cat_3_issue_oa-rugbyrepublic oa-rugbyrepublic_0_1e1535228d04_長崎・諫早『クラブハウス 140』、閉店2日前の夜。 1e1535228d04 1e1535228d04 長崎・諫早『クラブハウス 140』、閉店2日前の夜。 oa-rugbyrepublic 0

長崎・諫早『クラブハウス 140』、閉店2日前の夜。

2017年12月29日 12:00 ラグビーリパブリック

 花園開幕前夜、久しぶりにコタツでひと晩寝た。
 長崎・諫早。となりでスヤスヤ寝ているのは松竹隆三さん。同地で知らぬ人はいないラグビーマンの家にお世話になった。

 松竹さんが経営するラグビー酒場『クラブハウス 140』(ワン・フォー・オール)が12月28日を最後に閉店する。そんな情報が仲間からのメールや、読者の編集部宛の葉書でも届いたから、最後に足を運んでおきたかった。
 12月上旬、本人からも夜中に電話があった。こちらが出られず、折り返してもつながらないままだった。そうこうしているうちに閉店の噂が耳に入る。あらためて電話をすると「なんで知っとっと?」。松竹さんらしかった。

『140』の名付け親は原進さん(故人)だ。ラグビー日本代表で、のちにプロレスラー、阿修羅原として活躍した世界的プロップ(1976年、世界選抜に選出される)が考えた。ふたりは諫早農業高校ラグビー部の先輩、後輩にあたる。松竹さんが同校のスタンドオフとしてプレーしていた頃、OBの原さんがグラウンドにやって来たのが出会いだった。
 21年前、『140』は現在とは別の場所でオープンした。その頃、プロレスラー人生を終えて地元に戻っていた原さんと松竹さんは連日つるんでいた。営んでいたライブハウス『エルビス』が火事に遭ったものの、その時の補償金でしばらく気ままに暮らしていた後輩は、故郷でぶらぶらしていた先輩を誘い、毎晩夜の町に繰り出していた。
 筆者がふたりと会ったのは、ちょうどその頃だ。原さんに人物ルポの取材を申し込むと、諫早駅にふたりが現われた。それから丸2日間、昼も夜もカメラマンも含めた4人で行動した。原さんは「インタビューは140で」と言った。

 松竹さんは1960年、諫早の農家に生まれた。5人兄姉の末っ子(兄3人と姉ひとり)。諫早農でラグビーを始め、花園出場こそならなかったが、スタンドオフとして活躍した。
 卒業後は地元の材木店で働き、その後、自動車販売店のセールスマンに職を変える。営業成績はよかったが、30歳でサラリーマンを辞めたのは土日の仕事で、好きなラグビーをプレーできない週末が続いていたからだ。所属していた「むつごろうクラブ」での日々を充実させたかった。

 原さんが1971年に秩父宮ラグビー場でイングランドと3-6と死闘を演じたときの純白のジャージー。フランス代表のものもある。日本ラグビーの歴史を伝える貴重なジャージー以外にも、店を訪れた選手たちが置いていったもの、あとで送ってくれたもの、海外のラグビーグッズや新聞、雑誌の切り抜きなどが、140の壁や天井を埋め尽くしている。
 試合を終えたクラブチームの打ち上げ。ラグビー好きがわざわざ訪れることもあるけれど、やはり同店を訪れるのは楕円球を縁につながった仲間や友であったり、地元の知人たちだ。そこで知り合って結婚したカップルもいれば、悩みの相談で深夜にやって来る人もいた。
「みーんなウェルカムよ。喋ってみたら、よか人間。ほとんどが、そう」
 暗い顔で店に入ってきた人も、松竹さんの調子に巻き込まれ、スッキリして帰っていく。その時は騒ぎ、おちゃらけて気を紛らわすだけで、悩みについては後日あらためて相談にのる。
「俺は結局のところ、人好きだけん」
『140』を開いた理由も「寂しがり屋だから。店をやれば、みんなが集まってくれるから」と明快だ。

 コタツで寝た夜。諫早の町を連れまわしてくれた。
 店から店へ。タクシー会社に電話して配車を頼む。3回呼んで、すべて同じドライバー。松竹さんはタクシーに乗るたびに言った。
「この(ドライバーの)タチカワさんは、うちの兄ちゃん(三男)の友だち。チョウダイ(長崎大)を出とらすとよ」
 ときどき東大出身と言い間違えるのだが、タチカワさんは慣れたもの。「隆三、今度はどこ行くと?」と聞きながら、こちらの腹具合を聞き、「それならあっちの方が」となる。
 代行タクシーの人が店に入って来れば、「これは後輩」。話の中に出てくるのは、かつてのボスや、兄貴分に弟分、ラグビー仲間に知人、そして、その知人。「諫早で自分を知らない人はおらん」は本当らしい。
 妻・恵子さんが言う。
「それは事実かもね。もしかしたら、お金を持ってなくても飲めるかも。それぐらいの信頼はあるかも」
 しっかり者の伴侶が続ける。
「ただ、この人は諫早の中でだけ強かと。外に出たら借りてきた猫状態」
 本人も頷く。
「県外に出てはぐれたりしたら(諫早に)ひとりでは帰って来られんから。長崎(市)に行ったときですら、すぐ帰ろうって言うけんね」

