cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_5869cc7cddff_日本育ちなのに、毎日「日本語が上手ですね」と言われて… 「ハーフ」という、見えにくい外国人差別 5869cc7cddff 0

日本育ちなのに、毎日「日本語が上手ですね」と言われて… 「ハーフ」という、見えにくい外国人差別

2019年4月22日 16:55 東京新聞

〈考える広場〉「ハーフ」と向き合う

 日本人と外国人を両親に持つ「ハーフ(ミックス)」の存在がテニスの大坂なおみ選手の活躍であらためて注目されている。子どもたちの2%が国際結婚で生まれる時代。当事者らの思いは?

◆「髪形を笑いにして、話ができるようになった」俳優・タレント 副島淳さん

 生まれた時には既に米国人の父はおらず、母と母方の祖母の三人で暮らしてきました。小学三年までは葛飾など東京の下町にいましたが、自分の容姿が周りの子と違うことに気付いていませんでした。

 それが変わったのは四年の時、千葉に引っ越してからです。団地でみんなの輪ができていたこともあって、よそものの僕は格好のいじめの標的でした。肌の色や髪質をからかわれ、初めてみんなとの違いを意識しました。どんどん引っ込み思案になって、いつもクラスの隅に一人でいるようになります。

 もともと小心で、けんかができません。怒りは母にぶつけるしかありませんでした。「何で産んだんだ」「どうして僕だけ肌の色が違うんだ」とか。でも、母は怒るでもなく「おまえはスペシャル(特別)だよ。だから、いろいろ言われるんだ」。本当に母の強さに助けられた。口癖は「学校へ行け」。家にいたら光熱費がかさむって(笑い)。毎日行きましたよ。

 そんな生活が中学に入って、がらっと変わります。ちょうどバスケット漫画「SLUM(スラム) DUNK(ダンク)」がはやっていて、バスケ部に入りました。それまで目立つことが嫌だったのに、その原因だったハーフであること、体が大きいことが役に立つんですよ。千葉の選抜チームにも選ばれました。文字通り、スペシャルになれた。

 そこで他人と話すすべも身につけました。この髪形についても「ちょっと理科の実験で失敗しちゃって」と笑いにできるようになった。そうすると、僕の人生のことも聞いてくれるようになったんです。しばらく話をしていると「おまえ、普通の日本人だな」って。なぜか僕は話をすると米国人の要素が消えちゃうんです。

 大学に入ってヒップホップやR&Bなどの黒人音楽に詳しい友達ができたんですが、彼らが僕の髪形をうらやましがるんですよ。うれしかったですね。でも、日本人だけが外国人やハーフにあこがれるわけではありません。日本人のストレートな髪にあこがれる外国人も多いですよ。そこはお互いさま。

 ここまでインターネットで世界がつながってしまうと、国境は関係ないように思います。みんな地球人。肌の色とか、何人(なにじん)とか関係ない。そこは楽観的で手と手をつなぎ合えると思っています。(聞き手・大森雅弥)

 <そえじま・じゅん> 1984年、東京都生まれ。NHK「あさイチ」リポーター、TBS系「日立 世界ふしぎ発見!」ミステリーハンターなどで活躍中。舞台「桃山ビート・トライブ」が6月再演。

◆「役に立つハーフ、役に立たないハーフ」社会学者 下地ローレンス吉孝さん

 現在の「ハーフ」のイメージは、アイドルグループ「ゴールデン・ハーフ」が登場した一九七〇年代にさかのぼります。

 「ハーフ」の女性に対する「美しい顔」「性的に奔放」「舌足らずな日本語」といった偏ったイメージが、急速にお茶の間に浸透しました。同時期にブームだったのが「日本人とは何か」を問う本です。こちらは著者も読者も編集者も、主に大卒で大企業で働く男性でした。女性的「ハーフ」イメージは、男性的「日本人」イメージを切り崩すことなく、商品として消費されてきました。

 今も「ハーフ顔」はファッション雑誌などで憧れの対象とされます。でも、周囲が期待する「ハーフ顔」とのギャップに苦しみ、摂食障害やうつになる人もいる。現実は深刻です。

