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三浦一光さんと語った「ここが変だよ、日本の流通業界」

2019年1月14日 05:00 商業界オンライン

<三浦一光さんのプロフィール>1956年松下電器産業(現・パナソニック)入社、88年北海道・四国・名古屋営業所長を経て、西日本ナショナル電器社長、91年松下エレクトロニクス初代社長、93年松下電器産業 営業本部副本部長として、ダイエーとの取引をスタート、94年ビデオ事業部長として事業再建、96年レコード会社のテイチク社長として事業再編(天童よしみ「珍島物語」、川中美幸「二輪草」、大泉逸郎「孫」の3曲のミリオンセラー)、99年豊栄家電社長、2005年ヤマダ電機と合弁のコスモス・ベリーズ設立、会長として今日に至る。13年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の理事に就任、15年コスモスベリーズ社内ベンチャー部門「MSM流通研究所」代表兼務、17年一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会の副会長に就任。

〈PART.1〉消費者の変化に気付かぬ企業

働く女性のライフスタイルをきちんと見よ!

三浦 生活家電の洗濯機、冷蔵庫は大きい容量で高価なものが売れている。今まで洗濯機は8㎏~9㎏が中心であったが、現在は12㎏が中心になってきている。そして、冷蔵庫は300ℓ~500ℓから600ℓ~800ℓへ大容量化している。このことは、日本の働く女性の家事条件の変化と見る。昨年、台北市の家電量販店を訪問して驚いた。16㎏の洗濯機が主流になっていたからだ。
 住宅の面積事情は日本と同じなのに、何かの変化を感じた。毎日の洗濯が3日~1週間間隔に変わってきていると思う。冷蔵庫も買い溜めする買物スタイルの変化だと思う。生活者の生活スタイルの変化を小売業は敏感に洞察することが重要になってきた。生活スタイルとモノの関係を研究することが必要になっている。
 女性の社会進出では先進国のシンガポールの事情を知ることは日本にとって大事なことと思う。金融、観光、女性の社会進出が経済をけん引してきた、アジア有数の成長国となったシンガポール。日本において流通・小売業とメーカーも注目することが重要だと思う。アイリスオーヤマの大山健太郎会長が提唱されている「ユーザーイン」のモノづくりは素晴らしいと思う。マーケットインではなく、ユーザーインこそメーカーの使命との考えは私も同感だ。
 定年になり、主人の3食を作ることは奥さんのストレスとなっている。主人が料理力をつけて、奥さんに料理提供することも夫婦円満の秘訣かもしれない。

鮮度管理技術の進歩でまとめ買いが増える

三浦 私は柿が大好きだが、10月の旬な時期以外でも食べることができるようになってきている。リンゴやイチゴなど旬な果実が年中商品化してきている。これは鮮度をキープする技術がどんどん進むことで、全ての食材の鮮度キープの条件が進化して、産直や獲り立ての重要度が低くなることを意味する。
 これにより、毎日来店してもらう食品小売業の環境が激変することになる。そして、競争条件が変化する。さまざまな業態の小売業の参入が容易になってきた。ドラッグストア、ホームセンター、コンビニ等の参入が増加する。そこに競争条件の変化が起きる。

モノからコトへ発想を転換せよ!

中見 会長がおっしゃったように、かつては「関西スーパー方式」のような抜本的イノベーションが行われましたが、その後、40年ほどスーパーマーケット(SM)業界では価格と鮮度でしか競争していないように見えます。価格と鮮度はモノに付随する発想。鮮度管理に関するテクノロジーが進歩し、冷蔵庫も昔の冷蔵庫ではないという点が、なぜかSM企業には見えない。今は既にIoTの時代になり、家電もスマート家電へと進化しつつあることにも注目すべきです。
三浦 私の家内は専業主婦、50代の次女は兼業主婦。この2人の買物スタイルは全く違う。家内にはいつも行くSM、第3の場所のようなSMもある。どこの棚に何があるか分かっているので、陳列を変えられると嫌がる安定した買物型だ。その半面、次女は働いているから「合理性」を求めてコストコを大変に重宝している。こうした層には利便性と買物時間の短縮を求めている。
 SMは食材を販売しているが、生活者は料理されたものを食べる。それなのに、おいしい料理をイメージさせるプレゼンは少ない。食べたくなる料理の情報提供が必要だと思う。おいしく食べている動画シーン提供型のSMを目指すことが必要ではないか。
中見 小売企業はターゲットごとのライフスタイルの変化を見ていかなければいけないですね。昔のように専業主婦が多かった時代から、今は兼業主婦中心の時代に変わったことを流通企業やメーカーはよく認識すべきです。そして、こうしたことをきちんと踏まえた上で、どのようにお客さまに自らの付加価値を提案していくかをよく考えなければなりません。流通業界は小売りミックスの考え方に慣れていますが、その中には価格もあれば、品質の要素もありますが、現在はそれ以上に店舗内の環境や利便性の価値が高くなってきている。流通企業やメーカーは価格や品質だけでなく、消費者にいかに快楽性を提供していくかを考えることも重要です。
 全ての企業や店舗、商品が同質化してしまうと、『レッドオーシャン』に突入し、生存できなくなってしまう点も課題の1つ。それぞれの立ち位置(ポジショニング)を明確化しなければなりません。メーカーが製造する製品で立ち位置を決めるのと同じように、小売企業であれば品揃えや買いやすさなど店の商いで、サービス業は提供するサービスで、立ち位置を明確化することが大切です。

SMは「顧客視点での場」がつくれていない

三浦 この前、ある食品店へ行ったら休憩スペースがつくられていた。1日にどのくらいの利用があるかと質問したら、6人ぐらいとのことだった。1日1000人も来店しているのになぜ利用されないのかが追求されていなかった。お客さまとお店のコミュニケーションの必要性が十分理解されていないと感じた。寒々とした休憩室でなく、食に関する情報発信が重要だと思った。この点について、蔦屋書店やマルイは本気で憩いの場を創っている。座り心地を考えた椅子など素晴らしく、その思いが伝わってくる。
中見 コミュニティが重要だと皆さん言いますが、本来、日本ではお寺や神社、ヨーロッパでは教会の近くの広場にコミュニティがあり、そこに市ができたりしてきました。それは日本のお寺や神社はお布施やおさい銭で生計を立てられるから。コミュニティの役割を地域の自治体や町内会ができればいいのですが、なかなか難しい。そうなると、人が普段集まる小売店が地域のハブ機能として、その役割を果たすのが自然なのでしょうね。超高齢社会の今、小売企業に求められることは多いのです。

〈PART.2〉コスモスベリーズの店数はなぜ増える?

自力では価値が出せないと共創の道へ

中見 会長がコスモスベリーズのVC(ボランタリーチェーン)ビジネスをされようとしたのはなぜでしょう。以前、商店街の家電ショップの活性化だと伺いましたが、会長はこのビジネスを始めるにあたり、経済的価値と社会的価値の両立(CSV)を当初から意識しておられたのでしょうか。あるいはビジネスをやっていきながらCSVを考えられたのでしょうか。会社設立の背景をぜひ、お伺いしたいです。
三浦 それは単純で、豊栄家電では先が見えなかったから。事業を継続するためには、この規模ではお客さまの支持を得る価値は出せないと判断した。そこで、量販店のヤマダ電機とライバル関係の地域電気店の共生ができないかと考えた。ヤマダ電機の創業者・山田昇さんが立派だったのはこの提案を理解してくれたことだ。この話を幾つかの量販店に話をしたが、それらの企業では理解してもらえなかった。
 ヤマダ電機は創業時、山田電化センターとして地域電気店を経験しており、量販店で地域密着をすれば不採算になることを理解していたから、小規模の豊栄家電グループと協業することができた。121店舗のグループが1万1000店舗を超えるとはお互いに想定していなかった。

「加盟店のために本部がある」を実現したかった

三浦 なぜ、これだけ多くの加盟店が増えたかというと、今までのFC(フランチャイズチェーン)、メーカー系列店と違って、加盟店の自主独立と個性を生かせたこと、さらに自由を重要視したためだ。そうすることで、加盟店のためになる本部となり、お互いに「もたれ合う」関係を無くしたかった。
 高度成長期のビジネスモデルとして認められたメーカー系列政策、フランチャイズ政策は安定成長期には通用しないと感じていた。だから、「加入する決定責任を加盟店に持ってもらう」「決して本部のために加入してもらわない」「小売店から個売店へ、個性を発揮できる『個売店』として業態店になってほしい」と思った。
 さらに、公正な競争条件を提供する本部となり、努力する加盟店が発展できる環境をつくること。この条件を満たすために会員制として量販店に関係なく、月1万円とした。
 商品価格も数量に関係なく「均一条件」とした。無料提供をやめて「受益負担の原則」として必要とするところがそのコストを負担する。無料ほどロスコストを発生させることを理解してもらった。
 そして、最も大きかったことはヤマダ電機の持つ全てのインフラ(店舗、商品、配送、工事等)を利用できるようにすることで、加盟店の生産性を高め、個性を持った自主独立の強い個売業をつくることにあった。
中見 そうした考えや思いは会長がもともと松下電器という大メーカーにいらして、メーカーがチャネルをコントロールしていた『メーカーの時代』を体験されたから生まれたのでしょうか。店舗は1店1店、商圏特性が違うし、加盟店の社長は1人1人、ブランドになっていかないと強い店はできないことを、身をもって経験されてきた。だから、今までやってきたことと反対のことをコスモスベリーズでやろうとされたのかと。
三浦 松下の考え通りにやってほしいと系列店に求めたナショナルショップは家電の普及期と成長期は順調に成果も上り、win-winの関係であったが、お互いに依存度が高くなり、もたれ合う関係が強くなってしまった。そして、高普及と安定成長期になると、このスキームは良い結果が生まれなくなった。
 店を変えていく「変革ショップ」戦略は膨大な金と人を動員して変身を図ったが、その効果は限られていた。普及期の成長モデルから考え方を変えることは困難を極めた。高齢化の進む経営者問題、そしてお客さまの価値変化は全てのナショナルショップを成功させることができなかった。

