすっかりチームに馴染み、グラウンドでは「アキ!」と呼ぶ声が飛び交っている。キャンプ中には宇賀神友弥のインスタライブにも参加した。

「ビッグクラブだし、最初はどんな雰囲気なのか、ちょっと怖かったんですけど、いざ入ってみたら、みんなすごく優しくてウェルカムな感じでした。(柏木)陽介くんや(汰木)康也くん、タクくん(岩波拓也)とかが話し掛けてくれて、やりにくさは全然ないですね」

 1月18日に行われた新加入選手の記者会見では「ものすごく野心を持っています」ときっぱりと言い切った。果たして、その野心とは――。

「目標は、日本代表に入ること。浦和で活躍できれば、その目標に近づけるし、さらに上も狙えると思う。そうした気持ちは強く持っています。去年、栃木で7得点8アシストだったので、今年はそれを上回る成績を残したい」

 そして最後に力強く、こう言った。

「犬のように走り回って、大暴れしたいですね」

 かつて長髪を振り乱して犬のように駆け回り、駒場スタジアムを熱狂させたスピードスターがいた。同じように明本も、埼玉スタジアムにどよめきと喝采を起こすに違いない。

(取材/文・飯尾篤史)

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あの感動から3年。金子大毅が埼スタでのプレーを待ちわびている理由とは

2021年1月29日 20:00 浦和レッズニュース

「初めて赤い色のユニフォームを着たので、最初はちょっと違和感がありましたけど、シンプルにかっこいいなと思いました」

 1月18日、新加入選手記者会見で、初めて浦和レッズのユニフォームに袖を通した金子大毅は、少しだけ照れくさそうに笑った。

「浦和レッズには、昔からビッグクラブというイメージを持っていました。そうした偉大なクラブでプレーするチャンスをいただいたので、それはもう行きたいなと思いました」

 オファーが届いてすぐに、自分の心は決まっていた。ただ、返事をするまでには時間もあったことから、信頼できる人たちに相談したという。そのなかには、かつて浦和レッズでプレーし、湘南ベルマーレでチームメイトだった梅崎司もいた。

「オファーをいただいて、すぐに梅さんには相談させてもらいました。梅さんからも浦和レッズはすごく魅力的なクラブだという話を聞かせてもらいました。そのとき、『まだ一緒にプレーしていたいけど、お前のことを考えたら行くべきだと思う』と言ってくれたんです」

 大先輩のひと言が、金子の背中をさらに押してくれた。

 在学中だった神奈川大学から、湘南でプロへの一歩を踏み出したのは2018年だった。

「1年目は本当に試合に出ても、勢いでサッカーをするようなところがありました。だからこそ、試合によって波もありましたし、その日のコンディションよってプレーの質が違うこともありました」

 プロ1年目は10試合、プロ2年目は18試合。少しずつ出場機会を増やしていった金子は、昨季28試合に出場した。ボランチとして湘南の主軸になると、大きな自信をつかんだ。

「昨季は1年を通して、かなり試合に出させてもらったことで、プレーの波も少なくなったと思っています。また、チームの真ん中でプレーするからには全体を把握できなければいけない。まだまだ全然、できてはいないと思っていますけど、1年目と比べれば、周りに目を向けられるようになりました。首を振る場面も増えましたし、縦パスを入れる回数も増えましたから」

 自信を得たからこそ、浦和レッズでの新たなる挑戦に迷いはなかったのである。

 そんな金子の強みは、自らも言うように守備にある。

「ボールを奪うことやセカンドボールを拾うこともそうですし、相手のボールから自分たちのボールにするところは、自分の特徴だと思っていますし、負けてはいけないところだとも思っています」

 予測に加えて、運動量もある。そこまで届くのかと言わんばかりに、足を伸ばして相手の懐に飛び込むことができる。守備範囲の広さは魅力の一つ。だから金子はボールを奪い“切る”ことができるのだ。

 もちろん、課題も把握している。

「ゴールにつながるプレーというか、スルーパスや点を決めるところにおいても貢献したいですね。もっとFWの動きを見ることも必要だと思っています。それと、まだまだ出来てないところでもあるんですけど、高校の頃から『気が利く選手になれ』って言われてきたんです。

 自分としてもそこが大事だと思っていますし、そういう選手になれれば、チームにとっても重宝すると思うんですよね。リカルド(ロドリゲス)監督の掲げるサッカーを身につけることができれば、選手としての幅が広がると思いますし、自分に足りないところが埋まっていくのかなと」

 金子は一度だけ、リカルド ロドリゲス監督のサッカーに遭遇したことがある。2019年12月14日に行われた湘南対徳島のJ1参入プレーオフ決定戦である。1−1で引き分けたことで、湘南がJ1残留を決めた試合に、金子は先発出場していた。

「プレーオフで対戦したとき、かなりボールを持たれる時間帯が続いたんです。ボールを大切にして、緻密で、なおかつおもしろいサッカーをするなという印象を受けました。その緻密さを練習から落とし込んでくれると思うので、自分自身もそうした能力を身につけて成長して、チームにも貢献できればいいなと思っています」

