cat_11_issue_oa-president oa-president_0_46xbputj8guw_ジョブズの遺言「日本からイノベーションが生まれない根本原因」 46xbputj8guw 46xbputj8guw ジョブズの遺言「日本からイノベーションが生まれない根本原因」 oa-president 0

ジョブズの遺言「日本からイノベーションが生まれない根本原因」

2020年7月23日 08:00 PRESIDENT Online

かつてスティーブ・ジョブズは「なぜ日本ではイノベーションが起きないのか」という質問に対し、「アメリカにはニューヨークがあり、ロサンゼルスがあり、サンフランシスコがある」と答えた。これはどういう意味なのか。『After GAFA』(KADOKAWA)と『アルゴリズムフェアネス』(KADOKAWA)の出版を記念し、インフォバーン共同創業者の小林弘人氏とIT批評家の尾原和啓氏が対談した――。

※当対談は2020年3月4日に実施しました。

「逃げる」ことは権利であり、武器である

【尾原和啓(IT批評家)】以前から思っているのですが、日本人はもっと「逃げる」ことを覚えたほうがいいんじゃないかと。組織からも地域からも国家からも、逃げようと思えばいつでも逃げられるんです。

国家自体は動かせませんが、市民は自由に移動できる。これは市民に与えられた権利であり、武器だと思うんです。どうも日本人は、島国に住んでいるとか、日本語しか話せないという意識に縛られ過ぎている気がします。

【小林弘人(インフォバーン共同創業者)】かつてスティーブ・ジョブズにインタビューしたとき、「なぜ日本ではイノベーションが起きないのか」と直球の質問をしたんです。そうしたら、「アメリカにはニューヨークがあり、ロサンゼルスがあり、サンフランシスコがある」と。つまり、ある都市で失敗しても、別の都市に行けばいいと。失敗できるから挑戦できるというわけです。

【尾原】ハリウッドもそうですよね。動画撮影投影機を発明したのはエジソンですが、彼はニューヨークに映画スタジオを作る一方、あまりにも特許を厳しくしたので、他の人はなかなか映画を撮れなかった。そんな彼らが逃げ出して作ったのが西海岸のハリウッド。映画に限らず、もともと西海岸の豊かな文化は逃げることで生まれたんですよね。

ただし、逃げることと嫌いになることは違います。僕自身、ふだんは日本に住んでいませんが、日本がすごく好き。日本らしさを愛しています。でもより自分らしく自由に生きようと思ったら、今は海外のほうがいいという選択をしただけです。このあたりは、切り分けて考えたほうがいいですね。

外国人を受け入れて「重ねる革命」を

【小林】ベルリンにも、いろいろな国から逃げてきた人がたくさんいます。あるいは日本にも移住者コミュニティは意外と多いですよね。先日、ドイツであるクルド人の方から伺ったのですが、今は埼玉県の蕨(わらび)にクルド人が集まっているそうです。調べてみたら、世界中のクルド人コミュニティの中でも、蕨はかなり巨大らしい。「ワラビスタン」と呼ぶそうです。そんな彼らは祖国を追われて逃げざるを得なかったという面もありますが。

こういう動きを、僕は「重ねる革命」と呼んでいます。何かを打倒したり、追い出したりする革命ではなく、さまざまな立場の人が、それぞれに居心地のよさを求めて現状を変えていく。それが何層にも重なると、やがて大きな変革につながるというイメージです。

【尾原】日本ほど逃げ先として安心・安全な場所はないですからね。今のところ、正式に移民を受け入れているわけではありませんが、何か仕組みを作って世界中の方々の逃げ先になればいいなと思います。そうすると、日本人は海外に行かなくても、いろいろな文化を知ることができるし。

【小林】よく、「日本は平和ですばらしい」と自賛する声をよく聞きます。そんなにすばらしいなら、世界に輸出すればいいのにと思うときがあります。平和の輸出とは何かといえば、戦争難民や圧政からの亡命者を受け入れることです。

実際、バングラデシュに逃げているロヒンギャ難民とか、香港の若い人たちとか、日本に来たがっている方は世界中にいます。ただし、みんな断念または躊躇するのは、日本で英語が通じないこと。それなら、日本国内に英語を公用語とする人たちの 場所を作ればいいんじゃないかと思います。

「言葉の壁」は、むしろ嬉しいもの

【尾原】英語については、日本人も苦手意識を持つ方が多いですよね。だから外国人との間に“言葉の壁”があると思い込んでいる。でも、それはちょっと違うと思うんです。

例えば、エアビーアンドビーで外国人にダントツの人気を誇る神戸市の民家があります。その家の最大の売りは、お母さんの手料理。味噌汁や肉じゃがとか、ごく一般的な日本家庭のごはんを食べたいというニーズは、ものすごく高いんです。

ところが、そのお母さんは日本語しか話せない。でも、どんな国からゲストが来ても何ら問題はありません。「グーグル翻訳」のアプリでなんとかなるから(笑)。むしろ、お母さんが慣れないアプリを使って一生懸命に会話しようとする姿そのものが、ゲストにとっては嬉しいんです。

【小林】なるほど、面白いですね。しかも完全ではないからこそ、その摩擦からある種の“熱気”が生まれる。

【尾原】そうそう。僕自身、ふだん外国人によく道を聞かれますが、英語であっさり答えるとがっかりされたりします。その昔、まだ英語が下手だったころにカタコトで一生懸命説明したときのほうが、かえって喜ばれた覚えがある。そういうシドロモドロなコミュニケーションのほうが、旅の思い出になるからでしょう。それは、僕たちが海外に行ったときのことを考えてもわかりますよね。

だから、流暢に英語を話せないことに引け目を感じる必要はないんですよ。アプリもあるし、カタコトでもいい。旅を楽しみたい人にとって、“適切な善意ある摩擦”は思い出になるからむしろ嬉しいんです。

自分が何者かを言えることが、周囲から愛される第一歩

【小林】僕も英語はそれほど得意ではありませんが、直接アメリカに渡って有名メディアの日本語版のライセンスを取得してきましたからね。よく「どのエージェントにどれだけ手数料を払ったの?」とか聞かれますが、そんな概念すらなかった(笑)。友達になろうと思って、直接訪問して話しただけ。

【尾原】ジェフ・ベゾスと交渉して日本にアマゾンを持ってきた西野伸一郎さん(現富士山マガジンサービス社長)も、そんな感じですよね。かえって言語は不自由なほうが、真意が伝わりやすいこともあります。

【小林】ボキャブラリーの豊富さより、自分が何者なのか、何がしたいのかを熱意を持って伝えることですよね。そういう確固たるものがあれば、相手は耳を傾けてくれるはずです。

例えば、英語が母語ではないあるF1ドライバーが勝利者インタビューで話す英語は、聞き取りづらい上に大したことは言わない。でも勝利者の言葉だから、みんな一言一句漏らさず聞き取ろうとするわけです(笑)。まあ、伝える努力を怠ってはダメだと思いますが。

【尾原】自分が何者かを言えることが、周囲から愛される第一歩。愛でつながると、摩擦はより楽しくなりますからね。

[インフォバーン共同創業者・代表取締役CVO 小林 弘人、IT批評家 尾原 和啓 構成=島田栄昭 撮影=小野田陽一]

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cat_11_issue_oa-president oa-president_0_al76gqtsqzwr_「白米は健康に悪い」科学データに基づく健康に良いもの・悪いもの al76gqtsqzwr al76gqtsqzwr 「白米は健康に悪い」科学データに基づく健康に良いもの・悪いもの oa-president 0

「白米は健康に悪い」科学データに基づく健康に良いもの・悪いもの

2020年7月23日 08:00 PRESIDENT Online

世の中には健康に良い食べ物、悪い食べ物の情報が溢れている。どの情報が正しいのか、正しくないのかを判断するのは難しい。そこで、科学的に証明された食事術を解説しよう。

科学データに基づく全48品目総チェック

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がきっかけとなったのか、日常生活で免疫力を高め、感染症を予防する方法にも、人々の関心が集まっているようです。そんな中で最近、テレビ番組やインターネットを中心に広まっているのが、「免疫力アップや感染症予防に役立つ食品」の情報。しかし、それらの中で、エビデンス(科学的根拠)に基づいて、免疫力アップや感染症予防の効果がはっきりと認められている食品は、残念ながら、皆無に等しいのが現状です。

では、科学的な研究方法とは何でしょうか。医学では、研究方法によってその内容のエビデンスのレベル、すなわち、信用度も決められています。まず試験管での実験や動物実験のデータは、論外です。そもそも人体への効果など、わかるはずもありません。

人間を対象とした研究でも、①個人の体験談やエビデンスに基づかない研究者の個人的見解は、エビデンスのレベルが最も低いデータといえます。①よりもレベルが高く、統計学的な検証に値するのが②観察研究。特定の人間集団を一定期間追跡してデータを抽出し、健康に対する効果を分析します。

例えば、東京都民の中から、納豆をたくさん食べていた人とほとんど食べなかった人を選び、10年後の死亡率を調査するといった方法です。ただし、納豆をたくさん食べていた人と、ほとんど食べなかった人は、その他の健康習慣も違う可能性があります。できる範囲でそれらの影響を統計的手法を用いて取り除きますが、完ぺきには取り除くことはできません。

納豆そのものの健康への影響をきちんと評価する

そこででてくるのが、②よりもエビデンスが強い③ランダム化比較試験です。人間集団をくじ引きのような方法を用いて無作為に同質的なグループに分け、それぞれに決まった行動を取ってもらい、その結果を追跡します。例えば、40歳の1万人を5000人ずつ、納豆を毎日1パック食べるグループと全く食べないグループに分け、10年後の死亡率を比べたりする方法。2つのグループの間で納豆を食べる習慣以外の条件がほぼ同じであるため、納豆そのものの健康への影響をきちんと評価することができます。

そして、③を上回る最強のエビデンスとなるのが、複数の③を統合解析した「メタアナリシス」。解析する研究データが多ければ多いほど、エビデンスは強くなるのです。そこで、健康効果について現在、研究結果が出ている食品のうち、エビデンスのレベルによって、5段階にグループ分けしたのが表です。

グループ1は、メタアナリシスや③で健康効果が証明された食品、グループ2は、複数の②で健康効果の可能性が示されたが、まだ効果がはっきりわからない食品と考えてください。つまり、野菜や果物、魚といったグループ1の食品を積極的に摂る一方で、牛肉や豚肉、白米のように、健康へのマイナス効果が証明されたグループ5の食品をなるべく摂らないことが、「科学的に正しい食事」だといえます。

ここで1つ、強調しておきたいのが、健康に有効なエビデンスがあるのは、“食品”であって、食品の“成分や栄養素”ではないということ。さまざまな成分や栄養素を含んだ食品を丸ごと摂らないと、健康効果は期待できないのです。食品から抽出された成分が、よくサプリメントとして出回っていますが、それが人体に有効とは限りません。成分の有効性を、動物実験でしか確かめていないようなケースも少なくないからです。中には、成分だけ摂取すると、かえって健康を害するというケースも報告されているので、注意しましょう。

ただし、一部の成分や栄養素では、健康効果に対する研究が進んでいます。例えば、ビタミンDは、複数のランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスで、通常の風邪の予防効果が報告されています。新型コロナウイルス感染を予防する効果はまだ証明されていませんが、風邪の1~2割はコロナウイルス(新型コロナではなく旧型コロナ)であるといわれているため、今後の研究結果次第では、ビタミンDが新型コロナ予防にも有効であるという可能性もあります。

魚を食べていればがんは予防できるか?

どうして魚が健康に有効なのか

島国である我が日本で、国民食として馴染み深い魚。ところが、最近では、「内臓が苦手」「小骨を取るのが面倒」などといわれて、残念ながら若者を中心に敬遠されがちです。実は、総論で示したように、魚は体にとても良い食品。そこで、ここでは「どうして魚が健康に有効なのか」を、エビデンスに基づいてご紹介しましょう。魚の健康効果を見直し、メーンディッシュとして、ぜひ活用してください。

12の観察研究のデータ(対象は合計67万人)を統合解析したメタアナリシスが2016年に発表されたのですが、その結果、魚を1日60グラム食べていた人は、全く食べなかった人よりも死亡率が12%低いことがわかりました(もっとも、魚を60グラム以上摂っても、死亡率は低下しなかったとの研究結果も出ている)。また、別のメタアナリシスによれば、魚を1日当たり85~170グラム食べていた人は、全く食べていなかった人に比べて、心筋梗塞によって死亡するリスクが36%も低かったとのことです。

そのほか、魚を食べることで、肺がんや大腸がんになるリスクが下がるという研究報告もあります。前立腺がんの場合は、魚を食べることで発症するリスクは下がらないのですが、死亡するリスクは下がるといった、興味深い研究データも示されています。

ところで、ひと口に魚といっても、タイやヒラメ、サケ、ウナギ、アユといった具合に、さまざまな種類がありますが、具体的にどんな魚を食べればいいのでしょうか。結論からいえば、いろいろな魚を日替わりで食べたほうがいいと、私は考えます。というのも、魚全般についての健康効果はわかっているのですが、特定の魚についての健康効果については、確かなエビデンスがないからです。それに、魚については近年、環境汚染による水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシンといった有害物質の蓄積も指摘されているため、複数の種類の魚を食べることで、健康上のリスクを分散しておいたほうが得策です。

とはいえ、魚の場合、「オメガ3脂肪酸」という脂肪成分の健康効果が、高いエビデンスのレベルで示されています。例えば、イタリアなどの研究者が1993~95年に行ったランダム化比較試験によると、心筋梗塞を起こした患者さん1万人のうち、1日1グラムのオメガ3脂肪酸を3~5年服用したグループは、服用しなかったグループよりも、死亡率が14%低下しました。

日本人を対象としたランダム化比較試験もあります。オメガ3脂肪酸の一種である「エイコサペンタエン酸(EPA)」を摂取した人は、摂取しなかった人よりも心筋梗塞の発症やそれによる死亡のリスクが、19%も低下したそうです。さらに、21個の観察研究のデータを統合解析したメタアナリシスでも、魚からオメガ3脂肪酸を1日0.1グラム摂取していた人は、乳がんになるリスクが低下したと報告されました。

オメガ3脂肪酸は、マグロやカツオ、サンマ、イワシ、アジ、ブリのように背中が青い、いわゆる青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種。例えば、脂の乗ったマグロの「トロ」は、オメガ3脂肪酸の宝庫といえるでしょう。ちなみに、アマニ油、エゴマ油など植物由来のオメガ3脂肪酸もあります。

つまり、青魚を毎日のように食べていれば、心筋梗塞や乳がんにかかりにくくなる可能性が高いわけです。毎日の献立の中に、青魚をなるべく採用することをお勧めします。なお、オメガ3脂肪酸の場合、それを含んだサプリメントもよく出回っていますが、魚は、ほかの栄養素も豊富なので、できれば魚を丸ごと食べましょう。

牛肉、豚肉、鶏肉、体に悪いのはどれ?