 就職活動で見た目で落とされたという話も聞きます。逆に「ハーフだから」と採用された人は、自分では最初、外見ではなく実力が評価されたと思っていた。悩んだ末、接客のない事務職に異動しました。見た目で職務質問を頻繁に受けたり、アパートを借りられなかったりもします。「ハーフ」は見えにくい形で、外国人差別の中に組み込まれています。

 ある男性は「日本語が上手ですね」と一日に一回は言われるそうです。たとえ褒め言葉でも、その含意は「日本人じゃないのに」です。日本に生まれ育った人が、その言葉を何千回と言われ続けて生きる。積み重なると、日常生活に支障を来すほど重苦しくなります。

 大坂なおみ選手が注目されて思うのは、「ハーフ」に期待されがちな「国際社会への懸け橋」という役割です。大坂選手について「活躍するなら二重国籍を認める」と広言する国会議員さえいる。そこに潜むのは、「役に立つハーフ」「役に立たないハーフ」という線引きです。

 私は母方の祖父が米国、祖母が沖縄出身の「クオーター」です。昨年から、海外にルーツを持つ人々の情報発信サイト「ハーフトーク」を運営しています。声高に差別や権利を訴えるのではなく、個々の経験や現実を伝えていきたい。

 見た目は外国人でも日本国籍を取った人や、日系人のように見た目は日本人でも外国籍という人は増えています。「日本人か外国人か」という安易な二分法こそ問い直さなければいけません。(聞き手・谷岡聖史)

 <しもじ・ろーれんす・よしたか> 1987年、東京都生まれ。一橋大で博士号。上智大などで非常勤講師。著書に『「混血」と「日本人」 ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』(青土社)。

◆「娘には両方の文化を吸収してほしい」ノンフィクションライター・山下真弥さん

 四年前にスウェーデン人の男性と国際結婚して先月、女の子を出産しました。日本に住むミックスの人たちを取材して十年前に本を出版しましたが、私自身がミックスの子を育てる母になったわけです。

 ミックスといっても人それぞれで、ステレオタイプの見方はできません。ただ当時の日本では、白人の欧米系ミックスは特別扱いされ、アジア系ミックスには偏見の目が向けられる傾向がありました。特別扱いも偏見の裏返しで、根は同じです。

 娘は生まれてまだ一カ月にもなりませんが、肌はだんだん白くなり、外見は夫に似てきました。見た目の違いから将来、いじめに遭うかもしれないという不安はあります。特別扱いされてわがままになったり、それを都合よく利用するようになったりするのも嫌ですね。取材したミックスの中には都合のいいときは日本人、都合が悪くなると外国人として振る舞う人もいました。娘にはそういうふうになってほしくはありません。

 家庭環境にもよりますが、ミックスは複数の言語に触れるチャンスがあります。わが家では既に三つの言語が飛び交っています。夫婦の会話は英語ですが、娘に対して夫はスウェーデン語や英語、私は日本語と英語で話し掛けます。子守歌も夫はスウェーデン語です。娘には日本語とスウェーデン語の両方を話せるようになってほしい。そして、両方の文化を体験し、吸収してほしいと思っています。

 子育ては、しばらくは日本でする予定です。日本は子育てがしにくい国ではないし、医療体制も整っています。何より、日本は安全です。でも、日本にこだわる気もなくて、娘が外国の高校や大学に行きたいというのなら行かせてあげたい。そのために英語もできるように育てたいですね。私も高校時代を米国で過ごしましたから。

 日本で生まれ育ったミックスの中には、子どものころ差別や偏見にあい、日本にアイデンティティーを持てない人もいます。娘もいつか厳しい現実に直面するときが来るかもしれません。彼女が苦しんでいても、ミックスではない私には本当のところは理解できないかもしれません。親として、最善の環境づくりに努力するのは当然です。ただ、どんな状況でも最終的には自分の力で乗り越えていける人間に成長してほしいと願っています。(聞き手・越智俊至)

