市川海老蔵('19年、初春歌舞伎公演記者懇談会)
「キムタクの娘に比べると世間的にはインパクトは弱いですが、歌舞伎界の常識を覆すデビューです。お披露目は、歌舞伎座で5月から7月にかけて行われる、海老蔵の“市川團十郎白猿”襲名披露公演。市川宗家の待ちに待たれた襲名です。そんな歴史的行事において、“ぼたん”は女優として初舞台を踏むことになるのです」(スポーツ紙記者)
海老蔵の娘・麗禾がデビューの背景
「過去には、“新派”の水谷八重子さんであったり、新派と歌舞伎が共演する時代もありましたので、女優さんが歌舞伎座に一役として参加することは何回かありました。特に女性が舞台に立つことを禁じているのではなく、伝統として、女形が女性の役を務めるということになっているだけで、そこに約束や罰則があるということもありません」
「勸玄君にとっても、お姉ちゃんの芸や舞台を見て参考にしながら自分の芸を磨いていくことにもつながっていくと思います。海老蔵君と親子で、姉弟で同じ舞台に立つのは、すばらしいこと。新しい歌舞伎の形として、こういうところからどんどん変わっていくでしょうね。海老蔵君も歌舞伎界の先頭に立っているという意識があるのでしょう」(喜熨斗氏)
「近年の歌舞伎座公演は客離れが起き、このままでは衰退するとも言われています。“宗家”として危機を感じている海老蔵は近年、“縦”の関係以上に、同年代や若い世代と密にし、“横”の関係を強固にしています。
「1か月で25日間連続、約50公演が行われていましたが、“若い世代がついていけなくなる”と危惧し、年始公演の初日を遅らせたり、期間を22日に短縮するなどスケジュールを再考しています。そもそも継ぐ役者がいなければ、舞台がなりたちませんからね」(前出・歌舞伎関係者)
「親戚関係にある寺島しのぶさんは、海老蔵にとって年の離れた姉のような存在で、今も家族ぐるみの付き合い。歌舞伎役者になりたかったしのぶさんは“舞台に出たい”が口癖で、海老蔵もその話を聞かされていたのでしょう。彼女の夢をかなえるべく、'17年に歌舞伎公演デビューの場として、六本木歌舞伎『座頭市』を用意したのです。もちろん、女形は今後も伝統芸であり続けますが、海老蔵は時代に合わせて女性進出をおぜん立てしているのかもしれません」(前出・歌舞伎関係者)
「すぐにとはいきませんが、女優さんが当然のように歌舞伎の舞台に立つ日がいつかは来るのでしょう。そのためにもまずは、“歌舞伎の舞台に立てる女優さん”というのを育てなければいけません。実現には、やはり時間が必要だと思います」