肉は極めて旗色が悪いのが現状

肉食派の皆さんにとっては残念ですが、健康に対する効果という点では、肉は極めて旗色が悪いのが現状です。

有名になったエビデンスは、世界保健機関(WHO)の専門組織である「国際がん研究機関」が、2015年に発表したレポートでしょう。その中で、世界各国の研究データに基づいて、加工肉を「発がん性あり」、赤い肉も「おそらく発がん性あり」とリスク分類したのです。加工肉の発がん性のリスクは、タバコやアスベストと同じランク。ここで注意が必要なのは、このランクはがんとの関連性の「確からしさ」によって決まるのであり、影響の強さは関係ありません。つまり、発がん性があるという強いエビデンスがあるものの、リスクをごくわずかしか上げないと報告されているものもあるので、ランクだけで一概に評価することはできません。

この「国際がん研究機関」のレポートによると、加工肉の1日当たりの摂取量が50グラム増えるごとに、大腸がんのリスクが18%上がると報告されています。また、赤い肉を1日100グラム摂取していると、大腸がんのリスクが17%増えるとされました。国立がん研究センターの研究者が、日本人約8万人を8~11年追跡調査した研究でも、加工肉や赤い肉の摂取量が増えるにつれ、結腸がんのリスクが高まる傾向だったそうです。

それだけではありません。9つの研究論文を統合解析したメタアナリシスによれば、加工肉の摂取量が多くなると全死亡率、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率が、いずれも上昇することがわかりました。また、5個の研究論文をまとめたメタアナリシスで、脳卒中を起こすリスクについて調べたところ、加工肉の摂取量が1日当たり50グラム増えるごとに13%増加し、赤い肉の摂取量が1日当たり100~120グラム増えるごとに11%上がることが明らかになりました。

なお、肉は肉でも、鶏肉のような“白い肉”は、体に悪い肉とはされていないので、肉を食べたい人は、鶏肉を選びましょう。代わりとなる動物性たんぱく源としては、魚もお勧めです。一方で、高齢者については、若い世代とは同列に考えないほうがいいかもしれません。食の進まない高齢者であれば、食事制限をするよりも、好きな赤い肉を食べるほうが、低栄養に陥らずにすむこともあるからです。

卵についても、「摂りすぎは体によくない」というエビデンスが示されています。16の研究データをまとめたメタアナリシスによると、卵を1日1個以上食べるグループの人は、卵をほとんど食べないグループの人よりも、2型糖尿病を発症するリスクが42%上昇しました。19年に発表された研究報告でも、約3万人を追跡調査したところ、卵を食べる量が増えると、心筋梗塞や脳梗塞になるリスク、それらによって死亡する可能性が高まったそうです。

野菜は心筋梗塞・脳卒中のリスクを減らすか?

野菜が“体の毒”になってしまう

皆さんの中でも、野菜が「体に良い食品」だというイメージは、すでに定着しているのではないでしょうか。実際に、これまでのさまざまな研究によって、健康に対する野菜の効果は、立証されています。ただし、ここで気をつけておきたいのが野菜の摂り方。摂取の方法によっては、野菜が“体の毒”になってしまう場合さえあるのです。そこで、ここでは、エビデンスに基づいた、野菜の正しい摂り方をご紹介しましょう。

まずは、野菜の健康効果についてのエビデンスを、いくつか挙げてみましょう。なお、野菜には、キャベツやニンジン、トマトといったさまざまな種類がありますが、ここで示すエビデンスは、特定の野菜ではなく、いろいろな野菜をバランス良く食べたケースだと、お考えください(ただし、炭水化物が多いジャガイモは含めない)。

16の観察研究をまとめたメタアナリシスによれば、1日当たりの野菜の摂取量が1単位(ここでは小皿1杯分を指す)増えると、全死亡率が5%低下することが明らかになりました。なお、野菜と果物は、摂取量が多くなるにしたがって、死亡率も減っていくのですが、1日当たりの摂取量が5単位(約385~400グラム)を超えると、死亡率はそれ以上低下しないこともわかりました。

つまり、健康上のメリットが目的なら、野菜と果物の摂取量の目安は、1日5単位で十分といえます。また、脳卒中や心筋梗塞などの病気によって死亡する確率も、1日当たりの野菜や果物の摂取量が1単位増えるごとに、4%下がることもわかっています。

では、がんに対する効果はどうでしょうか。「1日に野菜や果物を5皿以上食べよう」というがんの予防運動「ファイブ・ア・デイ運動」がきっかけとなって米国で始まり、日本でも広まっているのを、ご存じの人がいるかもしれません。しかし、野菜と果物を多く摂取すれば、食道がんのリスクが下がる可能性は示されているものの、残念ながら、その他のがんでは、予防効果があるというエビデンスは、確立されていないのが現状です。

野菜ジュースやサプリメントはいいか

さて、ここでいう“野菜”とは、スーパーや八百屋で売っている、加工されていない野菜を指します。もちろん、サラダなどで生の野菜を食べなければいけないわけではなく、煮物や野菜スープに入っているような調理した野菜、冷凍野菜でも、健康効果は変わらないと考えていいでしょう。しかし、市販の野菜ジュースや野菜ピューレのように、“加工された野菜”は別。野菜の加工食品については、健康効果のエビデンスがなく、加工のプロセスで、有効性を失ってしまっている可能性もあります。

例えば、野菜ジュースは、血糖値の上昇を抑制する効果がある野菜の不溶性食物繊維を取り除いて作られています。フルーツジュースのように、加工した結果、健康にとってむしろマイナスの効果を示すケースもあります(果物編を参照)。健康上のメリットを追求するなら、生の野菜を摂ったほうがいいでしょう。

また、サプリメントで、野菜の成分だけを手軽に摂ろうとするのも考えもの。というのも、健康効果のエビデンスが示されているのは、あくまでも生の野菜であって、野菜の成分ではないからです。例えば、トマトに多く含まれる「リコピン」は、血中濃度が高い場合に摂取するとがんや心筋梗塞のリスクが下がるという研究報告があるのですが、リコピンをサプリメントで摂ることで、実際にがんや心筋梗塞を防いだり、死亡率を下げたりしたというエビデンスはありません。

「でも、野菜の成分なんだから、とりあえず体に良いだろう」などと考える人がいるかもしれませんが、それも早計です。例えば、「βカロテン」は、ニンジンなどに多く含まれる栄養素としてよく知られていますが、サプリメントとして摂った場合、体に有害というショッキングなエビデンスが示されました。複数のランダム化比較試験の結果を統合解析したメタアナリシスでは、βカロテンのサプリメントを摂ると、膀胱がんの発症率が約50%高まり、喫煙者では肺がんと胃がんのリスクが10~20%増加することがわかったのです。体のためを考えるのであれば、サプリメントに安易に頼ることは、避けたほうがいいでしょう。

フルーツは糖尿病のリスクを減らすか?

ジュースのように“加工された果物”

野菜編でご紹介したように、これまでのさまざまな研究によって、果物にも、健康に対する効果が認められています。ただし、野菜と同じように、健康効果のエビデンスがあるのは、“加工されていない果物”であって、ジュースのように“加工された果物”ではないことに、注意しておきましょう。それどころか、健康にマイナス効果をもたらしてしまう、果物の加工食品もあります。そこで、果物をどのように摂れば、健康上のメリットが得られるのかを、詳しく説明しましょう。

では、果物にどのような健康効果のエビデンスがあるのでしょうか。

16の観察研究をまとめたメタアナリシスによれば、1日当たりの果物の摂取量が1単位(バナナなら2分の1本、リンゴなら小玉1個を指す)増えると、全死亡率が6%低下することがわかりました。また、2013年に発表された大規模な観察研究では、果物をたくさん食べている人ほど、実は、糖尿病になりにくいことが明らかになったのです。さらに、この研究の興味深いところは、果物の種類によって糖尿病の予防効果が異なるということ。糖尿病のリスクを減らす効果は、ブルーベリーが最も高く、それに次ぐのがブドウ・レーズン、プルーンでした。

ほとんどの果物には糖尿病の予防効果があったのですが、カンタロープメロン(果肉の赤いマスクメロン)には、血糖値を上げるマイナス効果があることもわかったのです。つまり、この研究によって、血糖値が高めの人にとっては、選ぶべき果物が示されたことになります。ブルーベリーやブドウなら、積極的に食べたほうがいいが、果肉の赤いマスクメロンは、なるべく食べないほうがよさそうだというわけです。

もう1つ興味深いのが、生の果物とは違って、果物を加工したフルーツジュースを飲んでいる場合には、糖尿病のリスクが、かえって上昇してしまうという事実。1週間当たり3単位(コップ3杯分)のジュースを飲んでいた人は、糖尿病になるリスクが8%高かったのです。15年に発表された観察研究のメタアナリシスでも、フルーツジュースの1日当たりの摂取量が1単位増えると、糖尿病のリスクも7%アップすると報告されています。このように、野菜ジュースの場合と違って(野菜編を参照)、フルーツジュースには、「体に悪い」というエビデンスが示されているので、健康のためには、飲むのは控えたほうがいいでしょう。

ところで、ご存じのように、甘い果物には、果糖がたくさん含まれています。「フルーツジュースなら、血糖値が上がるのはわかるが、なぜ生の果物なら、糖尿病の予防に役立つのだろう?」と、不思議に思った人もいるかもしれません。確かに、生の果物を食べると、果糖を摂取することになるのですが、果物に含まれるその他の成分や栄養素も、一緒に摂れるわけです。例えば、生の果物には、血糖値の上昇を抑制する効果のある「不溶性食物繊維」も、豊富に含まれています。それに対して、フルーツジュースは、加工の過程で、大事な不溶性食物繊維が取り除かれてしまいます。

そうした結果、果糖ばかりを大量に摂取することになり、血糖値が上昇しやすくなるのではないかと考えられるのです。「それなら、フルーツジュースと一緒に、不溶性食物繊維のサプリメントも摂ればいいや」と、考える人もいるかもしれませんが、生の果物には、血糖値を下げるファクターが、ほかにもあるのかもしれません。フルーツゼリー、フルーツジャムといったように、果物を使った加工食品には、さまざまな種類があるものの、生の果物と同じような健康効果を得られるというエビデンスはありません。健康上のメリットを追求するなら、加工食品ではなく、生の果物を食べるべきでしょう。

白米、パン、ラーメン、うどん、そば、健康にいいのはどれ?

健康に良い炭水化物

血糖値のコントロールやダイエットの目的で、炭水化物を減らした「糖質制限食」が人気を集めていることは、皆さんもご存じでしょう。健康志向の日本では、炭水化物は今やすっかり悪者扱いですが、そうした風潮に、私は大いに異論があります。というのも、総論で説明したように、確かに「健康に悪い炭水化物」もありますが、一方で、積極的に摂ってもいい「健康に良い炭水化物」もあるからです。

前者は、白米や小麦粉のような精製された「白い炭水化物」、後者は、玄米や全粒粉、蕎麦粉のような精製されていない「茶色い炭水化物」です。それでは、同じ炭水化物の食品なのに、どうして精製されたか否かで、明暗が分かれてしまうのでしょうか?

