長引く新型コロナウイルスの流行で、テレワーク環境を本格的に整えようと家具をそろえる人が増えている。書斎のある家が少ない日本では、居間やキッチンで仕事をする人が多いが「オフィス家具はインテリアになじまない」「食卓で仕事をすると疲れる」との声もよく聞かれる。JR大阪駅北側の大型商業施設「グランフロント大阪」(大阪市北区)でテレワークの悩みに応える机や椅子のトレンドを聞いた。
3倍の厚みの座面
家具店「カリモク60 グランフロント大阪店」で支持を集めるのは、居間・食堂の兼用椅子として昭和44年から続くロングセラー「Dチェア」(5万1370~5万9400円)。座った際に足が床にしっかり付く高さで姿勢が安定するうえ、やや後ろに傾いた座面と背もたれがパソコン作業に伴う猫背を自然に防いでくれる。座面クッション材はダイニングチェアの他の自社製品と比べて約3倍の厚みがあり、お尻が痛くなりづらいという。
6月の販売数は新型コロナ禍前の一昨年同月比で約1・5倍に急増。7、8月は大阪・梅田で発生したクラスター(感染者集団)の影響を受けたが、9月以降は再びテレワーク需要が高まっており、「目当ての品があったのに、Dチェアに心変わりするお客さまが多い」と中西拓也店長は話す。
立った姿勢でも使用可
4月に出店した家具店「キシル大阪店」では昨年6月発売の「デスクラック60」(3万9千円)が人気だ。他の系列店なども含めた1~6月の販売数は、昨年7~12月から約2倍だった。
幅60センチ、奥行き45センチと場所を取らない大きさだが、パソコンやプリンター、書類をまとめておける収納性は抜群。棚板の高さを変えることで立った姿勢でも使えるため、座りすぎによる体の不調を防ぎ、集中力アップも期待できる。国産ヒノキを全面に使っており、小栗以江(ゆきえ)店長は「木のぬくもりや香りも魅力」とする。
カイロプラクティック応用
「Style(スタイル)グランフロント大阪店」では、オフィスチェアなどに置いて使うシート「スタイル」が40~50代男性を中心に売れている。体のゆがみを正し、体調を改善するカイロプラクティックの理論を応用して開発。一番人気はシリーズ最高級「スタイルプレミアムデラックス」(3万7180円)で、同店では1カ月に平均約40台と昨年比1・3~2倍の販売好調が続いている。
腰を左右から支え、包み込むような形で腰椎と骨盤を安定させて正しい姿勢を促す。「猫背や腰痛の改善が期待できることから仕事への集中度も増す」と徳岡佳紘店長はアピール。標準タイプでも効果は実感できるが「プレミアムデラックス」は低・高反発と2種類のウレタンを使い、厚みも増してクッション性を高めた。「沈み込みが少ないうえ凹凸のある腰やお尻になじみやすく、座り心地が良い。高級感のあるベロア調のカバー地も受けており、自宅だけでなくオフィス用に2台使いするお客さまもいる」という。(田村慶子)