 キーワードに挙がっているポジショナルプレーであり、流動的なシステム変更に対応し、チームが機能していくには、中央に位置するボランチがカギになるだろう。

「やはりチームの真ん中にいるポジションなので、そこが機能しなければ、チーム全体がダメになってしまうくらいに思っています。だから、守備でも、攻撃でも、存在感を出していくことが必要だなと。時間帯を考えてのプレーやゲームの流れを読んでプレーすることも必要。誰かが攻めた穴を埋めることも含めて、気の利いたプレーができればと思っています。何より、ここで結果を出せるか、出せないかで今後の自分の人生は大きく変わると思っています。だからこそ、まずはチーム内での競争に勝って、試合に出ることを目標にしていければと思います」

 決意の堅さであり、重さは言葉に滲み出ていた。そして、金子には楽しみにしている瞬間がもう一つある。

「僕、浦和レッズとの試合ってプロ1年目のときに、湘南のホームで後半の45分間しか経験していないんです。だから、テレビでしか、あのファン・サポーターの熱のある応援を見たことがなくて。

 でも、2018年にルヴァンカップ決勝で埼スタに4万人以上の観客が入っていたとき、ウォーミングアップでピッチに出たときから鳥肌が立ったというか。『うわぁ』って感動したことは、今でも身体が覚えているんですよね。あれが、今度は真っ赤になっていて、それがマイホームになると思うと、本当にありがたいですし、その日を今から楽しみにしているんです」

 プロ4年目にして大いなる挑戦に踏み出した。22歳の金子がピッチで躍動すればするほど、浦和レッズは新たなる礎を築いていくことになるだろう。リカルド ロドリゲス監督の戦術を理解し、金子が守備で奮闘し、攻撃に顔を出す姿が今から楽しみになる。そのとき、真っ赤に染まった埼玉スタジアムのスタンドは、きっと大きな歓声を挙げる。

(取材/文・原田大輔)

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“浦和っ子”の伊藤敦樹と「覚悟」を示した大久保智明、大卒コンビの誓い

2021年1月22日 20:00 浦和レッズニュース

 川崎フロンターレの三笘薫、横浜FCの松尾佑介、サガン鳥栖の林大地、コンサドーレ札幌の田中駿汰。いずれも昨季、浦和レッズからゴールを奪った大卒ルーキーたちである。

 かねてから大学で4年間もまれた彼らは即戦力と言われてきたが、昨今の活躍ぶりは目を見張るばかり。そして今季、浦和レッズにも2年ぶりに大卒新人が2人加入した。いずれも開幕スタメンを狙えるほどの実力者と言っていい。

 流通経済大から加わった伊藤敦樹は多芸多才。浦和ユース時代は主に攻撃的MFとしてプレーしていたものの、その印象はガラリと変わった。大学で苦手だった守備力を向上させ、ボランチ、左サイドバック、センターバックと3つのポジションで活躍。持ち味である正確なロングフィードに加えて、ボールを奪い切る力もつけた。


 183cmの大型マルチプレーヤーとして評価を高め、念願の"帰還"を果たした。大学に入学後も、レッズへの思いを1日たりとも忘れたことはないという。

「レッズ以外は考えていなかったですね。レッズに戻るために大学に入り、努力してきましたから。もちろん、レッズの試合も見ていました。僕の場合は、幼い頃からずっとですけどね」


 物心ついた頃からレッズは、心のクラブだった。熱心に応援する親に手を引かれて小学校1年生の頃から会場に足を運んだ。2006年のリーグ初優勝も記憶に残っている。最も感銘を受けたのは、2007年のACL制覇。決勝はスタジアムに駆けつけた。

「あの埼スタの雰囲気はすごかった。まだ9歳でしたけど、鮮明に覚えています」

 根っからの“浦和っ子”なのだ。プロ1年目から懸ける思いは強い。レッズユースから流経大という同じキャリアを歩んでプロとなった先輩は、目標のひとつにしている。

「宇賀神(友弥)さんは1年目の開幕戦から出て、それ以降もずっと活躍しています。尊敬する存在ですが、超えていきたいと思っています。僕も1年目から試合に出続けたい」


 ルーキーイヤーからレギュラー奪取に燃えるのは、中央大から加入した大久保智明も同じ。大学の4年目はケガを完全に治すためにほとんど棒に振ったものの、それもこれもJリーグの開幕戦を見据えてのこと。170cmの小さなドリブラーは、自信をみなぎらせる。

「コンスタントに試合に出て、チームを引っ張っていけるくらいになりたい。22歳という年齢はもう若くないです。物怖じせずにどんどんいきたい」


 中央大では東京ヴェルディの育成組織で培った鋭いドリブルにさらに磨きをかけた。2学年上の先輩である上島拓巳(現柏レイソル)と毎週火曜日に1対1の練習を繰り返し、自信をつけたのは大きい。互いに助言し合いつつ、時間を忘れるくらいトレーニングに明け暮れた。

