[ブリュッセル 26日 ロイター] - 26日までに実施された欧州連合(EU)欧州議会選で、EUの強化を訴える勢力が3分の2の議席を堅持したことが公式推計で明らかになった。ただ、現在大連立を組む二大会派は過半数割れとなった一方で、反EUの極右およびナショナリズム勢力が議席を大きく伸ばした。
議会第1会派の中道右派・欧州人民党(EPP)は178議席、大連立を組む中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)は152議席をそれぞれ確保したが、合計で過半数には届かなかった。一方、親EU勢力のなかでもリベラル会派は39議席増の108議席、緑の党は15議席増の67議席となった。また、極右の2会派は108議席と、前回2014年の議会選から40%増えた。
フランスの欧州議会選ではルペン党首率いる反EUの極右、国民連合(RN)が得票率24%と、マクロン大統領の与党、共和国前進(REM)の22%を上回り、国内第1党となる見通しであることが出口調査で示された。ただ、緑の党が第3党となったことから親EU勢力が依然過半数を占めた。
REMには中道左派や中道右派から支持が流れたため、EUレベルではリベラル会派が議席を伸ばした。環境政党の緑の党も大幅増となったことから、親EUの4会派全体では、失った議席は20議席弱にとどまり、定数751議席のうち505議席を確保した。
それでもなお、EPPとS&Dの大連立が過半数割れとなったことで、議会の一部プロセスが複雑化する可能性がある。100議席超の勢力となったリベラル会派と70議席前後を掌握した緑の党は発言権拡大を求めるとみられる。
一方、フランスのルペン氏やイタリア与党の極右「同盟」率いるサルビーニ副首相などEU統合の強化に反対する勢力はもくろみが外れた格好となった。
ブリュッセルに本部を置くシンクタンク、ブリューゲルの責任者、グントラム・ウルフ氏は「重要なのは、極端な政策を掲げる勢力はそれほど議席を伸ばさなかったということだ」と指摘した。
欧州議会選の投票率は51%と、前回2014年の43%を大きく上回った。1979年の最初のEU規模の直接選挙以来、投票率が初めて上向いた。