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休園2カ月など余裕!ディズニーはコロナ禍があと1年半続いても潰れない

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

2月29日から休園を続ける東京ディズニーリゾート。4月16日現在、営業再開は5月20日以降を予定されている。その間売り上げが立たないにもかかわらず、なぜ長期間の休業に耐えられているのか。公認会計士の鳥山慶氏は、「運営会社のオリエンタルランドは、今回のコロナショックのような事態をかなり前から予測していた」と言う——。

3度にわたる休園期間の延長

オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートは、「新型コロナウイルス感染症対策本部」からのイベント等の自粛要請を踏まえ、2020年2月29日から営業自粛を始めました。当初3月15日までだった休園期間が、国内外の状況を鑑みた3度にわたる延長の結果、5月中旬に営業再開を判断するとしています。

2017年からの3年間の工事が終わり、今年4月にお披露目予定だった新エリアとアトラクションのオープンも合わせて先送りとなっています。ファンタジーランドを拡張した“ニューファンタジーランド”、大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」、屋内シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」を楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。

東京ディズニーリゾートの運営元のオリエンタルランドは、これら新エリア・アトラクションに約750億円を投じており、営業再開が延びることは大きな痛手のはずです。さらに、本来、3月は春休みである学生、GWは家族連れでにぎわう時期であったため、売り上げ減少は必至です。

2月26日、安倍晋三首相が呼びかけた大規模イベント自粛に応じない企業もあった中、なぜそのような長期間休業に踏み切れたのか。それには、リスクに対するオリエンタルランドの十分な備えが背景にあります。

丸1年は売り上げがなくても耐えられる

営業自粛をすれば、売り上げは立たず、企業に入ってくるお金の流れは止まります。一方で、企業には固定費があり、営業の有無にかかわらず出ていくお金は一定額発生し続けます。従って、どれだけ現金および預金を持っているかが、営業自粛に耐えられるかの企業体力を示します。それでは、どれだけの期間、オリエンタルランドは営業自粛に耐えられるのか予測してみます。

オリエンタルランドにおける直近第3四半期(2019年12月期)の現金および預金残高は約3290億円。これを前期通年12カ月間の費用と比較してみます。売上原価と販売費および一般管理費の合計から、非現金支出(出金を伴わない費用)である減価償却費を除いた金額は約3580億円です。つまり、短期的な借入返済がないとすれば、11カ月分の費用をまかなえる計算です。加えて、売却可能な有価証券も約380億円あり、それを考慮すると、手元現預金3670億円>現金支出3580億円となり、丸々1年間は売り上げが立たなくても営業費用の支払いには耐えられることになります。

「流動比率」と「固定比率」ともに健全な数値

実際には営業を止めれば変動費は発生しません。現預金の支出を伴う固定費である人件費については、前期通年で約900億円かかっていますが、手元保有現預金残高で十分支払い可能なコスト水準です。

その他、企業経営の安全性を評価する指標として、流動比率、固定比率があります。

流動比率(流動資産÷流動負債)とは、1年以内の支払債務と現金化可能資産の比較ですが、100%以上あれば短期的な支払いには困らないことになります。オリエンタルランドの直近第3四半期における流動比率は303%です。オリエンタルランドは短期的な支払い予定額の約3倍の流動資産を持っているということになります。

また、固定比率(固定資産÷自己資本比率)は、どれだけの長期投資を、借り入れではなく返済義務のない自己資本で行えているか示します。100%を下回っていれば安全な水準と言われますが、オリエンタルランドの直近第3四半期における固定比率は約78%。長期投資の全てを自己資本で行っていると言える水準で、借入返済で窮することはありません。従って、安全性分析上も、オリエンタルランドが資金ショートによる倒産をする可能性は低いと言えます。

コロナ禍の可能性をかなり前から予測していた

それではなぜ、オリエンタルランドは、長期間の休業に耐えうる財務基盤を備えることができているのか。それは過去顕在化したリスクと将来リスクを十分に考慮し、事前に対応策を講じていたからです。

1995年に阪神・淡路大震災がありましたが、ディズニーリゾートは千葉県にあることから直接的な被害は被っていません。しかし、それを機に、オリエンタルランドでは、首都圏で大地震など災害発生時の資金繰り対策の検討を開始しています。