イノベーションはいつも辺境からやってくる

 三浦 私は6年間、豊栄家電の雇われ社長として頑張ってみたが、どうしてもこのやり方では会社はダメになりますと加盟メンバーに話したが、各オーナーからまだ家電事業を続けるので何とかしてほしいと要請された。
 各量販店がそれぞれにFCを展開していたが、単独でオペレーションするのでは生産性もコストも改善されない。地域別に共同FC会社構想が必要と私は考えていたが、なかなか量販店の共鳴は得られなかった。この構想をヤマダ電機が受け入れてくれたわけだ。
 この頃、系列店の仕入れ量が減り、メーカーも採算の合わない月商50万以下の店との取引をやめる状況が起こってきた。かつて世話になった店が取引を切られる姿を見て、この仕入れ量の少なくなった電気店を何とかしたいという思いからVCのBFC(ベリーズフレンドチェーン)を考え、仕入れ量が少なくても定額1万円の会費を頂き、商売ができるようにした。このスキームが他業種の企業が加盟するキッカケとなった。現在84業種に及ぶ企業に加盟してもらっている、世界に類を見ない多くの業種によるVCとして評価されることとなった。
 私は今まで全盛を極めたチャネルで主役に変わるシーンを見てきた。次の主役はアウトサイダーの中にいる。「その他」で区分してしまうと、先見性を失ってしまう。私はアウトサイドを担当してきて次の主役を発見する重要性を痛感してきた。
 昭和42年、名古屋でGMSのユニーさんが家電に参入したことで私の“アウトサイダー”としての仕事が始まった。そこで、電気店と異なる家電事業を徹底的に研究する機会を得たし、常にルールを新しくつくってお客さまのニーズに応えていくことも学んだ。

 中見 常々、会長は仕事を通じ、人生を楽しまれていると感じています。仕事はやらされるものではなく、自らそれを通じて新しさや楽しさを見いだしていくものだと思います。会長はご自身をアウトサイダーだとおっしゃいますが、他の人とは違った角度からモノをご覧になるところが強みだと思います。一橋大学 イノベーションセンターの軽部大教授が論文の中で、「イノベーションは辺境から生まれ出てくる」と記しています。会社のメインの事業にかかわっていると、リスクをヘッジしたくなるので人はどうしてもチャレンジしにくくなる。それがイノベーションはメインではなく、辺境(アウトサイダー)から生まれやすいということでしょう。その辺境から生まれた新たなイノベーションの芽が時代環境に変化適合した際、いつの間にかメインプレーヤーの位置に迫ってくるというわけです。神戸大学経営学部の田村正紀名誉教授が日本の小売業の業態盛衰モデルについて書かれた学術書『業態の盛衰』でも、同様のことが詳しく記されています。小売業態論のアメリカの研究者、ニールセンが唱えた『真空地帯理論』も同様の考え方ですね。

メーカーから冷遇され、ヤマダ電機は自力で成長した

三浦 確かに家電量販店も栃木県宇都宮市からコジマ、群馬県前橋市からヤマダ電機と辺境から出発している。メーカーの取引条件も東京・秋葉原、大阪・日本橋の激戦区より優遇されることはなく、自力で経営コストを削減する努力をしてディスカウント力を自らの努力で付けてきた。
 こうした中、メーカーの支援を受けた大都市の量販店はその後、滅びてしまった。ナショナルチェーンの弱点は経営コストが全国展開で高くなることで、それによりディスカウント力を失ってしまう。チェーンストアもこの法則で力を失っていった。これから売上拡大で事業を継続することが難しくなる画一的小売スタイルで成長することは、ますます難しくなってくると思う。

〈PART.3〉これからの流通業界はどうあるべきか?

世の中は既に「交換から循環」へ転換している

中見 メルカリはいいところに目を付けた。ちょっと前まではコメ兵のようなところに持って行かないといけなかったのが、今は写真を撮って、ネット上で簡単に売り買いが出来る。このように今はプラットホーム的な発想が重要です。コスモス・ベリーズ(株)は加盟店数2万店を目指しているそうですが、自社のビジネスモデルを今後、どのようにしていこうと考えていらっしゃいますか。

 三浦 当社のローカルプラットフォーム事業は「地域の業際型ネットワークでお客さまの困りごとを解決する」をコンセプトとしている。多くの困りごとを単独では解決できないが、地域の専門店がネットワークでカバーすることで生産性も向上して、地域活性化にも貢献できる。各店のお客さまを共有することで成長性も確保でき、信頼も高まる。
 モノからコト、そしてヒトへと生活者のニーズも変化してくる。人生100年時代、人の幸せ感をいかにサポートできるかが重要になってくる。各人が持っている時間をいかに充実させて、幸せ感を満たせるかを追求する企業が生き残る。
 AI、IoT、ロボット社会で小売業は全く新しい価値を求められるようになる。私の学んだ松下幸之助経営学は『企業は社会の公器』であり、全てを社会から預かり、人のため、社会のため、地域のために貢献するのが、使命と学んだ。アメリカ資本主義色の強い企業は株主のために活動することに注力している感がする。日本式資本主義の必要性を痛感する。
 松下幸之助さんはリストラを一切しなかった。私は多くのリストラによって経営再建をしてきたが、経営者の意志と責任の重要性を強く感じた。資源の無駄遣い、労働力の無駄遣いをなくす努力が企業に課せられていると思う。三菱総研理事長の小宮山宏先生の「プラチナ社会」の発想を学んでいきたい。
中見 今度の東京オリンピックは、都市鉱山のプラチナを集めてメダルを作るということになっていますね。
三浦 先般、主婦100人を対象に家庭にある家電品を調査したところ、平均34.8台を所有していることが分かった。この他に家族の家電品があることを考えると50台前後はあると思われる。その中に全く使っていない家電品が17%(6~8台)存在していることが分かった。ジューサー、ミキサー、餅つき機、ホームベーカリー、パン焼き器等で使われない商品は資源、労働力、流通コストが全くの無駄になっている。これからは稼働率の高い商品づくりが必要と思う。働き方改革で労働力の有効性も重要になってくる。人生100年時代の労働力の在り方を変える企業が評価される。労働の多様化、新しい価値観が生まれてくると思う。
中見 会長はビジネスを構築するとき、どのような発想をされるのでしょう。
三浦 最初はリアル(実践)からスタートする。リアルがあって、それに理論がついてくる感じ。研究者の先生方などにビジネスモデルを分析してもらい、次の会社の問題点を見つけることはしている。
 学会などでさまざまな先生方と話をすると、今、学校で教えていることは既に古いそうだ。大学で教わったことがその生徒が卒業するときには使い物にならないこともありえるのだという。われわれ実務家も現在だけを見ていてはだめで、もう少し先を見通さなければならない。ダメなものは明確化し、次にどう変わっていくかを知るために、日々勉強しないといけない。

お客さまは「メーカーや流通企業を変える存在」

中見 最後に、これからの流通業界やメーカーはどうあるべきか、お考えをお聞かせください。
三浦 僕らも日本の復興期にメーカーにいたわけだから、消費者に対してはすごい上から目線だった。メーカーなり、流通業者がお客さまの生活を変えるんだと思っていました。ところが今はお客さんがひょっとしたら時代を変えているのかしれない。これまでとは逆で、メーカーを変え、流通をも変えていくのがお客さまなんだという点にいまだに気が付いていない流通業者やメーカーは多い。
中見 いろいろなことを整理しなければいけない時期に来ていると思っています。そのとき、企業には中長期的な視点が必要です。
三浦 テクニックでモノを売るというのはもう古い。棚割りなんてもうおかしい。このように、まだまだチェーンオペレーション時代の名残がくすぶっている。アマゾンとか、アリババが出てきて初めて、日本の小売業もぴりっとするのではないか。負けちゃうかもしれないけど。
 しばらくは試行錯誤の時代に入ると思う。ヤマダ電機も今までの家電量販店から住宅事業をコアにする方針に変え、それに派生するビジネスに取り組もうとしている。こうした業態は少なくとも日本にはない。唯一、見つけることができたのはハウスメーカーを持っていたからだ。このように家を軸に物事を考え直すと、その先にはEV車も入ってくる。このビジネスモデルで売上高2兆5000億円を目指す。こうした方針を出した後、新聞に山田昇氏のにこやかな写真が出ていた。ここ5年くらいで初めて笑った顔が写っていた。自分の今後、やるべき道をやっと見つけたという感じの表情だったよ。

〈対談後記〉先見性があるから最先端を行ける

  三浦会長との対談を終え、3つのことを考えた。1つ目はこれからはユーザーインの発想が重要であること。2つ目は企業も持続可能な循環型経済へシフトしていくべきだということ。3つ目はVCビジネスの可能性だ。
 この3つはいずれも相関している。それは世の中が、「モノからコト」へシフトしているからだ。
 マーケティングの視点でいうと、「顧客視点」こそがユーザーインの発想になる。これまでの家電流通の世界ではメーカーが圧倒的な力を持っていた。その象徴が系列店流通システムだ。しかし、その後、系列化は弱体化し、チェーンオペレーションの権化である大手家電量販店が台頭してきたが、その強さは「低価格」だった。
 しかし、このビジネスモデルにも新たなライバルであるアマゾンが登場し、崩壊しつつある。なぜなら、アマゾンは究極のチェーンオペレーション企業だからで、世界一の品揃えと低価格という利便性の象徴だからだ。
 そうした新たな敵に出合うことで、メーカーも卸も小売りもどう生きればいいか分からなくなったのが実情だろう。
 あの山田昇氏でさえ悩んだわけだが、そのヤマダ電機は日本の少子高齢化社会を見据え、消費者のライフスタイル変化に気付いたのであろう。
 それが「モノからコトへの発想の転換」である。だから、これまでの家電製品だけを売るビジネスモデルから、家族が集うコミュニティである「住宅」に着眼し、そこで必要となるモノとサービスを連動させたビジネスモデルへと転換させようとしたわけだ。
 その鍵を握る存在がコスモス・ベリーズ(株)。コスモスベリーズのビジネスモデルはVCだが、従来型のVCではない。いつでも辞めてOK、年会費は安い、しかも、本部にとっても加盟店の調達コストが安いと、いいこと尽くしである。
 しかし、三浦会長のすごいところはメーカー出身だからこそ、加盟店の自立を促している点だ。商いの基本は自律である。自律していないとビジネスがダメになったときに、本部のせいにしてしまう。それは他力だから生まれる行動だ。

  もう1つ、コスモス・ベリーズ(株)が優れている点は顧客視点の徹底にある。彼らにとっての顧客とは加盟店だけではない。その先の消費者のライフスタイルを常にウォッチしており、B to B to Cを実現するための「価値共創」の視点を持っていることだ。これはヤマダ電機には到底、まねできないことである。
 三浦会長はイノベーターである。なにせ、中国でアリババのジャックマーが「ニューリテール」と提唱したことを既に日本でやってのけているからだ。フーマーションシェンはコスモスベリーズでやっていることに非常に近いのだ。
 最後に、三浦会長が常々おっしゃる言葉で締めくくりたいのだが、それは「アウトサイダーにはアウトサイダーの戦い方がある」である。正に、「イノベーションは辺境からやってくる」を地で行くイノベーター、それが三浦会長なのだ。

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cat_11_issue_oa-shogyokaionline oa-shogyokaionline_0_40621ac5a3a4_「AIでこう変えよう」日本のコンビニ 40621ac5a3a4 40621ac5a3a4 「AIでこう変えよう」日本のコンビニ oa-shogyokaionline 0

「AIでこう変えよう」日本のコンビニ

2019年1月14日 05:00 商業界オンライン

流通アナリストの渡辺広明氏とAI・IoTコンサルタントの伊本貴士氏による「ミライのコンビニ」対談。最終回は世界に誇る日式コンビニを「AIでこう変えよう!」という問題提起です。テクノロジーの力で「日本のコンビニ、もっと良くなってもらいたい!」

仕事をする人を評価できないか?

