「世界でもっともバーが多い街」、それは東京、銀座だろう。
銀座の歴史を、過ぎ去った昭和を閉じ込めたような歴史的一軒から、その卓越した創造性で世界から脚光を浴びるバーまで、そのコンテンツ力についても世界に誇ることができるバーの街として知られる。
今回、そんな街から5軒のみを紹介する。
1.ルパン
おそらく日本一有名な文壇バー。太宰治がここのカウンター席であぐらをかく写真を知らない文学通はいないだろう。
泉鏡花、坂口安吾など巨匠が通ったことでも知られる。
2.BAR 武蔵
2000年開業ゆえ、それほど歴史ある老舗とは言えない。
しかし、隠れ家的であり、べらぼうに高い敷居でもなく、少人数でも多めの人数でも対応でき、過不足なく酒が揃う……そんな安定感に惹かれる。
3.バー オーチャード ギンザ
いつ訪れても、オーナーの振る舞う一杯に「今日はどんな新作が控えているんだろう」と高揚感を抑えきれない。
「オーチャード」はもともと「果樹園」の意。それだけに、季節の新鮮なフルーツを使用したカクテルが自慢だが、他店にない「新しい技法」に挑んだバリエーション豊かな酒を繰り出してくれる。
4.BAR ANTHEM
ジントニックは、どこのバーでも必ず口にすることができるスタンダードなカクテル。だが、そんな珍しくもないカクテルこそが、店の実力を測る指針となる。
私自身、初めて訪れる一軒では最初にオーダーすることが少なくない。しかし、アンセムのジントニックともなると、そんな邪推は不要だ。
5.フォーシーズンズ
ひとりでぶらりと訪れ、7メートルの美しいブビンガ製一枚板のカウンターにつき、チャンピオンが振る舞う珠玉の一杯にうつつを抜かすのも一興。
まるで銀座の番長になったような気分を愉(たの)しめる。
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