 <やました・まや> 1982年、東京都生まれ。慶応大卒。著書に『六本木発グローバル恋愛』(洋泉社)『ハーフはなぜ才能を発揮するのか』(PHP新書)など。両著は英語版電子書籍も。

 <ハーフの出生数> 国の人口動態統計では、2017年に生まれた子94万6065人のうち、父母のどちらかが外国人の子は1万8134人で、全体の1・9%を占めた。母が外国籍は8674人、父が外国籍は9460人だった。ハーフの割合が2%前後という傾向は、この20年ほど、ほぼ変わっていない。親が日本国籍を取得した場合や外国生まれで日本に移住した子らは統計に含まれず、実際の「ハーフ」数はもっと多いと推測されている。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_3bdbd2e104a1_87歳「運転はやめる」はずが… 池袋暴走、誤ってアクセル踏み続けた疑い 3bdbd2e104a1 0

87歳「運転はやめる」はずが… 池袋暴走、誤ってアクセル踏み続けた疑い

2019年4月22日 16:55 東京新聞

 東京都豊島区東池袋四の都道交差点で十九日、乗用車が暴走し、母娘二人が死亡、八人が重軽傷を負った事故で、最初に道路脇のガードパイプに接触した場所の約七十メートル手前の左カーブ付近で、車を急発進させた時のようなスリップ音がしていたことが、目撃者らへの取材で分かった。警視庁は、運転していた板橋区の旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)が誤ってアクセルを踏み続け、加速しながら事故を起こした疑いがあるとみている。(福岡範行、奥村圭吾)

1~2年前、知人に「運転はやめる」

 警視庁によると、車がカーブに差しかかる辺りから速いスピードで走る様子がドライブレコーダーの映像に残っていた。サンシャインシティ方面からカーブを曲がり、直線道路に入った。

 近くの自動車販売店に勤める男性(50)は事故直前、カーブの方から「キュ、キュ、キュ」という音を聞き、直後に車が猛スピードで通り過ぎる様子を、店の二階から目撃した。車は左右に揺れ、「ハンドル操作がおぼつかないようだった」と振り返った。

 店の前にある道路左側の縁石やガードパイプには車が接触したような痕があった。この場所から約百五十メートルにわたり暴走し、横断歩道で自転車の母娘や歩行者らがはねられた。

 車はエアバッグが正常に作動するなど、目立った機器の不具合は見つかっていない。飯塚元院長の知人によると、元院長は一~二年ほど前、「運転はやめる」と周囲に話していた。

 ドライブレコーダーに残された音声から、飯塚元院長は事故直前、同乗していた妻から「危ないよ。どうしたの」と問われ、「どうしたんだろう」と答えていた。事故後、息子に「アクセルが戻らなくなり、人をひいた」と電話していた。

 夫婦は胸を打って入院しており、警視庁は回復を待って事情を聴くとともに、運転操作の自動記録装置「イベントデータレコーダー」(EDR)を解析して、当時の状況を調べている。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_708606efe8b9_10連休で「祖父母に孫を…」 預ける側/預かる側の注意点 親しき仲でも気配りを 708606efe8b9 0

10連休で「祖父母に孫を…」 預ける側/預かる側の注意点 親しき仲でも気配りを

 今月末から始まる10連休。保育園などが休みになることを受け、祖父母の中には、仕事を休めない娘や息子夫婦から孫の世話を任されている人もいるのでは? ただ、今年は、例年のゴールデンウイークや年末年始より休みが長い。何日間にもわたって預かる場合、事前の話し合いを怠ると、思わぬ衝突を招きかねない。

「悪いけど」のひと言と、事前に費用分担の話し合い

 「孫を預ける娘や息子にとって、祖父母世代はいつも元気で、経済面でも心配がない存在」。しかし、各地で祖父母向けに孫育ての講演をしているNPO法人「孫育て・ニッポン」(東京)の理事長、棒田明子さん(51)によると、そうでない場合も目立つ。