さらに、自社の事業上のリスクの一つとして、治療方法が確立されていない感染症による来客者数の減少の可能性について、有価証券報告書上で明記しています。すなわち、オリエンタルランドでは、今回の新型コロナウイルスのような事態になる可能性を、かなり前から想定していたことになります。

借入依存度が他の遊園地に比べて圧倒的に低い

以上の自社に有りうる事業等のリスクを勘案し、オリエンタルランドでは大きく3つの対応を取っています。

1つ目が、コスト削減による利益率の向上です。ディズニーランドは1983年開園、続いてディズニーシーは2001年稼働開始しました。そこからさまざまなアトラクションを拡張・追加していき、37周年目の現在も来園者数を年々増やすことに成功しています。

そして、売り上げに比例してコストも増えているかと言えば、必ずしもそうではありません。毎年株主向けに発表するアニュアルレポートでは、コスト抑制を重要なKPI(重要業績評価指標)として設定しており、2009年3月期には10%であった営業利益率を、2019年3月期には2倍以上の24%まで伸ばしています。

2つ目が、借入比率を下げていることです。財務面の安全性を考慮し、オリエンタルランドでは、なるべく設備投資を本業の収入である営業キャッシュフローで補う方針を取っています。

一般的にテーマパーク業界は、多額の初期投資や維持費がかかるという特徴があります。本業界は、リピーターの獲得が収益を伸ばす重要な要素であり、顧客に飽きられないために新アトラクションへの追加投資は不可避です。そのほかにも施設管理、園内環境維持やサービス提供に伴う人件費が継続してかかります。

特に設備投資には多額の資金が必要となるため、借入依存度が高くなる傾向があります。例えば、直近第3四半期において、よみうりランドの負債比率(負債÷自己資本)は122%、富士急ハイランドを運営する富士急行は250%です。それに対して、オリエンタルランドは27%と低く抑えられています。さらに、2009年3月期には72%もあった負債比率を大きく減少させることに成功しています。

スポンサー収入で設備投資費をまかなった

巨額となる設備投資負担を減らすための工夫として、ディズニーランドではスポンサー企業制度を採用していることは有名です。スポンサーはオリエンタルランドと契約、提供しているアトラクションで企業名を表示することができます。スポンサー側は、企業イメージアップや販売促進、新卒採用といった面で効果を望める一方で、オリエンタルランド側は投資額を広告収入という形で回収できるため、自社の実質的負担額を抑えることができます。

例えば、1992年にオープンした、スプラッシュ・マウンテンのあるエリアは約285億円の投資額、2012年オープンのトイ・ストーリー・マニア!は、約115億円の投資額がかかっています。この回収には長期間を要しますが、現在のスポンサーはどちらも花王であり、同社がスポンサー料を支払っています。

2001年のディズニーシー開園とともにオープンしたセンター・オブ・ジ・アースは投資額が約380億円、1987年オープンのビッグサンダー・マウンテンは投資額約80億円ですが、スポンサーはどちらも第一生命保険です。これらのスポンサーは投資額の回収に貢献するとともに、回収後は利益率の改善にも寄与しています。

東京ディズニーリゾートは1年半売り上げがなくても潰れない

3つ目が、有事に備えたファイナンススキームの導入です。阪神・淡路大震災を機にリスクファイナンスの必要性を認識、オリエンタルランドでは、リスクを想定したコミットメントライン(一定の借入枠の確保)を導入しています。

実際、2011年に東日本大震災が発生した折、東京ディズニーリゾートでは約1カ月休園となりました。運転資金を補う目的で、そのファイナンススキームを活用し500億円調達、資金繰りを改善しました。その経験を活かし、地震災害等の有事に備えたスキームをさらに強化、現在では、最大1500億円の迅速な借り入れを可能としています。そして、この1500億のリスクファイナンス枠を考慮すれば、現在保有する現預金や売買目的有価証券と合わせ、1年半程度は、売り上げ収入がなくともコスト負担に耐えられることになります。

[鳥山総合公認会計士事務所(KT Total A&C)代表 鳥山 慶]