渡辺:AIが人の評価をすることはできるのでしょうか? 僕はローソンに勤務していた時代、3年半、店長をやっていたのですが、コンビニ店員の仕事は僕のようなお調子者タイプは向いていません。なぜなら、最初こそ仕事を覚えるのは早いけれど、慣れてくると手を抜くから(笑)。作家の村田沙耶香さんが著した『コンビニ人間』(文藝春秋、第155回芥川賞受賞作)のようにコツコツと同じ仕事ずっとできる人がコンビニ店員に向いていて、そうした地道な作業ができる人こそ評価されてほしいと思っています。
伊本:ある程度は可能だと思います。実際に製造業の現場ではカメラで従業員の顔を撮影し、どれくらいの生産量が見込めるかという判断にAIが使われていますから。人間なので気分の良い悪いがあるのは仕方がないという前提のもと、例えば、気分の悪そうな顔の人がいたら危険な作業をさせないようにしようといった使われ方があります。

渡辺:そうなのですね。では、レジにかわいい女性アルバイトがいると売上げがアップするという定説もAIで分析可能なのですか?
伊本:はい。「かわいい」かどうかはどれだけ結果に影響するか分かりませんが、店員の顔写真をデータの1つとして入れ込んでおけば、AIが「こういう店員がこんな表情のときに売上げが上がる」と予測する可能性があります。
渡辺:つまり、AIは「かわいい」を理解するということですか?
伊本:いや、厳密にはちょっと違いますね。人間はこの子は目鼻が整っているとか肌がきれいだとか、人間の視点から見たいろんな条件から「この子はかわいい」と演繹的に思考をしていますが、AIの思考は帰納的なのです。100万人の顔を見せて、50万人がかわいい、50万人がかわいくないと判断したデータを入れたときに、じゃあそれぞれの50万人共通する特徴は何なのかと、答えから法則を導いています。おそらく、その法則は人間の感覚とは全く違うでしょう。

つまらない仕事はAIに置き換わってもらおう

渡辺:なるほど。では、発注の単位を間違えてアイスを1000個発注してしまいました、皆さん、助けてくださいという〝炎上発注〟は生まれませんよね?
伊本:そうです。あれは今までになかったクリエイティブな手法ですからね(笑)。僕はつまらない仕事はAIに置き換わってもらって、人間はコミュニケーションやクリエイティブな企画の仕事をやるべきだと思います。運動会でおにぎりが売れそうなら発注の個数はAIに任せて、おにぎりを買ってくれたお客さんにさらに何が売れるだろうかというところを人間が担った方がいい。
渡辺:いわゆる関連販売発注ですね。
伊本:繰り返しになりますが、結局AIは優秀なアドバイザーなのだけれどうのみにするだけではいけない。今まで起こったことがない天変地異レベルのことは学習データにないので、その状況も踏まえた予測をすることは絶対にありません。AIをどう学習させて、どう活用するかは人間が判断しなければなりません。その特性を理解した上で、AIをどう学習させて、どう活用するかといった人間とAIが協働する姿は人間が創造しなければなりません。
渡辺:はい。今の話を聞いてソフトバンクの「Pepper」を思い出しました。レンタル契約の継続率が低いことがニュースになっていましたが、Pepperをどう活用するかは企業側に問われているということでもありますよね?
伊本:その通りです。「はま寿司」ではPepperがお客さまの受付・座席案内をすることで、全店でいなくてはならないスタッフとして大活躍しています。成功の要因は、Pepperに高いコミュニケーションを求めるのではなく、予約受付とそれに付随する案内と目的を絞っているところだと思います。家族客が多い回転寿司店で、正確に待ち時間を伝えられるという「はま寿司」の事情に合わせた課題解決に絞って使っていることがぴったりハマっているのでしょう。僕はAIBO(SONY)のように小型のオモチャだったら、もう少しPepperも普及したと思います。しかし、Pepperは企業向けなので面白いだけではなく実際に役に立たないといけません。あのルックスと存在感で発売当初は高い誘引力があったことは間違いないと思います。ただ、AIに対する幻想に似たようなところもあるのですが、動かすだけで高いコミュニケーションができるというイメージが、結果的に導入した企業を混乱させた部分かもしれません。

インターネットで「医療の問題」も解決できる

渡辺:ところで、コンビニで長年望まれているにもかかわらず、なかなか進んでいないのが医薬品販売です。「急に熱が出た」とか「歯が痛くて」という緊急ニーズに応えられたらよいのに、薬剤師や登録販売者など資格を持った人がいないと販売できない。
伊本:はい。ドラッグストアで薬剤師が必要というより、「いること」が義務になっているイメージはありますね。僕が風邪薬を買うにしても、パッケージを見ればだいたいのことは分かるので、薬剤師さんに相談することはあまりありませんから。
渡辺:ローソンはドラッグストア機能を備えた「ヘルスケアローソン」の約180店舗で医薬品を販売していますが、登録販売者がいない時間帯は売れないし、試験と業務経験が必要な登録販売者を一挙に増やすことは不可能。全店に医薬品を置けるようにしろとは言いませんが、医薬品販売はコンビニ業界の悲願となっていると言っても過言ではありません。
伊本:インターネットでは一般用医薬品が買えるのにコンビニで買えないというのは不思議。政治的な話なのだと思いますけど……。
渡辺:1店舗に1人いなくても店頭にテレビ画面を置いて薬剤師と会話できるシステムでもいいと思いませんか?
伊本:いや、それならわざわざお店でやらなくても、事前にインターネットで薬剤師と話して相談した上で「あなたがこの薬を買うことを認めます」といった情報を登録し、それでもって薬を買える仕組みがあればいいと思います。

 渡辺:ローソンは昨年行われたCEATEC JAPAN 2018で、バイタルセンサーによって来店者の心拍数や血圧、心音、肺音などを測定してそれを基に遠隔地の医師の問診を受けられるデジタルコンシェルジュというサービスを展示していましたが、これを生かすにもまず薬の販売が可能になってこそ。なかなか難しいとは思いますが、コンビニで医薬品が販売される日がきてほしい。
伊本:そうですね。いろいろな事情があるのだと思いますが、コンビニは困ったときに開いているという点に社会的価値があるので、より便利になってほしいという気持ちが届いてほしいものです。
渡辺:はい。僕も、世界一の小売り業態ともいえる「日式コンビニ」は無人コンビニなど極端な方向を目指すのではなく、カスタマーファーストを重視する路線で進むべきだと思っています。これから先、人口減、超高齢化の中、コンビニの人手不足が深刻化することは間違いありません。そのためには省力化を見据えてAI・IoTと共存する店舗運営がますます必要となっていくでしょうし、インターネット通販に唯一対抗できるリアル小売業として、コンビニの存在感は増していくはず。その中でどのような進化を遂げていくのか、考えるだけでワクワクします。
伊本:僕もテクノロジーの力でコンビニを良くするお手伝いができればと思います。

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cat_11_issue_oa-shogyokaionline oa-shogyokaionline_0_21938b5faff4_「ぶりしゃぶ」の効果をアップさせる「鍋野菜」5選 21938b5faff4 21938b5faff4 「ぶりしゃぶ」の効果をアップさせる「鍋野菜」5選 oa-shogyokaionline 0

「ぶりしゃぶ」の効果をアップさせる「鍋野菜」5選

2019年1月13日 06:00 商業界オンライン

 冬のごちそうといえば「ブリ」ですよね。
「寒ブリ」と呼ばれるように脂が乗った冬のごちそう。最近は、スーパーマーケットでも手軽に手に入るようになりました。
 古くから『旬の食材を食べると健康につながる』と言われるように、この脂たっぷりの「ブリ」が正月太りや肝臓のお疲れ、疲労、風邪予防など、この時期の体のお悩みをバッチリ解決してくれます!
「ぶりしゃぶ」はヤセ鍋の代表格! 実は多い「鍋太り」でお悩みの方も、ぜひどうぞ!

ブリはすごい!4つの栄養効果

1.「内臓脂肪に!」話題のスーパーオイル「DHA、EPA」はトップクラス!
 サバ缶のヒットで身近になった「ダイエットオイル」DHAとEPA。ブリも引けを取りません。100g当たりの含有量は、DHAはマグロに次いで2位、EPAは4位。旬の時期は脂が多く、この含有量が増えます。また、部位別では背側「雄節(おぶし)」<腹側「雌節(めぶし)」で、脂の多い「腹側」の方がDHA、EPA量も多くなります。
2.「タウリン」&「ナイアシン」が「肝臓を助ける!」
「タウリン」はブリの「血合いの部分」辺りに多く含まれ、肝臓の解毒能力を強化、アルコール障害にも効果的です。「ナイアシン」はアセトアルデヒドという2日酔いを引き起こす成分の分解を助けます。家飲みメニューにうってつけ!!
3.「ビタミンD、E」が「テストステロン」などホルモンアップ!
 男性ホルモンの「テストステロン」をはじめ、成長ホルモンの分泌を助けるビタミンDと、血流を促進し、その効果をさらにアップさせるビタミンEの両方を含んでいます。若さと肥満予防にも重要なホルモンはアルコールの飲み過ぎにより減るので、積極的に補って!
4.「ビタミンB群」と「鉄分」で「代謝アップ!」「疲労回復!」
 ブリは「代謝」や「疲労回復」に重要なビタミンB群が豊富な食材です。中でも豊富なビタミンB1は糖質や乳酸を分解、B2はコレステロールの代謝を助け、ダイエットや疲労回復に働きます。また、血合いの部分には「鉄分」が豊富。最近、疲れやすいという方は男性でも「鉄分不足=酸素不足」の可能性あり!酸素がないと脂肪は燃えないので、ダイエットにも必須です!

