豊かな味わい引き出す ショコラティエ・西森さん(出雲)

2018年11月8日 14:15 山陰中央新報

 「出雲と言えばチョコレートと、いつか言われるようになりたい」-。出雲市斐川町坂田にあるチョコレート専門店「ラ・ショコラトリ・ナナイロ」のショコラティエ(職人)兼代表、西森亜矢さん(38)は思いを語る。

 製造、販売するのは「ビーン・トゥ・バー」と呼ばれるチョコレート。「豆から板チョコまで」を意味し、カカオ豆の輸入から焙(ばい)煎(せん)、成形までを同じ場所で作った板チョコだ。

 材料はカカオ豆と砂糖のみ。豆の産地や種類の違いだけでなく、製造時の環境の違いから生まれる豊かな味わいや香りが人を引きつける。

独学経て専門家から助言

 もともとチョコレートが好きだった。2011年に米国有名ブランドのビーン・トゥ・バーに出合う。「こんなにおいしいチョコレートがあるなんて」。口にした瞬間、衝撃を受けた。

 生まれ育った大阪で勤めていた映像製作会社が、新拠点をつくることに伴い出雲に移住した頃だった。「とことん追究する性格」から、自ら作ろうと思い立った。カカオ豆を輸入し独学で完成させた試作品は、初めてにしてはおいしくできた。知人からも好評を得て、会社の後押しもあって事業化を目指した。

 オフィスの一室を使い、焙煎したカカオ豆をすりつぶす▽練る▽温度調整する-の工程ごとに、時間や環境の微妙な違いによって変化する味を細かくデータ化。2年間続けたものの独学に限界を感じた。

 意を決してチョコレートの専門家、佐藤清隆広島大名誉教授を訪ねたが、最初は門前払い。熱い思いを伝え、食べてもらった自作がチョコレート研究の大家を動かした。工房の環境整備やチョコレートの温度調整などアドバイスをもらえた。「先生との出会いが転機になった」と振り返る。

「毎年ドキドキする」時間

 15年11月、創業と商品化にこぎつけた。冬に春の新作、夏に秋の新作を作る。仕上がりを想定して作れる春の新作に対して、秋の新作は味や香りが出来上がりまで分からないという。

 チョコレートは外気温に影響されやすいことが関係する。出雲の夏は気温や湿度が激しく変化するため、あえて豆の焙煎や練り時間をいつも一緒にし、あとは出雲の風土が仕上げるような作り方にしている。「毎年ドキドキする」時間といい、そこに「出雲で作る意味」を見いだしている。客の反応も「こだわって作った春の新作よりも秋のほうが人気がある」と笑みをこぼす。

 インターネット通販を中心に国内外から注文を受けてきた。創業から3年目を迎えた今年10月、カフェ付きの店を構えた。東京から空路でやって来て店を訪ね、とんぼ返りする熱心なファンがいるほか、地元でも客を増やしている。

 海外のチョコレート品評会の審査員に任命されるほど、実力を認められるようになった西森さん。「出雲ならではのチョコレートを発信し、いつかここでアワード(品評会)を開催したい」と目を輝かせる。

秋の実りに感謝 「頭屋祭」囃子ら練り歩く(島根・飯南)

2018年11月8日 13:59 山陰中央新報

 島根県飯南町頓原の由来八幡宮(景山健宮司)に伝わり、県無形民俗文化財に指定されている「頭屋祭行事」が7日、営まれた。浴衣に花がさ姿の囃子(はやしこ)らが住宅街から八幡宮までの約3キロをにぎやかに行進し、秋の実りに感謝した。

 頭屋祭行事は、稲作を広めた大国主神をしのび、感謝する民衆の祭りとして、500年以上続く。祭りを担当する頭屋は頓原地域の各地区が毎年持ち回りで務め、今年は上区が担った。囃子のほか、みこしや献穀米の米俵を担いだ町民など、老若男女約150人が行列をつくった。

 笛や太鼓の音が響く中、囃子が「エンソーリャ」と掛け声を響かせながら行進。時折、ばちを投げ上げる田ばやしの所作を見せると、カメラを手にした沿道の住民らが盛んにシャッターを切った。

 行列が由来八幡宮に到着すると、田の神の出現を表すとされる「姫之飯(ひめのい)神事」が厳かに行われ、神職が拝殿で稲穂を掛けた竹を担いで舞った。

 8日は、八幡宮の例大祭と来年の頭屋を決める神事がある。

働きやすい職場づくりへ小型タクシー導入(第一交通・松江)