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「1カ月休業で5カ月の利益が消える」一目で分かる飲食店の収益構造

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

このままなら夏までに約半数の店がつぶれる恐れ

はじめまして。飲食店の経営やプロデュースを中心に活動している、周栄行(しゅうえいあきら)と申します。

先日書いたnote「なぜコロナウイルスは飲食店を殺すのか」が多くの人の目に触れることとなりました。今回の記事は、こちらのnoteに加筆・修正したものになります。

2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発出されました。その前の2~3月の時点で、すでに多くの飲食店が相当なダメージを負っていました。そして今回の緊急事態宣言で少なからぬ飲食店が致命的な状況に陥っています。

私たち飲食店関係者は今、本当に苦しいジレンマに苛(さいな)まれています。お客様や従業員の健康や命を守るためには自粛はやむを得ない。しかし自粛が続くと、お客様に満足のいくサービス提供することも、従業員の雇用を維持することも、そして事業を継続することもできません。

現在飲食店が立たされている苦境についてはすでにさまざまなメディアでも語られています。しかし、なぜそこまで苦しそうなのか、現在進行形でどれくらいのダメージを負っているのかは、飲食業に携わっている方たち以外にはあまりピンとこないかもしれません。

この先この状況が続いた場合、あくまで私見ですが、夏までに4~5割程度、仮に年内いっぱい続いた場合は7~8割以上の飲食店が営業を続けて行くことが困難な状態になるでしょう。

今回のコロナショックで飲食店に何が起きているのか、なぜこんなに苦しい思いをしている飲食店が多いのか、日本における飲食店の収益構造を含めて、数字を踏まえた上でなるべく簡潔に解説できればと思います。

少しでも飲食店の苦しさや現状が伝われば幸いです。

「30席、客単価3000円」のお店で計算してみる

単刀直入に言うと日本における飲食店は基本的に薄利多売です。業界では、一般的に5年残るお店は2割、10年残るお店は1割と言われています。これは日本の飲食店の競争過多な状況や、長く続いたデフレなどに要因があります。

業種業態によって違いますが、飲食店の収益は、「FLコストで60%前後が適正」と言われています。このFLコストというのは、

F=食材原価
L=人件費

です。これをそれぞれ30%前後程度に抑えるようにするのがセオリーです。

分かりやすいように、東京都心部における客席数30席、客単価3000円くらいで、そこそこお客さんの入っている架空の居酒屋を例として考えてみましょう。

飲食店の売り上げは、

月売り上げ=客数×客単価×営業日数
で表されます。そして、かかるコストは、食材原価・人件費・家賃を筆頭に、光熱費や広告費(食べログなど媒体の掲載費用など)、雑費などがあります。ざっくりとしたシミュレーションは以下の表をご覧ください。

上記以外にもいろいろなコストがかかってきますので、実際の営業利益はもう少し下がります。一般的に営業利益で5~7%前後です。飲食店の上場企業でも3~4%あたりが中央値になります。こうして見ればものすごく利益率の低い業界であることはご理解いただけるかと思います。

もし、1カ月の売り上げが半減したら?

それでは、コロナウイルスはどのような影響を数字上でもたらすのでしょうか。先ほどの架空の飲食店の売り上げが半減した場合をシミュレーションしてみます。

平時に得られる営業利益約2カ月分の赤字になりました。

店舗を回す人は最低限置かねばなりませんし、社員の人件費は削れません。アルバイトを削ったとしても、抑えられる人件費には限度があります。そして、家賃は基本的にどんなに売り上げが下がっても変わりません。今、コロナの影響で大家さんとの交渉も増えていますが、大家さん側にも懐事情がありますから、容易なことではありません。

売り上げが半分になると、このお店の場合は2カ月分の営業利益が吹っ飛びます。つまりこのお店の場合、4カ月の間売り上げが半減すると、その後の8カ月間は通常の売り上げに戻ったとしても、その1年間の営業利益はほぼゼロになります。固定費が厚く、利益が薄い飲食店の厳しい現実です。

コロナのダメージは、日本国内の飲食店においては2月ごろから顕在化し始め、3月に顕著になりました。実際に私の経営する銀座のある商業施設内のお店は、コロナの影響で2月の売り上げは通常時の半分、3月は4分の1になりました。そして4月は商業施設が休業したので実質ほぼゼロになります。

