市川海老蔵と尾上菊之助
「京都・東山区の南座で『鬼滅の刃×京都南座 歌舞伎ノ舘』という企画展が開催されています。展示にとどまらず、『鬼滅の刃』が歌舞伎化されるというウワサもあります。市川海老蔵さんはこのコラボ案に関して、“具体的にやれることになれば、私のような年齢の人間は若者を応援する立場”と、あまり乗り気ではなさそうでした」(スポーツ紙記者)
「新型コロナウイルスの影響で、3月から東京の歌舞伎座は公演を中止。8月1日にようやく公演を再開しましたが、感染予防のために席を間引いています。歌舞伎座は約2000人が観劇できますが、今は約820席限定です。“待ってました!”などと声をかける“大向う”も、飛沫が飛ぶので禁止になりました」(歌舞伎座スタッフ)
コロナで親子襲名が延期になった
「昨年1月14日に海老蔵さんの十三代目市川團十郎白猿の襲名と、長男の勸玄くんの八代目市川新之助襲名が発表されました。春には襲名披露公演が行われることになっていましたが、コロナで延期になっているんです」(梨園関係者)
「市川家は歌舞伎界で最も権威のある流派。中でも團十郎は“宗家”と呼ばれる大名跡です。現在の歌舞伎の型を創始したのは初代・市川團十郎と言われていますからね。その名跡を継ぐ公演ですから、文化的にも興行的にも特別な意味を持っています」(市川家に近い人)
「マンガイベントの『東京コミコン2020』ではアンバサダーを務め、若い人に歌舞伎の魅力をアピール。ユーチューブで家族の動画を配信したりして、新しい試みにも積極的です」(芸能プロ関係者)
《周りの人間たちをいかにして生活できる水準に戻すかということを、第一に考えなくちゃいけない》
「まずは歌舞伎ファンが待ち望んでいる團十郎の襲名披露を成功させることですね。そうすれば、次の大イベントとして“團菊祭”に注目が集まると思います。海老蔵さんも“鬼滅より團菊祭を”と期待を寄せているようです」(前出・スポーツ紙記者)
「團は團十郎、菊は菊五郎を意味します。明治時代に絶大な人気を誇り、近代歌舞伎の確立に貢献したのが九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎。2人の功績を称え、昭和11年から歌舞伎座の五月大歌舞伎が“團菊祭”と呼ばれています。2013年2月に團十郎さんが亡くなったため、そこからは團十郎不在で公演しています」(前出・梨園関係者)
「現在の当主は七代目尾上菊五郎。江戸気風を漂わせるさっそうとした立役(成年男子)から、端正で上品な女形まで幅広く演じる名優です。奥さんは女優の富司純子さん。長男は歌舞伎役者の尾上菊之助さん、長女は女優の寺島しのぶさんと芸能一家です」(前出・芸能プロ関係者)
海老蔵と菊之助のダブル襲名
「公演を取り仕切る松竹は、海老蔵さんが襲名した翌年に菊之助さんに菊五郎を襲名させる考えがあったそうです。それで海老蔵さんと菊之助さんの“ダブル襲名”で團菊祭を行おうと企画していましたが、コロナの影響でうやむやになってしまいました」(前出・梨園関係者)
「実現しませんでしたが、十二代目の團十郎さんは、白血病を患っていたこともあり、海老蔵さんに名前を譲って生前に代替わりを考えていました」(同・梨園関係者)
菊五郎に何か起きない限り…
ーー菊之助さんが菊五郎を襲名するという話があるそうですが?
「……いえ、私は聞いておりません」
ーー海老蔵さんの襲名に合わせて行われると伺っています。
「菊五郎に何か起きない限りは、そのようなことはございません」
「ひとつのシナリオとしては面白いと思います。菊五郎さんも31歳の若さで七代目菊五郎を襲名していますし、可能性はゼロではありません。菊五郎というのは格式高い名前ですから、名跡を譲るにもそれなりの格式が必要でしょう」
「松竹は興行収益減を理由にスタッフや演者に大幅なギャラダウンをお願いしたと報じられました。確実に大きな収益を得られる“團菊ダブル襲名”の團菊祭を検討しないはずがありません。それ以上に海老蔵さんはライバルである菊之助さんと“2人で一緒に歌舞伎を盛り上げたい”という気持ちがあるんです」(前出・梨園関係者)