「間合いの取り方、緩急のつけ方、抜ける角度など、大きなディフェンダーと対峙する感覚をつかめました」


 関東大学リーグでは大学2年時の前期にデビューすると、すぐにスカウトたちの目に止まった。右サイドからカットインしてシュートもあれば、縦に抜けて正確なクロスも上げる。まさに無双。3年時の始めには、複数のJ1クラブから声がかかるようになっていた。正直、悩んだ。

「レッズを選びたい気持ちはありましたが、プロは試合に出ないと始まりません。怖さがあったんです」

 それでも、ある人に相談してから迷いは吹っ切れた。中央大OBでレッズユース出身の須藤岳晟(現クリアソン新宿)である。大学1年時に主将を務めていた尊敬する先輩の言葉は、心にぐっと響いた。

「男は覚悟だ」

 その後、3年生の夏にいち早く仮契約を結んだのは周知の通り。大久保は須藤との会話の数々をノートにしっかりメモしている。

<成功軸より成長軸に目を向けろ。成功に捉われるよりも、日々いかに成長していけるかを考えないといけない>


 チームが始動し、プロとしての一歩を踏み出した今も心に留めているはずだ。毎日の練習を疎かにはしない。トレーニングから全力で取り組み、1年目からブレイクすることを誓う。

「10ゴール、10アシストが目標です。不可能な数字ではないと思っています。試合に出れば、1回は決定機がきますので。そのワンチャンスを仕留められるかどうか。そこにこだわっていきたいです」

 頼もしい大卒新人コンビが、新生レッズをより面白くしてくれる。

(取材/文・杉園昌之)

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浦和レッズを「楽しんでもらいたい」。野心に満ち溢れた指揮官が描く未来とは?

2021年1月20日 20:00 (C)URAWA REDS

新たな指揮官がどんなサッカーを見せてくれるのか。興奮を伴う想像を膨らませているファン・サポーターは少なくないだろう。

攻撃的、ポジショナルプレー、ポゼッション、アグレッシブ――リカルド ロドリゲス監督の戦術を語る際には様々なキーワードが用いられるが、リカルド監督自身が口にするワードの一つに「フレキシブル」という言葉がある。

サッカーだけに限らずビジネスシーンでも一般的になった用語だが、日本語にすれば『柔軟性』だ。

確固たる理想はあり、ゼロベースから選手を見て戦術やフォーメーションを決めるわけではない。一方で一つの型にはめることもない。

18日の就任会見でフォーメーションについて問われ、「本当に大事だとは思っていない」と答えていた指揮官は、戦術やチーム作りについても「フレキシブル」という言葉を用いながら説明した。

「アイデアとしてどういうふうにやっていきたいかということはもちろんあります。ただ、その中で選手ありきの戦術もあります。この選手ならどういったところで特徴を生かすことができるのか。パスを出せるのか。進入することができるのか。そういったことを見ていきます。

戦い方としては、攻撃的にいくことであったり、ボールを失ったらすぐに寄せることであったり、ディフェンスをしっかりすることであったり。ただ、パズルと同じです。『こういうふうにしたらここがこうなる』ということを考えながら、選手たちと持っているアイデアをすり合わせながらやっていくのが自分のやり方です」

選手の特徴を生かす。選手とアイデアをすり合わせる。始動前から選手たちをプロファイルし、そして、一定の自信を得ていた。レッズでは十分にできる、と。

「やろうとしているサッカーにあっている選手はたくさんいると思います。多くの選手が伸びていくと思います。組み合わせによって特徴の生き方も変わってくると思います。自分ができること、それから組み合わせによって起こる相互作用も大きく影響してくると思います」

徳島ヴォルティスでJ2リーグながらスペイン人監督として日本で初めてタイトルを獲り、徳島でJ1に挑戦する選択肢もあったはずだ。だが、将来的にプレミアリーグのチームを率いたいという野心を持つ指揮官は、徳島でJ1に挑戦する選択肢もありながら、レッズの監督に就任することに「多くのことを考えなかった」という。そして、レッズの監督に就任したことを「叶った」と表現する。

レッズが日本で有数のクラブであることは知っていたからだ。それは誰かから伝え聞いていたからではない。徳島の監督に正式に就任する以前、リカルド監督はレッズ、そしてファン・サポーターの大きさを実際に肌で感じていた。

「2017年に徳島を率いる前年から日本でいろいろな試合を見ていましたが、レッズの試合を見たときに『これだけのスタジアムにこれだけのファン・サポーターの方々がいて、こういう試合をしているのか』と目の当たりにしました。言葉で表すことはなかなか難しいですが、本当にびっくりしました。いつかこういった大きなクラブ、偉大なクラブで働いてみたいと思えるほど衝撃的な出来事でした。それが大きな理由です。オファーをもらった後もいろいろな過程を踏んでいきますが、多くのことは考えずに『行きたい』と思いました」

