ラグビー体操「ラグッパ」の実演動画。発案者の佐々木隆道、その盟友の畠山健介による豪華な実演だ
「僕なりに地域社会への貢献のしかたを考えた結果、ラグッパを通じてすべての世代の方にラグビーに親しんでいただいて、ラグビーの良さを知っていただければと考えました。ラグビーはプレーするだけではなく多様性、称え合い、助け合い、認め合い、支え合い、責任を果たす、という要素が根本にあります。それを伝えたいですし、自分たちの生活に取り入れていただけたら、という思いで作りました」
動画内の振り付けのひとつでもある「ラグッパ」ポーズを披露する佐々木隆道。
「ラグビーボールに触れていただきたいことに加え、二人一組でやることによって一人で完結する体操とは違いコミュニケーションが増えますし、もっと上手くやるにはどうしようと考え、協力する。こうして人と接することで多様性や助け合い、支え合い、責任を果たすことにつながります」
「3世代で行えることもラグッパの特徴です。いざ自分が親になってみて、自分の親も含めた3世代で過ごす機会がなかなかない。しかし、みんなの笑顔が増えている空間というのは3世代が集まっている時なんじゃないか、と考えるようになりました。ラグッパならみんなで時間を共有することにもつながりますし、健康の増進、未病予防にもなります。なおかつ僕が愛するラグビーの最初のエントリーにもしていただけると考えています」
「僕が師事しているトレーナーの植野悟先生のメソッドを取り入れさせてもらいました。手を挙げる、しゃがむ、足を振る、そういった運動機能、身体動作の重要なポイントを押さえました。その一方で、トレーニング色が強いと広がりが薄くなってしまうと思い、このような体操にしました。ラグッパだけで健康面の改善ができるわけではありませんが、筋肉の連動性などの効果があると考えています。ただ、動画内のナレーションでもお伝えしているように、無理な動きをしてケガしてしまわないように自分のできる範囲で体を動かしていただきたいですね」
「ワールドカップの期間中ファンゾーンでも実施しました。その後、幼稚園やリハビリ施設、デイサービス施設、ショッピングモールなどからやりたい、やってほしいというオファーをいただきました。めちゃくちゃうれしいですよね。一般のご家庭やハワイから動画の投稿もいただいています」
「日野は地域のみなさんとのつながりが強く、公式動画にもご出演いただいたのですが、ラグッパをやった後に、みなさんおのおのボールを触って蹴って遊んだり、ランパスが始まったりというすごく素敵な光景が広がっていたんです。『昔、ラジオ体操の後にこうやって野球やサッカー、鬼ごっこをやっていたな』と思い出し、いずれはラグビーもそうなればいいなと想像しました」
「もちろん日野以外のチームのご協力も大歓迎です! まだ走り出したところなので、こういう感じになるよという形を見せながら、いろいろなチームの人に話したいと思っています。たとえば16チームがみんなでつないで実演したりすると、とても素敵なんじゃないかなと。ラグビー仲間たちがラグッパを使っていろいろな活動をしてくれたらいいなと思っていますし、ゆくゆくはラグビーという枠からもはみ出していきたいですね」
「社会問題の解決の一翼を担う、というほど大それたことはやっていませんが、そんな大義のもとみんなで動いています。杖をついた方、車いすの方、目が見えない方、そこに当たり前にみんながいて、お互いに認め合う。そして必要な助けをする。電車で席を譲るくらい当たり前のことですが、世の中全体がそういう考え方になっていったらいいなと思っています」
「ラグッパたいそう」を作詞・作曲した村田匠さん(左)と歌唱担当のしゅうさえこさん。親子による共作だ。
「最初に体操の動きだけをいただいて、踊りを付ける過程で音楽の構成的にこう作りたい、あるいはこういう振り付けもほしいといった逆提案もしながら制作しました。サビが欲しいという話にもなり、『ラグラグラグ、パッパッパ』というサビをその場で作って伝えたりもしました。キャッチーな部分があるとそこだけ繰り返して歌われるので、それって大事なんですよね。最初、誰が歌うかは決まっていなかったんですけど、“ピアノ”と“歌”というシンプルな編成の中でも、声に情報量や説得力がある方にお願いしたいと思っていたんです。さえこさんにダメ元でお願いしちゃいました」(村田匠)
「歌う上で意識したのは、活力と、言葉をとにかくしっかりと伝えたいということですね。たとえばキックの『ねらいすましたら』はやはり“ゴールに向かって集中して狙いすます”という場面をイメージしましたし、『やさしく投げよう』とか『5点入るよ』とか、どの言葉も一つ一つが大事なので、思いを込めて歌いました。子どもの歌もそうですが、こういう歌は音符が詰まっていない分、自然と一個一個の音符に思いが乗ります。それが一曲の重みになりますし、歌っていて楽しかったです」(しゅうさえこ)
(齋藤龍太郎)