「ぶりしゃぶ」をお薦めする理由

 新鮮な魚を食べる際、DHA、EPAを逃さないためには「刺身」ですが、「しゃぶしゃぶ」で野菜を一緒に摂取すれば、ビタミンCやカロテンなどブリに含まれる栄養素の吸収率を高めてくれます。調味料も極力シンプルにできるので、糖質や塩分も抑えられます。

  さっと湯を通す「しゃぶしゃぶ」なら、ブリのDHA、EPAや野菜のビタミンCなど火に弱い栄養価の損失も低く抑えられますし、脂の強いブリはお湯を通すことで余分なアクが抜け、ぐっと甘さと旨味が増します。魚嫌いの子供でも、「ぶりしゃぶ」は人気ですよね。
 また、生魚は体を冷やしますが、特に寒い季節に体を温めて免疫アップできるのも鍋料理をお薦めする理由の1つ。火を通すことで消化を助け、飲み過ぎ、食べ過ぎや風邪など、弱った胃腸に優しいのもうれしいですね。
 では、「ぶりしゃぶ」に入れたい!効果アップ「鍋野菜5選」をご紹介!
(1)小松菜:「冬食材」同士!ダイエット効果の強力タッグ!

  冬野菜の小松菜はパワー野菜の代名詞。ホウレン草に引けを取らないほど、抗酸化作用の「B―カロテン」が豊富。ホウレン草よりもカルシウムが約4倍、鉄分が3倍含まれています。小松菜はえぐみ(シュウ酸)がわずかで下ゆでの必要がないのでそのまま使えて便利! しゃぶしゃぶには向いているので、ぜひ食べてください。
 栄養素ですが、小松菜の若返り成分・B―カロテンはブリの脂と一緒に取ると吸収率がアップ! 老化による代謝低下をググッと底上げをします。
 小松菜に含まれる「カルシウム」とブリの「ビタミンD」はどちらも血糖値コントロールに関与する「ダイエットビタミン」。ビタミンDはすい臓のβ細胞に直接作用してインスリン分泌に、カルシウムは細胞内のインスリンのシグナル伝達に影響します。
 ブリと小松菜に含まれる「鉄分」も、脂肪燃焼のために必要な「ダイエット栄養素」。疲れやすいという方は不足している可能性がありますよ!
 小松菜には「ビタミンC」も豊富。ビタミンCは、ビタミンD、カルシウム、鉄分といったダイエット栄養素の吸収率を軒並みアップさせます。
 つまり、ブリのビタミンDと小松菜のカルシウム、ビタミンCを同時に取ると相乗効果で吸収率がアップ。ブリと小松菜はダイエットの強力タッグなんです!
(2)ネギ:代謝と免疫アップ。効果倍増!風邪予防にも!

  ネギの青い部分は「ビタミンC」と「ビタミンA」(ベータカロテン)が豊富。この2つの抗酸化ビタミンは、ブリに含まれる「ビタミンE」と同時に取ることで相乗効果があります。これは若返りや代謝をさらに促すということ。その結果、ストレスやウイルスへの抵抗力をさらに発揮してくれます。
 ネギの白い部分に多い「硫化アリル」はブリに含まれる「ビタミンB群」のエネルギー代謝をさらに促進させる働きがあります。これはスピーディーな疲労回復と同時にダイエット効果にもつながります。
 また、硫化アリルには殺菌作用や消炎作用があるため、風邪予防にも。昔から『風邪を引いたら首にネギを巻く』と言いますが、理にかなっているのですね。
(3)豆苗:「豆」と「緑黄色野菜」のいいとこ取り。「代謝&若返り!」

  エンドウ豆を発芽させた新芽野菜の豆苗は、葉野菜に豊富な「β―カロテン」と「ビタミンC」が小松菜と同等程度含まれ、ブリの若返り効果を促進させます。また、豆由来の「タンパク質」「ビタミンB群」、そして「食物繊維」がブリの代謝アップ効果をさらに後押しします。
 豆苗は生でも食べられますが、さっとゆで通すとまたおいしい、しゃぶしゃぶ向きの野菜。シャキシャキした歯応えが満足感も高めます。
(4)マイタケ:「肝臓ケア」のダブルヘッダー!

  マイタケに含まれる抗酸化物質「エルゴチオネイン」には、有害物質の吸収を防ぎ、肝臓の保護作用が期待されています。
 ブリに含まれる「タウリン」「ナイアシン」とタッグを組めば、さらに、肝臓スペシャルなケアに!
(5)春菊:β―カロテンの宝庫。和製ハーブはリラックス&健胃効果も! 

  関西地方では『菊菜(きくな)』と呼ばれる冬野菜。「β―カロテン」が豊富で、ホウレン草を上回るほど。また、「ビタミンB群」「ビタミンE」「葉酸」「カルシウム」や「鉄分」など栄養も含むので、ブリの若返り効果や代謝促進、疲労回復に幅広く働いてくれます。
 春菊の独特の香り成分「α‐ピネン」「ベンズアルデヒド」などは、自律神経に働き掛け、精神安定やリラックス効果で食べ過ぎ予防につながります。また健胃作用もあり、消化を促してくれます。
 春菊の苦味は茎よりも葉に多く含まれ、加熱すると苦味が強くなるので、さっと火を通すしゃぶしゃぶ向き。この適度な苦み、お酒にぴったりですね。

シンプルなしゃぶしゃぶは「ヤセ鍋」!

 鍋太りの原因――。
 栄養バランスもよく、脂肪も少ない鍋料理の唯一の欠点は「スープ」。
 最近は「鍋の素」が手軽にできると主流になってきましたね。タイプはいろいろありますが、鍋の素には塩分、脂肪分、糖分が入っています。適量なら問題ありませんが、濃い味のスープはラーメンやうどん、そばのスープとさほど変わらないので、健康が気になるなら残した方がベターです。
 もう1つは量。適量なら野菜やキノコ類などをしっかりとれば、カリウムである程度の塩分が排出できるので、さほど気にする必要はありません。

  でも、ストレートタイプ3〜4人前を2人で食べてませんか? 鍋の素には保存が難しい使い切りが多く、それを2人で食べると煮詰めたスープの素を2人前食べることに。味が濃くなると、どうしても最後の締めが食べたくなりますが、たっぷりのスープを吸わせるために量が多くなり、糖質の量も増えてしまいます。
 市販の鍋の素を使う場合は、最近増えてきた1人鍋用の「1人前」を人数分使うのがお勧め。無駄がなく、塩分や糖質の取り過ぎだけでなく、食べ過ぎも防ぎます。

シンプル、ヘルシーでおまけにリーズナブル!

 しゃぶしゃぶタイプは、市販のお鍋の素でも比較的薄味で安心ですし、うまみが詰まった「ブリしゃぶ」は、わざわざ鍋の素を買わなくても、自宅にある調味料だけでブリのおいしさが際立ち、十分おいしく頂けます!
 煮込むのでなく、食べる前につけること。また薬味を効かせると、塩分や糖質も少量で済みます。

お薦め薬味「ユズ」で香り高く、さっぱりと!

  定番のポン酢ももちろんおいしいですが、冬は旬の「ユズ」をぜひ使いましょう。ビタミンCはレモンの5倍。まさに風邪の季節に欠かせない果物です。クエン酸もたっぷりで疲労回復効果や代謝促進でダイエット効果も高まります。また、皮の部分は香りとともに栄養価もたっぷりです。彩りも鮮やかになりますよね。しょうゆもよいですが、唐辛子や黒コショウを加えると、ピリッとお酒に合う大人の味わいです。
 いかがでしたか?
 ブリ以外にも、冬においしい鴨しゃぶや定番の鶏しゃぶ、人気のラムしゃぶなどなど「しゃぶしゃぶ」は素材本来の栄養とおいしさを堪能できる「ヤセ鍋」。
 ぜひ、お好みの野菜とのペアリングでお試しください!
(松田 真紀)

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2019年流通はどうなる? どう変わる? そして未来を考える

2019年1月13日 06:00 商業界オンライン

 今年はどうなるかを予測する上で、昨年、『2018年流通はどうなる? どう変わる? そして未来を考える』で、予測したことを振り返り、反省しながら考えてみた。

〈価格競争〉増税のタイミングで激化するか

『一部で値上げが行われているが、需給ギャップは埋まらず、あらゆる業種・業態で出店過剰の中、価格競争はますます激しくなるだろう』
 この予測はある意味そうなったが、ある意味そうはならなかった。EDLPでなくなるといわれたスーパーマーケット(SM)の折り込みチラシは相変わらずで、低価格を訴求し、5倍、10倍のポイント付与も盛んだった。その一方で、大手メーカーを中心に原料費や物流費、人件費などのコストアップを理由に実質的な値上げ(価格を据え置きながら容量を減らす)をするなど、価格自体は下げ止まり感が見えてきた。
 今年は、日本コカ・コーラ、明治、ロッテ、東洋水産、ニチレイフーズなどが昨年と同じ理由で、春から値上げを予定しており、アイスクリーム、菓子、飲料、麺類、冷凍食品などが値上がりする。
 今後はメーカーサイドの値上げの動きが中小にも波及するかがポイントとなるが、競争環境を考えると難しい面もあり、一部では体力のない中小メーカーの倒産にもつながっていく可能性もある。
 メーカーの値上げ攻勢を受けて、SMはどのような動きを見せるのか、人件費や物流費のコストアップは小売りも同じで、値上げ分を吸収する余力はなく、売価は上がるだろう。だが、10月に消費税率の2%引き上げが予定され、消費者マインドは落ち込むので、その時点で価格攻勢に打って出ることも十分予想される。
 ただ、世界経済は米中経済摩擦やEUからの英国離脱という大きな懸念材料を抱えており、今後の日本経済の動向や7月の参議院選挙の結果次第では増税の見送りも考えられる。
 増税は駆け込み需要とその反動を引き起こすが、ならせば変わらない。消費税率がいよいよ10%の大台に乗ることから、消費者意識に対する影響を「今までとは違う」と懸念する向きもあるが、一時的には落ち込むが、食品の軽減税率の適用もありそう心配することはないと思う。
 今のままの財政状況では今後も消費税が上がっていくことは確実で、いずれ欧州並みの20%台になるだろう。小売業界の増税反対の機運も前回の増税時より下がっており、「消費税増税当たり前時代」を冷静に受け止めて対処することが求められる。
 今回も増税の際に予定されているポイント還元などの場当たりな消費落ち込み対策ではなく、政府も根本的な所得格差の解消を考えるべきである。景気は戦後最長の好景気を持続しているが、企業は潤えど、一部を除いて個人の懐は一向に豊かにならない。個人所得の増加に向けた対策と所得格差の解消が喫緊の課題である。