例えば、同じ米でも、玄米と白米では成分が違います。玄米には、胚乳のほかに胚芽、ヌカもついていて、胚芽やヌカには、食物繊維や栄養素が多く含まれています。それに対して、精白によって、胚乳だけが残されたのが白米です。同じように、全粒粉には、小麦の胚乳だけでなく、表皮(フスマ)や胚芽が入っていて、表皮や胚芽に含まれる食物繊維や栄養素も豊富。一方で、精製によって小麦の表皮や胚芽を取り除き、胚乳だけを残したのが小麦粉なのです。つまり、茶色い炭水化物から精製によって失われた成分には、健康に役立つ優れた働きがあったと考えられるわけです。

ここで、茶色い炭水化物に、どのような健康効果があるのか、エビデンスに基づいて明らかにしましょう。

米国や英国、北欧などの研究(78万6000人が対象)を統合解析したメタアナリシスによれば、茶色い炭水化物を1日70グラム摂ったグループは、ほとんど摂らなかったグループよりも、死亡率が22%低下しました。7つの研究を統合解析した別のメタアナリシスでは、茶色い炭水化物の摂取量が多い(1日に2.5単位以上)グループは、摂取量が少ない(1週間に2単位未満)グループに比べて、心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化によって起こる病気になるリスクが、21%も低かったのです。

さらに、玄米を1週間に200グラム以上食べる人は、1カ月に100グラム未満しか食べない人に比べて、糖尿病のリスクが11%減少するという研究報告もあります。

白米の代わりに食べたいものとは

反対に、日本の国民食であり、白い炭水化物の代表ともいえる白米については、残念ながら、少量でも健康によくないというエビデンスが示されています。国立国際医療研究センターの研究者らが日本人を対象に行った研究では、男性では、白米を食べる量が1日お碗2杯以下(1杯を160グラムと換算)の人に比べて、1日お碗2~3杯の人は、5年以内に糖尿病になるリスクが、24%も高いことが明らかになりました。女性では、白米を1日お碗1杯しか食べない人に比べて、お碗2杯食べる人は15%、お碗3杯食べる人は48%、お碗4杯食べる人はなんと68%も、糖尿病になるリスクが上昇しました。

その研究を含む4つの研究結果をまとめたメタアナリシスによれば、白米の摂取量がお碗1杯(158グラム)増えるごとに、糖尿病のリスクが11%アップしました。この研究では、白米の摂取量が増えるにつれて、糖尿病のリスクも上昇するという相関関係が見つかりました。つまり、健康のためには、白米を食べるのはなるべく控えるのがいいと、結論づけられるわけです。

とはいえ、米は日本人の主食。「米を食べるなと、今さらいわれても無理」という人も少なくないでしょう。そこで、どうしても米を食べたいという人は、白米の代わりに、玄米を食べるようにするといいでしょう。

バターとオリーブオイル、どっちが健康に良い?

オリーブオイルとナッツ類

日本伝統の「和食」は、「ヘルシーフード」としても今や世界中で注目されているようですが、実は、健康効果のエビデンスが世界で最も強いのは、イタリアやスペインのような地中海沿岸地域で食されてきた、「地中海食」だということをご存じでしょうか。魚とともに地中海食のメーンの食材となるのが、オリーブオイルとナッツ類ですが、それら2つの食材に、健康効果のカギがあることがわかったのです。

では、地中海食とオリーブオイル、ナッツ類には、どのような健康効果があるのでしょうか。

世界でも権威のある医学誌として有名な『ニューイングランドジャーナル』に2013年、地中海食の健康効果を確かめた、ランダム化比較試験の結果が掲載されました。その試験では、喫煙歴があって、心筋梗塞などを発症していない約7500人の糖尿病の患者さんを、①地中海食(表を参照)の栄養指導を受け、1週間ごとに約1リットルのオリーブオイルをもらうグループ、②地中海食の栄養指導を受け、ミックスナッツを1日当たり30グラムもらうグループ、③地中海食の代わりに、低脂肪食の栄養指導を受けたグループに分けました。

約5年間追跡調査したところ、③に比べて、①は、1日当たりのオリーブオイルの摂取量が50グラム多く、②は、1日当たりのナッツの摂取量が25グラム多かったそうです。そして、脳卒中や心筋梗塞になり、それらによって死亡するリスクは、③に比べて、①は30%、②は28%も低下したのです。脳卒中のリスクだけに絞ってみると、③に比べて、①は33%、②はなんと48%も減っていました。さらに、地中海食によって、乳がんになる確率が57%も減るという研究データも示されたのです。

地中海食が糖尿病になるリスクを、30%低減

別の研究では、地中海食が糖尿病になるリスクを、30%低減させるというデータも報告されています。16年に米国で発表されたメタアナリシスによれば、地中海食を食べ続けた人は、そうでない人に比べて、がんの発生率が4%、がんによる死亡率が14%、大腸がんになるリスクが9%低いこともわかりました。

地中海食とオリーブオイル、ナッツ類の健康効果のエビデンスが、いかに強いかということは、おわかりいただけたでしょう。オリーブオイルは同じ油でいうとバターと比較しても健康に良いといえます。バターは悪玉(LDL)コレステロールを上げるからという観察研究があるからです。

地中海食の栄養指導の表をご覧になれば、地中海食が、総論で説明した「グループ1の食品」と、ほぼ重なっていることにお気づきになるでしょう。つまり、生の野菜や果物、魚介類、白い肉(鶏肉)を豊富に食べ、オリーブオイルやナッツ類をふんだんに使う地中海食こそ、科学的に正しい究極の食事の1つといえるわけです。皆さんも、地中海食を日常生活に積極的に取り入れて、健康づくりに活用してみてはいかがでしょうか。

[カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教(医療政策学者、医師) 津川 友介 構成=野澤正毅 図版作成=大橋昭一]

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銀座のママは何人も見てきた…早死にする"飲み方"の共通点

2020年7月23日 08:00 PRESIDENT Online

艶っぽく長生きした色男、銀座で暴れ回った豪快な男、北斎のように生きる巨匠――。銀座の街に名を残す文士たちの人生は酒とともに。

艶っぽく酒を飲む男は長生きをする

クラブ 数寄屋橋

黒岩重吾、森村誠一、大藪春彦、柴田錬三郎、松本清張、北方謙三、大沢在昌など多くの作家たちから人気を集めた。著名な政治家、財界人からも支持され、銀座の「文壇バー」としての地位を確立している。

酒の種類はいろいろありますが、やっぱり楽しく飲むというのが長生きに繋がるのだと感じております。文壇バーである「クラブ 数寄屋橋」には数々の先生方、歴史に名を残された方々がいらっしゃいました。そういった方々は独特な個性を持っていらっしゃいます(笑)。実を言うと私はお酒を一滴も飲めないのですが、お酒の場を楽しむ秘訣を、先生たちに思いを馳せながらお話しします。

私は故郷の熊本から上京してすぐに、自らのクラブ・数寄屋橋を立ち上げ、いきなりママになり、銀座では珍しいパターンと言われました。知り合いの数も少なく、たまたまオープンする日が文士劇(作家・漫画家たちが本格的な演劇を披露する)の日でした。幸いなことにご紹介もいただき、楽屋へメロンを2つ持って飛び込みました。扉を開けると錚々たる顔ぶれで、圧倒されて下を向いて固まってしまったのですが、そのときに初めて私に声をかけてくれたのが、ベストセラー作家の梶山季之先生(45歳没)でした。

梶山先生は税金を払うために原稿料を前借りするくらいに連日飲み歩いていましたが、粋な遊びをされる方でした。仕事で悩んでいる編集者に、「気が済むなら俺を殴れよ」と言うんです。まさかとは思いましたが、その編集者は本当に先生の顔を殴った。周りは唖然としておりましたが、先生本人は笑っておられました。

ある夜、店にいらした黒岩重吾先生(79歳没)がその日に限って「梶山くんに会いたい」とおっしゃるのです。私が馴染みの店に電話をすると、間もなく梶山先生が店に来て、朝の4時まで黒岩先生とお飲みになったんです。その次の日です。梶山先生が取材のために訪れた香港で倒れ、その4日後にお亡くなりになりました。次の日香港まで行くのなら、なにも朝の4時まで付き合う必要なんてないのに。楽しくお酒を飲まれる方でしたが、死因は食道静脈瘤破裂と肝硬変だったので、お酒の量は並大抵のものではなかったのでしょう。

黒岩先生は男らしく色気もあって、惚れてしまう女の子が絶えませんでした。ある日、先生は店にいる私に電話をかけてきて、「プリンスホテルにいるからちょっと俺のところに来い」と言われました。ホテルに着くと部屋まで連れていくものですから、ドキッとしてしまいました。もう長い付き合いですから、いまさら困るわ、なんて想像してしまいまして……(笑)。

しかし部屋に入ると、ドギマギしている私にいきなりポンと大金を渡してきたのです。そして、「おかみ、半年分のツケだ」とさらっと言ってしまうのです。私の胸のトキメキはなんだったのでしょう。やっぱり艶っぽく粋な殿方は長生きをされますね。

アントニオ猪木監禁とホステス逆さ吊り事件

あと1人、今回のお話ではどうしても忘れられない方がいます。松下幸之助さんが店にいらしたとき、別の席に東映の方たちと一緒に異様な存在感を持った人がいらっしゃったんです。松下さんが「あの方はどういった方ですか?」と聞かれるので、私は「ギャングスターかなにかかしら」と。それが『巨人の星』『あしたのジョー』の原作者であり、「からみ酒」の骨頂でもある梶原一騎先生(50歳没)だったのです。

権利料の件でもめて起きた「アントニオ猪木監禁事件」や、赤坂のクラブホステスを店内で縛りあげた「ホステス逆さ吊り事件」の印象が世間では強いですが、頭に包帯をグルグル巻きにして「こんな格好で来られるのは静香の店しかないんだよ~」と毎夜いらした姿が目に焼き付いています。

しかし、先生が店に連れてきた女の子にはひどくからむこともありました。

やっぱりお酒というものは、飲む相手によって良い酒になるか悪い酒になるかが決まります。あまりにもその娘が気の毒に思い、帰しました。それが原因で、いちど先生ともめたのです。私の父の言葉に、「喧嘩するときは両目で見ると圧倒されるから片目を睨め」というものがあります。先生の片目をひとしきりじっと睨んでいると、先生から「静香、ジョーク、ジョーク」といつもの先生に戻ったのですよ(笑)。

私が先生に対して好意を持てたのはなぜだと思いますか? それは私が先生の良い部分をナチュラルに見ていたからなんです。相手によって自分を変えていては、疲れてしまうのは当然。常に自然体でいられるようになれば、嫌な酒もみんな楽しい酒になると思うんです。この言葉、梶原先生にも言ってやりたかったわ(笑)。

坪内祐三の死は作家の鑑そのもの

クラブザボン

1978年開店。名付け親は小説家の丸谷才一。カウンターのみ3坪の店から始まり、2年で13坪の店へ。さらに3年で、現在の20坪に。店には文壇の大御所や編集者たちが集う。

私は、いくらお酒を飲んで早死にしようと、節制して長生きしようと、その人の人生がまっとうなものであれば、どちらでも幸せなのではと思うのです。

故郷の鹿児島から上京し、銀座デビューをしてから48年がたちました。最低でも1日に水割りを5杯、それに慣れてくるとジンやテキーラなど強いお酒を飲みだすので、30年も前から糖尿病と腎臓結石に悩まされています。しかし、甘いものを控えすぎれば低血糖でフラフラになってしまいますし、持病ですから付き合っていくしかありません。いつ病状が悪化して倒れるかもわかりませんが、私はこのクラブ「ザボン」は、なにがあっても体が動かなくなるまでは続けると決めています。

意識があるまで店にいられるのであれば、お酒で死んでも私にとっては何の悔いもないのです。

2020年1月13日、ザボンにも週に1度は通ってくださっていた文芸評論家の坪内祐三先生が61歳の若さでお亡くなりになりました。私と坪内先生は、先生がまだ「東京人」の編集者だったころからのお付き合いです。

銀座の街のエッセイも書かれていて、私も先生の本から勉強することばかりでした。とくに、内藤誠監督の映画にもなった『酒中日記』はいまでも私の愛読書です。しかし彼は飲みすぎでした。ザボンでボトル半分を空けてから、今度は新宿のゴールデン街へ流れる。お酒を飲むと怒りっぽくなる方だったので、新宿では出禁のバーが数軒。私も年中喧嘩していたお客様は先生くらいでした。でも2日もたてば先生は喧嘩のことなど忘れてケロッと店に来るので「ツボちゃん、ツボちゃん」って慕っていたんですが、でも怒られたほうは忘れないんですよね(笑)。本当、どこに怒りの地雷があるかわからない方でしたから。

もういちどだけでいいから、ツボちゃんと喧嘩がしたい

先生がおつまみの干しぶどうの房を枝から外している姿はよく覚えています。干しぶどうを、イライラした顔をしながらずっとちぎっているの。すべてちぎり終わると、「干しぶどういっぱい持ってこい!」って言うわけです。もう干しぶどうが溜まっちゃってますから、「先生、どうしてこんなに干しぶどう食べるんですか」と聞いたんです。そしたら、「なんだ、この店は! ふざけるな!」とテーブルを叩いてかんしゃくを起こすんです。「え、なにか私悪いこと言いましたか……?」って謝るんだけど、もう怒っちゃって怒っちゃって。だってあんなに干しぶどうがこんもりしていたら、そりゃ誰だって聞きますよね?

