アダルトエンターテインメントグループのソフト・オン・デマンド(SOD)が秋葉原に立ち飲み居酒屋「女子社員酒場」をオープンしたのが昨年5月。随分と盛り上がっているという噂を聞き、昨年末には本紙記者も足を運び実際に体験したのだが、それは噂を超えた世界だった。そのへんは前回のリポートをご参照のこと。
そのときは「やるな! SOD」と感心。水商売ゆえに浮き沈みもあるだろうが、ぜひとも長く続いてほしいと思ったのだが、よもや1年後に新中野に2号店ができるとは…。
ということでオープン日の5月2日に行われたメディア向けのレセプションに行ってきました。あくまで取材で。
店内にはU字型の小さなカウンターが5つ
今回オープンしたお店は「SyainBar SOD女子社員」。こちらのウリはまず「座れる」ということ。アキバのお店でのお客さんの要望として「イスに座りたい」というものがあったんだとか。立ち飲み屋に来て「座りたい」なんて言われても…と思うのだが、そこで何とかしようと思うのが同社の社風。いや、よう知らんけど。
我々が開店前に入手した情報では「座れるようになる」ということだけだったので、当然、頭の中にはキャバクラの風景が浮かぶ。
キャバクラとなったら風営法の問題なんかでいろいろ面倒だし、AV女優やタレントさんがホステスとして勤めているキャバクラというのもごまんとあるわけで、「そんなの全然おもんないやん!」と思いながら現地に行くと、そこには我々の予想を超えるU字型の小さなカウンターが5つ。各カウンターに6つのイスが並べられ、カウンターの中には女子社員の姿が…。
ひとつのお店の中に小さなガールズバーが5つある、という感じ。このシステムについてはみんなで知恵を出し合ったというのだが、さぞかし楽しい会議だったのだろう。目に浮かぶ。
SODの創業者・高橋がなり氏直伝メニューも!
アキバでのお客さんの要望というのは実はもう一つあって、それは「フードメニューをもっと充実してほしい」ということ。物件の事情で手の込んだ料理を出せなかったアキバと違い、こちらは最初からかなり広めのキッチンを完備。
メニューの中にある「ダイトリ直伝のダイトリカレーライス」はアキバでも最初のうちは出していたのだが、需要に供給が追い付かず、早々に伝説のメニューとなってしまった逸品。
また「48時間塩辛の二夜漬け」「30日寝かした自家製オイル。辛めのペペロンチーノ」はSODの創業者である高橋がなり氏直伝のメニュー。ダイトリカレーと合わせ、この3品はマジうま。「最近飲みすぎかも…」とお店に行くことをためらった時でも「ご飯を食べに行く」と自分の心にエクスキューズができる美味さなので、取りあえず1回食べてみることをお勧めしたい。
コンセプトは「『SOD本社』で作品に出演するかもしれない新人女子社員たちが働くBAR」
一番大事なことを書き忘れていたが、アキバも新中野も働いているのは「女子社員」たち。ただ女優として活動している人は両方に出勤しているのだが、新中野はお店のコンセプトが「『SOD本社』で作品に出演するかもしれない新人女子社員たちが働くBAR」ということで、「これから出るかもしれないし、出ないかもしれないしという人は基本こっち」。原石を発掘したい人や青田買いが趣味の人はこちらもお勧めだ。
またこちらでは女性向けAVに出演するイケメン男優、いわゆる「ラブメン」がカウンターに立つ日もあり、女性も楽しめるお店になっている。
料金システムは入場料が2980円で50分。ドリンク代は別でワンドリンクオーダー制。延長は40分につき1500円となっている。字面だけを見るとアキバに比べてややお高い設定になっているのだが、これにはからくりがあって、帰りに店内にセットされた棚から好きなDVDがプレゼントされる。だいたいセルDVDはそれくらいの価格帯が多いことから入場料はほぼ相殺される。そしてそこでも新たな“出会い”のチャンスが生まれるというわけだ。
「女優の引退後」についても考え居酒屋やBARを出すことに
同社の代表取締役社長を務める野本ダイトリは本紙の直撃に「もともと女優さんや女の子たちが働ける場所を作ろうといった発想で社内で会議を始め、秋葉原にお店を出すことになった。これまでは女優さんと触れ合う場所といえば、キャバクラなんかが多かったので、“もっと仕事帰りにふらっと寄れるような店”というコンセプトで始めた。でもこういうお店を出すのは初めてだったので秋葉原の盛況は予想外のところはあった」などと話す。
女優さんと制作会社の関係というものは一般のユーザーにはなかなか分からないもの。作品以外で女優の働ける場所を作りたいという発想は少々驚きでもあるのだが、同社は専属女優の紗倉まなの小説家としての活動や戸田真琴の映画関係の活動などもバックアップ。「女優の引退後」について考える土壌があるようだ。とはいっても一人ひとりをケアすることはなかなか難しい。そんなことから居酒屋やバーの立ち上げという発想に至ったようで、野本ダイトリは「女優をやめてから次に行くときの中間のステップになればいいなと思った。だからキャバクラというより居酒屋、立ち飲みにまで振り切っちゃおうよ、ということになった。とはいえ、こういうコンセプトのお店を作って働いてくれる女優さんがいるんだろうかというのが一番の不安だった。でも1号店を始めた時からそこで働きたいと言ってくれる子が増えていって、お店もいい循環で回るようになった。それが非常にうれしかった」とも話した。
TPOや気分によってアキバと新中野を使い分け
実際、働く女子社員たちも「ファンがすごく増えた」「あまりAVを知らない方も来るので知っていただくきっかけになっている」などと話し、ファンが増えること、そして生の声を聞くことでモチベーションが上がるきっかけにもなっているようだ。
また新中野の大きな売りである「ラブメン」。レセプションに参加した長瀬広臣も「こういう場を設けてもらえるとは思わなかったのでびっくりしました。ラブメンというものがあるということを男性の方にも知ってもらえるんじゃないかと思うのでうれしいです」などと話した。
レセプションの後、日を改めてお店に潜入(面は割れているのだが…)。実感としてはアキバと新中野でTPOや気分によって使い分けができそう。あと単純に山手線の左側に職場や家があって「アキバは遠い」と思っていた人には新中野という土地はかなり優しい。実は新中野は飲み屋も豊富なので「景気づけの1軒目」にも「締めのお店」にも使えるBARとして重宝しそうだ。
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