"誰か"とあったまる
暖冬と言えど、寒さに耐え忍ぶ日々。
「一人だけどひとりじゃない」、そんな場所で身も心も温めよう。
1.はすぬま温泉
住宅街に突如現れる漆喰とステンドグラスの建物。
銭湯の多い大田区の中でもひときわ個性が光るのが、はすぬま温泉だ。
テーマは「大正ロマン」。
館内の床板や脱衣所のロッカー、さらに漆喰の白い天井を照らすシャンデリアも木製という徹底ぶり。
浴室に入ると目の前に大きな湯船があり、男湯と女湯を貫く正面の壁には大きな滝の絵が描かれている。
熱めの温泉風呂、炭酸温泉、そして水風呂と設備はいたってシンプルだが、どの風呂も壁にもたれかかって滝を眺められるよう設計されている。
滝はよく見ると壁に直接描かれているのではなく、無数のタイルからできていることに気がつく。滝の流れの先にある鯉が2匹彫られた壺から、湧き出た温泉が注がれている。
休憩室には銭湯絵師の丸山清人による富士山の絵が飾られている。
2.スパラクーア
都心のリラクゼーションスポットとして親しまれてきたスパ ラクーア。
温浴ゾーンでは、屋外にフィンランド式サウナを新設し、客自らロウリュ(サウナストーンに水をかけて発汗作用を促す入浴法)を行えるようになった。
薄暗い室内は木製で天井が低く、本場フィンランドのサウナのスピリチュアルな雰囲気が味わえる。
屋内浴場には天然温泉や炭酸泉、足湯(女湯のみ)、バブルピットに加え、3種類のサウナ(女湯は2種類)がある。
岩盤浴や幻想的な雰囲気の低温サウナがあるヒーリング バーデゾーンには、ファイテン社が開発したアクアチタンを使用した、発汗作用を高めるホットルームが新登場した。
休憩ゾーンも複数あり、非常に広い。充電コンセントも完備されているので、ここで仕事をする人もいるようだ。
3.萩の湯
2017年にビルを立て替え、階ごとに男女の浴室を分ける大幅なリニューアルを行った萩の湯。
一般的な銭湯の倍はあろうかという広さの浴場では、光マイクロバブル湯や電気風呂、炭酸泉、露天風呂、ジェット風呂、サウナ、水風呂など、種類豊富な風呂が楽しめる。
女湯には塩サウナもある。設備の豊富さもさることながら、ジェット風呂の水圧やサウナ室の温度、水風呂の広さなど、細かな部分にこだわりが感じられる。
1階の食堂は、本格的な味の中華料理やカレーが売りで、入浴をせずに食堂だけを利用する客も多い。ドリンクは下手な居酒屋よりも品揃えがいい。
ビールはありきたりな缶ビールではなく、国産のクラフトビールを数種類置いている。
4.天然温泉 湯どんぶり栄湯
スーパー銭湯顔負けの設備で知られる、三ノ輪の湯どんぶり栄湯。
真っ白に見える湯の正体は、ナノファインバブルという粒子レベルの泡。毛穴の中に入り込み、汚れを取り除いてくれるという。
湯船の中に設置された2つの壺は、注ぎ口かと思いきや壺型の湯船。
豪快に湯をあふれさせながら肩まで浸かりたい。
サウナルームは、男湯女湯ともに10人は入れる大きさ。
スーパー銭湯でも珍しい岩塩を使いながら、追加料金はたった200円という点も特筆したい。
湯船をどんぶりに見立ててつけられた店名の通り、浴室には薬湯、ジェットバス、電気風呂など様々な風呂がある。
浴室内がリニューアルされたのは20年以上前だというが、ピカピカに磨き上げられたカランやタイルは、3代目の梅田清治郎の几帳面さと銭湯への真摯な姿勢をうかがわせる。
ランナー用のロッカーや駐車場、駐輪場も完備されているので、色々な使い方ができそうだ。
5.クアパレス藤
カラフルな海水魚が泳ぐ水槽と90年代J POPが流れるサウナ。
このふたつが揃う銭湯は、要町のクアパレス藤だけだろう。
半露天風呂は、高い吹き抜けと浴室をのぞむ大きな窓のおかげで窮屈さを感じない。
追加で300円を払って、懐メロが流れるサウナに入るのも忘れずに。
大きな水槽の前で生ビール片手に湯上りを過ごす楽しみを知ってしまったら、誰でも足しげく通ってしまうだろう。