ザボンの40周年パーティーのときもそれは大変だったんです。パーティー会場に水割りがないというだけでとっても怒るんです。「ザボンは水割り代をケチった」と言って帰ってしまいました。ケチったといっても、ロックより水割りのほうが安いじゃないですか。

そのときは、「悪いけど、もう来ないで」と先生を一時出禁にしたんです。

でも結局、「トイレ借りるだけだ」と店に来て、本当にトイレだけ入って帰るんですよ。「なんだ先生、あんなに怒っておいてやっぱり会いたいのね」と私も妙に愛おしい気持ちになってしまうのだから、先生とは切っても切れない縁だったんですよ。

でもお酒を飲んで一番楽しかったのはやっぱり坪内先生なんです。「そうなんですね、知っています」なんて言うと、「知ったかぶりをするな!」と怒られるので、迂闊なことは言えないんですけど。いちど、病気などいろいろなことが重なり、ザボンを閉めようかと悩んでいるときがありました。

そんなとき、あの坪内先生が「応援するから辞めなくてもいいじゃないか」と言ってくださったんです。「自分だけでは足りないから」と、いまではザボンの常連になってくださった重松清さんも、先生がご紹介してくださいました。映画『酒中日記』では先生の提案で、新宿の文壇バー「猫目」とザボンをメインの舞台にして撮影してくださいました。「喧嘩するほど仲が良い」どころの話ではありません。私は先生の奥底に垣間見える人情の深さに、いつもうれし涙を浮かべておりました。

先生が最後に店に来たのは、19年の12月26日でした。「あんたね、もうボケてるから、早く辞めたほうがいいよ。晩節を汚さないように辞めたほうがいいよ」なんて失礼なことを言うもんですから、「何よ、そっちのほうがよっぽどボケてるじゃない!」と言ってやったんです。もういちどだけでいいから、ツボちゃんと喧嘩がしたいです。

北斎のように生きる、さいとう・たかを

最近は新型コロナウイルスによる外出自粛であまり外に出られていないようですが、よくザボンにいらっしゃるさいとう・たかを先生を見ていると、長生きする理由がしみじみとわかります。

先生はゴルゴそのままの人柄です。物事を理知的に考えるところなど、先生自身がゴルゴのモデルになったんじゃないかと思うくらいです。

そんな先生ですが、お店に来ると、恋をテーマにした都々逸を唄ってくださることもあります。先生が考えた都々逸にはたとえばこんなものがあります。

・下手な言葉で四股踏むよりも サッと内股かけりゃよい
・止めてくれるな もうすぐ岸に着くを分かった舟じゃもの
・泥田から飛び出してみて その蛙己(かわずおの)が汚れに驚きて見る
・嫌よ嫌よと娘のしぐさ 帯もほどけて身をよじる

なんだかいろいろと想像してしまいますよね。こんな色気のある唄を女の子たちのために歌う粋な一面も先生にはあるんですよ。

先生はもう83歳になられますが、いまでもゴルゴ13の連載を続けておられます。先生のお酒の強さったら私でも敵うはずもありませんから、お酒を飲みすぎれば早く死ぬというわけではないと思うんです。長生きの秘訣っていうのは、いつになっても好きな仕事をやっていること。それに尽きます。

葛飾北斎が残した言葉に、「私は90歳で絵の奥義を極め、100歳で神の域に達し、110歳ではひと筆ごとに生命を宿らせることができるはず」というものがあります。作風はもちろん違うのですが、先生は北斎を目指しているのではないかと私は感じるのです。

とにかくもう、漫画を描くことが好きで好きで仕方がないのです。先生は16歳のときにはもうアルバイトで漫画を描いていて、月に5万円(大卒初任給が約1万円)ほどはもらっていたそうです。その当時から、稼いだお金で芸者さんのところへ遊びに行っていたといいますから。

生涯を通して好きな仕事だけで生きていくというのは素晴らしいことです。先生を見ていると、「まだまだ私も糖尿病やコロナになんか負けていられない」と奮い立つんです。そういう気持ちを持ちながら、お酒や盛り場と付き合っていきたいですよね。

[「クラブ 数寄屋橋」ママ 園田 静香、銀座老舗文壇バー「ザボン」ママ 水口 素子 撮影=神尾典行、市来朋久 写真提供=「クラブ 数寄屋橋」、水口素子]

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Go Toトラベルの予約は秋以降がいい「コロナ以外」の理由

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

観光地の消費喚起を狙う政府の「Go Toトラベル」キャンペーンが7月22日から始まる。どう利用するのがいいのか。元「じゃらんnet」編集長でインバウンド観光業界に詳しい萩本良秀氏は、「9月以降は地域共通クーポンも配布されるため、さらに多くの恩恵を受けられる」という――。

すでに予約済の旅行も対象

7月10日、赤羽一嘉国土交通大臣は会見で、「Go Toトラベル」キャンペーンを7月22日から開始すると電撃発表した。

※編集部註:7月16日夜、西村康稔経済再生担当大臣が、東京を目的地とする旅行と東京居住者の旅行を当面対象外にすると会見した(7月17日10時50分追記)

「Go To トラベル」事業は、国内旅行代金の2分の1相当額が1人1泊あたり2万円、日帰り旅行は1万円を上限に支援され、そのうち7割(旅行代金の35%)は旅行代金から割引となり、3割(同15%)は地域共通クーポンとして支給される。1人の利用回数に制限はなく、何回でも何泊の旅行でも対象になる。

しかし発表では、地域共通クーポンについて「実施日は9月1日以降に別途お知らせする日」からとされ、少なくも8月末までの旅行に対する支援額は旅行代金の35%、宿泊旅行の場合1泊4万円以上の旅行購入に対しては1万4000円が支援額上限になる。申込みは大手旅行会社だけでなく、地域の中小旅行会社や宿泊施設に対する直接予約も可能で、修学旅行や職場旅行といった団体旅行も対象になる。

今回の発表では、すでに予約済の旅行も対象になることが明言された。7月1日に日本経済新聞が「制度の詳細発表の前に予約された旅行は補助の対象外とする方向であることが分かった」と報じ、ネット上のニュースに対するコメントでも、「もう予約したけど割引になるのか」という疑問が多かった。すでに予約済の旅行が対象から外れると、キャンペーン開始と同時にキャンセルと再予約が大量に発生することも予想されたため、このような対応になったと思われる。

「7月22日旅行開始分から」「当面は旅行代金の35%を支援」「すでに予約済の旅行も対象」という形で、とにかくキャンペーンが始まることが決まった。

最大限にトクする活用法

「Go To トラベル」キャンペーンで最大限、お得になる活用法を考えてみる。まずは支援額の上限まで利用することだ。地域共通クーポンが始まるまでは1泊につき35%が割引されるので、1泊あたり4万円以上の旅行を申し込んだ場合1万4000円(日帰り旅行なら2万円以上の旅行代金に対して7000円)を上限として支援される。旅行代金が1泊4万円、日帰り2万円を超えても支援額はそれ以上増えない。

9月以降、地域共通クーポンが始まれば、それに加えて旅行代金の15%相当が現地で使えるクーポンとして返ってくる。1泊4万円以上の宿泊旅行に対しては、1万4000円の旅行代金割引に加えて6000円分の現地で使えるクーポンが支給されることになる。1泊4万円というと高級旅館でも泊まれなければ使えない、と思われそうだが、旅行代金に電車、飛行機、バスなど往復の交通費が含まれる場合はそれも対象になる。車での旅行でなければ、1泊4万円のパッケージツアーを申し込むのもよい。

宿泊施設に直接予約の場合、割引対象は「宿泊のみ」と観光庁の資料にはあるが、朝夕食や宿が宿泊プランとして一括して提供するサービスは対象になるかと想像される。宿泊予約と別途、個人で手配する電車やバス、レンタカー代や高速道路代などは、同じ旅行に関わる費用であっても、支援の対象にはならない。

1枚1000円単位で使える地域共通クーポンについては、これから土産物店、飲食店、観光施設、交通機関などの地域事業者から参加を募る。キャンペーンで申し込んだ旅行先でも、参加店舗以外では使えない。対象施設は店頭でのステッカー表示やウェブサイトでの一覧公開を予定している。地域のバス会社や遊覧船の運行会社などが参加した場合は、乗車料金に地域共通クーポンを使える。旅行前に行き先、具体的には対象となる目的地および隣接都道府県の利用可能事業者を予習していくといい。

密を避けた上手な旅行先選び

「Go To トラベル」に先んじて、緊急時代宣言解除以降、域内旅行を対象とした旅行補助が各地方自治体により実施されてきた。北海道居住者を対象とした「どうみん割」は23億円を原資に第3弾まで募集され、各県や市が実施する旅行クーポンの多くが、初日の午前中に予算上限に達して終了するなど、人気コンサートのチケットのような人気ぶりだ。

「Go To トラベル」の事業予算は1兆3500億円、運営費を除いた原資も1兆1500億円以上とケタ違いのため、より多くの国民が制度を活用して旅行に出るだろう。日程や目的地によっては、とんでもない「密」に遭遇する可能性がある。キャンペーン詳細が発表された7月10日には、東京都内で過去最多の243人の新型コロナウイルス感染者が発表された。人々が望むのは、最小限の感染リスクで、最大限お得な旅をすることだろう。

そのためには、誰もが考えそうな旅行計画をしないことだ。土日祝日の3連休に2泊3日で8万円の北海道や沖縄ツアーに行く、有名観光地で1泊4万円の高級旅館に泊まる。このような旅行はそもそも競争率が高いが、運よく予約できて宿泊施設の中は衛生対策が万全でも、観光地や交通機関では通常のピーク期以上の混雑を覚悟しなくてはならない。人気の観光地に行くならオフピーク、平日に休みを取って行きたい。

路線バスでしか行けないような温泉地が穴場

往々にして、東京や大阪から近場の観光地は、日帰りやマイカー族も気軽に来るので、混雑しやすい。首都圏からなら上越新幹線や北陸新幹線、山形新幹線や秋田新幹線などで日本海側の県に抜ける、あるいは在来線にバスを乗り継いで行くような遠方などが、混雑を避けるにはいいだろう。海を眺める露天風呂もいいが、内陸部の路線バスでしか行けないような温泉に泉質の優れた秘湯が多いとツウの間では知られている。

往復の電車で密を避けたければ、平日休んで金曜に出発し日曜午前には現地を出る、または土曜午後にゆっくり出掛けて月曜に戻るといい。2連泊にしても往復の交通費は1泊と同じだから、1泊追加分の宿泊費には多くの予算を使える。

夏はあきらめるという選択も

本来、夏は国内旅行のピークシーズンだが、今年は秋まで旅行を控えるのも一つの選択だ。前述したようには「Go To トラベル」は、少なくとも8月いっぱいは旅行代金の35%が支援枠だ。すでに予約済の旅行も補助対象となるが、事務局に申請書、領収書、宿泊証明書、個人情報同意書を提出して、還付を申請しなくてはならない。7月10日発表された「Go To トラベル事業の概要」資料でも、上記の申請手続きについては「詳細は調整中であり、事務局の立上げ後に改めてお知らせする予定」などと、まだ詳細が決まっていない事項は多い。

7月27日以降は準備が整った事業者から順次、割引価格での旅行商品が販売されると書かれており、これに申し込めば煩雑な還付手続きは必要ない。キャンペーンが想定より早く始まったことで、各旅行会社は対応に追われている。JTBは7月10日、メールマガジンで「実施発表を受けて、ツアー案内の準備を進めております」、ウェブサイトでは「弊社独自のGo To Travel キャンペーンの開始時期などの詳細は、決まり次第掲載いたします」と暫定的な告知をした。

今後、各社のキャンペーンページも立ち上がるだろうが、次々出てくるキャンペーン対応商品の情報を入手するには、個人で運営しているような旅行お得情報のまとめサイトを見るといい。各旅行会社独自のクーポンや昨年のふっこう割などの情報を網羅してきた実績があるので、検索すればすぐ見つかるはずだ。県や市町村など自治体が独自に実施しているキャンペーンも一緒にチェックできる。

9月以降は地域共通クーポンの参加事業者もそろう

学校が夏休み期間の家族旅行も、今年は春先の休校により夏休みが短いので、限られた期間に人が集中する。夏以降も、見頃が限られる紅葉の名所などでは、ロープウェイも今年は定員を削減して運行するとなると、早く行っても事前予約が必要だったり、整理券配布が終了していたりして諦めて帰ることになるかもしれない。

9月以降は地域共通クーポンの参加事業者もそろい、各旅行会社からお得感のあるキャンペーン商品も出てくるだろう。宿泊施設からも支援枠をフル活用しようと、練って考えられた充実の商品が増えるはずだ。

新型コロナウイルスによりインバウンド旅行者はほぼゼロとなり、観光事業者は数カ月間にわたり消失した売り上げをキャンペーンで取り戻したいと考えているだろう。「Go To トラベル」は旅行需要回復に時間がかかる想定の中、より高単価高付加価値の新商品を特別割引で新たな客層に提案できる絶好のマーケティング機会と考えるべきで、単に既存商品の期間限定お得セールに終わらせず、これを機に近隣住民から普段は海外旅行に行く日本人や日本在住外国人、さらにはその先の訪日外国人まで、幅広い層を惹きつける地域色の強い新サービス・新商品を意欲的に投入することが期待される。

キャンペーンは来年春まで続く見通し

観光庁の「Go To トラベル事業の概要」では、「旅行需要の平準化に向けた取組」として秋冬春までキャンペーンを継続する旨を図示しており、企画競争の議事にも「特定の地域や時期などに旅行者が集中しないよう、満遍なく地域の観光消費の拡大につなげるための割引原資の執行の工夫が提案されている」とコメントされている。おそらく、キャンペーン開始後に申し込みが殺到して短期間に終了とならないよう、第2期、第3期などと分けて募集をするのではと思われる。