 愛し、愛されてきた店を閉じるのは、この冬の全国ジュニア大会に長崎県選抜の一員として出場する長男・龍之介くん(中3/長崎ラグビースクール)が高校進学するにあたり、家を離れるからだ。
 これまでは、自分も、小料理店を経営する妻も夜に家をあけるから、息子に87歳の母・チヨノさんと家にいてもらった。春になればそうはいかなくなるから、自分が母の面倒をみることにした。
 父は49歳で亡くなった。「それから、ひとりで頑張って育ててくれた。その恩返しよ」とさっぱりしている。
「これまで好き勝手やってきたけん、よかと。これも俺の人生たい。寂しくなったら、今度はこっちが飲みに出掛ければいいだけ」
 多くの人たちとの出会いを積み重ね、愉快な人生を歩んできた人は、ときどき息子にこんなことを言うらしい。
「絆の深さっていうのは、会った回数じゃなか。会って、すぐ分かりあえる人がおると。そういう縁は、ちゃんと大事にせんといかん」
 うんうん。松竹さんと会ったのは、1997年の夏が初めて。『140』閉店2日前の夜が3回目だった。

 花園に向かう朝、ご自宅で朝食をいただき、お風呂も用意してもらった。
 脱衣場で着替えていると、リビングの声が聞こえてきた。
「ありがとうね。喜んでくれたばい」
 いつもふざけてばかりのおっさんが、奥さんにそう声をかけていた。

 憎めないおやじ。それが長く酒場を続けられた理由。
 話し好きのシャベリ下手。シャイな素顔が、多くの人たちをそこに惹きつける魅力だった。

多くの人に愛された『クラブハウス 140』の入口。

店内は貴重なジャージーや、新聞、雑誌の切り抜きなどで埋め尽くされている

【筆者プロフィール】
田村一博(たむら・かずひろ)
1964年10月21日生まれ。1989年4月、株式会社ベースボール・マガジン社入社。ラグビーマガジン編集部勤務=4年、週刊ベースボール編集部勤務=4年を経て、1997年からラグビーマガジン編集長。

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50得点。神戸市立工業高専、全国高専大会を制す

 前半の集中力で勝負を決めた。
 12月22日から神戸総合運動公園ユニバー記念競技場・補助競技場で開催されていた第48回全国高等専門学校大会の決勝が12月27日に決勝戦(神戸ユニバ)がおこなわれ、神戸市立工業高等専門学校(開催県代表/以下、神戸市立工業高専)が仙台高等専門学校・名取キャンパス(東北第1代表/以下、仙台高専・名取)に50-14と大勝し、5大会ぶり10回目の優勝を手にした。

 大会最多の14回の優勝回数を誇り、昨年まで4連覇の仙台高専・名取にとっては、悪夢の前半35分だった(35分ハーフ)。
 先に風上に立った神戸市立工業高専は、スクラムをはじめとしたFWの前に出る意識と、左右にボールを動かす意志のバランスがよく、トライ量産した。
 開始8分、先制トライを奪ったのはWTB村上祐基。スクラムから攻め、インゴールに入った。そのプレーで勢いづいた同チームは、前半だけで5トライ。31-0の大差をつけてハーフタイムを迎えた。

 後半に入って眠っていた昨季王者も目を覚ました。仙台高専・名取は本来のリズムを取り戻し、セットプレーから崩してトライを取り切る場面もあった。
 しかし、神戸市立工業高専は前半から続けていた前に出る防御を継続し続け、結局2トライしか許さぬ快勝だった。

攻守とも前に出続けて手にした勝利だった。

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1996年度以来の大学日本一へ新人燃ゆ

明大は1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で大学選手権の準決勝に挑む。1996年度以来となる13回目の日本一に向け、昨年度の高校日本代表に入った新人たちも活躍を誓っていよう。

 今季5年目となる丹羽政彦監督体制へは、OBで元サントリーのチームディレクターでもある田中澄憲 新ヘッドコーチが就任した。

 筋力や持久力に加えて試合中の課題修正力のアップに注力し、夏合宿中は昨季の全国4強のうち3チームと練習試合をして2勝1敗(東海大、天理大に勝利)。加盟する関東大学対抗戦Aでは慶大、帝京大に敗れるも、12月3日の早大戦では29-19で勝利。対抗戦2位に入り、大学選手権のシードを獲得した。

 全国の舞台では、準々決勝から参加。昨年度大会の初戦で22-26と屈した京産大に27-21で辛勝(大阪・キンチョウスタジアム)。この日、白と紫の通称「紫紺のジャージィ」をまとった先発陣に、3人のルーキーがいた。LOの箸本龍雅、CTBの森勇登、FBの山沢京平だ。