 祖父母の体力は、子ども世代が考えている以上に衰えていることが多い。一方の孫は日に日に成長し、体力も十分だ。「一人でできることが少ない赤ん坊のころより手がかからなくて楽でしょ?」と安易にお願いすると、動きも活発、口も達者で「面倒を見るのが大変だった」という声も。預ける時に「悪いけれども」といった言葉を添えるだけでも印象は違う。

 経済的な面への配慮も大事だ。特に既に退職している場合は、現役時代に比べ懐事情が苦しい可能性も。「食費一つとっても1泊なら大したことがないが、長く滞在すればかなりの額になる。子ども世代がしっかり払う姿勢を示すなど、費用分担は事前に話し合っておくと互いに嫌な気持ちにならない」と助言する。

張り切りすぎず 近所の公園や夕飯づくりで十分

 祖父母側も気を付けなければいけない。張り切りすぎは禁物だ。「せっかく来たんだから、いろいろな所に連れて行きたい」と思いがちだが、観光施設はどこも混んでいる。交通費や入場料、食費など出費もかさむ。揚げ句、自分だけでなく孫も疲れ、連休明けに体調不良で学校や保育園を休むことにもなりかねない。

 孫の年齢が低ければ、近所の公園などがお勧め。孫も十分楽しめ、祖父母もお金や体力を使わずに済む。もう一つは、孫と夕飯を作ること。一緒に近所で買い物をし、自宅で調理する。親は普段忙しく、包丁や火の使い方などを教えていないことも少なくない。「時間がない中、急いで調理をする必要もないし、孫は遊びと同じように調理を面白がってくれる」

孫が帰った後、疲れた妻に「おい、飯は?」はNG

 「孫育て・ニッポン」では、祖父母と子どもの世代がぶつからないよう、「孫育て10か条」と「祖父母とのおつきあい10か条」をそれぞれ作り、ホームページで公開している。今回の大型連休で、子ども世代が肝に銘じたいのは「祖父母の生活、年齢、体力を気にかける」「預けた時は(育児の方法などについて)文句を言わない」の二つ。

 一方、祖父母世代は「手、口、お金は出しすぎず、心と体力にゆとりを! 断る勇気も持とう」の文言だ。その上で「大切なのは『ありがとう』『ごめんなさい』をきちんと言うこと。親しき仲にも礼儀あり、を忘れないで」と棒田さん。互いに感謝を伝え合うことが、気持ち良く連休を過ごす最大のポイントだ。

 もう一つ、注意したいのが孫を親元に返してからのこと。主に祖父だが、連休中、孫の世話で疲れ切った妻に「おい、飯は?」「孫の面倒は見て、俺のことは放っておくのか」などとデリカシーのない言葉をかけてしまう人が少なくないという。すぐに「日常に戻った」と思わず、互いに疲れをねぎらおう。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_38f58382f909_注目の「50歳差対決」北区長選、勝ったのは84歳 35歳・音喜多さん「完敗です」 38f58382f909 0

注目の「50歳差対決」北区長選、勝ったのは84歳 35歳・音喜多さん「完敗です」

2019年4月22日 16:55 東京新聞

 二十一日に投開票された統一地方選の後半戦。高齢多選が争点となり、五十近い年の差対決でも注目された東京都北区長選は、組織の力を発揮し、実績と健康を訴えた現職が五選を果たした。

 「厳しい選挙戦だったが、就任以来『区民とともに』を基本に、区政を担ってきた結果。うれしく思う」

 東京都北区長選で五回目の当選を決めた現職の花川与惣太(よそうた)さん(84)は、支持者を前に顔をほころばせた。

 投開票日の二十一日は八十四歳の誕生日。高齢多選も選挙では問われたが、現在の区市長の全国最高齢を更新。五十近い年の差がある元都議の音喜多駿(おときたしゅん)さん(35)ら新人二人を退けた。

 当選を確実にした午後十一時四十分ごろ、拍手で事務所に迎えられた花川さんは「安心、安全なまちづくりを確実に進め、誰もが幸せになれるよう全力を挙げて取り組む」と決意表明。八十代半ばでさらに四年、首長を続けることには「年齢による体力の違いは、人それぞれで差がある」と問題のないことを強調した。

