今季はリカルド ロドリゲス新体制のもとで、浦和レッズアカデミー出身のルーキーたちが躍動している。YBCルヴァンカップでの活躍ぶりは目を見張るばかりだ。
ゴールマウスを守り続ける鈴木彩艶を筆頭に、左サイドバックの福島竜弥も試合を重ねるごとに成長。横浜FC戦では、二種登録の工藤孝太もJリーグデビューを飾った。
昨季から育成部門を統括する渡辺隆正アカデミーダイレクターは、しみじみと話す。
「これまで培ってきたことが、いま出ているんだと思います。育成はすぐに成果が出るものではありません。以前からレッズにあったものをメソッドとしてまとめ、今季から運用しています。継承していく部分もありますが、昨季から人の心を動かすことをコンセプトに運営しています」
レッズが掲げる3カ年計画、中長期的ビジョンに結びつけていくためにアカデミーでも改革が進む。強化との連係をより深めるためにことあるたびにミーティングで意見を交換している。
今季からアカデミーの練習にトップチームの平川忠亮コーチ、工藤輝央コーチが頻繁に足を運ぶようになったという。
「トップ、強化、育成をうまく融合させるようにしています。昨年からアカデミーで取り組んでいることと、リカルド監督の考えもほとんど同じです」
今冬の沖縄キャンプにユース所属の工藤が参加したときも、チームの戦術をすんなりと理解することができた。
「(ユースの)池田伸康監督が取り組んでいることが、トップにもつながっているんだと思います。だから、ルヴァンカップでも工藤はスムーズにプレーできたのでしょう」
今季からスタートしているJエリートリーグも積極的に活用していくつもりだ。すでに工藤は2試合に出場しているが、彼だけにとどまらないことを示唆する。
「アカデミーの選手はお客さんのように参加するのではなく、『勝ち取ってこい』と送り出しています。プロは勝負の世界です。できる限り、そういう舞台に立たせて、そこで認められてトップに上がってほしい。
ギラギラしているアカデミーをつくっていきたいと思っています。ユースの枠だけで満足せず、常に埼スタのピッチに立ちたいという思いを持って取り組むように話しています」
否が応でも期待は高まる。アカデミーからの突き上げが、新生レッズの世代交代をさらに加速させていく。
(取材/文・杉園昌之)