 なかでも箸本は、将来のリーダー候補と目される。昨季高校日本一になった東福岡高、さらに高校日本代表でも主将を務めてきた。身長188センチ、体重111キロのサイズを活かした突進力を売りに、今夏は20歳以下(U20)日本代表としてウルグアイでのワールドラグビーU20トロフィーで優勝。国際舞台では、コンタクト時に腰高にならないことの重要性を再認識した。

「(大型選手とのコンタクトでは)低さで勝負しないと通用しない場面がたくさんあった。低さを習得できた、とまではいかないけど、イメージはついた。帰ってきてからもそこを意識して練習しようと思えました」
 
 前所属先でチャンピオンとなった経験があるだけに、大学選手権のようなステージへ向けた心得は皮膚感覚で理解しているか。大差をつけて勝利したある対抗戦の試合の直後に、「シーズン終盤の戦いへ必要な積み上げは」といった趣旨の質問にこう答えていた。

「そういう(強い相手との)試合になると、簡単なミスに付け込まれる。そうなると相手に流れが渡り、なかなか取り戻せなくなる。だから、きょうみたいな点差がついたところでも、それに満足して雑なプレーをするのではなく、強い選択をする」

 ここでの「強い選択」とは、その時、その時で最適かつ簡潔なジャッジを下し続けることを指すのだろう。そして箸本が「いつも正しい判断をする」と信頼する仲間が、同じ東福岡高出身の森である。

 身長174センチ、体重81キロと決して大柄ではないが、防御のわずかな隙間を端的にえぐる。危機察知能力にも長ける。1軍デビューを飾った対抗戦の成蹊大戦(10月15日:群馬・高崎浜川競技場/〇87-0)の後、こう話していた。

「紫紺のジャージィが好きだったからメイジに入りました。(明大には)自分の年代だけじゃなくて、先輩にもレベルの高い方がいっぱいいる。それぞれのいいところを吸収しながら、自分の強みを出していきたい。上のチームではコミュニケーションが大事なのですが、そこが課題。試合を積み重ねるなかで学んでいけたら」

 常勝集団からやって来た2人と一緒に明大復権に力を注ぐのは、埼玉・深谷高出身の山沢京平だ。

 この夏は箸本とともにU20日本代表入りも、U20トロフィー直前に故障離脱を余儀なくされた。それでも対抗戦終盤から、明大フィフティーンの最後尾に屹立。キック力と果敢なカウンターアタックへの姿勢を兼備し、2万人超の観衆を集めた早大戦でも積極性を示した。

「これだけ人がいるなかでやったのは初めてだったので、緊張はしましたけど、楽しめました。自分の役割をして、少しでもチームに貢献したい」

 箸本と山沢がプレーした早大戦の直後、田中ヘッドコーチは「箸本、山沢も、これからメイジを背負って立つメンバーです。今回、こういう大舞台を経験でき、勝ったことは、プレーへの評価とは関係なく大きなことです」とエールを送っていた。

 今度のセミファイナルでは、明大と同じく2季ぶりの4強入りとなる大東大と激突する。森を含めた新戦力たちが白星をつかめば、早大戦時と同様に貴重な成功経験を得られそうだ。
(文:向 風見也)

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cat_3_issue_oa-rugbyrepublic oa-rugbyrepublic_0_1b2b022132fa_日本と引き分け解任。新指揮官はブリュネル 1b2b022132fa 1b2b022132fa 日本と引き分け解任。新指揮官はブリュネル oa-rugbyrepublic 0

日本と引き分け解任。新指揮官はブリュネル

2017年12月29日 12:00 Getty Images

 フランスラグビー協会は12月27日、昨年1月から同国代表を率いてきたギ・ノヴェス ヘッドコーチを解任し、前イタリア代表ヘッドコーチのジャック・ブリュネル氏が新しい指揮官に就任すると発表した。

 トゥールーズを4回も欧州クラブチャンピオンに導き名将と呼ばれたノヴェス氏は、フランス代表再建を託された就任当初、4年契約と見られていたが、テストマッチ21試合を戦って7勝1分13敗(勝率35%)と結果を残せず、先月25日にはホームで世界ランキングが下の日本代表と23-23で引き分け、ミスが多かった戦いぶりはメディアやファンからも厳しく非難されていた。
 FWコーチとBKコーチも解任が決まった。

 新ヘッドコーチとなるブリュネル氏はフランス出身で、新年1月に64歳の誕生日を迎える。2015年ワールドカップでイタリア代表を指揮し、翌年のシックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)を最後に退任したあとは、フランス最高峰リーグに属するボルドー・べグルで指導力を発揮していた。また、2001年から2007年にかけてフランス代表のFWコーチとして当時指揮官だったベルナール・ラポルト氏(現フランスラグビー協会会長)を支え、シックスネーションズで2度のグランドスラムを含む4回の優勝に貢献した。