銀座や浅草など、インバウンド比率が高かったエリアは特にダメージが大きいです。海外からのゲストの流れがほぼストップしてしまっているのでこれも当然です。そして、ビジネスエリアの飲食店も在宅勤務やテレワークの影響で甚大な影響を受けています。

1カ月休業しただけで5カ月分の利益が消える

今回の緊急事態宣言によって、多くの商業施設が2020年5月6日まで休業を発表しました。そして、東京都では飲食店営業は原則20時までとなりました。これを機に、5月6日まで営業を中止するというお店はかなり多くなりました。仮に、先ほどのお店で1カ月の売り上げが完全に止まった場合は以下のようになります。

たった一月で5カ月分近くの営業利益が無くなりました。お店の営業が1カ月止まるということは、飲食店にとってものすごく大きなダメージであることはお分かりいただけたかと思います。

今年に入ってから4カ月で飲食店は大きなダメージを負っています。資金に乏しいお店や会社はすでに廃業に追い込まれているところも増えてきました。一般的な飲食店はそこまでキャッシュを積んでいません。1.5~3カ月程度の運転資金しか持っていないところが多数を占めます。

複数店舗を運営する会社やグループでも、増収増益を達成するためには店舗数を増やすことが成長のセオリーとされてきたので、新規出店をするために多くの借り入れをしている場合がほとんどです。キャッシュフローが止まると大手でも一気に苦境に立たされます。

何よりも厄介なのは、今回のコロナの影響がいつまで続くか分からないという先の見えなさです。これはこの後に続く借り入れの話にもつながります。

政府は「融資のしやすさ」をしきりに強調するが…

各自治体によっても対応が違いますが、多くの場合、家賃などの固定費に関しては補償を受けることができません。一方で政府は無利子・無担保・無保証の融資を推し進めています。それによる足元のキャッシュフローや運転資金の確保については、しきりに強調しています。

しかしながら、飲食店における運転資金の借入金額には限度があります。運転資金の借り入れは経費に算入できないため、借入金の返済は税引き後の利益から支払わなければなりません。

※累積赤字がある場合は法人税はかかりませんが、ここでは運転資金の借り入れの返済の影響を分かりやすくするため、法人税がかかる前提で話を進めます。

どういうことか、先ほどのお店の例で説明します。

仮に2月、3月と売り上げが半減し、4月の売り上げがゼロになったとします。そして5月も戻りきらず、半減状態が続くとします。その場合、累積の赤字はざっくり350万円ほど、通常の年間の営業利益分くらいです。

この危機を乗り越えるために400万円を無利子で借り入れたとします。そして次の年にコロナを乗り越え、通常の時の利益を出すことができました。年間の営業利益は400万円ほどなので、これでなんとか借入金を返せるように見えます。

終息が見えず、究極の選択を突き付けられている

しかしながら、ここから実効法人税率が35%ほど引かれるので、実際の返済原資は400×(1-0.35)=260万円ほどしかありません。400万円の運転資金の借り入れをした場合、返済するのにその後2年近くはかかります。

4カ月分の売り上げ減少を乗り越えるために借り入れても、その返済に約2年分の利益を必要とするわけです(※)。分かりやすくするために極端な例にしていますが、実際に飲食店は多かれ少なかれこのようなダメージを現在進行形で負っています。

そして、店を維持する分のキャッシュをいつまで積めばこの危機を乗り越えられるのか現時点では全く分かりません。いくら借り入れれば乗り切れるのか不透明なままに、当座をしのぐ借り入れをするのか、店を閉めるのかの選択を突きつけられ続けています。

この先、十分な補償がないままに「自粛」が続くのならば、おびただしい数の飲食店の屍(しかばね)が積み上がっていくでしょう。

※累積赤字を考慮しない場合

デリバリーやテイクアウトは焼け石に水でしかない

今回の危機をデリバリーやテイクアウトなどで乗り切ればいい、という声もあります。もちろん、やらないよりはやったほうがマシでしょう。

しかし、そもそもデリバリーだけで落ちた分の収益が賄えるくらいであれば、最初からやっています。根本的にデリバリーをやるのに向いた立地やキッチンでない場合も多いですし、慌てて参入する店舗が増えすぎている現状では、いまさら始めたところでほとんどのお店にとっては焼け石に水です。

