歴史と最先端が融合する銀座は、買い物天国なだけでなく美食家の集う街でもある。碁盤の目のような街の、どの通りに目当てのレストランが位置しているのか。それが分かるようになればあなたも銀座通だ。タイムアウト東京が厳選したベストレストランを5軒紹介する。
てんぷら 近藤
銀座駅から歩いて5分ほどの場所にある天ぷら専門店のてんぷら 近藤。御茶ノ水にある山の上のホテル内の「天ぷらと和食 山の上」出身の料理人、近藤が作る一品を食べれば、天ぷらがフリッターとはまったく異なる食べ物だということが分かるだろう。すべてが適切なタイミングで揚げられるため、全国各地から集めた選りすぐりの野菜は、みずみずしさがしっかり保たれている。築地で仕入れた魚介もしかり。「天ぷらは蒸し料理」と近藤が言う通り、衣を纏(まと)わせることで、食材の旨味を逃さずに堪能することができるのだ。上質なごま油を使用し、確かな技術で揚げた天ぷらは、胃もたれの心配もない。
三州屋
並木通りからビルの間を入った路地裏にある、魚介メインの居酒屋三州屋。銀座の一等地にいながら、タイムスリップして昔の東京に戻ってきたような気分になる。この賑やかな居酒屋は1968年から、美味しくて値の張らない料理をずっと作り続けている。昼過ぎには一杯やりながら盛り上がる築地市場で働く人たちで賑わいだし、そのまま閉店までずっと銀座の会社員たちでいっぱいになる。みな、安いのに美味しい料理に惹きつけられてやってくるのだ。
三州屋での食事にはお通しがついてくる。たいていはイカの刺身と魚の肝などだ。続いて、築地から仕入れた魚介中心のボリュームたっぷりの料理が登場する。キンメダイの煮つけ、大根おろし付きのサンマの塩焼き、ポン酢が香る鶏豆腐、新鮮な貝類の刺身などだ。冬にはいつにも増して混み合う。カキフライが伝説的に美味しいからだ。
銀座 久兵衛
手際よくおろされた生きエビの寿司は、体の一部がまだ動いているほど新鮮で、灰色がかった胴体は温かいシャリの上で光っている。 高級寿司店、銀座 久兵衛の15席あるカウンターでは、4人の板前が目の前で外科医の手術のような精度で働いている。板前は、各ネタの説明をしてくれる。ランチでは価格別の握りセットが提供され、おろしたユズの皮を小さな竹の刷毛でウナギの握りの上に散らす様子など、すべての調理工程を目の前で見ることができる。年配の顧客の中で味わう江戸前寿司の味は格別だ。
銀座 きた福
靴を脱いで畳に上がった瞬間からぷりぷりのカニの最後の一口を食べ終わるまで、きた福での経験はすべてが格別だ。食事に少なくとも2時間かかるのは、4〜5キロもある大きなタラバガニの甲羅を生きたままはがし、足とはさみを順序よく一本一本さばくには最低でもそれくらい必要だからだ。取り出されたカニの身は、ゆで、炭火焼、刺身などいろいろに調理されて出てくる。ただし、すぐ気分が悪くなる人には警告しておく。カニは食べられる直前まであなたの目の前で生きている。
まるで儀式のようなきた福のカニのコースの最初に出てくるのは、もちろん刺身だ。もいだカニの足を冷水に入れ、新鮮なまま出してくれる。残りの身は、しゃぶしゃぶや炭火焼きなどいろいろな調理法で提供されるので、それぞれ異なる風味や歯触りを堪能することができる。カニの絵が描かれた陶器の皿や、炭焼きのコンロを飾る美しい書など、店の細かいこだわりも素晴らしい。
銀座シェ トモ
銀座一丁目駅近く、銀座中央通りを見下ろすことのできる絶好のロケーションを持つフレンチレストランが銀座シェ トモだ。店内は白を基調としており、ダイニングやカウンター、個室など、様々なシチュエーションに合わせて利用することのできる席が用意されている。また樹齢300年のクルミを使った無垢カウンターでも食事を楽しむことも可能。鮮度や産地、香り、触感など、あらゆる角度から厳選された旬の食材の味を最大限に引き出すよう丁寧に調理された、五感で楽しむことのできる料理を堪能してほしい。