リカルド監督はメキシコで8万人以上を収容するエスタディオ・アステカ、アシスタントコーチを務めたスペインのマラガCFがグラナダCFと対戦する東アンダルシアダービー、ドイツのドルトムント、アルゼンチンのボカ・ジュニアーズを例に挙げながら、「レッズも同じようにスタジアム全体が盛り上がります。本当に情熱があり、すごく勢いがあると感じられる人々です」と表現する。

そして、衝撃を受けたファン・サポーターを楽しませたいと強く思っている。

「私が攻撃的なサッカーが好きな理由は、そういう考えの持ち主であると同時に、ファン・サポーターの方々に攻撃的なサッカーを見て楽しんでもらいたいという気持ちが何よりあるからです。守りながら、いつボールを奪えるか分からない中でボールを獲ったらすぐにカウンターに出ていく。それだけでは選手が退屈することもあると思います。我々がボールを握り、ファン・サポーターに楽しんでもらえるようにしていければと思っています」

3年計画の2年目、変革2年目の指揮を任されたリカルド監督。野心に満ち溢れた指揮官が2月27日、埼玉スタジアムのピッチに何を描くのか。今は想像できるのは、鮮やかで美しい浦和レッズの姿だ。

(取材/文・菊地正典)

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継続&進化へ、リカルド ロドリゲス体制がいよいよ始動する

2021年1月15日 11:26 浦和レッズニュース

 3バックから4バックへの“可変システム”や、攻撃のビルドアップにおける“3枚回し”と“4枚回し”――。

 ミシャことミハイロ ペトロヴィッチ監督時代に聞かれた懐かしいフレーズが21年シーズン、再び飛び交うことになりそうだ。

 2021年1月17日16時から、浦和レッズの新指揮官、リカルド ロドリゲス監督の就任会見が行なわれ、18日から新体制がいよいよ始動する。

 昨年まで4年間、J2の徳島ヴォルティスを率いたこのスペイン人監督と、12〜17年7月までレッズを率いたミシャのスタイルには、共通点がある。

 それは、ポジショナルプレーだ。

 ポジショナルプレーとは、簡単に説明すると、意図的にポジションのズレを生み出して、試合を優位に進めていく考え方だ。

 “ミシャ式”はポジショナルプレーの先駆けだったが、かなりパターン化されていて、システマティックだった。一方、リカルド ロドリゲス監督の場合、起用選手や相手の陣形によってかなり柔軟だ。そのためシーズンを通しても、1試合においても、陣形がよく変わる。

 4-3-3のようで、4-2-3-1のようでもあり、3-4-2-1のようで、3-5-2のようでもあり……。徳島時代にはスタートの陣形が7種類ほどあったくらいで、数字の羅列はあまり意味を持たないのだ。

 想像してみてほしい。4-4-2の守備ブロックを敷いていたレッズがボールを回収し、攻撃に転じるシーンを。

 4-4-2でプレスを掛けてくる相手に対して、3-4-2-1に変えてマークのズレを生み、ディフェンスラインから攻撃を組み立てていく。

 このとき、例えば、右サイドバックがトーマス デンなら、左に横ズレしてデンが3バックの右となり、左サイドバックが中盤に上がって3-4-2-1へと変化する。

 西大伍が右サイドバックなら、左サイドバックとセンターバックが右に横ズレして西を中盤へと押し上げる。

 ボランチの一角が阿部勇樹や金子大毅なら、ボランチがディフェンスラインに下がって3バックを形成してもいいだろう。


 こうした“人”の特性を踏まえたポジション変化がリカルド ロドリゲス監督の特徴だ。

 新監督の戦術を習得するには、かなりの時間を必要とするのではないか? 

 そんな不安を抱く方もいるだろう。だが、心配する必要はない。ポジショナルプレーの基本は、ミシャ時代に植え付けられている。そのDNAを呼び覚ませばいい。

 さらに、リカルド ロドリゲス監督も好むプレッシングからの即時奪回や、守備ブロックの築き方は、大槻毅前監督時代に習得済みだ。

 一方、徳島時代にリカルド ロドリゲス監督が1年目から結果を残したことにも注目したい。17年シーズンは最終節で敗れ7位に転落し、逆転でJ1参入プレーオフ進出を逃してしまったが、シーズン序盤からずっと昇格争いに絡んでいた。

 メンバーが大きく入れ替わった18 年シーズンこそ11位で終わったが、下位に低迷したわけではない。19年シーズンは4位となってJ1参入プレーオフに進出。決勝まで勝ち進み、湘南ベルマーレに惜敗した。そして就任4年目の20年シーズン、J2優勝を成し遂げたのだ。

 攻撃における特徴は、後方からのビルドアップだ。優位性を保ち、論理的にボールを運ぶことを信条とするため、徳島ではGKにJ2屈指の足技の持ち主である上福元直人を起用。センターバックにも元々ボランチの選手をコンバートして起用していた。

 そのため、レッズではGK西川周作のキック精度が再びクローズアップされるに違いない。また、岩波拓也や槙野智章のビルドアップ能力もより一層生かされるはずだ。もしかすると、高精度キックを武器とする高卒ルーキー・藤原優大の抜擢もあるかもしれない。