 区議、都議を経て二〇〇三年に初当選。子育て環境の充実や、高齢者、障害者の自立支援に取り組み、三十五万人に回復した人口増などを四期十六年の実績と訴えてきた。選挙戦では自転車で小さな路地も走り回り、元気な姿をPR。政党推薦はないが、区議会の自民、公明、社民などから広く支持を得て、組織戦を展開した。

 敗れた音喜多さんは、二期目の任期を残し、三月末に都議を辞職して出馬。花川さんの高齢多選を批判し「北区」の区名変更に関する住民投票の実施などを公約したが、及ばなかった。選挙事務所で「区民は変化を恐れる部分もあり、安定した実績の現職を選んだ。完敗です、相手が強かった」と敗戦の弁。引き続き政治の世界で活動していく意向を示した。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_8d1973904ac0_都心から一番近い潮干狩り!「ふなばし三番瀬海浜公園」6/9まで 8d1973904ac0 0

都心から一番近い潮干狩り!「ふなばし三番瀬海浜公園」6/9まで

2019年4月22日 16:55 東京新聞

 千葉県船橋市潮見町にある「ふなばし三番瀬海浜公園」で十八日、潮干狩りが始まった。都心から最も近い潮干狩り場として知られ、六月九日まで楽しめる。

 この日は午前九時からオープンし、埼玉県草加市から娘二人と訪れた親子連れ四人は、湾岸部の高層マンションやビル群などを眺めながら、「あった」と声を上げていた。母親は「子どもが好きなので今晩、酒蒸しやバター焼きにして食べます」。

 期間中は休場日があり、利用料は大人(中学生以上)四百三十円、子ども(四歳以上)二百十円で、アサリの持ち帰りは百グラムにつき八十円。問い合わせは、同公園=電047(435)0828=へ。 (保母哲)

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_ce18332acddc_丘を染める青、空につながる絶景 ネモフィラを育てる奥深さ「難しい。そこが楽しい」 ce18332acddc 0

丘を染める青、空につながる絶景 ネモフィラを育てる奥深さ「難しい。そこが楽しい」

2019年4月22日 16:55 東京新聞

<ひと物語>国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)植物管理担当・奥貫裕さん(45)

 四月初めごろは毎年不安になる。一面青く染まるのか、と。ひたち海浜公園で植物を担当して九年。できることを全てやっても不安はつきまとう。「でも、暖かくなると植物はちゃんとスイッチが入る。ここまでくれば安心です」。丘を染めるネモフィラを眺める顔は晴れやかだ。

 ゴールデンウイークの園の名物になったネモフィラの植栽は、二〇〇二年から。戦後、米軍の射爆撃場だった「みはらしの丘」を過去を忘れさせる美しい景色にしようと、当時の園のメンバーが話し合って決めたという。寄せ植えの脇役のようだった花は、空とつながる風景をつくり見事、主役となった。

 作業は現場を見て、自然と対話しながら進める。決まった時期に咲かせるよう目指すが、近年は異常気象も多い。雨が全然降らなかったり、種をまいた後に大雨が降って土が流されてしまったり。厳しい寒さが一転、記録的な暖かさで一気に花が咲き、大型連休前に見ごろを迎えてしまった昨年のようなこともある。

 「経験やデータからできる対処はする。ただ、自然に任せざるを得ないこともある。自然相手で毎年同じように咲かせるのは難しいけれど、その奥深さがまた楽しいんです」

 赴任時に年約百五十万人だった来園者は、約二百三十万人に増えた。

 花畑の中に写真のスポットをつくったこともあったが、踏み荒らしの被害が出た。見せる工夫は試行錯誤の連続だが、「多くのお客さまに見ていただけるよう皆で頑張っているので、来園者が増えることは素直にうれしい。あの時の経験もあるので」。あの時とは、東日本大震災だ。

 震災から約一カ月後、公園は営業を再開したが、訪れる人はわずかだった。きれいに花を咲かせても、見てくれる人がいない寂しさを痛感した。今の時期は、青一色のネモフィラと約二百三十種のカラフルなチューリップの対比も楽しんでほしいという。