2018年11月8日 13:44 山陰中央新報

 タクシー大手の第一交通産業グループ(北九州市)が松江営業所(松江市東朝日町)で女性ドライバーが運転しやすい小型タクシー1台を導入した。働きやすい職場づくりを進め、運転や配車に当たる女性従業員の採用を増やす取り組み。8日から営業する。

 小型車両はトヨタ「ルーミー」。ボンネットが短く、セダン型の従来車両より全長は70センチ、横幅は2・5センチ短い。グループの山陰両県6営業所の女性ドライバーらが交流する「女子会」で出た「狭い道が多く、運転しやすい車を」という要望に応えた。

 7日に松江市内で開かれた女子会で初披露され、参加者は運転席に乗り込み、シートの高さなどを確認し試乗もした。女性運転手4人がいる松江営業所の藤原まどかさん(25)は「コンパクトで運転しやすかった」と話した。

 6営業所の運転手計237人のうち、女性は9・3%の22人。業界内の人手不足が続く中、女性比率は3年前の4・7%から大きく伸びた。女子会の要望で、これまでに女性専用のトイレ、ロッカールームなども整備。小型タクシーは米子営業所(米子市両三柳)で導入が決まっているほか、他の営業所でも順次導入する。

山陰勢男女、準決勝で敗退 アジア選手権ボルダリング

2018年11月8日 13:40 山陰中央新報

 スポーツクライミングのアジア選手権が7日、倉吉市山根の倉吉体育文化会館で開幕し、男女のボルダリング予選、準決勝が行われた。女子準決勝で、ジャカルタ・アジア大会複合金メダルの野口啓代(TEAM au)が4課題全てをクリアして1位となり、上位6人で争う9日の決勝に進んだ。男子は杉本怜(北海道連盟)が準決勝1位で決勝に駒を進めた。

 山陰両県勢は、準決勝で男子の高田知尭(鳥取県協会)が11位、女子の高田こころ(早大、鳥取中央育英高出)が15位となり、ともに決勝に進めなかった。

 大会は5日間の日程。ボルダリング、リード、スピードの3種目と、2020年東京五輪の正式種目となっている3種複合のコンバインドがある。

 3種目に出場する高田知尭はボルダリング予選を47人中2位で突破したが、上位20人で争う準決勝は4課題のうち完登は1課題だった。ボルダリングのみ出場の高田こころは予選を40人中11位で突破し、準決勝は4課題中2課題を完登したが15位にとどまった。

 (写真は女子ボルダリングの高田こころ)

菊花1680本が彩るウエルカムボード 矢上高生2人が作る

2018年11月8日 13:32 山陰中央新報

 1680本の菊で彩られた大きな「ウエルカムボード」が、邑南町矢上の矢上高校にお目見えした。同校の創立70周年を記念し、産業技術科の3年生2人が制作。「矢高70」の4文字が表され、2.5メートル四方の1文字は菊で埋め尽くされている。

 同科植物コースの日高柾さん(17)と山岡崇さん(18)が課題研究で、ボードに使用する菊の栽培を4月に開始。文字は赤色、縁は黄色、その他は白色で表現することにした。パソコンでデザインを決めてから、土台となるパイプ(縦5メートル、横10メートル)を組み、1文字分当たり420本を使った。

 2人は授業時間に加え、朝や放課後にも作業を重ね、6日に完成した。

 最初はできるか不安だったという日高さんは「菊を一本一本挿し木する地味な作業もあった」と振り返った。自然の中で暮らしたいと東京都杉並区から来た山岡さんは「休みの日は寮から水やりに通った。最後までやり遂げることができた」と話し、邑南町での思い出になった様子だった。

冬の味覚・松葉ガニ初競り・・・最高値200万円(鳥取港)

2018年11月8日 13:31 山陰中央新報

 立冬の7日、山陰の冬の味覚・松葉ガニ(ズワイガニ雄)が鳥取県内3港で今季初水揚げされ、鳥取港(鳥取市)の初競りで、鳥取県のトップブランド「五輝星(いつきぼし)」のカニに史上最高の200万円の高値が付いた。漁業関係者はシーズンの盛り上がりを期待した。