「Go To トラベル」に限ったことではないが、宿泊に往復交通が含まれる国内ツアーの場合、出発日の20日前からキャンセル料が発生する。宿泊のみの場合は各施設により異なるが、だいたい1週間以内だ。出発が近づいたら、取消料がかかる前に目的地や自身の周りなどの状況から、旅行に予定通り行けそうか確認したい。

出発当日に自身や同行者に発熱が見られる場合、旅行を中止せざるを得ないリスクもある。無理を押して出掛けても、空港ではサーモグラフィーで搭乗者の体温をチェックし、宿・ホテルや観光施設でも入場時に検温の上、発熱が認められれば宿泊や入場を断るという対応を多くの事業者が取るようになる。旅行開始前であれば当日でもキャンセルに対して旅行代金の一部は戻ってくる。旅行に行くべきか、今は行くべきではないか、個人の正しい最終判断が求められる。

オーバーツーリズムに加わらない

昨年までは、有名観光地に外国人旅行者が押し寄せる「オーバーツーリズム」が社会問題になっていた。住民のみならず、当の外国人旅行者までが「せっかく日本に来たのに周りは外国人だらけ」と不満を漏らした。ニセコや野沢、白馬などのスキーリゾートが引き続きオーストラリア人に人気の一方、近年は東北の温泉地などそのほかのスキー場でも彼らの姿を見かけるようになった。日本旅行のリピーターになると、次は周りにオーストラリア人のいないスキー場に行きたいと、穴場を開拓する旅行者が増えている。

東洋文化研究者で『観光亡国論』(中公新書ラクレ)著者のアレックス・カー氏は、「全国体験観光オンラインシンポジウム」(地域ブランディング研究所主催)で、「新しい旅の哲学」という持論を語った。「自分も迷惑なオーバーツーリズムの一部になるような人気観光地は諦めて、自分が来ることが求められる、行くことが役に立つ目的地を選んで旅をする」という考え方だ。

レジ袋やストローを使わないといった環境への配慮と同じように、旅に関しても受け入れる観光地に混雑マネジメントを委ねるだけでなく、旅行者自身の選択でwithコロナ時代に安心な旅行を考えることが求められるだろう。

ここは、半額補助だからと張り切って人気観光地、人気ホテルの予約合戦に殺到するのではなく、他の日本人があまり気づいていない穴場を研究して、最終的に満室や満席にならないような、知る人ぞ知る旅行を見つけ出すほうが正解かもしれない。せっかくなら、これを機会に新しい旅のスタイルに挑戦してみる。初めての土地に足を伸ばして、どんな風景や体験が待っているか想像してみる。そのほうが、感染予防に配慮し密を避けるという時代のテーマに沿った旅行を、一人ひとりが安心して楽しめるのではないだろうか。

[インバウンド・メディア・プロデューサー 萩本 良秀]

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「コロナの起源」がずっと隠されているインテリジェンス上の理由

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

新型コロナウイルスは「武漢の研究所が起源だ」という説がある。真偽のほどを確かめる方法はあるのか。鍵を握るのは各国の情報機関だという。外交ジャーナリストの手嶋龍一氏と作家の佐藤優氏の対談をお届けする――。

※本稿は、手嶋龍一・佐藤優『公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

いかに「機微に触れるコロナ情報」を手に入れるか

【佐藤】いま、富める国にも貧困に苦しむ国にも、富裕層にも援助の手を必要とする人々にも、等しく、そして、容赦なく、襲いかかっている災厄が、新型コロナウイルス感染症です。こうした国家の威信がかかった問題では、軍事機密と同様に、いやそれ以上に国家指導者は真相を徹底して秘匿しようとします。そうした状況下にある時こそ、インテリジェンス機関がその存在意義を問われます。ただ、真相に挑もうにも、高い壁が幾重にも張り巡らされている。日本やアメリカは、北京に大使館を置き、アメリカは武漢にも総領事館を開設していますが、だからといって、機微に触れるコロナ情報が簡単に入手できるわけじゃない。

私は外交官でしたのではっきりと言えるのですが、外交の分野では相手国は友好的な情報ならさまざまな形で提供してくれます。しかし、その国にとって知られたくない情報は基本的に提供しない。相手国が嫌がる、出したがらない情報は、どうやって入手するのか。この分野は、外交官の仕事というより、インテリジェンス・オフィサーの仕事なのです。

「情報の力で国民を守る」機関が必要だ

【手嶋】佐藤さんのように、政権の奥深くに食い込み、時に身の危険を冒して、相手が出したがらないインテリジェンスを入手してくる。そんな外交官は稀有な存在です。通常、日本の外交官は、そんなスパイのような危険な任務は、自分たちの仕事じゃないと思っているはずです。ですから、外交ルートを介して武漢起源説に関する正確な情報を入手するのはほとんど望めません。

【佐藤】戦後の日本は、海外に情報要員を配して、情報源を涵養して、極秘のヒューミントを入手するという情報機関を持ちませんでした。今回のように、中国側は徹底して情報を秘匿する。だとすれば、その厚い壁を幾重も突破して相手国の出したがらない情報に肉薄し、入手する機関がやはり必要になってきます。本章の冒頭に述べたように「情報の力で国民を守る」ための機関が必要になるのです。いますぐ対外情報機関を創設することなど望めませんし、先ほども議論したように、情報要員は一日にして成りません。そうだとすると、現実的には、公安調査庁にその責務を担ってもらうことが最も現実的だと思います。

戦争、テロ、サイバー攻撃に並ぶ「パンデミック」の重要性

【手嶋】私もまったく同じ意見です。現に英米の情報コミュニティーでも、今回のコロナ禍を受けて、重大なパラダイム・シフトが起きています。具体的にいえば、アメリカの情報コミュニティーでは、9.11同時多発テロ事件をきっかけに、国家安全保障の中心テーマに「テロリズム」が据えられました。「テロの世紀」の幕があがったのですから、当然の成り行きでした。

同様に、今回のコロナ禍を契機に「パンデミック」がこれまた国家安全保障上の最重要課題に格上げされました。イギリスの情報コミュニティーでは「パンデミック」が、戦争、テロ、サイバー攻撃と並んで最重要の「レベル1」に位置付けられたとBBCは報じています。

【佐藤】国家の存立と自由な社会体制を脅かす敵に立ち向かう。それが情報機関の責務なのですから当然だと思いますね。いま、世界のインテリジェンス・コミュニティーで一種の「ギア・チェンジ」が起きている。世界第三の経済大国、日本でも、こうしたレージーム・チェンジに迅速に対応していくべきです。その中心的な役割を担うべきは公安調査庁です。内閣情報調査室は人員の面からも情報の取りまとめと分析を担うことに特化しなくてはなりません。外務省の国際情報統括官組織は、残念なことですが、中国が秘匿したがる分野に切り込むだけの調査能力を持っていません。警察の警備・公安や防衛省の情報部門は、そもそも、こうした分野は担当外です。

1月時点で「パンデミックの危険」を指摘した情報機関

【手嶋】こうした状況下では、英米の情報機関も同様ですが、武漢に要員を派遣して調査することなどかないませんから、武漢病毒研究所の内情に通じた内外の研究者などから地道に情報を収集し、科学者の知見を総動員しながら、真相に迫っていくほかありません。

軍事機密なら、各国の軍部は、厳密な機密保持のシステムを確立して、容易にアクセスできません。ところが、感染症の世界は、今回の新型コロナウイルスが、かつてのSARSウイルスと遺伝子の構造がどこが違うのか、既存の治療薬は有効か、抗体はいかなるものか、といった分野で、コロナ発生直後から、中国の研究者と欧米や日本の研究者の間でかなり活発な情報の交換が行われてきました。

【佐藤】日本国内でもかなりの情報を入手し、分析することが可能となっています。公安調査庁はこの情報の結節点になるべきですね。

【手嶋】じつは、アメリカのインテリジェンス・コミュニティーには、メリーランド州フォート・デトリックにある国立医療情報センター(NCMI)という組織があります。感染症の専門家、ウイルスの専門家などを集めてコロナウイルスに関する情報を徹底して収集し、分析を始めています。じつはこの組織は、今年1月のかなり早い段階から武漢で発生した感染症がパンデミックになる恐れがあることをトランプ大統領に警告していたと「フォーリン・ポリシー」誌が伝えています。ただ、トランプ大統領は、例によって専門家の進言に耳を貸そうとしませんでした。日本でも感染症に特化した情報組織がいま求められています。同時に、情報の専門家も必要ですから、アメリカの国立医療情報センターのような組織を公安調査庁のブランチとして考えてはどうでしょうか。

【佐藤】興味深い提案です。

感染症との戦いは「冷戦の延長線上」にあった

【佐藤】アメリカもイギリスもロシアも、細菌やウイルスによる感染症には、冷戦期を通じて大変な蓄積を持っています。第一次世界大戦で毒ガス兵器が使われて膨大な犠牲者を出した教訓から生物・化学兵器の製造・使用は、国際条約で厳しく禁止されてきました。しかし、東西両陣営は、冷戦期にも、細菌・ウイルス戦の研究はやめようとしませんでした。敵の陣営が生物兵器を使用してきたら、それを防ぐためにはワクチンや抗体を備えておかなければと考えたからです。ですから、東西両陣営にとっては、感染症との戦いは「冷戦の延長線」に位置付けられていたのです。同時に、国際テロ組織が生物・化学兵器に手を伸ばす危険も現実のものになりつつありますから、「テロの世紀」にあって、「パンデミック」は優れて今日的なテーマなんです。

【手嶋】9.11同時多発テロにワシントンが見舞われた時のことでした。ワシントンの連邦議会に「炭疽菌」入りの手紙が届いて、死者も出て、首都をパニックに陥れた事件がありました。私たちホワイトハウスの特派員も議会に取材に行くには、「炭疽菌」に備える薬を服用しなければなりませんでした。細菌・ウイルス戦に備えて、アメリカ軍が開発した薬だと聞きました。これを飲むとたちまち気持ちが悪くなり、もう二度と飲みたくありません。

「サリン事件」に取り組んできた公安調査庁

【佐藤】戦前は、日本の陸軍が登戸(神奈川県川崎市)に細菌戦の研究所を持ち、多くの医療専門家を抱えていました。戦後は、細菌・ウイルス戦に備える医学的蓄積は陸上自衛隊の一部を除いてなくなったと言われてきました。しかし、日本では、公安調査庁だけが唯一、細菌・ウイルス戦の分野で情報を蓄積してきたのです。オウム真理教が引き起こした松本サリン事件と地下鉄サリン事件に取り組んできたからです。

【手嶋】コロナ禍のさなか、世界の情報関係者がもっとも注目している毒物・生物・化学兵器の専門家がいます。アメリカのコロラド州立大学のアンソニー・トゥー名誉教授(90)です。1994年に松本サリン事件が起きた後、トゥー博士はサリンの分析法を日本の捜査当局に指導し、山梨県の山中の土からサリンの分解物を見つける手がかりを提供したことで知られています。

このアンソニー・トゥー博士は、新型コロナウイルスの起源について、日本をはじめとするメディアのインタビューに答えて「私見だが、武漢の病毒研究所やその他の関連施設などで培養、研究していた新型ウイルスが未完成のまま、何らかの不手際で外部に漏れたと考えるのが一番適当な説明だと考えている」と述べています。

日本は独自で真相究明を進めるべきだ

【手嶋】トゥー博士は、生物・化学兵器の専門家として国防総省の顧問を長く務めており、より詳細な分析をアメリカ政府に伝えていると思います。武漢病毒研究所には「P4」といわれる最高レベルの危険なウイルスの研究実験施設を備え、中国のウイルス研究の中枢を担っています。それだけに、アメリカの疾病対策センター(CDC)が専門家を派遣したいと申し入れたのに対して中国側は受け入れを拒否し、代わって中国人民解放軍の生物化学兵器の最高の専門家と見られる女性の少将を武漢に派遣した事実からも「いぶかしい」と述べています。

【佐藤】米中両超大国は、コロナ禍を巡る情報戦を繰り広げていますが、日本も多くの感染症の専門家を擁し、日中間でも限界があるとはいえ学術交流も盛んなのですから、真相の究明を欧米任せにせず、独自に取り組むべきだと思います。それによって、中国が初期の段階で情報を公開し、国際間の協力体制を取っていれば、今回のパンデミックを初動の段階で抑えられた可能性があったことを明らかにしておくべきだと思います。

【手嶋】コロナ禍は、当初、武漢の食料市場からコウモリを介してヒトに感染したと伝えられましたが、武漢病毒研究所から漏れたことが確認されれば、ウイルスの管理や研究体制の見直しを抜本的に迫られることになると思います。

コロナ後の世界は、大きく変わる

【佐藤】世界的なベストセラー『サピエンス全史』の著者で、イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリは、今回のコロナ禍に関して深い洞察をわれわれに示してくれています。

選択を下す際には、目の前の脅威をどう乗り越えるかだけでなく、この嵐が去ればどんな世界に住むことになるかも自問すべきだ。新型コロナの嵐はやがて去り、人類は存続し、私たちの大部分もなお生きているだろう。だが、私たちはこれまでとは違う世界に暮らすことになる。(『日本経済新聞』電子版、2020年3月30日)

