県と県教委は20日、オンラインゲームなどのやり過ぎで、生活に支障が出る「ゲーム依存」の対策費を、2019年度当初予算案に盛り込んだことを明らかにした。若者を中心に問題が深刻化する一方で、相談・治療の窓口が不足していることから、医師やスクールカウンセラーら人材育成を対策の柱に据えた。ゲーム依存対策に特化した予算計上は初めてで、浜田知事は「県教委など関係機関と連携し、積極的に対策に取り組みたい」と意欲を示した。県を挙げてネット依存やゲーム依存に特化した対策に取り組むのは、全国でも先駆的という。
同日の2月定例県議会本会議で代表質問に立った大山一郎氏(自民県政会・高松)が、若者を中心に深刻化するゲーム依存やネット依存の危険性を訴えた上で、対策強化について理事者側の考えをただした。
答弁した浜田知事、工代祐司教育長はそれぞれ「対策は急務」「早急な対策が必要」との見解で一致。新年度から対策に本腰を入れる意向を示した。
新たに取り組む対策について知事は、適切な医療を提供する人材育成につなげるため「県内の医師らを対象に、依存症の専門家を迎えた研修会を開催する」と説明。また、国内初のネット依存外来を2011年に設けた久里浜医療センター(神奈川県)主催の研修会に、医師や看護師ら医療従事者を初めて派遣するとした。
また、新聞や県広報誌の活用、リーフレットの作成などを通じて、ゲーム依存などの危険性を広く県民に周知すると言及。「国に対しても対策強化を求めていく」と述べた。
工代教育長も、学校現場で子どもや保護者からの相談に応じる人材育成に努める方針を表明。新年度に、県内全ての公立小中学校・高校に配置しているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを対象にした研修会を開催。ゲーム依存などの基礎知識や有効な対応策を身に付けてもらうと述べた。
ゲーム依存やネット依存を巡っては、厚生労働省が昨年、病的なネット依存が疑われる中高生が93万人に上るとの調査結果を公表。今年1月からは、全国の若者を対象にした初の実態把握に乗り出している。また、世界保健機関(WHO)は昨年6月、「ゲーム障害」を新たな疾病に認定し、5月の総会で採択される見通しだ。
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