 同県内では、2016年の五輝星の最高値130万円を70万円更新した。落札したのは、海産物販売「かねまさ浜下商店(鳥取市賀露町西4丁目)の浜下哲爾社長で、額が決まると、漁業関係者から「おおーっ」とどよめきが起こった。

 カニは甲羅幅14・6センチ、重さ1・28キロで、大きさ、形など五輝星に求められる五つの基準を満たす。
 浜下社長は「平成最後の松葉ガニ漁で、鳥取のカニを全国はもちろん、世界にも発信したかった」と話した。カニは数日間、同店内で披露し、その後に販売するかを検討するという。

 この日は、鳥取港に加え網代漁港(鳥取県岩美町)と境漁港(境港市)に23隻(昨季20隻)が戻り、水揚げ量は計2万2124キロ(昨季1万3466キロ)と増えた。昨季の初競りより隻数が増え、海の状況も良かったことが影響したという。水揚げ量が増えたため、1キロ当たりの平均単価は昨季より1120円低い3787円だった。この日は、史上最高額のカニを含めて9匹を認定した。

高いゲーム性「スポ鬼」人気 島根 大人の愛好者増える

2018年11月8日 13:26 山陰中央新報

 競技性を高めた「スポーツ鬼ごっこ(スポ鬼)」が島根で人気を集めている。中国地方で唯一、公認団体があり、大人の愛好者が増えている。鳥取の地域づくり団体は婚活イベントに鬼ごっこを取り入れ、カップル誕生に役立てている。平安時代の鬼払いの儀式「追儺(ついな)」が起源とも言われる伝統の遊びは、今後も進化しながら親しまれそうだ。

 「目を離すな」「守って」「来てるよ」

 1日夜、松江市浜乃木7丁目の県立大松江キャンパス体育館。学生サークル「県大Oni|go(おにご)!」や「しまね鬼ごっこ協会」(松江市)のメンバーら20人がスポ鬼を楽しんだ。サークルの戸谷優香さん(20)と中山桃花さん(19)は「楽しく体を動かせる」と口をそろえた。

 スポ鬼は、30年前に子どもの肥満解消を目的に、城西国際大(千葉県)の教授が考案した。「鬼ごっこ協会」(東京都)が全国大会を開き、海外にも愛好者が広がる。1チーム7人制で、相手に触られないようにしながら敵陣のトレジャー(宝)を取った回数を競う。攻守での戦略が勝敗を左右し、ゲーム性が高い。

 しまね鬼ごっこ協会は2014年に発足し、40~50代を中心に約40人が所属する。県大会や体験会を開き、親子行事に取り入れる小学校も増えている。中村和可子会長(48)は「始めた頃は『何それ』という感じだったが、確実に広がっている」とする。楽しいだけでなく、身体能力やコミュニケーション能力も培われるという。

 鳥取県智頭町のいざなぎ振興協議会は、婚活イベントに鬼ごっこを取り入れている。全身黒タイツの鬼が現れるといった趣向を毎回凝らす。事務局の大谷優希さん(40)は「自然と話ができて、打ち解けやすい。リピーターも多い」と話す。3人に1人がカップルになるといい、鬼が「縁結び」の役目を果たしていると言えそうだ。

苦境でも「愛用者いる限り頑張る」 たどん製造出雲の2社

2018年11月8日 13:11 山陰中央新報

 7日は二十四節気の一つの立冬。朝晩を中心に気温が下がり、こたつが欲しくなる季節を迎えた。そんな中、主に掘りごたつの燃料として使用されるたどんが苦境に立たされている。家電製品の普及で製造会社は減り、中国地方では現在、出雲市内の2社のみだ。その両社も時代の流れから生産量は減少傾向だが、今も出雲、雲南両市内の山間部の住民に愛されている。「需要がある限り、やめられない」。生産者は作業にいそしむ。

 たどんは、江戸時代に木炭の運搬時に出る炭の粉を再利用しようと、丸めたのが始まりとされる。かつて島根は木炭を燃やして砂鉄を溶かし、鉄を造るたたら製鉄が盛んだったのに加え、林業が栄えたことなどから、たどんが根付く素地があったとみられる。

 木炭の粉を水に溶かしたでんぷんと混ぜて練り、丸めて棚で自然乾燥させて直径6センチほどの玉にする。通年製造し、春から秋にかけてがピークだ。かつて島根県内では少なくとも17社あったという。