 ネモフィラをきれいに見せるため、開園前などの草取りは欠かせない。コキアと年二回使う丘は、傷んだ箇所を早めに処置するなど努力は多い。植栽の拡張の要望もよく聞くが、こうした管理の態勢を整えてからの対応になるそうだ。

 ネモフィラを栽培する公園は増えた。ただ、そのパイオニアで、空とつながる景観はここだけだと胸を張る。

 「今年は初めて冬に水まきをした。十年目の来年もきっと初めてがある。腰を据えて仕事をさせてもらっている強みを生かし、日本中、世界中からもっと訪れてもらえるよう質を高めたい」。言葉に力がこもる。 (鈴木学)

<おくぬき・ゆたか> 1974年1月、埼玉県所沢市生まれ。父親が造園家で幼い頃から草木に親しんできたこともあり、大学卒業後、造園業の日比谷アメニスに入社。樹木や芝生の管理部署にいて、2010年にひたち海浜公園に赴任した。自身の好きな花は、チューリップ。「『海浜公園はチューリップも日本一』と言われるようにしたい」と話す。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_cb489867029e_東大卒アイドルが初当選!元「仮面女子」橋本侑樹さん、渋谷区議に cb489867029e 0

東大卒アイドルが初当選!元「仮面女子」橋本侑樹さん、渋谷区議に

2019年4月22日 12:00 東京新聞

 「東大卒のアイドル」を掲げて東京都渋谷区議選に挑んだアイドルグループ「仮面女子」の元メンバー橋本侑樹(ゆき)さん(26)が、初当選した。「親しみやすい政治家になりたい。区民に寄り添い、声に耳を傾けたい」と笑顔で抱負を語った。

車いすのメンバーが、背中を押してくれた

 十八歳選挙権が導入されるまで、政治はひとごとだった。メディアから意見を求められることが増えるにつれ「自分が思いを発信すると政治を身近なものにできるのではないか」と気づき、小池百合子知事の政治塾「希望の塾」で学んだ。

 背中を強く押してくれたのは、不慮の事故で脊髄損傷の大けがを負ったグループの仲間だった。車いすで舞台に立ち続ける姿に接し「諦めずに挑戦できる社会を政治でつくりたい」との思いを強くした。

子どもの「選択肢」広がる環境つくりたい

 選挙戦は、北区長選に出た音喜多駿さん(35)が代表を務める地域政党の公認を受けた。家族や学生時代の同級生、ファンらが支援。初心を忘れないよう、デビュー当時のイメージカラーで、車いすの仲間の色でもある黄色を身に着け、七日間を駆け抜けた。

 力を注ぎたいことは、子どもの教育。「将来の選択肢が広がる環境をつくりたい」と意気込んだ。

 津市出身。仮面女子時代、福井県鯖江市、千葉県いすみ市などの観光大使を務めた。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_59ce298a721a_小林よしひさ&上原りさ 「おかあさんといっしょ」卒業しても、子どもの力になりたい 59ce298a721a 0

小林よしひさ&上原りさ 「おかあさんといっしょ」卒業しても、子どもの力になりたい

2019年4月22日 11:55 東京新聞

 子どもが小さい頃、お世話になった人も多いかもしれない。60年の歴史があるNHKEテレの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」で「体操のお兄さん」を歴代最長の14年間務めた小林よしひさと、「パント!のお姉さん」を7年間務めた上原りさ。3月に番組を卒業した2人がこれまでを振り返り、子育てに奮闘する親たちへエールを送った。(原田晋也)

ワンオペ育児の親から「助かりました」

 お兄さんの周りを子どもたちが取り囲み、一緒に体操をするシーンは誰もが一度は見たことがあるはずだ。収録は毎回、違う子どもたちをスタジオに集めて行う。常に新しい状況でなんとか約1時間以内に撮り終える日々を小林は「奇跡に近い毎日。やりがいしかなかった」と振り返る。上原は「子どもとのうまい接し方をよく聞かれるが、収録でお母さんたちから子どもとの接し方を学んだ」と話す。