〈人手不足〉テクノロジーでようやく解決へ

『人手不足の問題も顕在化している。今年も景気は底堅く推移すると考えられ、人手不足の解消は見込めず、「人手不足」はさらに深刻化するだろう。……好転する確率はゼロ%で、人手不足対策が恒常的な経営課題になってくる』
 これは言わずもがなで、ますます省人化、省力化の動きは加速する。店舗での精算では、セミセルフから完全セルフレジへの移行、キャッスレスレジの導入も増えていくだろう。そして、セブン&アイ・ホールディングス(HD)が今春、スマホ決済サービスをスタートさせる予定で、アライアンスも含めて追随する動きも出てこよう。
『今、ここで起こっていることはコト消費への対応である。ここ数年、特にショッピングセンターではモノからコトへのシフトが叫ばれており、取り組みを強化。今年もその傾向が続くだろう』

〈コト消費〉これからは「いかに収益に結び付けるか」の段階に

 昨年、コト消費の取り組みで象徴的だったのが、イオンモールの「ジ アウトレット広島」。シネマ、アミューズメント施設はもとより、スケートリンク、ボウリング場、トランポリンも導入、広大なフードゾーンも設け、時間消費に対応、ワークショップを備えたクラフトショップなど地元・瀬戸内の特色あるテナントも誘致した。コト消費的側面を持つアウトレットモールに、さらに時間消費のコンテンツを盛って、対応した異例の施設だ。
 今年は、「ららぽーと沼津」「渋谷パルコ」といった大型商業施設が開業予定で、特に沖縄最大級の「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」でのコト消費対応が注目される。今までコト消費は取り組むべき課題だったが、これからはコト消費を取り込んでいかに収益に結び付けていくか、“収穫する時期”を迎えており、正念場となる。

〈ネットとリアルの融合〉労働集約型の小売業の姿を変えるか

『また、ネットとリアルの融合も大きなテーマだが、融合して得られるメリットは限られている。店舗ではスマホアプリなどでネットを店舗に誘導するツールとして割り切り、Eコマースはリアルと切り離してビジネスの拡大を目指していく。それぞれ別個に考えてビジネスを構築した方が可能性は高いと思う』

  これは、オムニチャネルを縮小し、セブン&アイ・HDがスマホで店舗へ誘導する「セブン‐イレブンアプリ」を始めたように顕著になってきた。これからもこの流れが主流になっていくが、AI、IoTなどを活用することで新たな取り組みが出てくる可能性も十分ある。
 イオンが、ECや物流自動化などのデジタル投資が2022年度からの3年間で1兆円になる見通しだと明らかにしたように、この領域でさまざまな展開が繰り広げられていくだろう。結果次第では労働集約型の小売業の姿を大きく変える可能性がある。

〈M&A〉SMにHC、ドラッグストアも。百貨店は?

『救済合併は今後も行われていくが、さらに寡占化が進行していく中で強者同士の連携も起こる可能性も高まっていく。そして、M&Aの新たな担い手も登場し、全く異なる業種からのアプローチも増えていく。そして、米国でアマゾンがホールフーズ・マーケットを買収したように、国内でもネット企業がリアルにM&Aを仕掛ける可能性も大きい』
 北海道のアークスと岐阜のバローHDが、九州のリテールパートナーズも加わり、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成したのは、地域が重ならないローカルの雄同士の連携である。この同盟はさらに連携を呼び掛けており、加わるチェーンも出てくるだろう。
 そして去就が注目されるのは、近畿では平和堂、オークワ、首都圏では三和、東北ではヤマザワ、関東甲信越ではアクシアル リテイリング。どのような動きが起こり、どのようなアライアンスの形となるのか興味深い。一方、受け皿となる企業は、イオン、セブン&アイ・HD、ドンキホーテHD、エイチ・ツー・オー リテイリングといったところ。意欲はあるが動きのなかったライフコーポレーションの動向も要注意だ。新日本スーパーマーケット同盟と組めば、それこそ業界再編に大きな影響を与えるだろう。
 ホームセンター(HC)では4月にバローHDがダイユー・リックHDを傘下に収め、両社のHC事業が統合されるが、さらなる動きも予想される。ドラッグストアでは中小チェーンの大手グループ入りの流れが加速していくだろう。

  個別企業の動向も注目される。百貨店では、再建が進まないそごう・西武をセブン&アイ・HDがどうするのか、見切るとなると、買収先は首都圏での事業拡大のエイチ・ツー・オー リテイリング、不動産ビジネスとしてのJ.フロント リテイリングが有力だ。
 そして、昨夏、ウォルマートによる売却が報道された西友の将来がどうなるのか。今年はその結論が出る可能性は五分五分で、売却となるとファンド以外は有力視されているドンキホーテHDだろう。
 ドンキは海外でも事業を拡大しようとしている。年初にはタイに進出、2月には社名もパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに変更し、環太平洋エリアでの事業展開を活発化させる。
 シンガポールでは既に人気店となっているが、海外事業で陣頭指揮を執る取締役に復帰した創業者の安田隆夫の手腕が注目される。

10年後を見据えた戦略を立てる必要がある

 このように予測される大きな流れを見てくると、小売業界が大きな曲がり角を迎えているのは明らか。2019年はポスト2020年に向けた助走段階と位置付け、10年後を見据えた戦略を立てるべき時期といえるだろう。
 そこでは、IT、IoT、スマホペイ、自動倉庫といったニューテクノロジーの活用に加えて、持続可能で多様性と包括性のある社会を実現するための「SDGs」、環境や社会に配慮した倫理的な「エシカル消費」、人とつながる「コミュニティ」といった社会的要素も考える必要がある。
 そして何より、ビジネスとしての全体最適を見据えて、小売りにとどまらない商品やサービスを生活者に届ける最適なサプライチェーンの構築が求められる。
 2019年は、山あり谷ありの波乱の年となることが予想され、小売業を取り巻く環境は厳しく、臨機応変に対応する場面も昨年以上に出てくるだろう。
(西川 立一)

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18年12月に「ユニクロが好調だった理由」

2019年1月13日 06:00 商業界オンライン

 昨年12月は初め頃は夏日を記録するなど、とても冬のコートなんか売れるような気温ではなかった(12月4日の東京都の最高気温は23.4℃と翌5日も含めて20℃超えを記録)。後半に入ると今度は極端な寒波に見舞われ、1カ月の平均では東京の最高気温は12.1℃、最低気温は4.7℃だったが、極端な気温の上下動に翻弄されたのがこの月のファッション業界だ。

  月次の営業成績を20日締めする企業(しまむら、ライトオン)は先月の「ブラックフライデー商戦」を数字に取り込めたが、後半戦は厳しい内容になった。一方の月末締め企業(ファーストリテイリング、良品計画、アダストリア)は前年同月比で休日が1日多かったのも好結果で終えられた要因の1つだった。

*しまむら(既存店)売上高 92.2%、客数 92.4%、客単価 101.2%

 ブラックフライデーのテレビCMを中心に販促に注力し、婦人ニットや紳士NBカットソーなどの販売は好調。今年も「ブラックパック」という福袋を多数そろえて「ブラックフライデー商戦」に備えた。メンズでは新日本プロレスコラボ(税込3000円)、レディスではディズニーパジャマ(税込2000円)が人気だったようだ。
 ただ、中旬まで気温が平年より高く、防寒アウターやパジャマなど冬物商品の販売に影響したことで、売上高は前年実績を下回った。これで既存店前年実績割れは8カ月連続と依然厳しい状況が続く。そして、野中正人代表取締役会長が12月31日付で退任。体調悪化を理由に本人からの申し出があったようだが、野中氏は2005年に社長就任後、積極的な出店や低価戦略で同社の成長をけん引してきただけに、今回の突然の辞任は驚きとして受け止められた。新たな会長職は置かず、代表権者は北島常好社長のみとなる。

*ライトオン(既存店)売上高 98.5%、客数 98.8%、客単価 99.6%

 ミリタリーアウターやスウェットトップスなど好調に推移した商品もあったが、例年に比べ気温が高い日が多かったこともあり、防寒アウターや防寒ボトムス等の冬物商品の販売が伸び悩んだ。メンズでは廉価タイプのMA-1(税込3900円)、チャンピオンの裏起毛プルパーカー、レディスではマルチウエイのモッズコートなどの動きが好調。「ブラックフライデーセール」ではキッズの790円(税込)シリーズにも人気が集まった。ディズニー、PBのMOCOMOCOシリーズ、ボトム各種もお値打ち感としてしっかりと訴求できたようだ。全体的に「ブラックフライデー」期間の販売は好調だったものの、翌週以降のWinter Outer Campaign(アウター含む1万5000円以上の買い上げでコーヒーグッズ4点セットのノベルティ付き)は、「ブラックフライデー」明けの反動対策にまでは至らなかったようで、既存店の同月比は売上高、客数が2カ月連続して前年に届かなかった。

