1.74歳のペリカンはパンを売る。
2017年8月にカフェがオープンしたことでも話題の、浅草で70年以上営業する老舗パン屋ペリカンのドキュメンタリー。
地元の人々から愛される同店の、昔ながらの職人魂を保とうとする努力を映し出す。2代目の時代からシンプルな食パンとロールパンを販売しており、その味は一貫して変わっていない。
郷愁を誘うパンを、スタイリストの伊藤まさこは絶賛し「日本人が作る日本人のためのパン」だと語る。
パン作りの背景を知っていくにつれ、翌朝は早起きしてあの行列に並びたくなるだろう。
2.タンポポ
ラーメン、オムライス、チャーハン、北京ダック。
伊丹十三の名作コメディ『タンポポ』に次々と登場する料理は、空腹感を誘う。
本作は、山崎努が演じるトラック運転手ゴローが傾きかけたラーメン店の再建を手伝う物語だ。
食べ物にまつわるサブストーリーが多数詰め込まれており、日本人の食に対する考え方を風刺し、食と性の関係までも描き出している。
ホームレスの男が夜中にレストランに忍び込んでオムライスを作るシーンでは、伊丹本人がレシピを提案。
この『タンポポ・オムライス』は、日本橋のたいめいけんで現在も味わうことができる。
3.かもめ食堂
日本映画としては初めて、フィンランドで全編撮影された、『かもめ食堂』。
本作では、主人公のサチエと地元の人々との心温まる交流を描いている。
自身の店で日本人のソウルフード、おにぎりを看板メニューにするのだが、なかなか上手くいかずに奮闘する姿がユーモラスに描かれている。
映画が撮影された実際のカフェは、今でもフィンランドの人気観光スポットになっている。
4.二郎は鮨の夢を見る
ミシュラン史上最高齢の三ツ星シェフ、小野二郎(1925年生まれ)の人生と仕事を映し出すドキュメンタリー。
小野が店主を務める寿司店すきやばし次郎は、カウンター10席のみの高級店だ。
訪れる客に最高のクオリティで寿司を味わってもらいたいという、小野の想いが、丁寧な食材の扱い方や日々の探究心から伝わってくる。
カウンターから出される寿司ひとつひとつが宝石のように輝き、映画を観終わった頃には、二郎の寿司を味わうことを夢見る様になるだろう。
5.南極料理人
海上保安官出身の西村淳のエッセイ『面白南極料理人』を原作とする映画。
インスタントラーメンがなくなり悲しむ隊員のために、限られた食材でラーメンを作ったり、伊勢エビをアバンギャルドに調理したりと、料理人の西村が奮闘する様子が描かれる。
次々に登場するユニークな料理に、思わず笑顔がこぼれるだろう。