2018年に乃木坂46を卒業後、舞台を中心に活躍してきた女優の能條愛未が、ABEMAオリジナルドラマ「私が獣になった夜〜名前のない関係〜」(第1話~第3話は11月19日よりABEMAプレミアムで配信、以降第6話まで毎週木曜配信)に出演する。今作は、“女だって、本能のままに求めたい夜がある”をテーマに描く、禁断のエモーショナル・ラブストーリー。第1弾は20代30代の女性を中心に話題を呼び、2021年に「ABEMA」で配信されたオリジナルドラマの中で視聴者数No.1を獲得し、すぐに第2弾が決定。シーズン2「私が獣になった夜~名前のない関係~」では「友達以上、恋人未満」「身体だけ求められるけど、好き」など、“名前を付けられない関係”をコンセプトに、6つの物語を綴る。
能條が出演する話のタイトルは、「身体だけの夜、変われない私」。詩織(能條)は洋平(野村祐希)に気があるが、洋平には大勢いる女性の1人としてしか見られていない。そんな詩織の元に洋平の“別の女”が訪ねてきたことをきっかけに、詩織は洋平との関係を断ち切ることを決意する。このスキャンダラスな描写もある作品に挑戦した能條に、作品への気持ちと裏話を聞いた。
髪を短くして挑む最新作「今までの私と違うイメージで」
――今年の春に髪をボブにされましたが、今回の作品でまた少し短くされましたよね?
はい。事務所の移籍をきっかけに気合を入れ直すために切り、今回は久しぶりの映像作品だったので、せっかくなのでと切りました。ずっと舞台が続いていましたし、乃木坂46ファンの方は特にロングヘアのイメージの方が強いと思うんです。ですから、せっかくなら今までの私と違うイメージで出たいなと思ったので、少し短くしました。
――セクシーな描写が際立つ作品ですが、出演が決まった時はいかがでしたか?
27歳なので、ラブシーンや絡みのある役に挑戦してみてもいい年頃なのかな?と思いましたし、映像作品に挑戦するなら、皆さんを驚かせることのできる作品がいいなとも思っていたところに、このお話をいただけたので挑戦してみようと思いました。ただ、前シーズンを見させていただいて、大丈夫かな?とは思いました。自分が想像していたよりも大人な作品だったので。
――冒頭からドキッとするシーンで、背中がとてもキレイでした(笑)。
あはは。ボディクリームをたくさん塗りました(笑)。
「絡みのシーンに目が行きがちだと思うんですけど…」
――第一印象ではセクシーな部分に目がいくかもしれないですが、女性の心情が深く描写されている作品だと思います。
それもこのドラマに挑戦してみようと思った一つの理由でした。絡みのシーンに目が行きがちだと思うんですけど、1人の女性が恋愛をしていくさまを見せる部分がメインで前シーズンを見てもそこが面白いなと思いましたし、品のある作品でもあると感じました。自分がどういう物語を担当するか、その時点ではまだ分かりませんでしたが(笑)。
――脚本を読んでみて、いかがでしたか?
主人公の女の子の気持ちや、こういう時にはこういう言葉を発してしまうなという心情など、その意味が細かく自分のなかで理解できたので、いろんな世代の女性の方に共感していただけるお話ではないかと思いました。
――詩織は本当にいそうな女の子だなと感じましたが、能條さんはいかがですか?
詩織ちゃんは自分が都合のいいように扱われていると気付きながらも何も言えず、彼のことが好きだから曖昧なままにしているのだと思いますが、そこは私とは違うというか、真逆で。私自身の性格と重なる部分は正直ないのですが、理解はできるので、役に寄り添うことはできたのではないかと思います。
――能條さんは演じる時、自分と似ている役と全然違う役、どちらの方がいいですか?
似ている役はそのまま喋ればいいのでやりやすいですが、自分と全然違う役もその子の過去や生い立ちを想像しながら演じるのがとても楽しい。それぞれに別の楽しさがあります。
――詩織ちゃんを演じる時も、台本に書かれていない部分を想像したりしましたか?
いえ。なぜそんな言葉を発したり、行動をするのだろうか?と理解できない役の時は、想像を膨らせて、自分の中で役を作り込むんですけど、詩織ちゃんの場合は台本を1回読んだだけで彼女のことを理解できたので、その気持ちのまま演じた方がリアルな言葉が発せられるのではないかと思いました。
――演じる際に気を付けたことは?
声の出し方や表情が舞台仕様にならないように気を付けました。それから、映像作品ではアップの撮影もあるので、瞬きや目線の一つ一つがお芝居に関わってきます。舞台では遠くのお客さまにも何を考えているのかが伝わるように大きく見せるので、表情で細かく表現するのは難しいなと思いました。モニターで自分の演技を確認した時に、自分が喋る時のクセなどがとても分かって、すごく恥ずかしくなりました。
最初の撮影が“ベッドシーン”「素になると恥ずかしくなってしまった」
――詩織が好きな洋平は、どんな男性だと思いますか?
どちらかというと、だらしのない男性なのかなと思います。でも、そういう男性って放っておけないというか、人を引きつけてしまう魅力があって、そこに詩織ちゃんはひっかかってしまったのだと思います。詩織ちゃんはいい子過ぎて、守ってあげたくなるタイプの子。もし身近にいたら、「こんな男はやめときな」と言うと思います(笑)。
――現場では、洋平役の野村さんとお話しされたりしました?
最初に撮ったのが、いきなりベッドの上でのシーンだったんです。そんなに言葉も交わせていないのにいきなり絡みのシーンの撮影で、映像のお仕事ってすごいなと思いました(笑)。舞台だと1〜2カ月ぐらい一緒に稽古を重ねてから本番なので。「初めまして。よろしくお願いします」で、いきなりベッドって(笑)!素になると恥ずかしくなってしまいましたし、もともと人見知りなので、控え室でも自分から話しかけることはできず、ヘンにクールぶってしまいました(笑)。
――では、この作品をどんなふうにご覧になってもらいたいですか?
私を知ってくださっている方は、すごく驚かれると思うんですけど、女優さんをやっていくんだという気持ちの強さや覚悟が見えたらいいなと思っています。「能條、本気でやっていきたいんだな」とか、女優さんというお仕事が好きなんだなということを感じていただけたらうれしいです。私を知らない方には、現代女子のあるあるのお話だと思うので、物語にのめり込んで見ていただけたら。そして、同じような境遇の子がいたら、1人じゃないんだなと思ってもらえたら。シリーズ全体としても、とても面白いので、たくさんの方に見ていただけたらうれしいです。
――ちなみに今後、やってみたい役はありますか?
私、意外と悲壮感溢れる役を演じることが多いので、嫌われるような最低の役をやってみたいです。それこそ、全く共感できない役に挑戦して、お芝居の幅を広げていきたいです。
取材・文=及川静、撮影=宮川朋久