 ブリュネル新体制となるフランス代表は、2月3日に開幕する2018シックスネーションズの第1節・アイルランド代表戦が初陣となる。
 そして、新ヘッドコーチは2019年ワールドカップでもフランス代表を率いる予定。

フランス代表の新ヘッドコーチに就任したジャック・ブリュネル氏

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報徳学園戦 0-105を覆す旅を始めたところ

鉛色の空の下、ノーサイドの笛が鳴る。挨拶を終え、芝の上からベンチに下がる。青いジャージィの富山一高のフィフティーンは、その表情をみるみる崩してゆく。やはり、負けたら悔しい。

 教え子の嗚咽を聞きながら、さばさばしていたのが河合謙徳監督だ。「小さくなれ」。円陣を作る。短い時間でいくつか発した訓示のひとつは、「1、2年生は、またここへ戻ってきなさい」だった。

「特に前半、ディフェンスで受けてしまった。相手にスペース、時間を与えてしまったことはもったいなかったと思います」

 富山東高から早大を経て故郷で教員となった30歳は、チームにとって2年連続10回目、自身としてはコーチ時代を含め通算3回目の全国高校ラグビー大会初戦をこう総括する。

 12月27日、大阪・東大阪市花園ラグビー場の第3グラウンド。2年連続43回目の出場となる兵庫・報徳学園高に、0-105で敗れていた。自分たちとは逆側にあるベンチの周りでは、高校日本代表候補の江藤良主将ら対戦チームのエースランナーが女性タレントのインタビューを受けている。

 この日の報徳学園高は、いくつかハンドリングエラーを犯しながらも自信満々でトライラインを目指し続けていた。

 CTB岩佐堯弥、WTB中西海斗といった身長170センチ前後のランナーが粘り腰とフットワークで防御を切り裂けば、パスの出所にいたアウトサイドCTBの江藤主将がすぐにサポート。こちらも高校日本代表候補のFB、雲山弘貴は自己採点を「50点」としながら15本すべてのコンバージョンを決めた。ワンサイドゲームをおぜん立てした。

 もっとも今度の得点差は、一つひとつの局面でのわずかな差が堆積してできたものでもある。例えば、強力なBK陣を止める防御プランとその遂行度合いについて、河合監督はこう話している。

「(防御ラインが)いかに前に出るか。それは練習してきたので、きょうも意識してくれていたと思います。ただ、(問題は)出るタイミングのずれですね。中途半端な間合いで出て、中途半端な間合いで相手と対峙してしまうシーンが多くあったので。ハーフタイムには、外(のスペースは)気にしなくていいから、内を守りなさいと(伝えた)。その部分は、後半になって改善された。ただ、そこでボールを奪い取るまでには至らなかった。報徳さん、強かったな。そう思います」

 それと遠くない実感を、実際に戦っていた前川海哉主将も抱いていよう。事実、前後半の中盤には報徳学園高のスコアラッシュは停滞。その間は、富山一高が強みのFW陣を軸にボールキープを重ねていた。最後はミスに終わったが、チャンスの入口を探しかけてはいた。

 高校からラグビーを始めた北陸のFLは、自軍の攻撃のエラーについてこう話していた。

「自分たちのボールになった時にもう少し落ち着いて、(そのうえで)テンポアップしていけば、(相手の攻撃感が減り)105失点という形にはならなかったと思います」

 大差の試合を生んだかすかな違いは、根本的な勢力分布図とも無関係ではなさそうだ。

『ラグビーマガジン』編集部作成の「第97回全国高校大会ガイド」によれば、登録メンバー候補30選手中の競技経験者は報徳学園の「29」に対して富山一高は「4」。県内にも複数のラグビースクールが存在するものの、有力選手が県外の強豪校へ入学する傾向が強まっている。

 例えば砺波市出身の西和磨は、京都成章高を経て帝京大入り。いまは大学選手権9連覇を目指している。才能の流出は、高岡一高など県内で覇権を争うライバル校も抱えているジレンマだ。

 ここでなんとか前向きな言葉を残すのが、富山一高の河合監督である。

「もうちょっとうちに魅力があれば(有望選手が県内に)残ってくれるようになる。そこへ向けても、頑張っていきたいと思っています」

 地殻変動の象徴となりうる1年生の1人が、この日先発した藤永悠人だ。身長170センチ、体重81キロのインサイドCTBである。

 当初は同じ環境から飛び立った西に憧れ京都成章高を志望も、「寮がいっぱい」だったために自宅から通える富山一高を選んだ。

 気持ちを切り替え、いまに至る。

「中学校のコーチとかも県外で試して欲しいと言っていて。(自身も)本当は県外でやろうと思っていたんですけど、県内に残って1年生からたくさん試合に出てがんばろう…となりました」

