会社員の街頭インタビューの定番の場所として知られるSL広場前を有する新橋は「サラリーマンの聖地」と呼ばれて久しい。このエリアで日々頑張る人々の腹を満たし、活力を与える絶品レストランはどこなのか。タイムアウト東京が選んだオススメ店舗を紹介する。
かま田
飲み屋をはしごするサラリーマンで賑わうエリアのど真ん中にあるかま田は、飲み過ぎに効くヘルシーな毒消しを提供する。個性的だが、昔ながらの栄養たっぷりの和食だ。店内は気取らない雰囲気で、ラミネートされたメニューにクイズ番組が流れるテレビ、おしぼりを温める機械には『ヱビスビール』のシールがたくさん貼られている。しかし、この店で作られるおでんは非常に本格的。大将の鎌田によって魔法がかけられた、絶品の大根やコンニャク、豆腐、黄身の濃い半熟卵、昆布、練りものなどを楽しもう。
七蔵
ビジネスマンのレストラン天国、新橋駅ビルの2階にある大人気稲庭うどん店。開店前の11時には早めのランチを求めて長蛇の列ができる。自家製のつけ汁は、化学調味料は一切使用しておらず、鴨肉をペースト状にしたものとゴマペーストの濃厚な旨み、そして薬味のみょうががよいアクセントになっている。麺によく絡むよう、鶏から出た油は取り除き、後からオリーブオイルを加えているというこだわり。コシがあるのに滑らかな喉越しな麺は、一杯楽しんだ後でも、いくらでも食べられそうだ。ミニどんぶりとのセットが人気で、丼も店で下ごしらえをした新鮮な魚介類をふんだんに使っている(写真はばらちらし丼のランチセット、1,100円)。夜は予約で満席になってしまうことが多いので、あらかじめ席を確保しておくのが良いだろう。
新橋 纏
新橋駅前の繁華街の路地裏にあるラーメン店。入口は分かりづらいが、店前に「平子煮干そば」と漢字で書かれた白看板が立っているのでこちらを目印に、ビルの間の細い路地を奥に進むと現れるのは、綺麗な店内に10のカウンター席。定番は『平子煮干そば』(750円)、さっぱりとした煮干しのスープは細麺との相性抜群。柔らかくジューシーなチャーシューを増したいときは『特性平子煮干そば』(950円)を。一押しは『烏賊干し鶏白湯醤油そば』(850円)で、煮干しスープに鶏とイカの旨味を凝縮させたトリプルスープが特徴。一口啜れば、煮干し、イカの魚介系の旨味が一気に口の中に広がり、圧倒される。
燕楽
外食天国の東京でとんかつ一品で名を馳せようと思うと、少々難しい。チェーン店や格安店はあらゆる通りに軒を連ね、軽い食事を求めている人々をこぞって招き寄せている。どの店も味はまずまずだが、とんかつ店「燕楽(えんらく)」に出会ってしまったら、もう他店で妥協することはできないだろう。愛宕警察署近くのビジネス街にあり、紺地にひらがなで『とんかつ』と書かれた暖簾(のれん)が目印。この家族経営のレストランは、1950年の開店当初から、レシピも内装もほとんど変わらないままで、生きた(そしておいしい)歴史の一部となっている。
赤身焼肉 かるびあーの
東京にはチェーン店を含め数えきれないほどの焼肉店があるが、その中で各店舗はどのように違いを生み出しているのだろうか?新橋にある焼肉店、かるびあーのでは店長の高島修が厳選した和牛を提供している。和牛にこだわっている店は同店だけではないのはごもっともだが、高島は肩ロースやしんしんなど、あまり使われていない部位を好んで使う。薄く切られた赤身肉は、10席あるカウンター席の目の前で炭火焼きにされ、肉に火が通るのに1分もかからない。ジューシーで完璧に味つけされ、繊細な味を帯びる肉は、口の中ですぐに溶け出していく。肉の塊のまま、高嶋がじっくり焼いてくれる「塊焼き」はぜひ食べてもらいたい。