これを機会に教育の世界にも重要な変革の波が押し寄せていくでしょう。日本の学校の始業を欧米やロシアの基準に合わせて9月にすべきだという議論はその最たるものだと思います。東京大学がすでに9月始業を検討しながら、反対意見が根強く断念した経緯がありました。私は、児童、学生の海外留学が容易になるという観点から学校を9月始業にする案は、十分に検討に値すると考えています。同時に、日本のインテリジェンス機関が、パンデミックを主要なテーマに据えて、自己改革を進める好機だと考えています。

【手嶋】おおいに賛成です。公安調査庁がその先導役を担ってほしいと思います。

[外交ジャーナリスト、作家 手嶋 龍一、作家・元外務省主任分析官 佐藤 優]

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バツ7男の"壮絶人生"と女の口説き方「1回目の結婚は鑑別所、2回目はキャバクラ…」

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

なぜ渡部さんは女性を口説けたのか、バツ7男の見解

お笑いコンビアンジャッシュ渡部建さんの不倫が報じられ世間を騒がせた。多くの批判が集まったが、その一方で「なぜそんなに女性と関係が持てるのか?」と、嫉妬の念すら抱いてしまった男性も多いはずだ。「不倫は不治の病」と語り、自らも誘惑に負け、その病に罹患しているという「バツ7男」の神山氏(仮名・40代)に、モテる理由を聞いてみると、渡部建さんとの共通点が見えてきた。

不倫自体は褒められる行為ではないが、「女性へアプローチする」という意味では成功している。バツ7男と渡部さん、共感できる部分はあるのだろうか。

「渡部さんはYouTubeなどで心理学を絡めた恋愛術を披露していますが、内容は相手の言葉を繰り返す“バックトラッキング”や相手のペースに合わす“ペイシング”などです。恋愛術というよりは宗教やマルチ商法の勧誘のように感じました。この内容を実践すると、相手に嫌な思いはさせませんが、会話は薄っぺらくなる。女性が寄ってきた理由はやはり“芸能人”というブランドでしょう。週刊文春に不倫を暴露された原因もご存知のように、自分が関係を持ちたいときにしか呼ばないなど、相手の扱い方がひどい。それしかありません」

芸能人ブランドで口説けていたのであろう渡部さん。大切な相手への思いやりがなくても、爽やかなルックスのおかげで成功していたのかもしれない。では、バツ7男の場合はどうなのだろうか。

バツ7男のナンパの切り口

見知らぬ女性に声をかけるのは勇気がいる。バツ7男のように慣れていている人は、どのような判断基準で声をかけているのだろうか。

「たとえば2人組の女性がバーにいるとします。友達との会話が途切れてできる間、そこが声をかけるチャンスです。相手がリラックスしていながらも一瞬できる間が、声をかけるタイミングです。“こんばんは、マダム”などと、突拍子もないユーモアを入れて声をかけると効果的です。相手を一瞬ハッとさせるんです。相手の反応が悪ければ即撤退。損切りです、諦めましょう」

相手のことを考慮し、タイミングを大事にしていることがわかる。たしかに、会話の途中などでいきなり入ってこられても相手にとってはただ困るだけ。ダメなら即撤退という潔さも大切だ。しつこい男は周りから見ても、みっともなくてかっこ悪い。「突拍子もないユーモア」これはとても難しい。いい意味で面白く、驚かせないと「ハッ」とでなく「キョトン」されそうだ。ユーモアのセンスが問われる。

沈黙は女性が自分のことを喋りだすチャンス

きっかけをうまくつかんで会話に持ち込めたら、次に意識することは何だろうか。

「あまりガッツキすぎずに、聞き役に努めましょう。沈黙を恐れて喋りすぎる人がいますが逆効果です。ほどよい沈黙は、相手が我慢できずに自分のことを喋りだすチャンスです。ここで相手の情報をキャッチして会話を広げていきます」

間が持たず喋り出してしまう心理をうまく利用している。質問ばかりして相手のことを聞き出すより、相手に自然に喋ってもらうほうが、客観的にみてもスマートだ。何より沈黙に対しての焦りがなくなり、余裕のある態度で会話に臨める。

「例えば相手が“私は人より劣っている”などと言ってきたら、否定はせず“そんなことないよ、それは個性だからいいことだよ”というように、まずは肯定しましょう。短所やコンプレックスを長所や個性に置き換えて伝えると、相手は喜びます。だだし、この肯定によって相手が図に乗り出すようであれば、クセが強い女性である場合が多いので注意が必要です」

否定から始まる会話は上から目線になりやすく、相手も反論してきやすくなる。お互い楽しく会話するうえでは必要ない。考え方の柔軟さと包容力を感じる。男女間の会話に限らず、参考にできそうだ。

バツ7男の人物像、最初の結婚と離婚

父は会社員、母は専業主婦というごく普通の家庭の長男として生まれた神山氏。高校時代は暴走族をやっていた。バイクが好きで仲間と走るのが純粋に楽しかったという。長身で長い睫毛に、大きな目。笑顔を絶やさず、人当たりも柔らかい。男の私から見てもモテる人だとわかる。バツ7男のすべての結婚から離婚までは多すぎて紹介できない。そこで最初の結婚と離婚を紹介しよう。

「最初の相手との出会いは恥ずかしい話ですが、鑑別所です。17歳の時にバイクの暴走行為で逮捕され、鑑別所にいました。その鑑別所は1階が男性、2階は女性でした。ある日、夜中に窓から女の子がいる2階に向けて『おーい、誰かいるかー?』と話しかけたんです。すると『なーにー?』って返事がきたんです。返事をくれた女の子が最初の結婚相手の由美(仮名)でした。由美は窃盗で逮捕されていたようです」

お互い顔が見えず、声だけのやりとりで電話番号を交換した神山氏。後日、鑑別所を出てから電話をかけて会ってみると、タイプですぐ好きになってしまい、付き合い始めた。しばらくすると子どもができ、まだ若いうちに一度目の結婚をした。

「子どもも無事に生まれ、順調な結婚生活でしたが、付き合いで行ったキャバクラにハーフでとっても綺麗な子がいて、我慢できず口説いてしまいました。タイプだったんです。その浮気がバレたのが原因で由美とは離婚してしまいました……。その浮気相手とも結婚しましたが、相手の気性が荒く、結局うまくいきませんでした。私がまた浮気したってのもあるんですけど」

鑑別所という特殊な場所だが、出会いのストーリーとしてはとてもロマンチックだ。神山氏は本当に自分の感情に素直なのだと思う。タイプの人に出会ってしまえば、自分が結婚していようがお構いなく、一直線に口説きにいく。すごいのはちゃんと口説き落とせているところである。結婚相手からすれば堪ったもんではないが……。

結果をすぐに求めてはいけない

ナンパはその場限りのワンナイトのような、カラダ目的のイメージを拭うことができない。お互いの価値観によって変わるだろうが、長く続けられる関係がいいとするならどう振る舞うべきか。

「会話も進んでいい雰囲気になると男はすぐにカラダを求めがちですが、焦ってはいけません。仮にうまくいってベットインできたとしても、ワンナイトで終わります。“この人と居るのは楽しい、また会いたい”と思ってもらえるようにしましょう。次に会う約束をしたり、マメに連絡をとったりして、関係を深めたほうが長続きします。不倫や複数の女性と同時に関係を持つことをすすめているわけではありません。私も複数の女性と関係を持ってしまい、バレてしまうのではないかと不安で苦しく、まともに息ができない時期もありました。しかし人生は自分に素直になって楽しむべき。私の場合、その結果がバツ7なのです」

テクニックだけの薄っぺらい会話や、関係を持ちたいだけの軽い気持ちより、相手を思いやる心が大事というのはバツ7男の話からも、渡部さんが招いた結果からもよくわかったはずだ。いい点だけ参考してほしい。

[カメラマン・ライター 藤中 一平]

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いつもは日本車を無視するドイツ紙が「日産リーフ」だけは褒めるワケ

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

電気自動車をめぐって、世界中の自動車メーカーが熾烈な競争を繰り広げている。ドイツ在住の作家・川口マーン惠美氏は「ドイツは電気自動車で出遅れた。普段は日本車を無視するドイツのメディアが、『日産リーフ』だけは褒める。それは日産リーフが世界で最も売れた電気自動車の一つだからだ」という——。

※本稿は、川口マーン惠美『世界「新」経済戦争 なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

電気自動車シフトで日独だけが抱える問題

電気自動車へのシフトにおいて、ドイツや日本のメーカーが、ガソリン車やディーゼル車の終息と電気自動車の開発という二段構えの課題を背負っているのに比べて、しがらみのない新興企業は極めて強い。そもそもシフトではなく、ゼロから始め、未来だけを考えていればいい。だからこそ、アメリカの新興企業にとっての手強いライバルは中国なのだ。エンジンの開発という歴史を踏まない中国にとって、電気自動車という土俵は希望溢れる処女地だ。彼らはすでにアメリカに激しい戦いを挑み始めている。

現在、中国のGDPに製造業が占める割合は大きく、ほぼ30%。それに続くのがドイツ、日本で20%前後。アメリカ、フランスは11〜12%程度で、イギリスにいたっては10%を切っている。しかし、アメリカの製造業がGDPに占める割合は、将来、増加するという予測だ。それはつまり、新分野での「製造業」が軌道に乗るということだろう。そうなれば、米中の争いは、さらに熾烈なものになる。

一方、日本とドイツは、高度なものづくりで繁栄してきたという歴史があり、未だにどこか、昔の栄光にこだわっているきらいがある。さらに言うなら、両国とも、今でも自動車が国内の基幹産業であり、しかも、国民がそれを誇りに思っている。そのうえ、高度なロボット技術などは突出しているが、一般社会のIT化がさほど進んでいないという、奇妙な共通点もある。そして、政府がいくら発破をかけても、なかなかキャッシュレスにならないところも、なぜか似ている。

日本にとって自動車は武器となり続けるのか

この両国にとっての共通の悩みは、長い間、磨き続けてきた自動車という武器が、現在の新しい戦場で一気に古びてしまったということだ。電気自動車やAIといった新分野への転換を果たさなければならないことは十分承知だが、そこには、多くの関連産業や雇用がかかっており、バッサリ切り捨てると、本体まで倒れかねない。だから、メーカーだけではなく、政治家にとってもジレンマは大きい。

特に、これまで労使がなるべく協調して、ともに繁栄を築き上げてきた歴史のある日本では、不況などによって企業の業績の悪化があるたびに、合理化や賃金カットで切り抜けてきた。だから欧米の企業よりも、リストラに対する躊躇はさらに大きい。

1990年代、例外的に大量のリストラで危機から抜け出したのは日産だったが、それを容赦なく実施したのはカルロス・ゴーンという外国人だった。「日本の経営者にはあれはできなかった」とよく言われるが、それは能力がなくてできなかったのではなく、日本人だからできなかったのだ。

では、現在、電気自動車の戦いは具体的にいったいどこまで進んでいるのだろう。

日産リーフが世界で賞賛される理由

EUはあまりにも厳しいCO2削減で自分の首を絞めつつ、肝心の電気自動車の技術では出遅れている。その点、日本は自分の国の規制は、おおむね自分たちで決められるので(COP〔国連気候変動枠組条約締約国会議〕などの縛りはあるにしても)、EUの国々に比べるとまだ恵まれている。また、電気自動車の技術でもEUよりは先行している。

日産リーフは、世界で一番たくさん走っている電気自動車の一つだ。ヨーロッパでも善戦している。普段、日本車のことは無視するか、取り上げてもたいしてよくは書かないドイツのメディアが、リーフだけは褒める。丁寧に作ってあるので使い勝手がよく、走行距離にも信用がおける。性能のわりには、お値段も手頃。

そのほか、ドイツで多く見かけるのは、ルノーのゾエだ。ヨーロッパのメーカーの中でルノーが電気自動車に突出しているのは、日産の技術が貢献しているのだろうか。

一方、テスラは高級車なので、今のところカテゴリーが少し違うが、長らく苦戦していたものの、2019年に黒字転換した。結局、ドイツ政府が躍起になって電気自動車へのシフトを図ったせいで、儲かっているのは今のところ、日本勢、フランス勢、そして、アメリカ勢である。

「売れている」と言ってもまだたいした数ではない

2018年、ドイツで新しく登録された電気自動車は、3万6062台だった。これは、新規登録車全体の1%にすぎない。では、同年、登録されている全乗用車のうちの電気自動車の割合はどれくらいだったかと言うと、たったの0.09%だ(連邦自動車庁/Kraftfahrt-Bundesamtより)。つまり、ドイツの公道を走っている電気自動車の割合は、全体の1000分の1にも満たない。したがって、日産リーフが善戦していると言っても、たいした数ではない。

2017年、ヨーロッパでリーフが一番売れたのはノルウェーとイギリスで、新規登録台数が、それぞれ2万2743台と2万2299台。これはひとえに潤沢な電気自動車援助の補助金のおかげだ。ドイツでも潤沢な補助金は付いているが、あまり追い風にはなっておらず、2018年、新規に登録されたリーフは、わずか2380台だった。

それに比べて日本でのリーフの売り上げは年間8万5000台を超える。日本には、その他にもハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドで活躍中の車も多い。ハイブリッドを電気自動車と見るかどうかという議論は残るが、いずれにしても、ガソリンだけに頼りきっていないという意味では、日本やアメリカのほうがヨーロッパよりはだいぶ進んでいる。

