静岡県・東伊豆にあるログハウスの宿「スピークイージー(Real country inn Speak Easy)」。建物から料理までオーナーのこだわりが詰まった宿には、3匹の猫たちが暮らしています。敷地面積約3500坪の宿の敷地と素敵な館を自由に行き来していますが、おもてなしも心得た立派な猫スタッフでした。
ノルウェージャン由来の猫たち
ふわふわの長毛に現れているように猫たちはノルウェージャンフォレストキャットという品種由来の猫たちです。でも、ペットショップで買ったわけでももらったわけでもありません。もともと宿の周辺では多くの農家がネズミ対策で猫を飼っていたこともあり、外来の猫品種も目撃されていました。
その中で和猫とのミックスの母猫が、宿に居つき子を産みました。長毛の遺伝子を引き継いだ子猫たちは、宿で迎え入れることになり、すくすくと育っていきました。
宿の案内係の第1の猫「コルテス」
訪れた時に宿にいたのはコルテス(6歳・オス)。他の2匹はお出掛けでしたが、代わりに宿の案内するように、宿のあちこちを移動して回ります。コルテスの好きな場所は暖炉前のようで、しばしロッキングチェアでくつろいでいました。
この暖炉がある吹き抜けのホールは中央の太い柱が天上を支え、そこから8本の梁が広がるダイナミックな構造です。樹齢128年の杉の大黒柱など大小約1000本の木はオーナー自ら裏山から切り出したもの。完成まで5年の月日を要したこだわりのログハウスの宿です。
2階を案内するコル
コルテスに導かれて、らせん階段を上った2階には一部回廊があり、大きな窓から明るい光が差し込んできます。ベランダに出ると目の前にはさえぎるものがありません。
遠くに海を臨みながらコルテスを撮影していたら、ふと現れたのが銀色の長毛猫。宿では女将と呼ばれているジョアン(6歳・メス)がそこにいました。取材に気付いてやってきてくれたのでしょうか。
女将「ジョアン」のお勧め
ジョアンなりのウエルカム方法でしょうか? 客室のベランダで背中をつけてごろんごろん転がり始めます。そういえば、その客室には人間がごろんとするベットがありますが、なんとアメリカから取り寄せたウォーターベッド。
80年代頃ブームがあり、憧れていたのですが叶わずそれをジョアンが察して、ぜひにとお勧めしてくれているということですね。さらに客室には、オシャレな猫足のバスタブもあって、宿のこだわりがあちこちから現れてきます。
宿のこだわりオーナー
随所にこだわる「スピークイージー」のオーナー小林國芳さんは、若い頃、米国マイアミに3年半滞在し、日本料理店で腕を振るっていました。その時のさまざまな人との出会いやユニークな体験が宿のつくりや食に生かされています。
宿での料理は小林さんの創作料理。本や食べ歩き、食材からのインスピレーションを得て作られたこだわりの料理を提供しています。また、宿の名前スピークイージーは隠れ酒場の意味。バーカウンターには酒場らしく多種多様なお酒が用意されています。
野生的な第3の猫「ダヤン」
ところで3匹目の猫ダヤン(6歳・オス)にはついにお目にかかれませんでした。自分のお気に入りの場所があるそうですが、夜になれば猫専用の扉からわが家に帰ってくるでしょう。
これから寒くなれば、宿自慢のカナダ製薪ストーブの出番。ダヤンも含めて猫たちも温かさに引き寄せられてきます。隠れ家的な宿でお酒を片手にストーブの炎を見詰め、3匹の看板猫たちと過ごす時間は身も心も癒されること間違いなしです。
(南幅俊介)
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