浦和レッズの背番号24は近年、ドリブラーの代名詞になりつつある。
原口元気(現ハノーファー=ドイツ)から始まり、関根貴大(現在41番)が受け継ぎ、2019年から汰木康也が背負う。
本人も背番号の持つ意味を理解している。
横浜F・マリノスのユース時代に浦和に憧れを抱き、原口元気のカットインに魅せられた。ドリブルの種類は違うが、先人同様ボールを持つと何かが起きそうな期待感は抱かせる。
ただ、移籍1年目は不完全燃焼で終わった。それだけに、今季に懸ける思いは強い。
「昨季はアシストだけで、ゴールを取れていません。1試合に1本はゴールかアシストを決めたい。結果を出します」
ゴールのイメージはある。
一つのお手本は元フランス代表ティエリ・アンリ。
左斜め45度から右足で対角線上のサイドネットに沈めるシュートは練習してきたものだ。
得意のカットインを存分に生かせるポジションも用意されている。沖縄キャンプでは4-4-2の左サイドハーフで意気揚々とプレーする。
「本職ですからね。やっと4枚の左ができます。このポジションなら誰にも負けない自信があります。仕掛けるプレーを出す場所なので。守備でも行くところがはっきりする。本当にやりやすいですね」
左サイドでボールを持ち、右足のアウトサイドでぐっと中に切れ込むドリブルには思わず目を奪われる。
同じドリブラーの関根は「僕とはタイプが違う」と前置きした上で、汰木の柔軟なボールタッチを「うなぎみたい」と独特な言い回しで表現していた。
汰木の武器はドリブルだけではない。
FWとの連係でゴールに向かう動きも目を見張る。フォーメーションが2トップとなり、ポストプレーの名手がそろうこともプラスに働きそうだ。
トレーニングでは杉本健勇、興梠慎三との壁パスで中央から仕掛けていくシーンも見られた。サイドバックとのコンビネーションもよく、攻撃参加をうまく促していた。
「どんどんボールに絡んで、アイディアあふれるプレーを出していきたい。数多くの攻撃バリエーションを引き出せると思います」
充実したキャンプを過ごしており、言葉にも自信があふれていた。
(取材/文・杉園昌之)