 徳島ではサイド攻撃も大きな特徴だった。アウトサイドの高い位置に人を配置し、インサイドの選手と連動した攻撃を仕掛けていくのだ。

 ウインガーが豊富なレッズでも、サイドアタックは重要な武器になるだろう。インサイドに潜り込むのがうまい関根貴大、ドリブルで局面を打開できる汰木康也、飛び出してゴールを陥れられる田中達也、一瞬のスピードで相手をかわす大卒ルーキー・大久保智明……。誰と誰を組み合わせるのか。いずれにしてもチャンス数の増加は請け合いだ。

 リカルド ロドリゲス監督の若手育成力も見逃せない。

 徳島時代の愛弟子である21歳のMF渡井理己と22歳のMF小西雄大は今やJ2屈指のプレーヤーと言っていい。だとすると、22歳の伊藤涼太郎や19歳の武田英寿、栃木SCから獲得した22歳の明本考浩、FC琉球から加入した24歳の小泉佳穂も、このスペイン人指揮官のもとで大きく飛躍してもおかしくない。

 4-4-2と3-4-2-1のシステムに合わせて選手の名前を紙に書き込んでいくと、各ポジションの選手層のバランスが良く、どちらのシステムにも対応できる選手が揃っていることが分かる。

 この選手たちが、リカルド ロドリゲス監督のもとでどれだけ魅力的なサッカーを見せてくれるのか――。期待と妄想は膨らむばかりだ。

(取材/文・飯尾篤史)

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2021年の浦和レッズを注目すべき3つの理由

2021年1月8日 14:45 浦和レッズニュース

 新型コロナウイルスの影響で過去に例を見ない年となった2020シーズンを終えて3週間ほどが経ったばかりだが、新シーズンの開幕がもう7週間後に迫っている。その7週間はファン・サポーターにとって期待や不安がうずまく時期でもあるが、今季の浦和レッズが一体どんな戦いを見せてくれるのか。

 2021年初回の浦和レッズニュースでは、「2021年浦和レッズを注目すべき3つの理由」をお送りする。

【理由その1:リカルド・ロドリゲス監督就任】
 2021シーズン、浦和レッズは新たなスタートを切る。新指揮官として昨季まで徳島ヴォルティスの監督を務めていたリカルド・ロドリゲス監督が就任した。

 スペインで生まれた46歳の指揮官は、17歳でケガによって選手としての道を断念せざるをえなかったが、24歳の若さで指揮官としてのキャリアをスタートさせた。スペインはもちろんサウジアラビア、タイで経験を積み、来日したのは2017年。徳島ヴォルティスの監督に就任すると、4年でJ2初優勝、7シーズンぶりのJ1昇格に導いている。

 リカルド・ロドリゲス監督が徳島で見せた戦いはフレキシブルだった。3バックで戦うこともあれば4バックで戦うこともある。同じ4バックでも4-4-2のときもあれば4-3-3のときもある。スタート時に限らず、試合中にフォーメーションを変えることもある。

 戦い方は的確なポジションを取りながらボールを保持し、ボールを奪われたら素早く奪い返し、再び攻撃に転じる。いずれの場合もスペースを見つければ一気にゴールへ向かって前進する。

 主に攻撃的とされるリカルド・ロドリゲス監督の戦術だが、その一方で監督自身は「それだけでは意味がない」とも話す。

 たとえばリードしている際にバランスよく守備を整えながらカウンターを狙うこともある。理想やベースをしっかりと持ちながら、状況に応じた戦いをすることもいとわない。むしろ勝利から逆算して戦い方を考えると言ってもいいのかもしれない。

 徳島でも戦術スタイルは一部のサッカーファンに注目されていたが、レッズで実現されればさらに注目を集めるに違いない。そして、内容だけではなく結果を求める点においても、リカルド・ロドリゲス監督は常に勝利が求められるレッズに適した指揮官だと言えるだろう。

【理由その2:新加入選手の充実ぶり】
 2021シーズンに加入する選手はユースからの昇格と新卒を含めて10名。昨季の4名からは大幅に増えた。シーズンオフの移籍動向はその時々のチーム事情、クラブ事情によるため一概には比較できないが、今オフのクラブの動きは積極的だ。

 10名の平均年齢は明治安田生命J1リーグが開幕する2月27日時点で24.9歳。阿部勇樹と並んでチーム最年長であり、特に近年は所属チームの精神的支柱でもあったと評価されている塩田仁史、10年以上J1クラブで主力として活躍し続けている西大伍は30歳を超えており、実績と経験は十分だ。

 ここ3年でJ1での出場機会を着実に増やし、昨季は大分トリニータでJ1リーグ33試合に出場した田中達也は28歳で中堅と言える年齢。FC琉球から加入した小泉佳穂は24歳、栃木SCから加入した明本考浩は23歳、湘南ベルマーレから加入した金子大毅は22歳と、これからのさらなる成長と活躍が期待される選手たちだ。

