いま頭の中は、もうすぐ始まる"あのこと"でいっぱいだ。浦和レッズの宇賀神友弥は、毎日のように頭をひねっている。
「WEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)はどうすれば盛り上がるかなって。たぶん、9月12日にリーグが開幕することを知らない人たちもいると思うんですよ。いちプロサッカー選手として、何か力になりたい。
浦和レッズの人間としても、三菱重工浦和レッズレディースが浦和駒場スタジアムで試合するときは、毎回1万人は呼べるようになってほしいと思っています。そのためにはどうすればいいのかと、時間ができるたびに考えています」
浦和一筋で12年目の33歳は、レッズファミリーに惜しみない愛情を注ぐ。
WEリーグが目標として掲げるのは1試合平均5000人。コロナ前のなでしこリーグでは約1200人。いかに1万人が大きな数字であるかが分かるはずだ。
それでも、自らプロモーション部長を買って出る男は意欲をみなぎらせる。
具体的な集客案もすでに頭の中にはある。なでしこリーグの観客平均年齢が40歳から60歳までの人たちが多かった実情を踏まえ、若年層を呼び込む重要性を説く。
子どもと親が一緒に楽しめる空間づくりはそのひとつ。サッカーだけではなく、エンターテイメントの要素を加えるのも一案だ。
そして、選手個人の魅力を積極的に発信していくことも考えている。
「初めのきっかけとして『この選手をスタジアムに見に行きたい」と思ってもらうのが一番ですよね」
メディア露出の手助けをするために協力は惜しまない。
日本代表GKの池田咲紀子選手らとは頻繁にコミュニケーションを取り、集客アップにつながりそうなプランを話し合っている。
考えたプロモーションを具現化するために幅広い人脈を使い、周囲の協力を仰ぐこともいとわない。個人の単位で動けないときはレッズにアイディアを提案し、相談もする。
「僕ができることがあれば、ひと肌でも、ふた肌でも脱ぎます」
自身の公式ツイッターではすでに発表しているが、女性アスリートを支援するマネジメントをスタートさせた。
「宇賀神から情報を仕入れてレッズレディースに足を運び、その宇賀神がいるレッズも見に行こうかなと思ってもらえれば、いいですよね。最近、腰が重たくなった人たちにも来てもらえるかもしれません。相乗効果が出れば、最高です」
活動の幅を広げているのは、いま以上にレッズファミリーを盛り上げるためだ。浦和の男は、ピッチ外でもチャレンジを続けていく。
(取材/文・杉園昌之)
外部リンク