 創業91年の丸ヨ商店(出雲市今市町)は、最盛期の1965年に年間10万袋(1袋10キロ、販売価格1500~1600円)を販売したのに対し、2016年以降は1万袋を割り込んでいる。人口減や電化製品の台頭が理由だ。笛吹勇気社長(31)は「今までと同じ手法では生き残れない」と危機感を募らす。

 かつべ燃料(出雲市知井宮町)は、勝部満雄社長(76)と妻英子さん(75)夫婦で47年前に製造を始めた。多い時に3万袋だった生産量は、昨年は約8千袋。高齢も重なり、廃業する予定だったが「やめられたら困る」と愛用者の声を受けて事業の継続を決めた。勝部社長は「信用は一度失うと戻らない。元気なうちは、質のいい商品を作り続ける」とする。

 たどんは火を付けて赤くなると、10時間以上、熱を保つ。じんわりと柔らかい熱が伝わり「温泉に入ったように体がぽかぽかする」と勝部社長。たどんを入れた火鉢の上でおでんを温めたり、焼き芋を作ったりと料理にも使える。

 丸ヨ商店は5年前からインターネット販売を始め、沖縄を除く46都道府県に届けている。10キロでの販売が基本だが、少量を求めるニーズに対応し、2キロを約500円で販売している。

 今年4月に76歳で亡くなった笛吹社長の義父和章さんは「最後の一社になってもたどんを守る」と気骨のある人だった。若くして思いを継ぐ笛吹社長は「最後の最後まで需要がある限り頑張るだけです」と話す。

20年春完成の旅客上屋、名称決まる 境港の新たな交流拠点

2018年11月7日 14:17 山陰中央新報

 境港市竹内南地区で2020年春の完成を目指す国際貨客船ターミナルの主要施設「旅客上屋」の名称が、「境夢みなとターミナル」に決まった。事業主体の境港管理組合が6日、市内で開いた組合設立60周年記念式典で発表した。

 名称は全国公募で寄せられた345件の中から、覚えやすさなどを基準に選定委員会が7候補を絞り込み、9~10月に一般投票を実施。総数213票のうち「境夢みなとターミナル」が69票を獲得した。次点は「夢みなとターミナル」の57票だった。

 旅客上屋は、日韓ロ定期貨客船やクルーズ客船、RORO船を迎え入れる新たな交流拠点となる。鉄骨平屋(3300平方メートル)で、CIQ(税関、出入国、検疫)エリアや待合エリア、事務・会議スペースに加え、屋上に客船や大山を一望できる送迎デッキを設ける。現在、基礎工事を進めている。

 記念式典は同市竹内団地の夢みなとタワーであり、組合管理者の平井伸治知事が「船会社や荷主、地域の皆さまの支えで60周年を迎えることができた。世界につながる港として、さらに発展させていきたい」とあいさつ。港湾関係者ら15人がくす玉を割り、名称を発表した。

田んぼアートやかき氷創作・・・中学生議会、ユニーク提案

2018年11月7日 14:06 山陰中央新報

 アイデアを生み出す力を身に付ける「アントレプレナーシップ教育」を受けた江府町立江府中学校の3年生が、6日の中学生議会でまちづくりのアイデアを白石祐治町長に提案した。公募型田んぼアートなどユニークで実現性の高い提案があり、白石町長が具体化に向け予算措置を約束した。

 地域資源を見つめ直すとともに、夢を描き、実現できる人材を育てようと本年度、町が初めてアントレプレナーシップ教育を企画。3年生22人が9月下旬に2日間の集中授業で東京都の一般社団法人「i.club(アイクラブ)」(小川悠代表理事)の指導を受け、5班に分かれて町への提案を練った。

 中学生議会は同町江尾の町議会本会議場であり、各班代表者5人が中学生議員として町執行部と向き合った。篠田和希さん(15)の班はデザインを公募して参加者も募る田んぼアートを提案。色の違う稲を植えて絵を描く田んぼアートは各地で例があるが、体験型イベントとして多くの人を巻き込む点が新しく「特別感と一体感を味わってもらえる」とアピールした。

 白石町長は「斬新な発想だ。皆さんに研究してもらいたい」と実現に携わるよう逆提案し、来年度予算で支援する考えを示した。

 奥大山の水を使った名物かき氷の創作、空き家の活用促進に向けた清掃事業などの提案も目を引いた。