アダストリア(既存店)売上高 104.9%、客数 102.3%、客単価 102.5%

 12月は前年より休日が1日多く、中旬以降、冬らしい天候となったことで、冬物衣料の売れ行きが加速した。ブランド別ではグローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファーム、ジーナシスなどがけん引。アイテム別では前月に続いてコート、ブルゾンなどのアウター、ニット類が売上げの中心になり、マフラー、ブーツなどの服飾雑貨も人気だった。
 2019年2月期第3四半期決算をみると、直近3カ月(18年9月~18年11月)の国内既存店売上高は前年比を103.1%と記録(9カ月累計は98.3%)。これは第1四半期から取り組んでいた次の3つの施策による効果だ。
(1)商品力強化のための意思決定、情報共有のスピードを上げる環境整備
(2)メリハリある価格設定により値下げ販売を抑制
(3)基幹ブランドが全社をけん引(ニコアンドが好調を維持、グローバルワークとローリーズファームが回復)
 これらに基づき、主要SC施設のセールタイミングに合わせるように、12月22日からSALEを全面に打ち出したが、従来と比べてきめ細かな値下げ率も功を奏したようで、客単価を落とさずに既存店売上高の前年実績をクリアしている。

ユナイテッドアローズ(既存店)売上高 106.7%*1、客数 102.0%、客単価 101.9%

  初旬の気温高の影響で動きは鈍めだったものの、中旬からの気温低下に伴い、ニットやアウターなどの冬物衣料が好調に推移。加えてメンズのパンツ、シューズ、ウィメンズのジャケット、スカート、ワンピースなどの動きが目立った。
 メンズでは相変わらずノースフェイスのダウンJKの他、デサントのオルテラインなどNB勢が優勢。PBダウンも小松マテーレ(旧小松精練)の高密度ナイロンやTW素材を使ったデザインが人気を集めたようだ。カシミヤ混、タスマニアウール、ブークレ糸を素材にケーブル、ワイドリブと編み地と色のバリエーションを組んでテーブル展開した売場が印象に残った。レディスではブランドコラボした高額のライダースJK等が売上げに貢献した模様だ。小売+ネット通販既存店売上高は前年同月を6.7%上回ったが、前年同月に比べて休日が1日多かった影響(+1.6%程度と推測)を含んでいる。

良品計画(既存店)売上高 108.8%*2、客数 108.3%、客単価 96.2%

 前半は、前月に引き続き、カットソー関係が衣服・雑貨の売上げの中心となったが、気温が下がった中旬からは、ヤクウールのニット、ダウンブルゾン、パジャマ、インナーウェアの売上げが大きく上昇。定番化に向けて実験的に取り組む別ラインのMUJI Laboでも、“即完売商品”が登場。マイクロファイバー生地を使った「着る毛布」のリバーシブルプルオーバー(6990円税込)は、全国取り扱い店舗も24店舗と限定的だが、建値で完売したようで、「着る毛布」というコピータイトルもお客の胸に刺さったのかもしれない。
 生活雑貨ではタオル、スリッパ、小物収納に加え、月後半は掃除用品が好調だったが、ベッド、リビング家具、季節家電の売上げが前年を下回った。
 これで衣料・雑貨部門の既存店売上高の前年比クリアは2017年4月以降、21カ月連続と好調を維持。既存店全体の客単価割れが14カ月連続なのは、価格合理性を求めて値下げを続けてきた結果だが、秋冬シーズンに価格を見直した家具は購入サイクルが長いだけに販売の伸びも限定的。好調なニトリと競合する分野だけに、今後の対策がポイントとなるだろう。

ユニクロ(既存店)売上高 105.2%、客数 104.3%、客単価 100.9%

 冬の寒さが本格化し、シームレスダウン、ヒートテック、フリースなど防寒系の主軸アイテムが動いた。前月、前々月は動きの鈍かったカシミヤやラムウールのニット関係も売れた。年末商戦として取り組んだ「年末祭」が好調な売れ行きで全体を押し上げたようだ。
 今年のクリスマス商戦では、ギフト用パッケージを新たに5デザイン用意して需要喚起に注力。「年末祭」のノベルティ(1万円以上の買い上げでプレゼント)のフリースブランケットも、年末の大型寒波とマッチして好評だったようだ(早速、メルカリで300~500円くらいの価格で取引されている)。2年前の暖冬シーズンにはシームレスダウンを12月第3週に値引きしていたが、今年は1週繰り上げて対応。
 こうしたことから3カ月振りに既存店売上高をクリアさせたものの、2018年9~11月決算では国内のユニクロ事業は4.3%の減収、29.9%の営業減益だった。ユニクロの18年秋冬シーズンはデザイナーコラボそのものにも鮮度が感じられず、前年踏襲的な品揃えの印象が拭えなかった。そうなると、急いで買い求める必要はなくなり、お客の気分次第となってしまうから天候に左右されてしまう。それでも売上指数の高い12月の既存店売上高をクリアさせたのは、セールスプロモーションへの取り組みや、臨機応変さの現れからで、見習うべきところは大いにある。

〈秋冬対策〉重アウターにはシルエットチェンジが必要

「ブラックフライデー」に取り組んだ企業は集客、売上げの反動、月初からの気温高には悩まされた。特に20日締め企業はそのまま需要の盛り上がりを受けることなく終えた印象だ。月末締め企業は『天皇誕生日』を絡めた3連休、月末の休日の売上げをしっかり取り込めた。前年比で休日が1日多かったこともあるが、冬物セールを前倒しで敢行したのも集客、売上げに貢献したと思われる。
 アパレル小売り各社の特徴の1つに秋冬の売上げ構成の高さがあるが、この時期の成否を決めるのが「客単価が高く、リスクも高い重アウター」。夏のカットソーと比べると買い替えサイクルが長い商材なので、そろそろ大きなシルエットチェンジを加える必要があるだろう。お客のタンスに眠っていない新しいデザインの重アウターの開発を考えなければならない。

(1月商戦のポイント)セールによる売場陳腐化に注意

 例年、1月は初売りと冬物セールが本格化する月度。既にラフォーレ原宿に1300人、渋谷109に2000人、7年振りに初売りとセールを同時開催した新宿伊勢丹には何と1万人の行列をつくったようだ。今年のお正月は天候も恵まれたので、その他の商業施設も客足は期待できたのではなかろうか。しかし、イオンモールは12月22日、ららぽーとやラゾーナ川崎プラザでは12月28日からと年内セールから始めているところでは、1月の終盤にかけて売場が陳腐しかねない。冬物セールを進めながら、今から着られる魅力的な春物商品の投入で「セールアウター+新作春商品」で売場を活性化させる必要がある。
*印の企業=20日締め、*1=小売既存+ネット通販既存の合算数字、*2=衣料品部門の数字/文中の売れ筋動向情報はIR情報及び筆者視察によります。
(磯部 孝)

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cat_11_issue_oa-shogyokaionline oa-shogyokaionline_0_57559924b42f_身体重心を感じられればスイングは安定する 57559924b42f 57559924b42f 身体重心を感じられればスイングは安定する oa-shogyokaionline 0

身体重心を感じられればスイングは安定する

2019年1月12日 05:00 商業界オンライン

 ゴルフはスイングのことばかり考えがちですが、スイングの前提である身体重心(体の重さの中心位置)の感じ方は大変大事だと思います。正しく身体重心を感じることができるとスイング中の姿勢が安定し、トップ、ダフりが激減します。ゴルフが面白くなりますよ。今回は身体重心の感じ方について記します。

大事なのは押されても動かない状態

 私の知っている限りでは、身体重心の感じ方には次の3つがあります。
①両足の親指の付け根で身体重心を感じる
②両足の真ん中で身体重心を感じる
③両足の踵で身体重心を感じる
 何でもありなのだなということがよく分かります。大事なことは方法ではなく、身体重心を感じた結果、どんな状態になるのが正しいかということです。
 正しい状態は「アドレスをとったとき、第3者に頭や胸、背中を押されても、倒れ込まないこと」です。この状態を維持するために、親指の付け根、真ん中、踵のどれが良いのかを探します。
 少々昔になりますが、野球の元巨人軍・王貞治氏が身体重心を感じるために「合気道」を取り入れ、一本足打法を完成させたことは有名な話です。最近では、王氏の師匠であった荒川博氏を師事した上田桃子プロが復活し、久しぶりの優勝を果たしましたが、上田桃子プロはボールを打つときに合気道を利用して、身体重心を感じるアドレスの取り方を体得したそうです。

合気道による押されても動かない身体重心の感じ方

 文字通り、押されても動かないようになるためには、アドレス時、トップ時、フィニッシュ時に、知人に前後左右から頭、肩、背中を押してもらい、動かない立ち方を探します。
 私が教えてもらった合気道の先生は「頭のテッペンから天に向かい、足の真ん中から地中に向かって気が出ていると思い、立ちなさい」と言っていました。気が出ていれば、押されても動かないと教えてくれました。
 このようにして押されても動かない立ち方を探し、結果として自分は親指付け根、真ん中、踵のどこに身体重心を感じているときに押されても動かないのかを確認します。

その場ジャンプでも身体受信を感じることができる

 身体重心を感じる方法のもう1つがその場ジャンプ。やり方は簡単で、いつも通りアドレスし、その場で3回ジャンプしましょう。着地した姿勢が自分の身体重心を感じられる姿勢です。そのままアドレスに入りましょう。
 わざと前方10センチに飛んでみたり、後方10センチに飛ぶと不安定な状態が分かり、その場ジャンプとの違いが認識しやすくなります。
 また通常、その場ジャンプは両膝を柔らかく使ってしますが、両膝を突っ張ったまま、ジャンプすると、ぎこちないジャンプになり、両膝を上手に使ったジャンプとの違いが分かります。悪いジャンプも試してみて、身体重心を感じる姿勢、感じる位置を探します。
 その場ジャンプで感じる重心で、両膝を柔らかく使った状態でスイングを行うと、押されても動かないどっしりとしたアドレスとなります。

身体重心を感じる3つのメリット

 身体重心を感じるメリットは何といってもスイングの安定感が増すことです。前傾姿勢の維持がしやすくなり、クラブが体の前でくるっと自然に回ってくれます。
 具体的に書くと、
(1)アイアンショットのトップ、ダフりが激減する:トップ、ダフりが減るので、ある程度の距離が出るようになり、ゴルフらしくなります。ビギナーがゴルフをやって楽しくなってきます。左右にぶれる問題は依然として残りますが、楽しくなることは重要ですね。
(2)バンカーショットが安定する:ビギナーにとって、バンカーは鬼門ですね。ヘッドが構えた場所に戻るようになるので、段々バンカーが怖くなくなります。
(3)アプローチショットが安定する:セカンドショットで折角グリーンに近づいても、アプローチショットを失敗するとガクっときますので。
 このように、イージーなミスを削減してくれるのが、身体重心を感じるメリットです。特にビギナーの優先課題になると思います。