デリバリー費用も、例えばUber Eats(ウーバーイーツ)だと35%の手数料が取られます。そこから包材費用もかかりますし、基本的にデリバリーは実店舗以上に薄利になりがちです。

高級店のデリバリーやお持ち帰り弁当なども増えていますが、これも一時的な応援・ご祝儀的需要であり、持続性がないと考えています。実店舗の価値の本質はサービスや店の場も含めた総合的な体験にあり、それはデリバリーなどで真価を発揮できるものではありません。

それでもなぜ飲食店はなくならないか

そんな利益率の低い業界でもなぜ、飲食店をやる人が多いのか? 人によってさまざまだと思いますが、根本の部分で共通しているのは、

幸福な場を作ることが楽しい

からではないでしょうか。気のおけない友人たち、家族や仲間と囲むおいしい食事には、人間の幸福の根源が詰まっていると私は思います。どんなに利益率が低くても、どんなに運営が大変でも、それでもやりたくなるくらいに飲食店は素敵なものだと私は思っています。

今回のコロナの影響でかなりの数の飲食店が廃業に追い込まれるでしょう。これはもはや変えようのない事実となりつつあります。

それでも私たち飲食店関係者は、また笑顔でお客様を迎えられる日のために、できうる限りの手段で生き延びようとしています。

ただ一つ、確かに言えることがあるとすれば、飲食店というものが歴史上に現れてから以降、この世から飲食店がなくなったことはない、ということです。

この危機を乗り越えることができた飲食店は、より一層本質的な価値をお客様に提供できるようになっていると信じています。飲食業界に携わるものの端くれとして、こういった発信を含めて、できることを粛々とやっていきたいと思っています。

今回のコロナ感染の一刻も早い終息を心より願っています。

[飲食店経営/プロデューサー 周栄 行]

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なぜ、世界一規律正しい日本人が「外出自粛」を守れないのか

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

日本のコロナ対策、国外からかねてより甘いという指摘

「日本人は世界一規律正しい」。これは内外問わずネット上でよく語られる日本のイメージのひとつだ。以前からよく日本人は真面目であるとは言われてきたが、「規律正しい国民性」というイメージが強まったのは、東日本大震災での報道だろう。各国は被災者が非常時であるにもかかわらず整然と列をなす姿を驚きをもって報じた。

しかし、昨今の新型コロナウイルスの流行下で、日本人のイメージが揺らぐような報道が相次いだ。3月下旬に、外出自粛を守らない日本人の行動が世界中で報じられたのだ。なぜ「規律正しいはず」の日本人が「外出自粛を守らなかった」のか。

日本の新型コロナウイルス対策については、国外からかねてより甘いという指摘があった。各国と比較して日本の対策は強制力がないゆるやかなものだ。中国や台湾からは「仏(ホトケ)系防疫」と名付けられたくらいである。仏系とは草食系から派生した言葉で、「ガツガツしない、無欲な」などと捉えられるが、今回ばかりは日本の楽観的にも見える態度を揶揄(やゆ)したものだ。

3連休のお花見に世界が驚愕

仏系防疫は親日として知られる台湾でも複数のメディアによって「これまで日本の『真面目』『規律正しい』というイメージが損なわれ、またこれまで培ってきた国際的な信用を落としかねない」と手厳しく論じられた。

日本のコロナ対策では感染爆発が起きるのではないか。そう案じられていたところ、海外から驚きの声が上がったのは3月下旬のことだ。3月20~22日の3連休に上野公園など桜の名所で人々が花見をする姿が報じられたのである。たとえばフランスのAFP通信はその様子を「警告にもかかわらず桜を楽しむ日本人」と報じ、香港メディア「香港01」も「なぜ政府は花見を阻止しなかったのか。感染症学の角度から見ても理解しがたい」と疑問を呈した。