 親戚が指導者だった縁から「(幼稚園でいう)年少の頃」に砺波ラグビースポーツ少年団でラグビーを始めた。中学時代は、となみWILD BANDITSでプレー。「練習が嫌いで…」と苦笑しながら、周りのレベルが高まった中学時代にラグビーの楽しさを再認識したという。

 報徳学園高戦後も悔しかったのは確かだが、「初めての花園で緊張したんですけど、楽しめました。県外から勝ち上がってきたチームと全力で試合ができたので」。ラグビーを嫌いになったわけではない。

「なんか、ラグビーには、走ったり、ぶつかったり、蹴ったり、ボールを回したりと、いろんなスポーツの側面があって…」

 もともと志望していた京都成章高は、今年の全国大会でAシードを獲得。確かに競技活動におけるメリットは、いまいる環境よりも多く得られるのかもしれない。そうは感じていながらも、藤永は、「同級生たちにいろいろと教えたりしながら、強くなりたい」。今回の黒星を、本当の意味での肥やしにしたい。

「花園に出場して、自分たちのラグビーを通用させたい。プレーの正確性をもっとよくしたい。勝って、シード校とぶつかって…」

 そう。大差のゲームも丹念に紐解けば、わずかな差の積み重ねだったとわかる。それを指揮官は防御の飛び出しのずれなどに、藤永は「プレーの正確性」に見た。以後の旅路は、険しいのかもしれないが明確でもある。

 いずれにせよ、物事は二極化した途端に味気をなくす。日本の高校ラグビー界のおもしろみは、藤永のような選手の奮闘に支えられる。
(文:向 風見也)

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cat_3_issue_oa-rugbyrepublic oa-rugbyrepublic_0_05c28de3d057_昌平、初陣飾る。茗溪学園、尾道も2回戦へ 05c28de3d057 05c28de3d057 昌平、初陣飾る。茗溪学園、尾道も2回戦へ oa-rugbyrepublic 0

昌平、初陣飾る。茗溪学園、尾道も2回戦へ

 創部39年目で花園初出場を果たした埼玉の昌平高校が、12月28日、第97回全国高校ラグビー大会の1回戦に臨み、滋賀県立八幡工業高校に26-22で競り勝ち新たな歴史をつくった。
 先制したのは7年ぶり出場の八幡工だった。6分、FL岡本流星が敵陣深くでキックチャージし、自らインゴールで押さえた。勢いづいた八幡工にその後も攻め込まれた昌平だが、耐え、逆に16分、ハイパントのボール確保からチャンスとなり、FL加藤舜也が軽快なフットワークでゴールに持ち込み、流れを変えた。
 その後、PGで逆転された昌平だったが、27分、FL加藤のビッグゲインでチャンスとなり、スピーディーな連続攻撃をCTB岡部奨起がパワーも活かしてフィニッシュ。14-8で折り返した。
 6点リードで前半を終えた昌平は、八幡工の粘り強いディフェンスにしばらく苦労していたが、後半8分、ラックでこぼれたボールを拾ったNO8ウェストブルック・ティムがゴールに持ち込み、追加点を挙げた。17分には敵陣22メートルライン内中央のスクラムからの攻撃で、SOに移動していた杉山樹が右に走り込んでディフェンダーをひきつけオフロードでWTB鳥居健悟につなぎ、トライ。
 18点差を追いかける八幡工は19分、スクラムからのチーム戦術が決まってWTB河合風詩がゴールへ駆け抜け、25分にはSO大林優生もトライゲッターとなって(ゴールキックは2本とも成功)4点差に詰めたが、昌平がリードを守り切り、熱闘はノーサイドとなった。
 昌平は30日におこなわれる2回戦で、連覇を狙う昨年度王者の東福岡(福岡)にチャレンジする。

茗溪学園のPR橋口拓人にタックルする松山聖陵のSO濱田桂右

 昨年度、39年ぶりの花園で2勝し、2年連続の出場となった今回も志高く挑んだ松山聖陵(愛媛)は、全国制覇したことがある関東の名門・茗溪学園(茨城)と1回戦でぶつかり、14-27で惜敗した。
 開始早々のPGチャンスはポストに嫌われた松山聖陵だったが、敵陣で攻め続け、前半8分、PR橋本龍河がゴール前のピックアップからライン上に押さえ先制した。
 しかし茗溪学園は27分、高校日本代表候補の2人が魅せる。敵陣22メートルライン付近からSO堀尾健太が絶妙のキックでインゴールに転がしたボールをWTB加藤樹大が押さえ、5点を返した。ハーフタイム前にはバックス展開からセブンズユース日本代表のFB植村陽彦が抜け、逆転した。
 3点リードで折り返した茗溪学園は後半3分、敵陣深くのキックチャージからチャンスとなり、たたみかけてPR牧大貴がトライ。
 茗溪学園の堅守に苦労していた松山聖陵は23分、ピック&ゴーの連続でWTB篠崎蓮斗がインゴールに押さえ、キック成功で3点差に詰めた。が、茗溪学園はリスタート後まもなく敵陣深くに入り、26分、スクラムからの攻撃で走り込んできたCTB大芦征矢が抜け、貴重な追加点を獲得。茗溪学園は30分にPGで突き放し、2回戦でBシードの日本航空石川(石川)に挑戦する権利を得た。

