長崎県・佐世保市・JR九州が合意
長崎県と佐世保市、JR九州は2019年3月28日(木)、長崎県庁で佐世保線等整備検討委員会を開催。佐世保線の高速化に向けて、地上設備の整備や振り子型車両の導入などについて合意しました。
博多~佐世保間を結ぶ特急「みどり」(右)(2017年10月、恵 知仁撮影)。
佐世保線は長崎本線の肥前山口駅(佐賀県江北町)から分かれて、武雄温泉駅、有田駅、早岐駅を経由して長崎県北部の佐世保駅に至る路線です。佐世保駅を発着する特急「みどり」や、大村線のハウステンボス駅(長崎県佐世保市)まで直通する特急「ハウステンボス」などが運行されています。
1992(平成4)年、長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)のルートが「佐世保寄り」から現在建設中の「短絡ルート」に変更されました。この際、佐世保市など長崎県北地域は新幹線ルートから外れるため抵抗しましたが、県は地元案として「短絡ルート」を採用。配慮として佐世保方面の在来線特急高速化などを盛り込んだ文書「九州新幹線等の整備に関する基本的考え方」を取りまとめました。佐世保線等整備検討委員会は、この文書に基づいて、佐世保線の高速化について議論を重ねてきました。
今回の検討委員会で、3項目について合意
今回、合意した内容は次の3項目です。
(1)長崎県は、佐世保~有田間の高速化に要する地上設備の整備を進め、佐世保~博多間の高速化を図る。
(2)JR九州は、前項の整備にあわせて、佐世保~博多間に運行する特急車両に振り子型車両を導入する。
(3)実施時期は、九州新幹線西九州ルート(長崎~武雄温泉間)の開業時を原則とする。
「振り子型」は、カーブを通過するときに車体を傾けることで、通過速度の向上と乗り心地の改善を図る車両の仕組みです。特急「スーパー北斗」(函館~札幌)や特急「南風」(岡山~高知間など)、特急「ソニック」(博多~大分間など)、特急「かもめ」(博多~長崎間など)の車両などに採用されています。
特急「みどり」の博多~佐世保間の所要時間は110~120分程度です。長崎県などの試算では、振り子型車両の導入により、同区間は約8分の時間短縮が見込まれるとのこと。一方、JR九州は、需要動向や他線区との調整などがあることから、実際のダイヤは「検討を進めたい」としつつ、振り子型車両を使った列車の運転本数については、博多~佐世保間で上下10本程度を考えているといいます。
長崎新幹線の武雄温泉~長崎間は、2022年に暫定開業の予定。JR九州は今回の合意を受け、新幹線開業時の佐世保線高速化に向けて、「工事の実施や振り子型車両導入の準備などにしっかりと取り組んでまいりたい」としています。
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