その連休が終わった直後、東京の感染者数は3月25日を境に増加。感染者数を示すグラフは右肩上がりどころか、Jの字を書くような指数関数的な増加に転じ、4月4日には1日の感染者数が100人を超えた。そして連休から約2週間後の4月7日に安倍晋三首相から「緊急事態宣言」が出されるに至っている。

因果関係ははっきりしないものの、このタイミングは、WHO(世界保健機構)やCDC(米国疾病予防管理センター)が公表している新型コロナウイルスの潜伏期間「1ないし2~14日」と合致している。海外のネットユーザーから「ああ、やっぱり」という声が聞かれたのは無理のないことだろう。

自主解禁ムードに専門家も警鐘

あの3連休の時期、緊張していた空気が一瞬ゆるんでしまった。読者にもそんな心当たりがある人もいるのではないだろうか。そのきっかけとして考えられるのは3月19日にそれまで感染者が続出していた北海道において独自の緊急事態宣言が終了、また政府から全国の小中学校へ出されていた臨時休校の要請も解除されるという報道があったことだ。これらのニュースを踏まえたうえで、厚生労働省クラスター対策班のメンバーで北海道大学大学院の西浦博教授は「市民の間で『解禁ムード』が広がってしまっていることを大変危惧しています」と医療従事者向けサイト「m3.com」で警鐘を鳴らした。

たしかに思い起こせば、連休直前は新型コロナウイルスの流行が落ちついたという発表があったわけではなく、むしろ桜の名所では「宴会は控えてください」という案内が出ていた頃だ。それでも流れが自主解禁に傾いてしまったのは、「自粛の要請」があくまで「お願い」であり、自粛を続けるか出かけるか、解釈と判断が個人にゆだねられたためではないだろうか。

海外で花見のニュースが驚きをもって報じられたのは、「桜に酔いしれる日本人の能天気さ」というより、「規律正しいと考えられていた日本人でも、長期にわたる自粛要請は耐えられないのかもしれない」という点なのかもしれない。

緊急事態宣言後、外出自粛は守られているのか

3月25日に行われた東京都による「感染拡大の重大局面」を伝える会見を経て、解禁ムードは一転、自粛へと立ち戻り、政府の緊急事態宣言によって空気はより深刻なものへと変わっていった。

緊急事態宣言以降の人の移動について、ヤフー・データソリューションが公開しているデータによると、外からの東京23区への来訪者は平時と比べて確実に減少している。2020年4月11日(土)を例にとると、区外から23区へ96万5000人が訪れているのに対し、1年前の4月13日(土)は160万6000人だ。これは位置情報を利用したデータであるため、来訪の目的までを読み取ることはできない。減少の理由は私用での来訪の自粛かもしれないし、職場がリモートワーク対応や休業などで出勤者が減ったためかもしれないが、少なくとも来訪者が60万人以上減ったのは確かである。

その一方で、メディアには相変わらず外出自粛をせず、外に繰り出す人の姿が映し出されている。

厳しく自粛する人がいる一方で、外出自粛をしない人もいるのだ。緊急事態宣言後も強制力のない外出自粛の要請は、やはり「守る人は守る」「守らない人は守っていない」というのが現状なのだろう。

「国民の資質に頼った対策」に不安の声

海外で日本の新型コロナウイルス対策が不安視されるのはここだ。日本の外出自粛要請はあくまで「協力のお願い」であり、「規律正しい」「真面目である」という国民の資質に頼った対策である点が怖いというのである。

実際に台湾メディア「聯合新聞」では、現在の東京の外出自粛について「日本人の国民性と『空気を読む』という集団意識によって、政府に協力している状態」と表現している。一見、その国民の資質頼りの対策は成功しているように見える。しかし一方で、スーパーに人が殺到し買い占めが起きたのは、市民の間で今後の生活への不安が、空気を読んで自粛することを上回った結果ではないかと論じている。

「いっそ命令にしてくれたらいいのに…」

さらに筆者が複数の中国人に対し「外出禁止の際、ストレス対策について」インタビューを行ったなかで、日本での生活歴がある男性からこんな声があがった。

「平時であれば、多くの日本人は外出自粛のような協力要請を守ることができると思う。しかし、今は日本人のただでさえ多い普段のストレスに加えて、新型コロナウイルスから来る新しいストレスがあり、それが続けばいつか精神的に耐えられなくなるのではないか」