 意外にも、2人とも「お兄さん」「お姉さん」になろうと思ってなったわけではなかったという。小林はもともと公務員志望。佐藤弘道ら複数の「体操のお兄さん」を輩出した日体大体操部に入り「可能性はゼロではないかな」とは思っていたが、体操のお兄さんのオーディションに応募した部の後輩たちを引率する「ついで」という感覚で受けて、見事合格した。

 上原は、タカラジェンヌを目指して宝塚音楽学校を2度受験したほどの宝塚ファン。洗足学園音楽大でミュージカルを学んでいたが、2年の時に「社会勉強のつもりで」受けたオーディションに受かった。

 2人は今後も子どもに関わる仕事は続けていくという。小林は体操や教育を核に活動を広げていく予定。ミュージカル女優を目指す上原は、子どもにミュージカルの楽しさを知ってもらう活動を考えている。

 子どもが見入る「おかあさんといっしょ」は、親が1人で家事や育児を担う「ワンオペ育児」の家庭にとって、その隙に家事をしたり子どもの生活のリズムをつくったりと何かと頼れる番組になっている。卒業を発表した小林にも「私はワンオペなので助かりました」というメッセージが多く届いたという。

 上原は「楽しかったとか手助けになったとか言ってくださることが本当にありがたい」。小林も「貢献できたことはうれしい。ここから新しい方法で、そういった方たちに手助けできるようにするので、お互いに頑張っていきましょう」と笑顔を見せた。

 卒業する2人の軌跡をまとめたDVD「NHK『おかあさんといっしょ』ブンバ・ボーン!パント!スペシャル~あそびとうたがいっぱい~」が、6月19日に発売される。「歌のお兄さん」と「歌のお姉さん」を交えた思い出トークなど特典映像もある。

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小島慶子さんが初めて気づいた「男の孤独」 夫が専業主夫になり"大黒柱" 弱音を吐けない…

2019年4月19日 16:55 東京新聞

〈おやじ塾・男の平成30年史=下〉

 バリバリ働き、遊びも豪快な「モーレツ社員」から、家事にも育児にも積極的な「イクメン」へと変貌を求められた平成のおやじたち。しかし、仕事一筋の生き方から、なかなか抜け出せず、今の時代に生きづらさを感じている中年男性もいる。令和の時代、どう生きていったらよいだろうか-。(添田隆典)

専業主夫の佐久間さん 妻に年収を追い抜かれて…

 東京都足立区の佐久間修一さん(52)は、いわゆる「専業主夫」。妻(43)はグラフィックデザイナーで、佐久間さんが家事と小学一年の長男(6つ)の育児を担う。いわゆる「イクメン」だが、自然とそうなったわけではない。

 以前はシステムエンジニア(SE)として、「月百時間以上残業していた仕事人間」。それが、新婚まもない三十一歳のとき、難病を発症し、退職した。「私が稼ぐから」。妻に励まされ、自宅療養をしながら家事を担うことになった。

 しかし、仕事に出掛けない自分を受け入れられない。毎朝、スーツに身を包んだ。しかし、向かう先は会社ではなく、まずは台所。皿洗いや掃除、洗濯に取り掛かり、人目に付かないよう客足の少ない開店直後にスーパーで買い物した。「『男は仕事』だと思ってきた」。「無職」の自分に負い目を感じた。

 それが変わってきたのは三年目のこと。妻の年収がかつての自分の年収を上回った。「自分は必死に残業して働いて得ていたのに、妻はすいすい追い抜いた。それを見てふっきれました。妻のバックアップに徹した方が家庭がうまく回る」。その後、病状も安定。いまは子育てに励む自分が、「幸せだと思う」。

小島さん「弱さを認めないことがパワハラにつながる」

 タレントでエッセイストの小島慶子さん(46)も、商社マンの父と専業主婦の母の家庭に育ち、「男は働いて稼ぐものだと信じて疑わなかった」。しかし、六年前、夫(53)が突如、仕事を辞めて専業主夫に。夫と子ども二人を一人で養わなければならなくなった。「そこで初めて世のおやじの孤独に気づいた」と言う。