 中国大会準優勝の尾道(広島)は7年ぶり出場の岐阜工業(岐阜)を57-0と圧倒した。

 尾道は開始1分も経たぬ間に、U17日本代表でもあるNO8高武俊輔がハーフウェイから抜けて50メートル走6秒フラットのスピードを披露し、先制した。5分には、岐阜工が裏にキックされたボールの処理を慌て、チェイスしていた尾道のCTB倉岡治輝がトライ。25分にはゴール前でFWが近場を攻めてLO沖佑樹がフィニッシュし、27分には自陣深くから一気にハーフウェイまで攻め上がると、バックス展開でWTB宮田寛太が抜けて走り切った。
 尾道は24-0で迎えた後半の4分と12分、モールを使ってリードを広げ、その後も着実に加点、最後は高校日本代表候補のFB奥平湧がチーム9本目のトライで締めくくった。
 敗れた岐阜工だが、低く突き刺さるタックルを繰り返し、力強いランと激しいコンタクトで果敢に攻め、SO戸野部謙のロングキックなども光った。
 勝った尾道は2回戦で若狭東(福井)と対戦する。

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cat_3_issue_oa-rugbyrepublic oa-rugbyrepublic_0_efa97a3e0fa4_熊本西、四国王者の土佐塾も2回戦へ efa97a3e0fa4 efa97a3e0fa4 熊本西、四国王者の土佐塾も2回戦へ oa-rugbyrepublic 0

熊本西、四国王者の土佐塾も2回戦へ

12月28日、晴れとなった東大阪市花園ラグビー場で第97回全国高校大会の1回戦がおこなわれ、九州勢の大分舞鶴と熊本西、さらに高知県代表の土佐塾も勝って2回戦進出を決めた。

 32年連続56回目の出場となった古豪・大分舞鶴は、6年連続8回目出場の朝明(三重)に57-7で大勝した。
 大分舞鶴は前半3分、モールで押し込み、相手に反則があってペナルティトライを獲得。15分にもゴール前のラインアウトからモールにBKも加わって得点し、ゲームの主導権を握った。21分にはNO8佐々木康成が力強い走りで追加点。27分にはFB松島聡、WTB三重野和希らの好走でチャンスとなり、FL成重颯人がトライを挙げた。さらに30分には、CTB平山壮太がハーフウェイから次々とタックラーをかわしてゴールに持ち込んだ。
 大分舞鶴は31-0で迎えた後半の4分にFB松島がトライを奪い、リードを拡大。
 朝明は11分にFWがゴールに迫ったあとボールを動かし、切り込んだSO藤田健太からパスをもらったCTB梶島丈拳がトライゲッターとなったが、大分舞鶴はラスト15分間で3トライを追加し、朝明を退けた。
 大分舞鶴は30日におこなわれる2回戦でBシードの中部大春日丘(愛知)と対戦する。

青森北戦でバックスにボールを出す熊本西のSH森田龍弥

6年ぶりの出場となった熊本西は、東北大会ベスト4の青森北(青森)を78-0と圧倒した。
 前半4分、CTB井上智羅の好走で敵陣深くに入り、中央でモールを形成して押し込み先制した。9分にはSH森田龍弥が敵陣22メートルライン外からギャップを突いてゴールに持ち込み、連続トライとなった。22分にもモールを組んでずらしながら押し込み、追加点。青森北は序盤から出足の速いディフェンスでプレッシャーをかけていたが、熊本西は27分、カウンターラックでボールを奪い返して攻め上がり、WTB山村俊臣が得点した。
 熊本西は28-0で迎えた後半2分、スクラムからの攻撃でCTB井上が大きくゲインし、すばやいリサイクルからボールはNO8井島彰英に渡ってトライ。8分にはFB後藤萌心が自陣10メートルライン手前から抜けてゴールまで走り切り、その後6トライを追加し、大勝となった。
 熊本西は2回戦でBシードの東海大仰星(大阪第2)に挑む。

ボールを奪い合う中標津(白)と土佐塾の選手

四国チャンピオンの土佐塾は3年ぶり出場の中標津(北北海道)を45-10で下した。
 土佐塾は序盤に3連続トライで主導権を握った。4分、8分とテンポのいいチームアタックをFB田中康平が連続で仕留めると、15分にはスクラムからのサインプレーが決まってWTB中井健太がゴールに持ち込み、21-0とした。
 中標津は22分、12フェイズを重ねたあとFB鎌田晋作が防御網を切り裂いて駆け抜け、5点を返したが、土佐塾は29分にラインアウトスチールから大きくボールを動かし、WTB武市凜太郎がトライを挙げて、26-5で折り返した。
 21点を追う中標津は後半早々、ラインアウトからモールで押し込んで点差を詰め、その後、粘り強いディフェンスもあって競っていたが、土佐塾は17分にゴールに迫り、SH須賀敬太が間隙を突いてトライを奪い、流れを引き戻した。22分にWTB中井がファイブポインターとなってリードを広げた土佐塾は、終盤にも1トライを追加し、2回戦進出を決めた。