 そして新卒選手もユースからの昇格と高体連卒が福島竜弥と藤原優大、大卒が伊藤敦樹と大久保智明の2名ずつ。こうして並べてみると10名という人数でも年齢分布のバランスが非常に良いことが分かるだろう。

 レッズは主な中心選手の平均年齢が高くなり、世代交代も必要とされている。その役割を担うのは前述の『さらなる成長と活躍が期待される選手たち』だが、中でも明本に注目したい。

 栃木県出身で小学生時代から栃木SCのアカデミーに所属していた明本は、栃木ユースから国士舘大学を経て昨季Jリーグデビューしたばかりの2年目だが、昨季はルーキーイヤーながら栃木の攻撃の中心となり、ゴール、アシストともにチームトップ(ゴールはチームトップタイ)を記録した。

 最大の特長は、高いフィジカル能力と豊富な運動量からなるハードワーク。プレースタイルに差異はあれど、攻撃的なポジションならばどこでもこなせること、前線でハードワークできること、そしてレッズ加入以前にJ1で(大きな)実績を残したわけではなかったといった点で、武藤雄樹と重なる。1月31日で23歳というプロ2年目の若者に過度な期待をすることは禁物だが、明本がレッズでブレイクしても驚きではない。

 新人たちもその世代ではトップクラスの選手たちが加入した。彼らが見せてくれるであろう未来の片鱗もまた、今季のレッズの大きな注目ポイントの1つだ。

【理由3:昨季からの継続と発展】
 先に『新たなスタートを切る』とは表現したが、それはあくまで新監督を迎えた新チームであるということ。決してゼロからのスタートを意味するわけではない。

 リカルド・ロドリゲス監督の主な戦術に触れ、ハッと気付いた方もいるかもしれない。そう、大槻毅前監督と共通する点も決して少なくないということを。

 大槻前監督は昨シーズンの終盤、3年計画の1年目で構築したことについて次のように話していた。

「ここ数年、僕も含めてですが、監督が変わることが多かった。都度、やるサッカーが変わっていますし、そのたびにとってくる選手の質が変わってくるようなことがありましたので、3年計画の最初のところでベースに戻すというか、針をしっかりとゼロに近づける作業が必要だったと思っています。その中でサッカーのベースとなる強度や走ることだけではなく、しっかり判断するということをベースの部分で共有する作業が、今年は特に初期で必要だったと思います」

 また、大槻前監督は「チームを作ることを家にたとえると増改築のようなものだと思っている」と表現していた。それは選手がまるごと変わるわけではなく毎年数人が変わっていくこと、クラブの歴史があるという意味だが、大槻監督は家を一度解体して土台を固め、同じ材料でさらに立派な家を作ろうと試みていた。

 大槻前監督は昨季、この数年で重要な概念となった5レーン理論に基づく適切なポジショニングを、自分たちが『主体的に』意図して取るように植え付けた。それは球際での強度や運動量と同様に、現在では戦術に関わらず重要なベースとなる。

 また、クラブから求められるスタイルと自身の理想に差異はなかったことを前提としつつ、4バックや前線からのアグレッシブな守備から縦に素早く攻撃することも、「針をゼロに近づける」ために敢えて、それ以前とは異なる方法に取り組むことから考え出されたスタイルであると説明していた。

 大槻前監督はブレずに自らの信念を貫き、選手たちは奮闘した。2020シーズンはJ1リーグで10位と満足できる結果ではなかったかもしれないが、未来へ向かうためのベース作りに真摯に取り組んだ。

 戸苅淳フットボール本部長はリカルド・ロドリゲス監督を招へいするにあたり、実現すべきスタイルについて『即時奪回』と『最短距離でゴールを目指すサッカー』に、常に『主導権』を持ってより『攻撃的』に戦うこと、カウンタースタイルとポゼッションスタイルを合わせた『ハイブリッドなサッカースタイル』と表現している。

 特に『即時奪回』と『最短距離でゴールを目指すサッカー』は大槻前監督がチームに植え付けた。今季のレッズの戦いに「昨季があったから」と思えるシーン、結果が散りばめられることになるだろうし、そんな観点で注目するのもおもしろい。

 今季のレッズがどんな戦いを演じ、どんな結果を残すのかはまだ誰にも分からない。今はサッカーがある幸せ、浦和レッズがある幸せをかみ締めながら、レッズが与えてくれるであろう興奮と感動に期待し、これから7週間の動向にも注目しながら開幕を待とう。

(取材/文・菊地正典)

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【賀正】明けましておめでとうございます!!

2021年1月1日 17:38 (C)URAWA REDS

2021年が本日からスタートしました。

「浦和レッズニュース」をいつもご覧いただいているみなさまにとって、素晴らしい一年になりますように心よりお祈り申しあげます。

昨年は新型コロナウイルスの影響で浦和レッズを含むスポーツ界全体にも大きな影響が出ましたが、医療従事者の方々や、スポーツを愛するすべての人々の努力や行動によって、Jリーグはシーズンを無事終了することができました。

新たな1年の始まりです。

どんな1年になるか誰にもわかりません。

ですが、わたしたち「浦和レッズニュース」は、2021年も浦和レッズを通して、人々を笑顔にし、前進する活力を与え、あなたと心が通じ合うような情報をお届けしていきます。

ぜひ、楽しみにしていてください。

本年もよろしくお願いいたします!