身体重心を感じるときに起こりがちな4つのミス

①前傾を意識し過ぎると前重心になる:前傾姿勢は大変大事なのですが、意識し過ぎて、いかにもダフるぞというアドレスの人を見掛けます。
②昼食を食べ過ぎるとお腹が苦しくなり、身体重心が後ろになる:お気に入りのゴルフ場は大体、昼食がおいしいところのはずです。ついつい食べ過ぎてしまうと、後ろ重心になってしまします。これは太り気味の人も注意が必要ですね。
③身体重心の安定を意識するがあまり、スタンスを広く取り過ぎ、返って力が入る:ショートアイアンを、スタンスを広く取り過ぎ、渾身の力で振っている人を見掛けます。ここがゴルフの難しいところで、やり過ぎは禁物です。自然に立つ重要性を思い出したいです。
④眼鏡を掛けている人は前傾が深くなりがちで、身体重心が前になる:眼鏡、コンタクトレンズを使用している人は、通常、レンズの中央でモノを見ています。前傾姿勢のとき、無意識にレンズの中央でボールを見ようとすると、前傾が深くなり過ぎる傾向があります。眼鏡、コンタクトレンズを使用している人はレンズの少し下部で伏し目がちにボールを見るとよいでしょう。これは結構、盲点で、眼鏡、コンタクトレンズ使用者がこれに気が付くと、格段にショットがよくなります。
 身体重心を感じることは、シンプルにその場クルっと回るスイングを促してくれます。特にビギナーの方は試してみてください。ゴルフがもっと楽しくなりますよ。

企業経営も軸がぶれないことが重要

 企業経営でも同じです。経営の軸がぶれないことは基本です。
 1つ目の軸は『自分の事業領域はどこか』ということ、いろいろな事業、いろいろな商品に手を出していては強者にはなれません。
 2つ目の軸は『自分の顧客は誰か』です。自分の顧客、その顧客期待が分からなくては、商売はできません。
 そして3つ目は『戦う相手は誰なのか』。ついつい思い込みで近くの同業者をライバルと決め付けているケースがあります。しかし、自社のライバルは顧客しか知らないのです。それは顧客が自社とライバルとの間で比較購買しているからです。
(木村 博)

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外食を茶の間に届ける「出前館」の成長モデル

2019年1月12日 05:00 商業界オンライン

 都市部の住宅街、オフィス街では「出前館」のロゴを付けたバイクが目立つようになった。さらに大手の外食、ファストフードチェーンのメニュー扱いを示すロゴも表記されている。この背景には消費者側の需要増と供給側のシェア活用増が見て取れる。
「出前館」の利用者はPCサイト、またはスマホ上の専用アプリから希望のメニューをオーダーするだけで指定の場所に届けてもらえる。アプリ上には「ピザ」「寿司」をはじめ、和・洋・中のフードサービスチェーンが表示されており、利用者は希望のチェーンから選べるのが従来の“出前”との違い。いわば出前のマーケットプレイスといえる。
 出前館を運営するのは「夢の街創造委員会」。1999年設立、翌2000年には出前館サービスを開始。デリバリー手数料を収益源とするビジネスモデルを構築。2006年には上場。以来、2018年8月期まで増収を継続している(売上高54億3079万円、経常利益8億4903万円)。
 同社決算資料によると出前館を使ったオーダー件数は2018年度で2332万件(前年比135.0%)、出前館に委託する飲食店の加盟店舗数は1万7207店(同112.3%)、アクティブユーザー数269万人(同114.1%)これらの数値は同社が重視する経営指標であり、毎月開示されている。

配達・訪問サービス事業者、飲食事業者と提携進める

 デリバリーを外部委託する同社にとって、配達要員の確保は必須。2016年には朝日新聞社と業務提携。同社が全国各地に擁する2000カ所以上の販売拠点(ASA)および6万人以上の配達要員の活用を目的としたものだ。さらに昨年10月には生活トラブル解決の訪問サービスを行うジャパンベストレスキューシステムと提携するなど訪問要員を擁する事業者との提携を進めている。
 こうした配送拠点、人員を基盤に進めているのが、同社が呼ぶ「シェアリングデリバリー」。複数の外食店による配送のシェアである。要員、設備を持たない企業、店舗でもデリバリーが可能になるというもの。
 今年10月に予定されている消費増税と併せ、軽減税率の適用対象とされるテイクアウトは飲食店にとっても顧客確保の方策の1つになるだけに「出前館」に象徴されるデリバリーのシェアは拡大可能性が高い。

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業績下方修正の中で見せた良品計画の勝算

2019年1月11日 05:00 商業界オンライン

写真:消費増税に対して、松﨑社長は「会社として正式に決定はしていないが、われわれは今までの内税表示を維持していきたい」と語った。 

 良品計画の2019年2月期第3四半期の決算は、連結営業収益3042億1500万円(前年同期比8.7%増)、営業利益348億5900万円(前年同期比3.9%増)、純利益303億900万円(前年同期比30.2%増)で連結営業収益は9期連続で最高収益を更新するなど順調に推移したが、その一方で通期の連結業績を下方修正する発表もあった。

好調な東アジア事業をけん引する中国

 19年2月期第3四半期は東アジア事業が好調で、営業収益868億9300万円(前年同期比13.8%増)、セグメント利益133億3600万円(前年同期比27.6%増)と大幅な増収増益となった。西南アジア・オセアニア事業は黒字に戻り、欧州事業の利益改善が進み、海外事業全体では営業利益率が向上した。
 東アジア事業の中で特に好調なのが中国。衣服・雑貨の夏物商材の在庫切れが影響して、6~8月期に続き、9~11月期は既存店売上高が4.1%減となったが、価格見直しを行った衣服・雑貨を中心に伸長したことや、新たに40店舗の出店を行ったことにより、売上高は前期比12%増と2ケタ伸長している。
 また、昨年9月1日に商品開発部を設けて生活雑貨類の強化を進めている。現在、シーツやベッド、電気釜等の生活雑貨は日本のサイズで販売しているが、今後は中国でのライフスタイルに合った商品に切り替える施策を本年より行い、商品開発力を強化していく方針だ。

下方修正の一因は国内・生活雑貨の売上不振

 好調だった海外事業に比べ、国内事業は生活雑貨カテゴリーの不振に加え、売上げが伸び悩んだ冬物商材により当初の計画が未達となった。また、将来を見据えた戦略的投資の一環として行った、店舗従業員の補充およびグローバル事業拡大に向けた本部人員増による人件費増なども重なり、通期の営業利益を下方修正。修正後の業績予想は、営業収益4093億円(3.5%減)、営業利益470億円(6%減)、経常利益473億円(6%減)とした。
 売上げで苦戦した国内事業では、天然素材のウール類が好評で紳士ウェアと婦人ウェアが売上げをけん引。スリッパやタオル、キッチン用品などの小物雑貨やカレーを中心とした食品は好調に推移した。また、2018年9月より4店舗で販売されて大きな話題となった新カテゴリーの冷凍食品、チルド食品は「客数増に非常に効果があった」(松﨑曉社長)と、直営既存店客数を8%押し上げる一因となっている。冷凍食品、チルド食品は現在、12店舗で販売されており、今後も店舗のリニューアルに合わせて売場を拡大していく。

「わけあって、安い」という価格合理性を求めていく

 2019年10月1日に消費税率が10%になるが、松﨑社長は「会社として正式に決定はしていないが、われわれは今までの内税表示を維持していきたい。また今回は2%と、今までの増税の中では最も低い上げ幅なので大きな影響があるとは考えていない」と述べ、消費増税による変化はないことを強調した。
 今後も買いやすい価格の見直しを継続的に行い、「わけあって、安い」という、同社の1つの根幹となっている価格合理性を求めていく姿勢だ。

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なぜカテゴリーマネジメントが分からない?

2019年1月11日 05:00 商業界オンライン

 カテゴリーマネジメントは米国から輸入された経営技術です。チェーンストアの人からこの「カテゴリーマネジメントがよく分からない」と聞くことがあるので、今日はこの理由をお話しようと思います。

そもそもの主語はメーカー・卸だった

 そもそもカテゴリーマネジメントはECR(Efficient Consumer Response)の技術の一部として日本に紹介されました。今でいうサプライチェーンマネジメントの原型です。生産、物流、小売りを一気通貫でマネジメントすることで、メーカー、卸、小売り、そして消費者がウィンウィンの関係を構築しようとするものです。
 このECRのCがConsumer(消費者)で、Customer(顧客)でないところがミソ。メーカー・卸の顧客は小売りで、メーカーとしては小売りだけでなく、消費者まで見据えて活動すべきだという考えから、これはきています(小売りにとっては、消費者が顧客であることは当たり前ですね)。
 ECRにおけるカテゴリーマネジメント活動の主語はメーカー・卸。メーカー・卸がどのように活動するかを提案しています。そのため、英語を日本語に翻訳したカテゴリーマネジメントの本を読んだチェーンストアマンは混乱するのです。チェーンストアの人は小売りを主語として読もうとしますが、本はメーカー・卸しを主語としているからです。
 例えば、翻訳本では『カテゴリーマネジャー』になることを提案しています。その内容は自社の取り扱い製品のみをマネジメントするのではなく、自社の取り扱い製品が属するカテゴリーまで対象を広げてマネジメントすることを要求するもの。具体的には自社の取り扱い製品の棚割り提案だけでなく、カテゴリー全体の棚割り提案をすることですが、これは小売りにとっては当り前のことで「意味が不明」となってしまうのです。
 また、実態把握、目標設定の指標として『ストアカバリッジ』を提案しています。この指標は自社製品の売場でのフェース占有率のこと。これもメーカーにとっては重要な指標ですが、小売りにとっては意味がありません。
 このように「翻訳されたカテゴリーマネジメント」は主語がメーカーであることを認識して理解する必要があるのです。チェーンストアの人はこのことを理解して、翻訳されたカテゴリーマネジメントを勉強しなくてはならないわけです。

単品管理の反省からきたものもある

 一方、ECRを全く意識しないでカテゴリーマネジメントの言葉を使用するチェーンストアマンがいます。
 彼らは一世を風靡した単品管理の反省からカテゴリーマネジメントの言葉を使っています。
 単品管理を簡単にいえば「単品単位での問題解決」です。そのプロセスは正しく、チェーンストアマンは異論がないのですが、『そのプロセスを全ての単品でやるのか?』という疑問がありました。また、『できる単品数が限られている。全体への影響は?』という疑問もあります。
 このような反省から、単品管理ではなく、カテゴリー単位でマネジメントすることを意識し、カテゴリーマネジメントの言葉を使用します。
 だから、ECRを意識しているメーカーの人がチェーンストアマンからこの単品管理の反省からくるカテゴリーマネジメントを聞くと意思疎通ができなくなってしまいます。
 日本のカテゴリーマネジメントには、『ECRの流れからくるカテゴリーマネジメント』と『単品管理の反省からくるカテゴリーマネジメント』の2つあることを理解しなくてはならないのです。
(木村 博)

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cat_11_issue_oa-shogyokaionline oa-shogyokaionline_0_b91eb3074e59_「デザイン思考」を商品開発に使え! b91eb3074e59 b91eb3074e59 「デザイン思考」を商品開発に使え! oa-shogyokaionline 0

「デザイン思考」を商品開発に使え!