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テンポがキー。1回戦で仙台育英高を倒す。

 宮城県代表である仙台育英高の、千葉真之亮は、落ち着いた態度で全国高校ラグビー大会の初戦に臨んでいたようだ。

 2017年12月28日、大阪・東大阪市花園ラグビー場の第3グラウンド。常翔学園高は、3チームが全国に出られる大阪府勢の一角で、昨季8強入りしている。かたや仙台育英高は、21年連続23回目の出場だった前回は2回戦敗退。それでも千葉は、自軍のニールソン武蓮傳コーチの名前を出してこう意気込んだ。

「常翔学園高の方が強いと言う人がほとんどだったと思うんですけど、自分たちは今までやってきたことを出せば勝てると思っていました。ニールソンコーチが工夫してウェイト、スキルなどの練習を考えてきてくれた。教えてもらったことだけをやれば、勝てる」

 身長173センチ、体重71キロと小柄でも高校日本代表候補に入ったFBの千葉は、味方FWが肉弾戦で差し込まれるなかでも隙を逃さない。

 常翔学園高が波状攻撃を仕掛けていた前半10分、自陣10メートル線付近右で相手のキックを受け取る。約60メートルの一本道を独走し、7-5と2点差に迫る。

 21-5と離されていた23分にも駆ける。そこまで2トライの相手WTB、河野竣太がハーフ線付近でオフロードパスを放つも、仙台育英のFLである長利慶太がインターセプト。そこへ並走した千葉がパスをもらい、約50メートルを突っ切ったのだ。

 21-12と迫る。千葉は言う。

「チャンスがあればそこを突く。リアクションは、意識しました。いかなる時も、すぐ反応できるように。最初に5-7になった時は『イケるんじゃないか』と。皆の気持ちを乗せていきました。(相手との)すれ違いざまで抜ける間合いは、自分の中でわかっているつもり。それを試合で使えたと思います」

 常翔学園高がより加速したのは、28-15と13点リードで迎えた後半からだった。前身の大阪工大高時代から通算して5度日本一という名門は、ひとたび防御を破ると二の矢、三の矢を繰り出す。

 12、14分と、防御を引き寄せ大きく球を振る形で加点。1年生LOの為房慶次朗らが接点周辺での突進役として機能し、河野は後半24分に自身3トライ目を挙げてだめを押した。61-15。

 司令塔のSOでゲーム主将の高桑基生は、初戦をこう振り返る。

「前半は入りが悪かったのですけど、後半になるにつれて強みのFWが縦に突いて、テンポアップしてBKが取り切れるようになった。仙台育英高さんのディフェンスは前に出てきてプレッシャーがかかったのですが、外に回すだけじゃなくて縦に(攻防の境界線を)切るプレーもできた」

 卒業後は東海大に進む千葉は、大敗に「後半になると相手も本領を発揮してきて、こっちもスタミナが足りなくなって」。関係者が指摘する競技力の地域格差を、皮膚感覚で明かす。

「フィットネスのトレーニングもしてきたのですけど、常翔学園高はそれを上回るアタックをしてきた。うちのディフェンスが中途半端に前に出た時に、ギャップを突かれた。関西選手は東北にはない身体の芯の強さを持っていた。経験の浅さが出たと思います」

 一方、常翔学園高は、30日の2回戦で島根県代表の石見智翠館高とぶつかる。

 向こうは勤勉さで鳴らし、昨季の8強同士で今年はシード権を獲得している。高いハードルが待ち構えるなか、高桑は、「テンポを上げることが、自分たちが勝つための一番のキーになる。テンポを作るラグビーができたら、勝ちにつながる」。自己肯定感を高め、関門を突破したい。
(文:向 風見也)

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中部電力はTCLから降格へ

2017年12月27日 12:00 ラグビーリパブリック

今季トップイースト、ウェスト、キュウシュウの優勝チームが競う「三地域チャレンジマッチ」は、12月23日に最終節を迎え、栗田工業ウォーターガッシュがホームで大阪府警察を52-17と圧倒し、1位となって来季トップチャレンジリーグへの自動昇格を決めた。

 大阪府警察は2位で、今季トップチャレンジリーグで7位に終わった釜石シーウェイブスとの入替戦に臨む。釜石はトップチャレンジリーグのセカンドステージBリーグ最終節でマツダブルーズーマーズに22-24で敗れ、前節の中国電力レッドレグリオンズ戦に続く連敗で1勝2敗となり、Bグループ3位=総合7位が決まった。