(浦和レッズオフィシャルメディア)

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いつもと同じように始まり、終わった、最後の一日。

2020年12月25日 18:00 浦和レッズニュース

 2020シーズンが幕を閉じた。

「ONE HEART TOGETHER!」という言葉を共にした今シーズンは、いつもと違った形で過ごすことになった。

 2020年1月8日の必勝祈願からスタートし、その後、沖縄でトレーニングキャンプを実施。

 J1リーグ戦開幕後早々、新型コロナウイルスの影響で試合が中断した。約4ヵ月の期間を空けて、7月4日にJ1リーグが再開し怒涛の連戦に突入。それからはあっという間にシーズンが終了したような気がする。

 12月18日(金)は大原サッカー場で行う最後の全体トレーニングだった。

 ケガをして離脱した選手たちもいるので、全員が揃った練習とはならなかったが、この日はこのメンバーでサッカーができる最後の日。選手たちは最後の一日を噛み締めているような表情を見せ、練習に励んでいた。

 いつものジョギング、いつもの鳥かご、いつものロングキック――。

 今年は何日間、大原でトレーニングをしただろう。

 季節は4回変わったが、この同じメンバーで、同じボールを追いかけ、同じゴールを目指す。そのことは毎日変わることはなかった。

 だけど、同じように見える毎日でも、本当は、選手やスタッフたちにはそれぞれの人生があり、悩みがあり、毎日別々の壁にぶつかっていた。

 実は、大原サッカー場の空気に、一日として「同じ」はなかった。

 そのことは選手たちが一番よくわかっていた。だからこそ、この一日はとくに、特別だったんだと思う。

 最後の一日も、いつもと「同じ」ように始まり、終わった。

 翌日あった今シーズン最後の試合は勝つことができなかったが、2021シーズンはすぐに始まる。

 また同じ日々が始まるが、またみんなでサッカーができる喜びを噛み締めよう。

(浦和レッズオフィシャルメディア)

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cat_20_issue_oa-urawaredsnews oa-urawaredsnews_0_d8zh7r4vyjab_【特別コラム】浦和を背負う責任について考えた1年 d8zh7r4vyjab d8zh7r4vyjab 【特別コラム】浦和を背負う責任について考えた1年 oa-urawaredsnews 0

【特別コラム】浦和を背負う責任について考えた1年

2020年12月25日 17:00 浦和レッズニュース

新型コロナウイルスの影響で異例づくしの一年となった2020年シーズンが幕を閉じました。今回は特別に「浦和レッズニュース」でおなじみのスポーツライター3名が、それぞれの視点でみなさんへコラムをお届けします。

取材/文・原田大輔


 浦和を背負う責任——。

 今や浦和レッズを語るうえで欠かすことのできないキーワードだ。事あるごとに発信されてきたこの言葉は、浦和レッズを支える精神であり、礎になっていると言ってもいい。

 だから、この1年間、「浦和を背負う責任」とは何なのかを考えながら取材してきた。

 クラブの広報さんには眉をひそめられそうだけど、正直に言って1年間考えてきても、責任の正体は分からなかった。

 今シーズンの終盤、興梠慎三に取材する機会があった。問いかけると、彼はこう話してくれた。

「どのクラブでプレーしていても覚悟と責任というものはあると思います」

 全くもって、その通りだと思った。

 ただ、続きを聞いて、少しだけ答えが見えた気がした。8年間、エースの座を背負っている彼は、こう語ったのだ。

「僕はきれいごとを言うのがあまり好きじゃないので、正直に言えば、僕ら選手もいつかはクビを切られる身。だから、何のために戦っているかと言われたら、チームのため、家族のため、ファン・サポーターのため、スタッフのため。だから、浦和レッズのためにとは思っていないんです」

 興梠のプレーに心を奪われるのは、「だからか」と納得した。FWとしての得点力や技術もさることながら、彼は身近で支えてくれる人、共に戦っている人、そして声を届けてくれる人たちのために勝利を追い求めていた。だから、プレーに見入ってしまうのだとも思った。

 コロナ禍だった2020年。クラブにとっても、チームにとっても、そして選手たちにとっても予想外のシーズンであり、想像以上に過酷だったことは間違いない。今までの日常が思い出せないほど、状況も変われば、環境も変わった。取材もオンラインが一般的になるほど様変わりし、意思疎通の難しさにも直面した。

 それでもなお——浦和レッズの取材で、今シーズン2度も、涙を流しながら語る相手に話を聞いた。1度目は、試合運営責任者として重圧を背負いながら、リーグ再開を迎えられた安堵感と周囲の協力に惜しみない感謝を述べてくれた人だった。2度目は、前年に台風被害に遭い、復旧を行ってきた施設の担当者だった。