なんとしても国産産業を確立したい中国

もう一つ電気自動車が急伸しているのは、もちろん中国だ。具体的な数字で見てみよう。中国で2017年に新しく登録された電気自動車の数は60万台で、翌年には150万台と2.5倍。2位のアメリカも、同時期に20万台から50万台へと伸びたが、すでに中国には大きく水をあけられている。

2018年、中国で走っていた全電気自動車数は約260万台。2位がアメリカで約120万台だ。しかも、中国の電気自動車数は、すでに登録されている全乗用車の2%に上る。アメリカの場合は、乗用車の全保有台数が1億2000万台(2016年時点)を超えているので、電気自動車の割合は1%に満たない。ドイツの電気自動車普及率が、まだ0.1%にも届かないことはすでに述べた。日本はと言うと、純粋な電気自動車の普及率は0.53%(ちなみに、プラグイン・ハイブリッドは0.48%だった)。

2015年、運転免許取得可能な年齢の1000人当たりの車の保有台数は、アメリカでは788台、ドイツでは548台、中国は73台だった。つまり、中国の車の需要はこれからまだまだ膨らむ。特に電気自動車は、国産産業の育成という意味もあり、中国政府が強力に推しているため、この先、急速な伸びが予想される。

二重の意味で状況が厳しいドイツのメーカー

中国では2019年より、電気自動車の生産割り当て制度も始まった。具体的に言うなら、2019年から、中国の乗用車の生産台数、および輸入台数の10%が電気自動車でなければいけなくなった。2020年はそれが12%に引き上げられた。課題を達成できなかった場合、翌年分で相殺してもよいが、それもできなければ、そのメーカーは、ガソリン車の中国向け輸出、あるいは現地での製造が制限されるようになると言う。

つまり、中国市場を手放したくなければ、10%、12%といった割合で、電気自動車を売らなければならないわけだ。これを聞いただけでも、各国の自動車メーカーのお尻に火が付いている様子は、容易に想像できる。特にドイツのメーカーは、中国市場に依存しているうえ、電気自動車の開発では遅れをとっているから、状況は二重の意味で厳しい。

いずれにしても、今、ドイツのメーカーが皆、浮足立つように電気自動車にシフトしているのは、地球温暖化防止のためと言うよりも、まずは中国市場に居残れるかどうかという死活問題に、猛烈な勢いで取り組まざるをえない結果と考えたほうがわかりやすい。

今や死にもの狂いのドイツの自動車メーカーの唯一の希望は、中国との相性がすこぶるいいことだろう。この二カ国の仲のよさは今に始まったことではなく、遠い昔、清(しん)の時代から続いているのだが、それがこの15年ほどの爆発的な交易の増加でさらに密になっている。だからこそ、政府もドイツの自動車メーカーも、中国と何らかの歩み寄りができる可能性に、大きすぎる望みを託している。

中国にすり寄るドイツに未来はあるのか

ただ、中国がそれほど甘いかどうかは別問題だ。ドイツの技術が中国のそれよりも優位であったこれまでは、中国は従順であり、柔軟でもあった。しかし、この柔軟さは両刃の剣だ。いつか、中国とドイツの技術力が互角になったとき、彼らがなおも従順である保証はない。

中国の新興企業が大量参入している

それを予感させる事態はすでに始まっている。電気自動車は製造技術がそれほど複雑ではないので、現在、中国国内では、これまで自動車など作ったことがなかった新興企業が大量に電気自動車業界に参入し、競争が熾烈になっている。しかも、中国政府は国内産業の振興を推進するため、さまざまな優遇措置もとっている。

また、中国へ進出している外国の自動車メーカーは、必ず中国企業と合弁しなければならないうえ、技術の供与を義務付けられているので、中国企業は外国企業のいろいろな先進技術に容易にアクセスできるというメリットを持つ。

電気自動車生産トップ5には中国勢が3社

そうでなくても中国企業の技術獲得モチベーションは高く、当然のことながら、外国企業にとっては、知的財産の保護は至難の技だ。うかうかしていると、あらゆる技術を中国に攫(さら)われてしまいかねない。

2019年、電気自動車生産における世界のビッグファイブのうち、2位から4位をすでに中国勢が占めている(1位はテスラ、5位が日産)。今のところ、中国の電気自動車はEUには進出していないが、それが始まれば、世界の自動車地図は塗り変わるかもしれない。つまり、中国はドイツにとって、重要なお得意さんでありながら、危険なライバルでもあるという、非常に微妙な存在になりつつある。

[作家(ドイツ在住) 川口 マーン 惠美]

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日本をGoTo地獄させた無能安倍晋三…解散9月説、12月説、2月説、4月説、どれが本当だ!

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

コロナ禍に信を問う「別の道」がある

政界に吹き始めた「解散風」が勢いを増している。その発信源は政権中枢で、新型コロナウイルスの「第1波」が収束し、「第2波」到来までの間に衆議院解散・総選挙を実施しておきたいとの思惑が透けて見える。衆議院議員の任期満了まで1年半を切り、急落した内閣支持率と安倍晋三総理の求心力を回復させるためには「この道しかない」というわけだろう。

でも、ちょっと待って。再び新規感染者が増加傾向にあるコロナ禍において総選挙を実施すれば全国的に「密」が生じるリスクとなるのではないか。強引にその道を突き進めば、逆風を浴びて政権を失う「悪夢」もよぎるところだろう。これまで拙稿は失われた「民の声」を聞くための方策として解散総選挙を断行すべきと提言してきたが、現在の安倍官邸による解散戦略には疑問がある。コロナ禍に信を問う「別の道」を提案したい。

自粛生活の中で選挙への関心は低下

「新型コロナウイルスの感染拡大が再び起きている。2次拡大か分からないが、冬には本当の2次拡大があるとも言われている。経済状況も大変厳しい。政治はそこに専念すべき時であって、大きな政治空白をつくるのは国民の理解を得られない」

自民党と連立政権を組む公明党の斉藤鉄夫幹事長は7月3日の記者会見で、年内解散に反対する考えを強調した。冷静沈着、理論派として知られる斉藤氏がこのように断言するのは珍しいが、その反対理由は多くの国民の皮膚感覚と同じだろう。

7月5日に投開票された東京都知事選は、人々が密集する「密」をつくらないために選挙運動は極力抑制され、史上2番目の得票で圧勝した小池百合子都知事は「オンライン選挙」に徹した。投票率は4年前の前回に比べ5ポイント近く低下し、盛り上がりに欠けた。「なるべく外出を控える自粛生活をしている中で、とてもではないが選挙に注目できるほど余裕はない」(調布市に住む40代の男性会社員)との声も漏れた。

公明党には別の事情も存在する。支持母体の創価学会はコロナ禍で従来のような積極的な選挙運動を控えざるを得ない。支持者を大量動員するイベントを回避した結果、6月7日投開票の沖縄県議選では2議席も減らしている。7月2日には次期衆議院選挙で擁立予定の公認8人を発表し、選挙準備を急ぐ構えを見せるものの、比例九州ブロックの遠山清彦財務副大臣を神奈川6区に、東京12区には現職の太田昭宏前代表の後継として比例北関東ブロックの岡本三成衆議院議員を擁立予定のため「新しい選挙区で浸透するまでの時間は必要」(公明党関係者)というのが本音でもある。

解散総選挙なら「今年秋」一択…安倍総理も本気

とはいえ、背に腹は代えられない状況に追い込まれている安倍官邸に余裕はなく、その道は「自民党」の視点に立ったものになる。衆議院議員は来年10月に任期満了を迎えるが、安倍総理の自民党総裁任期はその1カ月前の来年9月末までとなる。

直前の夏には1年延期された東京五輪・パラリンピックの開催があり、少なくとも「2021年7~9月」に解散総選挙を実施するのは現実的ではない。残る選択肢としては、①今年秋②年末③年始④来年4~6月の4つというわけだが、世界各地に感染拡大したコロナの「第1波」を考えると、もし冬に「第2波」が到来した場合には②③④の選択肢は困難となる。つまり、コロナ禍で断行できるカードは事実上「今年秋」に限定されるといえる。

安倍総理は2012年末の総選挙で政権を奪還し、2014年末、2017年秋に解散総選挙を断行。参議院選挙と合わせれば国政選挙で6連勝してきた。支持率が低下傾向にある中でも国政選挙での勝利をテコに政権を再浮揚させてきた成功体験がある。コロナ対応で支持率が急落し、与党も霞が関官僚も面従腹背するようになった中でレームダック化を避けるためには「早く信を問うべき」(官邸関係者)という衝動にかられるのは理解できる。

選挙時期が固定されている参議院選挙を除けば、過去3回の総選挙はいずれも秋から年末までの間に実施され、たしかに安倍総理と相性は良い。「今年秋解散」を進言している安倍総理の盟友である麻生太郎副総理兼財務相は最近、安倍総理と10回近くも会談を重ねて解散戦略を練っていることから本気度がわかる。

麻生氏が「秋解散」にこだわる理由

麻生氏が「秋解散」にこだわる別の理由には、自身の苦い経験がある。麻生氏は総理就任直後の2008年秋、解散総選挙を断行する準備に入ったが、世界金融危機への対応や自民党の議席減が予想されたことから断念。だが、その後も麻生内閣の支持率は思うように回復せず、翌年夏の都議選で自民党は惨敗し、直後の総選挙で民主党に政権交代を許した。

2008年秋の解散にストップをかけたのは自民党選対幹部だった菅義偉官房長官で、その頃から政局勘という点で信頼されないようになった菅官房長官は解散戦略をめぐる相談相手から外され、今秋総選挙に慎重な人物への根回し役は麻生氏が担っている。

だが、公明党の斉藤氏にその提案は拒絶され、安倍総理に進言したとされる菅官房長官や二階俊博自民党幹事長の更迭も党内に激震を与える結果を招いている。そもそも、斉藤氏との「会談」だけではなく、解散案件という重要な「内容」が漏れるのは異例中の異例で、公明党の拒否感は強いと見て良いだろう。公明党の山口那津男代表は「まだブルペンに入っている状況ではない」と断じている。

総選挙間近にコロナが急拡大すれば大逆風は必至

もちろん、都知事選と同じ7月5日に投開票された都議補選で、自民党が全4選挙区で勝ったことを踏まえれば、いざ総選挙を迎えたとしても自民、公明の与党が勝利する可能性は高い。政党支持率は多少下がったとはいえ、自民党は野党第1党の立憲民主党を大きく引き離しており、2009年の時とは状況が大きく異なる。都知事選の結果を見ても、野党がまとまらず、大きな集票能力が見えない中での総選挙実施は与党に有利に働くだろう。

しかし、「今、それか?」である。麻生氏の解散スケジュールに欠けているのは、コロナの「第2波」到来時期だ。ウイルスは政局に左右されることなく、今冬よりも前に訪れる可能性がないとはいえない。今の状況だけを見て判断を下し、仮に総選挙間近に感染急拡大した場合には大逆風が待ち構えることになる。

出口の見えないコロナ禍では、いかなる選挙にもリスクはつきまとう。来年に感染状況が好転していると断言できる政治家はいない。そうであれば、再び政権を失いかねないリスクを負う覚悟はあるのか。コロナ禍で国民を不安にさせない選挙は実施できるのか明らかにする必要がある。

本当にやるべきことは総裁選だ

そもそも自民党の視点に立った信を問う方法ならば、「別の道」があるのではないか。それは、解散総選挙よりも前に「自民党総裁選」を実施することだ。安倍総理や麻生財務相が解散総選挙を断行したい理由は、落ち込んだ自民党や内閣支持率の低下を反転させ、求心力を高め、力強く政策を遂行していくことにあるのだろう。

それだけの理由ならば、コロナ禍のリスクは極力控えて「政治空白」を生まない総裁選を単にやれば良いだけである。総裁選は与党に許された「メディアジャック」が可能なツールで、たとえオンライン選挙であっても自民党に国民の注目が集まり、候補者と支援者が限定されるため「密」をつくらない工夫は可能だ。

現在のルールでは「安倍4選」ができないようになっているが、それは安倍氏が再出馬できるようルールを変更すればクリアできる。人材が豊富な自民党の複数の候補者による総裁選で安倍氏があらためて勝利すれば求心力も支持率も回復するのではないか。

暴論といわれるかもしれないが、総裁選を実施した上で可能である状況ならば解散総選挙を断行すれば良い。今、やるべきは「政治空白」や「密」が心配な総選挙ではなく、自民党総裁選による危機に対応できるリーダー選びであるということをおススメしたい。

[政経ジャーナリスト 麹町 文子]

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当初の勢い過去のものに…なぜ、山本太郎は女性に嫌われてしまったのか

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

都知事選では起きなかった「れいわ旋風」

約1400万人の人口を抱える首都・東京では近年、2つの「旋風」が起きた。1つは、先の都知事選で再選を果たした小池百合子都知事による「小池旋風」。もう1つは、2019年の参議院選挙で「れいわ旋風」を起こした山本太郎元参議院議員によるものだ。だが、小池氏が4年前の前回都知事選で獲得した291万票から約75万票伸ばし、史上2番目となる約366万票で圧勝したのに対し、山本氏の支持は今回の都知事選で広がることはなかった。異彩を放つ山本氏が「れいわ旋風」を再び起こすために必要な何かとは――。

