ファッションやアンティーク家具などの店が多く、スタイリッシュな大人たちが集まる中目黒エリアには、知る人ぞ知る絶品レストランが多い。ここではタイムアウト東京が厳選した注目レストランを紹介する。
聖林館
東京にピザブームが起こるはるか前から、柿沼進は見事な『マルゲリータ』と『マリナーラ』を次々と生み出してきたのが、聖林館だ。決して若くはないシェフは、22年前に1年をかけてイタリア国内のあらゆるピッツェリアを食べ歩き、帰国後に中目黒にサヴォイをオープンした。姉妹店をオープンさせる一方、同店は聖林館と名前を改め、新しく生まれ変わった。東京最高峰のピザはもちろん、内装のユニークさも特筆に値する。鍛鉄製の階段、ベルベットのカーテンと黒い床板が、壁に埋め込まれた焼却炉のようなオーブンの存在感をより強調させており、まるでスチームパンクなSFの世界に入り込んだような気分が味わえる。
鮨屋が作るフィッシュバーガー専門店 デリファシャス
デリファシャスは、ミシュラン二つ星の鮨屋の銀座 青空で経験を積んだ職人が手がけるフィッシュバーガー専門店。中目黒駅から池尻大橋方面に8分歩いたところに店を構える。メニューは『昆布〆フィッシュバーガー』や『海老しんじょバーガー』、『西京焼きの最強バーガー』、『鮨屋が作る出汁巻き卵サンド』、『活け〆煮穴子の天ぷらドック』など、鮨職人ならではの多彩なラインナップ。いずれも産地直送の新鮮な魚と野菜が用いられているほか、オーダーを受けてから調理されるので、できたての状態で味わえる。街の銭湯をイメージしたという店内で、創作フィッシュバーガーにかぶりついてみてほしい。
クラフタル
クラフタル(Craftale)の料理人、大土橋真也の発想はビッグだ。中目黒の川沿いに店を出してから1年、若いシェフは、驚くほど独創的で概念的な料理で客を魅了してきた。パンのペアリングや色の計算、すべての食材を1つの都道府県産で揃えるなど、計算され尽くした大土橋の料理は、フォークで突いただけで、アート作品に落書きしてしまった気にさせられる。 壁にはエッフェル塔と東京タワーをフォトショップで1つの建物に加工したユニークなコラージュが飾られている。
オーコアンドゥフー
中目黒駅から徒歩2分の場所にたたずむオーコアンドゥフー(Au Coin du Feu)。店名は、フランス語で「暖炉」や「気軽に集える暖かい場所」などを意味し、まさに同店にふさわしい。シェフの山口潤と、妻でソムリエの沙知子が歓迎してくれる居心地のいい店内では、洗練された雰囲気で行き届いたサービスが提供される。フランスの美味しい家庭料理と、豊富なワインリストから選べるワインを1、2本楽しみながら数時間を過ごそう。 黒板のアラカルトメニューは、季節によって多少替わるが、定番メニューもある。『厚切りサーモンの瞬間燻製、温泉卵添え』は、サーモンを30分ほど自家燻製することで、生の色と柔らかな食感を残しながら、繊細な燻製の香りを生み出すことに成功している。
青家
中目黒の静かな一角にある青家よりも落ち着いてランチを味わえる店は、東京にはほとんどないだろう。また店主の青山有紀の手料理以上にヘルシーなものを食べられる店も、ほとんどないだろう。入口脇の棚には青山が出版した料理本がたくさん並んでいる。青山の専門は「おばんざい」。食材のバランスと季節感、安全性にこだわる京料理で、そこに少しだけ韓国料理のニュアンスを加える。薬膳の勉強経験もあるため、料理には遺伝子組換え食品を一切使っていない。健康オタクや食事制限をしている人でも、この店なら大満足だろう。