 こんなにも浦和レッズには、熱い思いを持った人たちが働いているのかと、心を動かされた。だから、興梠の言葉を聞いたとき、真っ先に思い出したのは、選手でもなければ、コーチでもなく、その2人の顔だった。

 誰のために戦うのか、何のために戦うのか。その何かが明確になっていればいるほど、こちらも心を揺さぶられる。それが2人には確かにあった。選手に置き換えれば、球際の強さ、試合終了間際に見せる身体を張った守備やスプリントといったワンプレー、ワンプレーになるのだろう。

 きっと、自分のためでもいいのかもしれない。コロナ禍で行われた2020年シーズン、多くの選手たちが出場機会を伸ばした。思い浮かぶのは、柴戸海、橋岡大樹、汰木康也といった顔ぶれになるだろうか。彼らには、今シーズン以上に、もっと自分のために戦ってもらいたいと思う。それを続けていった先には、自ずと身近な人や声を届けてくれる人たちがいるはずだからだ。

 リカルド・ロドリゲス監督が新たに就任する浦和レッズは来シーズン、新しいサッカーを描いていくことになる。ただ、誰が監督であっても、どんなサッカーをしようとも変わらないものもある。

 何のために戦っているのか。それが明確になればなるほど、その選手はきっと心を、魂を揺さぶってくれるはずだ。浦和レッズを背負う責任とは、そういうことなのではないかと思わされた2020年の暮れだった。

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cat_20_issue_oa-urawaredsnews oa-urawaredsnews_0_ma9f95e4bm4r_【特別コラム】宇賀神友弥が解く「人間力」のすすめ ma9f95e4bm4r ma9f95e4bm4r 【特別コラム】宇賀神友弥が解く「人間力」のすすめ oa-urawaredsnews 0

【特別コラム】宇賀神友弥が解く「人間力」のすすめ

2020年12月25日 16:30 浦和レッズニュース

新型コロナウイルスの影響で異例づくしの一年となった2020年シーズンが幕を閉じました。今回は特別に「浦和レッズニュース」でおなじみのスポーツライター3名が、それぞれの視点でみなさんへコラムをお届けします。

取材/文・杉園昌之


 来季、浦和レッズ一筋で12年目を迎える。2021年3月で33歳。アカデミー出身の宇賀神友弥は齢を重ねて、円熟味がぐっと増してきた。20年シーズンは19試合で出場時間は944分。先発出場は11試合のみ。数字だけを見れば、プロキャリアで最も少ない。今季は度重なるケガに苦しんだ影響もあり、コンスタントに出場機会を得ることはできなかった。それでも、その存在価値は大きかった。

 左サイドバックのポジションを争い続けた山中亮輔とは互いを高め合い成長した。宇賀神には持論がある。

「仲間の調子が悪いから、代わりに僕が出るという形ではチームは強くならない。調子のいい選手より、僕の方がもっといいから試合に出るという感じにならないと。その逆もしかり。これが切磋琢磨するということ」

 だからこそ、気づいたことは助言するのだ。敵に塩を送るという感覚はない。むしろ、仲間の成長がなければ、己の成長もないと思っている。チームメイトへの声がけも、頭ごなしに意見を言うのではない。状況や相手の性格なども考えて、気を使って話している。

 右サイドバックの橋岡大樹にクロスを上げる前のボールの持ち出し方を教えることもあれば、縦関係になる左サイドハーフの汰木康也にのびのびとプレーさせるためにコミュニケーションを図ることもある。常に味方の特徴を引き出すことに心を砕いている。

「それが僕の持ち味なので」

 スムーズな世代交代と若手の成長はセット。それを促すのは監督、コーチだけでは難しい。宇賀神のようなピッチの中で潤滑油となる存在が必要不可欠だろう。もちろん、まだまだ戦力としても計算できる。球際で激しく戦うスピリットもあれば、守備の安定感もある。今季もピッチに立てば、試合に落ち着きをもたらしていた。

 そして、何よりもアカデミーのお手本となり、希望になっているのは大きい。コロナ禍で先行きが不透明な夏の時期に、トップチーム入りを目指すユースの選手たちに語りかけていた。

「人として一人前になることがプロへの近道。プロの世界でも成長していける選手は、人間力が高い人が多い。人の話を聞く傾聴力、自分の頭で考える思考力、自分の言葉で人に伝える主張力、僕はこの3つを大事にしている」

 流通経済大を経由し、レッズに戻ってきた苦労人の言葉には重みがある。来季から加入するアカデミー出身の伊藤敦樹も宇賀神の姿が励みになり、大学入学後もレッズ入りをずっとあきらめずに努力してきたという。

 スペイン人のリカルド・ロドリゲス新体制となり、メンバーも刷新されるかもしれない。多くの人が新戦力に期待を寄せるのは当然だろう。それでも、レッズの芯となるところにも目を向けてもらいたい。

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