「主要4候補の中で、日本維新の会の推薦候補がビリになるのは予想通りの結果だったが、2位と3位はもう少し僅差になると思っていた。山本氏の票が思ったよりも出なかったということは、そこが限界ということなのかもしれない」

都知事選の開票日から一夜明けた7月6日、選挙取材を重ねてきた全国紙政治部記者の1人はこう首を傾げた。政党の推薦を受けず、ほとんど選挙活動を行わない「オンライン選挙」に徹しながらも幅広い層から支持を得た小池氏は366万1371票を獲得、その得票率は59.70%に達した。15.21ポイント上積みされた得票率を見ると、2016年夏の初当選から翌年の東京都議選に向けた「小池無双」状態が再来したようにも映る。

このままでは山本太郎には「伸びしろ」がない

永田町を取材する政治記者たちを「おや?」と思わせたのは2位争いだった。制したのは立憲民主、共産、社民の野党3党が支援した元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏で、その得票数は84万4151票。わずか1年前の参議院選挙で約230万票が集めた「れいわ新選組」。その代表の山本氏は3位の65万7277票にとどまった。

たしかに宇都宮氏は過去2回、都知事選に立候補し、それぞれ90万票以上を獲得してきた「猛者」だ。出馬表明が告示日3日前になった山本氏の出遅れ感もある。だが、全国行脚もして知名度のある山本氏は、コロナ禍で展開された都知事選の街頭演説で他候補も羨むほどの多くの支援者を集めていたはず。それだけに、逆に「伸びしろ」のなさに注目が集まってしまうことになった。

山本氏の原点は、2013年の参議院選挙東京選挙区(改選数5)に無所属で出馬し、66万6684票を獲得したことにある。自民党の武見敬三元厚労副大臣を上回り、4位で初当選した。その後、現在は国民民主党の小沢一郎衆議院議員とともに「結党」もしたが、2019年4月には「独立」し、れいわ新選組を設立した。初陣となった同年夏の参議院選挙で、山本氏は全候補者で最多となる100万票近い比例個人票を獲得。だが、れいわ新選組として得られた比例2議席は難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏と、重度の障害を抱える木村英子氏に譲り、代表の山本氏は「元参議院議員」という立場を選択した。その発想と戦略は従来の政界にはないもので、「この『れいわ旋風』が次も起きれば大きな影響がある」(自民党ベテラン議員)との警戒を誘ってきた。

女性支持が低すぎる山本太郎

ただ、山本氏が2013年参議院選挙と今回の都知事選で獲得した票は「66万~67万票」で、その流れに大きな変化は見られない。れいわ新選組は2019年の参議院選挙の際、若い世代から人気があった一方で、高齢者の支持は低かった。今回の都知事選で朝日新聞が実施した出口調査を見ても、山本氏の支持は10代~60代で13~16%だったものの、70歳以上は8%にとどまる。リベラル層が重なるとされる宇都宮氏は高齢層が比較的高く、若年層の支持が低いのとは対照的だ。

舌鋒鋭く小池氏を批判し、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックの中止や総額15兆円のコロナ対策といった公約とともに聴衆を鼓舞する演説はキラリと光り、会場は熱気に包まれる。だが、その早口でせわしなく手を動かせる演説手法には「なんか脂ギッシュな感じでついていけない」(都内在住の40代女性)、「ルックスやがっちりとした体形は良いけど、なんとなく怖い」(都内在住の50代女性)との声も漏れる。都知事選でNHKが実施した出口調査によると、小池氏は男性の約5割、女性の60%台後半から支持を集めたが、山本氏は男性からの人気は宇都宮氏とほぼ互角だったものの、女性の支持は主要候補者の中で低かった。

野党共闘では「れいわ」は埋もれる

「いやぁ、強かった百合子山。高かった百合子山」

7月5日、午後8時の開票と同時に小池氏の当選確実が伝えられると、山本氏は清々しく白旗をあげた。一部の他陣営が惨敗しても「善戦できました~」と手前味噌で語っているのとは対照的で、そのスッキリした表情に共感する人々は少なくない。「れいわ旋風」が止んだとはいえ、次期衆議院選挙で東京での議席獲得は十分に狙える。山本氏は今後について「一番近い国政にチャレンジしつつ、地方選挙と両方で準備したい」と語っており、その準備と考えれば都知事選出馬は悪い選択ではなかっただろう。

ただ、野党共闘の足並みが乱れたことから厳しい声もあるのは事実で、立憲民主党の福山哲郎幹事長は7月7日の記者会見で「(宇都宮氏と)支持層が重なっている山本氏が最終局面になって出たということで、野党側の票が割れることは自明になった」と批判した。

山本氏は、衆議院選挙での野党共闘は消費税減税が前提になるとし、国民民主党の玉木雄一郎代表も「消費税減税」で共同歩調をとるべきだとの考えを示している。とはいえ、野党共闘に入れば「れいわ」としては埋没する可能性があるのも事実だ。れいわよりも「野党」がクローズアップされ、政党としての獲得議席が増えるかどうかは見通せない。しかし、逆にれいわ単独で選挙に臨めば他党と競合してしまい勝利をつかむことは難しく、結果として自民党の勝利に「貢献」することにつながりかねない。こうしたジレンマをいかに解消するのかが問われている。

次は広島で「旋風」を巻き起こす

頼りない野党の中で、安倍晋三政権や現職候補への批判を展開し、その受け皿になることができる類まれな山本氏のキャラクターを埋没させてしまうのはもったいないものがある。河井克行前法相夫妻をめぐる公職選挙法違反事件などで安倍政権の支持率は急落しており、本来ならば山本氏の「出番」というところだろう。

そこで1つ、従来の発想にとらわれない山本氏に提案をしたい。検察当局は河井氏側からの現金受領者は「不処分」とするようだが、広島県内では「政治とカネ」問題に辟易としている県民は多いはず。現金受領者が多い分、広島の政界は次の選挙で大きく変わる可能性が潜んでいる。ビッグチャンスが到来するかもしれない。山本さん、次は広島で「旋風」を起こしてみてはいかが?

[政経ジャーナリスト 麹町 文子]

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「痴漢された」と娘に相談されたときに絶対に言ってはいけない言葉 心を閉ざして二度と相談しなくなる

2020年7月20日 08:00 PRESIDENT Online

性犯罪の被害に遭ったことを娘や息子に相談されたら、親はどうすればいいのか。弁護士の上谷さくら氏は「学校より先に警察に相談したほうがいい。そして、どんなにショックでも『スカートが短いから』などと、子どもに落ち度があるように怒ってはいけない」という――。

性犯罪の80%は顔見知りによる犯行とも

警視庁生活安全課によれば、2019年は東京都だけで強制性交等は約240件、強制わいせつは約680件確認しているといいます。痴漢(迷惑防止条例違反)は、約1780件検挙されています。

しかし実際の発生件数は、この何倍にもなると推測されます。被害にあってもそれを申し出るハードルが高いことはむろんのこと、「恥ずかしいから」「自分が悪いのでは」「どうせ信じてもらえない」と一人で抱え込み、悩み苦しんでしまうことも少なくありません。

また、性犯罪の80%が顔見知りによるものといわれています(性暴力救援センター日赤なごや なごみによる)。親戚や知人など、親にとって信頼すべき人が犯人である場合も少なくありません。

通学路、学校、クラブ活動……いつ、どこで性犯罪に巻き込まれるかわからないと考えるのが正しいといえるでしょう。

子どもが性被害に遭うというのは、親にとっても非常にショックなできごとです。しかし親のいざというときの対応が、さらに傷口を広げてしまうことも少なくありません。

では、いざというときどのように対処するべきでしょうか?

校内で被害に遭ったら、学校より先に警察へ

学校での性犯罪は、先生から行われるものだけでなく、子どもどうしで行われるものも実際には少なくありません。

学校の先生や同じ学校の生徒から性暴力に遭った場合、その学校の校長先生などに相談するより、警察や支援センターへ相談することをお勧めします。

学校内でヒアリングをしても、双方の言い分が異なっていて客観的証拠がなければ、学校としてなす術はありません。特に加害者が生徒の場合、学校としては加害生徒の将来も考えなければならない立場にあるため、被害者の救済が不十分な例が散見されます。

刑事事件としての立件を望むのであれば、警察やワンストップ支援センターに行き、被害に遭った子どもに精神的な症状がある場合は、性被害の専門知識のある精神科医の治療や、臨床心理士のカウンセリングを受けるようにしましょう。適切なケアを受ければ早い被害回復を見込めます。また、後日裁判になったときに、精神科のカルテや診断書は有力な証拠になります。

先生から児童への加害の場合、先生は発覚しないように犯行を重ねていることが多く、児童から児童への加害よりさらに対応が難しくなる場合が考えられます。

学校は捜査機関ではありませんし、人間関係も複雑に絡みます。ワンストップ支援センターや警察に行き、相談しましょう。

同じ先生が複数の生徒に性加害をしていることがありますが、客観証拠が乏しくても同様の被害届が出ていれば、立件しやすくなります。

「もっと気をつけなさい」と言ってはいけない

子どもが電車で痴漢に遭った場合、親の対応として重要なのは「もっと気をつけなさい」「スカートが短いから」等と、子どもに非があるような態度を取らないことです。そのように言われると、子どもは二度と親に相談しないでしょう。

電車での痴漢は、単なる痴漢に終わらず、それが強制わいせつに発展したり、電車を降りてからも後をつけられてストーカー事件になることもあります。「痴漢」は軽視してはならない重大な犯罪です。

被害に遭った子どもの年齢にもよりますが、子どもから「痴漢に遭った」ことを知らされた場合、簡単に概要を聞いて、まずは警察に届け出ることが重要です。

子どもが制服姿の場合、学校を特定できるため加害者から顔を覚えられていることも少なくありません。繰り返し被害に遭う可能性があります。続けて被害に遭うようであれば、警察官と一緒に電車に乗り、現行犯逮捕してもらえる場合もあります。

また、学校にもよりますが、痴漢に遭ったことを連絡して、被害届を出す手続きなどに時間を取られても遅刻扱いしないよう交渉することも重要です。警察官によっては、自ら学校に電話してくれる場合もありますので、警察に頼んでみるのもひとつの方法です。

身内からの被害は対応がもっと難しい

他方で、乗る時間帯を毎日変える、乗る場所も毎日変えるなどの自衛も心掛けた方がよいでしょう。もちろん、痴漢は被害者に落ち度はありません。痴漢する側のみが悪いです。しかしそうはいっても被害に遭わないようにすることも大事です。空き巣に遭わないために自宅の戸締りに気をつけるのと同じことです。

身内からの被害は、被害に遭った子の年齢、被害に気付いた人と加害者との関係などに大きく影響されるため、対応がさらに難しいでしょう。

例えば加害者が息子で被害者が娘の場合、親としては信じたくない心理が働き、「お兄ちゃんがそんなことするはずない」等と娘の言い分を否定したくなることもあるでしょう。

娘が被害に遭ったことに気づいたら、相談電話である「#8103」やワンストップ支援センターなどに相談しましょう。専門家のアドバイスに従い、被害者の心身のケア、事件化するための証拠の採取や警察への届出等を検討しましょう。

親が絶対にしてはいけないこと

性被害を子どもから打ち明けられたら、親は何と声を掛けたらいいのでしょうか。『おとめ六法』(KADOKAWA)でも説明していますが、どのような場合であっても、絶対に怒らないことが第一に重要です。

子どもは勇気を出して打ち明けています。「そんな短いスカートをはいているから」など、子どもに落ち度があるような言い方はやめましょう。被害から時間が経過していても、「どうしていままで黙っていたの?」と問い詰めないでください。

また、「気のせいではないのか」「忘れたほうがいい」などと子どもが打ち明けた内容を否定する発言もやめてください。まずは子どもの言い分に耳を傾けてください。

そして話を聞いた後は、「よく話してくれたね」とねぎらい、「あなたはなにも悪くないのだから、安心してね」と言ってあげてください。

そして、なにに困っているのか、体調などを尋ね、早めに一緒に警察やワンストップ支援センターに相談に行きましょう。子どもが同意すれば、学校のスクールカウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。

心身に影響が現れたら、どうすればいいか

性被害にあうことは、とてもつらいことです。その影響は、心身にさまざまな症状となって現れます。うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、アルコール依存症になったり、薬物乱用に走る人もいます。

なかなか被害前の生活に戻れなかったり、前向きな気持ちになれなかったり、学校や会社に行けなかったり……しかしそれは被害者の精神力が弱いせいではありません。

専門家による治療を受けることは、被害前のその人自身に近づくうえではとても重要です。

全国の都道府県に、被害者支援センターがあります。センターの臨床心理士が、無料でカウンセリングや専門的治療を行っています。まずは連絡を取ってみましょう。

また各都道府県に、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターもあります。ここは性犯罪・性暴力に関する相談窓口で、産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関と連携しています。

問題が起きるのはいつも突然です。しかし法的手段にはメリット・デメリット両面あります。法律や手続きを知り、「こういう方法がある」と知っていれば、考えを整理できるだけでなく、その後どのように対処していくか、自身で選ぶことができます。

その過程の有無は、被害からの回復に大きく影響します。法律は、知っている人の味方になるのです。

[弁護士 第一東京弁護士会所属 上谷 さくら、弁護士 第一東京弁護士会所属 岸本 学]

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