 今季トップチャレンジリーグのセカンドステージBリーグで3連敗を喫し最下位となった中部電力は、トップウェストAに自動降格となる。

 三地域チャレンジマッチで全敗し最下位だったJR九州サンダースはトップキュウシュウAに残留。

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最終節でTL残留決める

 日本最高峰リーグ残留を目指す下位チームの戦いも、熱闘の連続だった。ジャパンラグビートップリーグは12月24日にレギュラーシーズンの最終節を迎え、自動降格・入替戦に関わってくる13位~16位決定トーナメントを回避したのは、クボタスピアーズ(レッドカンファレンス)と豊田自動織機シャトルズ(ホワイトカンファレンス)だった。

 クボタはNTTドコモレッドハリケーンズと勝点、勝利数とも並んでいて、この日先に東京・秩父宮ラグビー場で試合をおこなったドコモが、NECグリーンロケッツに16-13で逆転勝ちしていた。
 ドコモは13-13で迎えた試合終了間際、敵陣深くでのラインアウトをスチールされ、チャンスは消えたかに思われたが、その後、あきらめずに奮闘して、敵陣22メートルライン中央付近でスクラムチャンス到来。押して相手の反則を引き出し、SOリアン・フィルヨーンがPGを決め、勝利をつかんだのだった。

 これで負けられなくなったクボタは、同じく千葉を本拠地とするNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとフクダ電子アリーナでダービーマッチをおこなった。
 前半の16点リードは後半徐々に点差を詰められ、67分(後半27分)にはノックオンから攻め込まれ、NTTコムのCTB溝口裕哉がディフェンス裏に蹴ったボールをWTB鶴田諒が確保してLOヴィリー・ブリッツにつなぎ、3連続トライ。SOエルトン・ヤンチースのゴールキック成功でNTTコムが逆転した。
 しかしクボタは71分、キャプテンのCTB立川理道が敵陣深くのスペースに蹴ってCTBライオネル・マプーを走らせ、スピードで相手にプレッシャーをかけたマプーがバウンドボールを確保してトライを奪い、再逆転に成功する。
 終盤、NTTコムがゴールに迫ったがクボタは耐え、23-17で熱闘を制した。

 ホワイトカンファレンスの6位・7位を争っていた豊田自動織機は、勝点・勝利数で並んでいた宗像サニックスブルースと福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で直接対決をおこない、17-15で逆転勝ちした。
 後半早々のSOサム・グリーンのトライなどで10-3とリードした豊田自動織機だが、56分(後半16分)にNO8ピーター・キムリンがハイタックルで10分間の一時退出となり、直後、サニックスのWTBカーン・ヘスケスに10メートルラインからの突破を許してトライを奪われ、同点にされた。
 元日本代表であるヘスケスの、2015年ワールドカップ・南アフリカ戦を思い出させるようなコーナーへのダイブで流れを変えたサニックスは、さらに60分、敵陣22メートルライン左手前のラインアウトモールからPR石澤輝がショートサイドを突破し、ゴール前で捕まったが、サポートについてきたFL下山翔平がピックアップしてインゴールに押さえ、逆転した。
 5点を追い、同点でも得失点差で上回る豊田自動織機は79分過ぎ、FWのピック&ゴーでゴールラインを越えたが、サニックスはグラウンディングを許さない。それでも、フルタイムを報せるホーンが鳴ったあとの攻防は4分以上続き、最後、織機14年目のLO松岡毅がゴール前のピックアップから突っ込んでインゴールに押さえ、劇的な逆転ゲームで豊田自動織機が歓喜した。

 13位~16位決定トーナメントには、NTTドコモと宗像サニックスのほかに、レッドカンファレンス最下位の近鉄ライナーズと、その近鉄に24日の最終節で敗れ13戦全敗でリーグ戦を終えたコカ・コーラレッドスパークス(ホワイトカンファレンス)が参戦する。
 この4チームによるトーナメント戦で16位(総合順位:最下位)になったチームは自動降格となり、13~15位は入替戦に進む。

 総合順位を決める各トーナメントの1回戦(1月6日)の組み合わせは以下のとおり。そして、その勝者同士、敗者同士が最後に戦い、総合順位が決まる。


■日本選手権 兼トップリーグ優勝決定トーナメント準決勝(大阪・ヤンマースタジアム長居)
・トヨタ自動車 vs パナソニック
・サントリー vs ヤマハ発動機

■5~8位決定トーナメント1回戦(東京・秩父宮ラグビー場)
・神戸製鋼 vs リコー
・東芝 vs NEC

■9~12位決定トーナメント1回戦(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州)
・クボタ vs キヤノン
・NTTコム vs 豊田自動織機

■13~16位決定トーナメント1回戦(愛知・パロマ瑞穂ラグビー場)
・近鉄 vs 宗像サニックス
・NTTドコモ vs コカ・コーラ

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