周辺の市街地再開発に伴い、2020年12月末までの退去が決まっている 周辺の市街地再開発に伴い、2020年12月末までの退去が決まっている島根県のアンテナショップ「にほんばし島根館」(東京都中央区)が20年1月末に閉館する。島根県は19年度中に都内の移転先との契約締結を目指す。20年に東京五輪・パラリンピックを控える上に、人口減少対策を巡って他県と首都圏での競争が激化する中、想定する戦略を実現でき、成果が上げられる拠点を確保できるかどうかが焦点となる。
丸山達也知事が5日、9月定例県議会本会議で明らかにした。
退去を巡っては、15年8月にビル所有会社が耐震不足や周辺の再開発計画を理由に、16年2月末までの退去を要請。県は他の好立地を探すよう求めたが見つからず、17年3月に耐震化した上で20年12月末まで入居できる内容で合意した。
現在のビルは年度ごとの契約で20年度の更新を考える時期を迎える中、設備の老朽化もあって退去を決定。20年3月末までに閉館作業を終えなければならないため、20年1月末での閉館にした。
地方で人口減少対策や地方創生が最重要課題となる中、各県が首都圏に拠点を置き、地元産品のPRや観光客誘致、移住定住者の確保などの取り組みを活発化。鳥取県は、岡山県と共同設置する東京都港区の「とっとり・おかやま新橋館」で積極的に観光イベントを実施するほか、移住や仕事相談コーナーを拡充したり、ビジネス利用スペースを新設したりした。
島根県は課題を認識しており、大手百貨店前の立地で現在来館の中心となっている高年齢層だけでなく若年層も利用しやすい場所に加え、地元産品の販売や販路拡大、移住定住相談の体制拡充、交流・イベントスペースの新設など機能強化を図る考え。現在の年間賃借料(共益費込み)約7180万円と同等か少し上回る価格の物件を想定する。これまで紹介を受けた約20カ所のうち数カ所を有力視しながら新たな物件も探している。
県は契約を急ぐが、東京五輪を前に地価が上昇し、希望に沿った場所が確保できるかどうかは不透明。閉館から新拠点のオープンの期間が長くなればなるほど影響が大きくなるだけに、県しまねブランド推進課の坂本偉健課長は「なるべく早く契約を決め、オープンできるよう努力する」と話した。