2019年1月11日 05:00 商業界オンライン

写真:セブン-イレブンのPB「金の食パン」は価値共創型思考とデザイン思考を両立させて商品開発に臨んだ商品開発の好事例だ。 

 第24回のテーマは「小売業にとってのデザイン思考」です。皆さん、「デザイン思考」という言葉を耳にしたことはありますか?
 “共創型戦略デザインファーム”BIOTOPE 佐宗邦威CEO氏の著書『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(2015)によると、デザイン思考はドイツのバウハウスがその起源だったそうです。
 デザイン思考というと、スタンフォード大学のd. schoolを思い浮かべたりしませんか? 日本でもIDEOというデザインコンサルティングファームが有名になったため、一緒にデザイン思考を普及させようとするd. schoolが発祥のように思うかもしれませんね。

デザイン思考は「循環型思考プロセス」

 佐宗氏は著書の中で「デザイン思考とは、人の生活に寄り添った商品やサービスを、ゼロベースで発想する思考法である。それは、人間中心デザインであり、アートとテクノロジーの融合であり、ユーザー中心のデザインである」と説明しています。
 従来、経営学やマーケティング研究で日常的に使われる思考法は論理的思考(=ロジカル・シンキング)で、左脳を中心に論理思考性が問われていました。これはどちらかといえば1から2、3、そしてnへと物事を改善していく漸進的なイノベーションに適している考え方。これに対して、デザイン思考(=デザイン・シンキング)は右脳を中心に考え、0から1を生み出す革新的なイノベーションに適していると言われています。
 ロジカル・シンキングとデザイン・シンキングでは、思考プロセスに違いがあります。デザイン・シンキングは大きくは①「リサーチ」、②「分析」、③「統合/課題の再定義」、④「プロトタイピング」の流れで構成されていますが、デザイン・シンキングは、この4つのプロセスを双方向に繰り返す「循環型思考プロセス」になっています。
 デザインとイノベーションを経営学の視点で研究されている一橋大学大学院 経営管理研究科教授の鷲田祐一氏はこう述べています。「国内の学術分野、特に、経営学やマーケティング分野において、デザインが経営学やマーケティングにおける重要な要素であると皆、認識しつつも、実際には、デザインという問題を中心課題として取り扱った国内のマーケティング研究(サービス研究、イノベーション研究、消費者行動研究等)や経営学の研究は、まだまだ少ない」
 デザイン・シンキングが、イノベーションを起こす際に重要であると分かっていても、実際はロジカル・シンキングに頼っているのが日本の現状。このギャップをどう埋めていくかが日本の産業がイノベーションを起こす際に、とても重要になってきます。

右脳と左脳をバランスよく使う

 では、デザイン思考を実務の世界にうまく取り入れるには、何が必要でしょうか?
 鷲田氏が主張している考え方に1つのヒントがあります。それは「創造性の発現」に着目すること。すなわち、デザインを商品・サービスの目に見える差別化要素として捉えるだけでは不十分で、その差別化要素が生み出される前提として、メーカーやデザイナーの創造性がどこにあるかを捉えることが重要になります。
 佐宗氏も実務家の観点から、デザイン思考を具現化する上で「ハイ・コンセプト」の概念をよく理解することが重要だと述べています。
 ハイ・コンセプトはダニエル・ピンク(2006)が主張した概念で、「感性、共感、デザイン、物語、遊び心、全体の調和、意義」の6つの要素から構成されています。この中でデザイン思考と特に関係があるのは「感性」と「全体の調和」です。すなわち、「物事をビジュアルで捉える感性を磨くこと」、そして、物事を考える際に「右脳と左脳をバランスよく使うこと」がデザイン思考では大切になるのです。
 また、デザイン思考を捉える上でのキーワードに「発散」と「収束」があります。あるコンセプトを考案する際、言葉だけではなく、できる限り写真などのビジュアル素材を使って、皆でアイデアを出し合い、前提条件や制約をあまり設けずに積極的に議論することが「発散」です。その上で、発散したアイデアをその目的に応じ、絞り込むことが「収束」になります。
 この発散と収束を繰り返しながら、コンセプトを具体的に詰めていくのですが、ある程度、コンセプトが固まれば、そのイメージを絵に描いたり、簡単な模型にしたりします。これをデザイン思考では「プロトタイピング」といいます。
 通常、商品やサービスを開発する際にはコンセプトがしっかり固まり、デザインや設計も終わった段階でプロトタイプ(試作)を作るので、ここに従来のロジカル・シンキング的発想とデザイン思考的発想でのモノづくりの違いがあるわけです。
 これは例えていえば、これはGoogleなど検索エンジンのソフトウェア バージョンアップの開発プロセスに近い発想とでもいえましょうか。デザイン思考ではまずは社内で議論し、作ってみる。それを消費者に試してもらい、不都合な点はその場でどんどん一緒になって修正を加えていく。このようなPDCAをデザイン思考は高速で回しているのです。通常、デザイナーはこのような思考法を用いて、これまで世の中になかった新しい商品やサービスを生み出し続けているのです。

小売企業はPB開発に活用できる!

 このデザイン思考、小売業にはどのような活用法はあるのでしょうか。
 その最大の活用場面は商品開発でしょう。
 商品部でプライベートブランド(PB)商品を開発する場面を想像してみてください。
 PB開発上、留意すべき点は4つあります。①ナショナルブランド(NB)とPBの品揃えバランス、②PBのラインアップ(3層構造:プレミアム、スタンダード、ベーシック)、③業態特性(自社がどの業態に所属するのか?)、④SCM(川上:メーカー、川中:卸、川下:小売り)間の収益配分です。
 まず、従来の小売業の常識で考えると、①について日本ではPB比率は2割を超えることはないと思われがちです。しかし、それは従来のNBとPB比率の常識であり、②、③、④の組み合わせ次第ではPB比率は(財や関与度にもよりますが)50%を超えても不思議ではないのかもしれません。
 その良い事例がセブン-イレブンのPB『金の食パン』。これはセブンプレミアム ゴールドというプレミアムPBとして販売され、ヒット商品になったものです。従来のロジカル・シンキング的発想では、食パン市場は山崎パン、敷島パンなどの大手NBメーカーの独壇場で、消費者も高級な食パンのニーズはないと思いがちでした。
 しかし、セブン-イレブンはこれまでの常識を覆し、消費者の高品質志向の流れをうまく捉え、プレミアム食パン市場に勝算はあると踏んだのでしょう(定価販売をするコンビニの業態特性を押さえた上で進めた点もポイントです)。その結果、徹底的に品質やおいしさにこだわり、新たな高級食パン市場を自らの手で切り開いたわけですが、これは2013年4月のこと。現在の「高級食パンブーム」よりもかなり早いことが分かるでしょう。
 セブン-イレブンの商品部メンバーは得意とするチームMDの手法を活用し、メーカー、卸、自社、消費者パネラーをも巻き込んだ価値共創型思考と、デザイン思考を両立させ、この商品開発に臨んだと推察されます。まさに、デザイン思考を用いたイノベーションの好事例なのです。

社内に「H型人材」が必要になる

 また、デザイン思考を社内における組織と人の枠組みとして捉える際、デザイナー、エンジニア、ビジネスがそれぞれ1つの専門領域に留まらず、各々が重なり合う領域に自らの専門性(ポジショニング)をシフトしていかないといけないともいわれています。
 これは自身が2つの専門分野の橋渡し的存在にならないといけないということ。そのような人材を、デザイン思考では、「H型人材」と呼びます。H型人材とは自身の専門性を深めつつ、一方では他分野の専門家とうまく協調しながら、互いに持てる専門性をうまく融合させる力を持った人材といえるでしょう。このようなH型人材がデザイン思考を社内に浸透させるためには必要不可欠なのです。

これまでの常識を覆す発想ができる!

 最後に、小売業がデザイン思考を浸透させていく上で、重要な理論を紹介しておきましょう。
 それは「両利きの経営」です。先ほどのPBの事例にもあった通り、通常、商品開発を行う際は、購買実績データであるPOSなどの定量データに縛られがちです。これら定量データを使うなというのではありません。「定量データと定性データのバランスが重要」だといいたいのです。
 両利きの経営で大切な概念は「知の探索」と「知の深化」のバランスにあります。デザイン思考でも触れた通り、「発散」と「収束」は「知の探索」と「知の深化」に近い概念ですが、人間はこれまでにない新しい物やサービスを生み出そうとする際、どうしても自身が持つ特定の専門分野の知を深めたがります。そうすると、ある一定ラインでイノベーションが停滞してしまう「コンピテンシー・トラップ」に陥るのです。この打破には、知の範囲を広げるためにも自らが知の探索をしないといけないというわけです。
 このデザイン思考でいう「発散」を小売業に置き換えると、ネットとリアル店舗での品揃えしかり、PBとNBの適正バランスしかり、NB内での品揃えしかり、全ての面でこれまでの小売りの常識を覆すイノベーション発想のデザイン思考を取り入れることが重要だということ。
 皆さんもデザイン思考をダイナミックイノベーションを呼び込む戦略ツールとしてぜひ活用してください。
(中見 真也)

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