今、外出や移動を自粛することが自身や家族の身を守るための有効な手段であり、同時に国民が感染拡大防止に対してできる最大の貢献であることは誰もが理解していることだろう。だが新型コロナウイルスの終息が見えず、自粛要請が長期化するなかでは、気持ちだけではいつまでも自粛要請に応じ続けることは難しい。何かがきっかけとなり3連休の解禁ムードのようなことが起きないとも限らないのだ。不安を感じる国民から「自粛と補償はセットであるべき」「いっそ命令にしてくれたらいいのに」という声が出るのは当然のことだ。そして日本の国民への要請に頼った対策がどう進んでいくのか、世界もまた注視している。

[フリーライター 澤 静]

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cat_11_issue_oa-president oa-president_0_500uoz1xhhhs_伝説のディーラーが「ほぼ全資産を円から米ドルに替えた」というワケ 500uoz1xhhhs 500uoz1xhhhs 伝説のディーラーが「ほぼ全資産を円から米ドルに替えた」というワケ oa-president 0

伝説のディーラーが「ほぼ全資産を円から米ドルに替えた」というワケ

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

コロナ禍で日本円と日本株が暴落の危機にある。元モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏は「日銀は国債や株などを買って日本経済を支えているが、財務状況は悪化するばかり。景気悪化が長引けば、円暴落という最悪のシナリオも考えられる」という――。

「日本円は決して安全資産とは言えない」

私は現在、金融資産のほとんどを円ではなく、ドル資産で保有している。それも今現在は長期債でも株でもなく短期のドル資産だ。あまりにドルに偏っているがゆえに、時々、資金繰りを間違えて昼食代の円にも困ってしまうくらいだ。

私は約15年間、米モルガン銀行(現、JPモルガン・チェース銀行)でディーラーを務め、「涙と冷や汗をかく」ことによって生活の糧を得てきたリスクテーカーだ。

負けているときどう耐えるべきかも熟知している。だから私と同じような偏った運用はお勧めないが、現在のような緊急時にはドル資産、それも現金に近い資産を、保険の意味で持つべきだ。

なぜなら、日本円は決して安全資産とは言えないからだ。

私は今の政府・日銀の財政・金融政策は間違えていると強く思っている。2013年に黒田日銀が始めた異次元緩和とは、ハイパーインフレを起こした経験から全世界で禁止されている財政ファイナンス(※)そのものだ。

※政府の借金を中央銀行が紙幣を刷ることによって資金調達をすること。

ハイパーインフレとはお金の価値が暴落すること。給料、年金は毎月上がると予想されるが、パンの値段は毎時間上がる。給料をもらった後、1日、2日は購入できても3日目からは餓死の危機が迫ってくる。日本はその一歩手前のところまで追い込まれているのだ。

ハイパーインフレで日本円は紙切れになる

反発を承知して言うが、私は「日銀は倒産せざるを得ない」と思っている。もちろん中央銀行は社会に不可欠な存在だから、新しい中央銀行は創設される。しかし現に流通している円は単なる紙切れになる。円は現在の中央銀行である日銀の負債だからだ。

しかし、中央銀行といえども、つぶれた歴史がある。終戦後のドイツだ。当時の中央銀行(ライヒスバンク)は、第2次大戦で軍事費を調達したいヒットラーの圧力に屈し、異次元緩和を行った。その結果、終戦後にハイパーインフレを引き起こし、後始末のためにつぶされた。

その後新しい中央銀行(ブンデスバンク)を創設され、ハイパーインフレを鎮静化した。ハイパーインフレとは貨幣価値が失墜したことにより起こるものだから、貨幣価値を正常化すれば収まるのだ。

一番ひどい目にあったのは、最後まで旧紙幣を保有していた庶民だ。手元に残った紙幣は法定通貨ではなくなる紙くず化してしまったからだ。紙くずでは何も買えない。

「円の価値を担保するのは、物価上昇率と経常収支と外貨準備と対外純資産だ」などという人がいるが、違う。円の価値は日銀への信認が失墜すれば簡単に崩れ去る。

終戦後のドイツにおいて、経済実態が何も変わらないのに、健全な中央銀行(ブンデスバンク)を創設することにより貨幣価値が回復し、ハイパーインフレが鎮静化したことからもご理解いただけるかと思う。

