日本は世界からどのように見えているのか。
岐阜県羽島市にある外国人シェルターを、1年間に渡って密着取材すると、夢を抱いて日本へ働きに来た若者の辛く切ない現実が見えてきました。
仕事で指を失う、過酷な労働、不合理な解雇…東海テレビでは、2/9(日)午後1時25分からこうした外国人の現実を追ったドキュメンタリー「たそがれジパング」を放送します。
ナレーションを担当したのはLiLiCoさん。母は日本人、父はスウェーデン人で国籍はスウェーデンです。
LiLiCoさんが彼らの境遇に重ね合わせた自分の体験を語りました。
映画コメンテーターとして活躍しているLiLiCoさん。
LiLiCoさん:
「ハズキルーペ…仕方ないです。これがないとできないので(笑)」
1月29日、東京のスタジオで番組のナレーションが収録されました。
LiLiCoさん:
「イントネーションが合ってなかったら止めてくださいね。日本語の学校行ってないので。
正しいと思ってしゃべっているので。思い込みでしゃべっているだけなので(笑)。(番組に出てくる)皆さんと同じだと思って」
岐阜県羽島市にある外国人労働者のためのシェルター。
ここでは施設を運営している中国人の甄凱さんのもと、故郷を離れて日本へ出稼ぎに来た外国人たちが暮らしています。
しかし、それぞれが抱える問題が…。
仕事中に埃をとろうとして機械に右手を挟み、指を失った中国人の男性…。
カンボジア人の2人の女性は、積立金がある時期から毎月引き出され続け残高は0円…。
ネパール人の女性は妊娠で解雇されたと訴えます。
日本に夢を持ってやってきた外国人たちが厳しい現実に翻弄されながらも、自分の人生を歩んでいます。
LiLiCoさん:
「もう本当に今回は全て『ザ・リアル』だなと思いました。
色んなドキュメンタリーを見せていただいてますけれども、ここまで、本当に、本当の信の部分…「The Truth!」っていう。
だから、ナレーションを入れる時にちょっと見入ってしまう。
多分、日本人が見たら『こんなことってあるんですか?』っていう風に思うと思うんですよね」
母は日本人、父はスウェーデン人のLiLiCoさん、実はスウェーデン国籍の外国人です。
幼いころ、日本から祖母が送ってくる雑誌で見たアイドルに憧れ、18歳で来日。しかし、歌手としては売れない日々が続きました。
LiLiCoさん:
「私も最初、お弁当屋さんで働いていたんですよ。
なぜなら、言葉がわからなかったので、同じ所にミートボールを入れれば、それで済むんですよ。
同じ行動で、同じやり方で高野豆腐を絞れば誰でもできるっていう。
(Q.最初、高野豆腐って何か分かりませんよね?)
分からないです。スポンジだと思ってました」
日本で生活して30年のLiLiCoさんですが、シェルターの若者たちのあるシーンに自分の姿が重なるといいます。
LiLiCoさん:
「30年前、私が日本に来た時は、お母さんが一緒に入国管理局に行ってくれて、色んなことを話してくれて。
『タレントになりたくて、日本に来て、歌の練習をしたいからお願いします』って。
(そうしたら滞在ビザが)1年もらえたんですよね。だから最初の10年は1年ずつでした」
シェルターで暮らす外国人たちも、入国管理局へビザの更新に行きます。
しかし、働けなくなった外国人に許可される滞在期間は、ほとんどが1か月。
次第に追い詰められていきます。
LiLiCoさんも今では滞在期間は5年になりましたが、それでもビザの更新が必要です。
LiLiCoさん:
「みんなすごく不思議がるんですよ、『でも、今もう結婚してるからいいじゃないですか?』って。
いえいえ、そんな甘い国じゃないですよ」
「日本人と結婚したって日本の国籍は取れません。これ、日本だけですね、ほぼ日本だけです」
夢を叶えるため、出稼ぎに来た外国人。
この国で見たのは、夢か、幻か…。
LiLiCoさん:
「生きる価値、生きる権利って、みんな同じ。日本人は、あなたたちの国(日本が)、こういう風になっていますっていうのを、このドキュメンタリーを見た後に話し合うと思います」
「外国人を見かけた時に、少し見方が変わると思いますね。みんな必死で生きているからこそ、こういう風になっているということが分かるんじゃないかなと」