オンラインゲームなどのし過ぎで生活に支障が出る「ネット・ゲーム依存症」の若者への広がりが懸念される中、県は2020年度、予防や相談・治療対策を強化する。規則正しい生活リズムを取り戻すための回復プログラムを作成し、県内の医療機関での活用を目指す。また、教員やスクールカウンセラー向けに予防対策マニュアルをつくり、教育現場での相談体制の充実を図る方針だ。
20年度一般会計当初予算案に、関連経費1200万円を盛り込む予定。
ゲーム依存をめぐっては国内外で問題が深刻化し、世界保健機関(WHO)が昨年5月、「ゲーム障害」を疾病に正式認定。厚生労働省が昨年11月に公表した若者対象の実態調査でも、ゲームにのめり込みすぎると心身に悪影響が出るリスクが指摘されている。
その一方で相談・治療の窓口は不足しており、県や県教委は19年度、全国に先駆けて対応に着手。医師やスクールカウンセラーらを対象にした研修会を開催するなど、人材育成を柱とする対策に乗り出している。
20年度は相談・治療体制を充実させる取り組みをさらに推進。医療機関向けの回復プログラムは、ネット依存外来を設けている専門医の協力で作成する予定。依存に陥った子どもたちや予備軍とみられる人たちに、ネットやオンラインゲームとの適切な距離を身に付けてもらう内容を想定している。
教員やスクールカウンセラー向けの予防対策マニュアルも、専門医のアドバイスをもとに作成する方針で、学校での身近な相談窓口の機能強化につなげる。
その他、予防教育として、小学生向け予防対策学習シートの作成や、ネットやスマートフォンとの上手な付き合い方を幼児の保護者に学んでもらう事業なども計画。19年度同様、全国で初めてネット依存外来を設けた久里浜医療センター(神奈川県)の研修への医療従事者の派遣や専門医を招いた研修会なども予定している。