 家では暗黙のうちに「一家の大黒柱」と期待され、社会では肩書や年収で評価される。さらに、家事や育児も求められる。なのに、「男らしくないから」と弱音をはけない。

 小島さんは「肩書や年収で人を判断したり、自分の弱さを認めずに強がったりするのが、セクハラやパワハラにつながってきた」とみる。「つらいときは『つらい』と言葉にできれば、自分も周りも楽になる」

仕事以外の場で「男らしさ」を「人間らしさ」に転換

 京都産業大教授で社会学者の伊藤公雄さん(67)は、バブル崩壊後、「仕事だけが生きがい」は、まかり通らない社会になったと言う。しかし、女性のように結婚や出産を機に、それまでとは別の生き方になるということがないため、古い価値観から抜け出せない。そこで、伊藤さんは「仕事以外の場で、人と関係を結ぶことだ」と話す。

 横浜市港北区のメーカー勤務、寅丸雅光さん(39)にとって、毎週末に通っている料理教室がリフレッシュの源。フルタイムで働く妻(38)の負担を軽減しようと、三年前に習い始めたが、いまでは仕事にはないやりがいを感じているという。「職場では部下もいて頼られる立場だけど、料理についてはまだまだ知らないことだらけ。趣味があるから初心に帰れる」と話す。

 伊藤さんは、次の時代に必要なことに「男らしさ」から「人間らしさ」への転換を挙げる。「人間は本来、仕事の顔だけでなく、家庭や地域、趣味の顔がある。仕事の顔だけが肥大化してきた」。だからこそ、仕事や肩書と自分を切り離す時間が大事だという。「妻や子どもと向き合う時間を大切にしたり、趣味の時間を持ったり。そんなふうに男らしさのよろいを脱いでいけば、新時代にふさわしい顔つきにきっとなるはず」とエールを送る。

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cat_18_issue_oa-tokyoshimbun oa-tokyoshimbun_0_9209defb0eea_〈コラム・筆洗〉外に出せとうるさい猫。ドアを開けてやったら… 9209defb0eea 0

〈コラム・筆洗〉外に出せとうるさい猫。ドアを開けてやったら…

2019年4月19日 16:55 東京新聞

 フランスのロワゾー前欧州問題担当相が飼っている猫は朝、外に出せと鳴いてうるさい。目覚めたロワゾー氏が、ドアを開けてやると、今度は決心しかねたように動かなくなるという。無理に外に出せば、暗い目でこちらを見てくる。「私はとうとう猫を『ブレグジット』と呼ぶことにしました」

 英国の欧州連合(EU)離脱と猫は名付けられてしまった。そんな話が先月、仏紙に報じられ、英国に広まった。苦笑いで迎えられたようだ。同氏はその後、あれはジョークだったと告白しているという。猫は実在しないようだ。

 大騒ぎしておいて、いざとなると煮え切らない。孤立感漂う英国の姿に重なる。よくできた冗談ではあるが、英国の政治家たちは、今や笑えなくなっているだろう。先日、離脱の期限が十月末に延期された。合意なき離脱の危機こそ避けられたが、むしろ先行きの混迷は深まっていないか。

 大混乱の恐れが消えたわけではない。離脱撤回の選択肢が浮上するかもしれないが、そちらに進んだとしても、国の分断という代償は大きそうである。

 「英仏海峡濃霧-ヨーロッパ大陸孤立」。昔の英紙にそんな表現があったという。ジェレミー・パクスマン著『前代未聞のイングランド』が、「伝説的な見出し」として紹介している。

 今は、扉のむこうで濃くなる一方の霧に、すくむばかりの猫の姿を思い浮かべる。

(写真は10日、ブリュッセルで、EU特別首脳会議に出席し言葉を交わすEUのトゥスク大統領(左)と英国のメイ首相(中央)、ドイツのメルケル首相=ロイター・共同)

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