オンラインゲームなどにのめり込み、生活に支障が出る「ゲーム依存症」について、県民の84.1%が「対策が必要」と考えていることが、時事通信社と四国新聞社が県民1千人を対象に行った「合同世論調査2019香川」で分かった。世界保健機関(WHO)が5月に疾病として正式に認定し、世界レベルで問題が深刻化する中、8割が「ゲーム依存は問題」と認識。「睡眠不足」など生活習慣への乱れを危惧する声も目立つ。県内の学校で予防啓発の動きが広がるなど、県を挙げた取り組みが本格化しつつあることも、関心を高める要因のようだ。今後期待する対策は、国内の相談・治療窓口が足りていない現状を踏まえ、「相談施設の充実」がトップだった。
スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、ゲーム依存は若者を中心に問題化。WHOは5月末、「日常生活よりゲームを優先し、健康を損なうなど問題が起きても続けてしまう特徴がある」と定義し、疾病に正式認定した。こうした動きについて68・8%が「知っている」と回答。年代が上がるにつれ高くなる傾向があり、60代(73・6%)と20代(62・1%)では約10ポイントの開きがあった。
ゲーム依存の問題度を尋ねたところ「大きな問題」と「まあまあ問題」を合わせた割合は80・5%。男女別だと、女性が85・2%で男性(75・7%)を上回った。年代別にみると、小中学生や高校生の子を持つ親が多い40代が87・2%と最も高く、20代(74・9%)を12ポイントほど上回った。
ゲーム依存で心配なこと(複数回答)では「睡眠不足」が最多の84・9%となり、「成績の低下」が74・1%、「不登校や引きこもり」が71・5%で続いた。「食生活の乱れ」が63・4%、「家族への暴力」は46・9%だった。
「自分の周囲でゲーム依存が心配な人がいるか」を尋ねた設問に対しては、「孫」(18・0%)、「子ども」(17・7%)が僅差で並び、子どもたちが長時間ゲームやスマホに夢中になっている様子がうかがえる。一方、「自分自身が依存かもしれない」と答えた人は4・6%で、このうち20代は7・6%と他の年代よりも高かった。
対策の必要性に関しては「絶対に必要」と「まあ必要」を合わせた割合が84・1%。「あまり必要でない」「必要でない」の計12・0%を大きく上回った。
今後期待される対策では、「相談施設の充実」が71・9%で最多。次いで「学校カウンセラーの充実」が69・9%。「病院・医師の充実」は55・2%だった。
ゲーム依存を巡っては県内でも対策の必要性が指摘されており、県は本年度、全国に先駆けて人材育成を柱にした対策に着手。県議会も超党派の議員連盟を結成し、議員発議による条例制定を目指している。各市町教委などが新たな取り組みを打ち出しているほか、学校現場でも、予防啓発DVDや四国新聞が発行した「こどもニュース特別号」を使い、子どもたちがゲームやスマホを過度に使用することの危険性を学んでいる。
【調査の方法】5月28日から6月17日までの21日間、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施。県内の20~69歳の1千人(男女各500人)が答えた。
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