女優として活躍する傍(かたわ)ら、誰も排除しない「まぜこぜの社会」を目指す非営利団体、Get in touchの代表としても活動する東ちづる。
彼女が今、Get in touchで取り組んでいるのが、2017年12月10日(日)に品川プリンスホテル クラブeXで開催される『月夜のからくりハウス』だ。
多様性とか言ってるけど、現実は全然違うじゃん
活動自体を始めたのは25年前で、家でテレビを見ていたときに17歳の少年のドキュメントが流れてきたことがきっかけでした。
彼は自分が慢性骨髄性白血病であると告白していて。VTRが終わって司会者のコメントに注目していたら「頑張ってほしいですね」と締めたんです。
私は違和感を覚えました。頑張っている彼に対して「頑張ってください」と言うのは違うのではないかと。
なぜ17歳の多感な時期の少年が、全国ネットで自分の病気を伝えたのだろうか。
絶対何かメッセージがあったはずなのに、その番組だとそれが伝わらなかった。
なので彼を探しました。
そして、彼を見つけ出して話を伺うと、その年に骨髄バンクができたんですけど、その登録を募りたかったと。じゃあ骨髄バンクを知ってもらう活動をしようということでポスターを作りました。
するといろんな患者さんと出会うようになって、活動の幅も広がっていきました。
ー団体を作る前から行っていた「障がい者アートコンテスト」なども含め、団体を立ち上げてからはさらにパワーアップした活動をされてきました。今回、見世物小屋という形をとったのはなぜですか。
日本ではマイノリティなテーマになると、主役で、しかも健常のスターが演じて、大きなメッセージがあって、泣かせて。頑張ってるとか、乗り越えてるっていう風になっちゃうんですよね。
いい作品なんでしょうが、それだけというのは違和感があります。
私たちは、リアルな世界で色々な特性の人たちと一緒に暮らしているのに、画面の中や舞台には出てこない。
健常者だけで社会が成り立っているみたいな感じで「なんか変」って思ったんです。Get in touchを立ち上げてからエンターテインメントとして啓発イベントを開催していると、障がいの有無に関わらず、色とりどりの人がお客さんとして参加してくれます。
実はダンサーですとか、役者ですと言われることもあったので、どこで活動してるんですかって聞いてみたら、日本だとあまり仕事ないですよと。
教育番組、福祉番組、1年に1回のチャリティー番組にしかチャンスがない。今回も、見世物小屋を再現したかったというわけではありません。
でも、日々努力している人の活動の場は、障がいの有無に関わらずあったほうが良いので。
素晴らしいパフォーマーやアーティスト、役者がいますよっていうことを知ってもらうための機会作りとして、叩かれるの覚悟で「見世物小屋復活」のようなセンセーショナルな表現をしています。
—これからは、お涙ちょうだい的な方向以外からももっとアプローチできるようになると良いなと思いますね。
今ネットでは「感動ポルノ」って言われているけど、私はあれもあって良いと思ってるんです。
そういうのが好きな人たちもいるし、やっぱりそこで表現したい障がい者もいらっしゃいますよね。感動させたい、泣かせたいと思っている人もいれば、笑いをとりたい、拍手喝采がほしいって思っている人もいる。
色々なジャンルがあって良いんですよね。でも日本は笑うとか、楽しむってところが苦手。
笑って良いの?って思うらしいんですよ。
感動ものも好きだし泣くのも良いけどさ、もっと楽しもうよって。