年俸調停の期日まで決まっていた大谷翔平(26)とエンゼルスの交渉が2月8日にまとまった。2年契約で総額は850万ドル(約8億9000万円)で、2021年は300万ドル、22年は550万ドルとなった。若き有望な選手がなぜ2年の短期契約なのか。「二刀流」を将来にわたって継続して可能かどうかの、命運を決する2年間になるに違いない。
年俸調停の公聴会の日取りが19日に決まっていたにも関わらず、それを回避しての合意だった。当初大谷側は年俸330万ドルを要求、一方のエンゼルスは250万ドルで、開きは80万ドルあった。21年は300万ドルで大谷側が譲歩、22年の550万ドルはエンゼルスが大きく歩み寄ったともいえそうだが、21年に大谷が活躍した場合も大幅アップしないことの裏返しで、双方が妥協点を見いだしたといえる。
エンゼルスのペリー・ミナシアンGMは「契約を結ぶことができたことはうれしい」と喜びを語り、大谷の代理人ネズ・バレロ氏も「大谷もこれで集中してプレーできる」と契約に満足しているコメントを発した。
なぜ、30歳過ぎのベテランでもない、26歳の有望な若武者にわずか2年なのか。米メディアはさまざまな分析をしている。
地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」はミナシアンGMの話として、「単年契約に関しては(代理人との)話し合いが行き詰まっていた。複数年については前に進んだ」と伝えたが、複数年といっても長期ではなく、2年だったことに「双方にとって大きな意味がある。理がある」とミナシアンGMは付け加えた。
大リーグを騒然とさせた大谷の「二刀流」だが、フルに働けたシーズンはまだない。1年目の18年こそ104試合に出場して22本塁打、61打点、打率2割8分5厘、10度の先発で4勝2敗、防御率3・31をマークして新人王に輝いたが、終盤に右ひじを痛めて手術。19年は106試合で18本塁打、62打点、打率2割8分6厘だったが、打の「一刀流」にとどまった。「二刀流」復活を狙った20年は2試合投げただけで新たな故障が発生して「一刀流」に逆戻りだった。
エンゼルスの公式ホームページ(HP)は、「ミナシアンGMは投打の二刀流を今シーズン、どう使うかの詳細を明らかすることを拒否した。だが、18年と同じように週1回先発して、週3、4回DHとしてプレーすることになるだろう」と二刀流復活を予想した。
スポーツ専門ITサイト「ファン・サイディッド」も、「オオタニは評価の困難な選手だ。チームを変える可能性を持ってはいるが、まだ正確に判断する機会を有していない。今回の契約でエンゼルスは2年間オオタニがフルシーズン働けるか見極める時間を得た。主力打者とエースというエンゼルスの期待通りなら、2年後に大きな契約となる前兆になるかもしれない」と、2年という短期で双方が合意した背景を解説している。
ミナシアンGMは「大谷が今季、二刀流に戻れることを確信している。準備はできている」と強調している。大谷にとって、将来を大きく左右する「真の二刀流」を確立させるための2年間が始まった。(運動部 佐竹修仁)
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