かつては優良経営を続けていた日銀

私が金融マンだった頃(2000年3月まで)の日銀は、「山のように何があっても動じないよう、日本経済の最後の砦となるよう」と自戒していた。

1992年10月発行の「日本銀行の機能と業務」という日本銀行金融研究所が発行した本がある。その本には「銀行券は日本銀行にとって負債(いわば、日本銀行の発行する債務証書)であり、日銀はそうした負債に見合う資産として、発行券発行額以上の発行担保物件を保有しなければならないことになっている。なお、これらの発行物件については、中央銀行の資産としての健全性に関して充分な注意が払われている」と書いてある。

元日銀マン氏に聞くと,入行時の研修でも、そう習ったそうだ。

実際、当時の日銀のバランスシート(1993年末)を見ると、規模は50.2兆円。現在の585兆円(2020年2月末)の12分の1だ。負債の大きな部分の41.6兆円は発行銀行券。資産は買入れ手形8.5兆円、国債31.4兆円で、負債に見合う資産をしっかり保有している。

その国債は政府短期証券(満期60日程度の資金繰り債)が19.2兆円、残りもほとんどが短期国債である。マーケットの動きで値段が大きく上下する長期国債は「成長通貨の供給」(※)と言って回収する必要のないお金を供給するときだけ、ごく少額買っていた。

※経済が成長していくとそれに見合ったお金を供給する必要がある。そうしないとお金が不足し、お金の価値が上がってしまう(=デフレ)。

お分かりのように、市場いかんで値段が大きく上下するような資産は保有していなかったのだ。日本銀行金融研究所が本に書いただけでなく、実際に資産の健全性に充分、注意していたということ。マーケットが激変しても日銀が債務超過になる可能性はほぼゼロだった。

政府の借金を、日銀が肩代わりしている現状

日銀は2013年4月、デフレ脱却という大義名分のもと、異次元緩和を開始した。先述した日銀の「財務の健全性」原則の大破りを始めたのだ。正式には「異次元の量的質的緩和」という。量の拡大自身も大問題なのだが、質の面も大きな問題なのだ。

質的緩和の一番の問題は長期国債の爆買いを始めたこと。先に述べたように、私が金融マン(2000年3月まで)だった頃は、マーケットの動きで値段が大きく上下する長期国債などほとんど買っていなかった。このような商品の保有は資産の健全性に大きく反するからだ。

1%の金利上昇で短期国債の価格は少ししか下がらないが、長期国債は大きく下げる。影響が長期に及ぶ。そのように値が大きくぶれる長期国債の爆買いぶりがすさまじい。平成29年度、国は国債を141.3兆円発行し、日銀は市中から96.21兆円も購入している。

その大部分が長期債だ。市場規模の68%もの国債を購入している。その結果、保有額は急速に拡大し、今では国債発行残高の46%をも日銀が保有している。かつて国債は、銀行や保険会社を通じて、国民の預金や生命保険料で購入されていたと言えるが、今では日銀が紙幣を刷って(正確には日銀当座預金を増やして)購入しているのだ。

累積赤字増への警告は鳴らず、財政規律は崩壊している

どんな市場でさえ、それまで存在していなかった買い手が突然現れ、市場規模の7割も買い上がれば値段は暴騰(=長期国債では金利急低下)する。

市場経済下では、財政赤字が積み上がれば国債の供給過多で長期金利が上昇し、累積赤字増加に警戒警報を鳴らすのだが、市場原理の働かない日銀の出現で、いくら国債を増発しても値段が下落(長期金利は上昇)しなくなった。

つまり、累積赤字増に対する警告が鳴らなくなったのだ。財政規律の崩壊だ。日銀の「国債爆買いの弊害」は財政規律の崩壊にとどまらず、日銀への信頼を根底から覆すリスクを発生させたと言っていい。

昨年9月末時点での日銀保有国債利廻りは0.26%だ。平均残存年数は6~7年だと思うので、10年金利に換算すれば0.3%くらいだろう。現在のゼロ%の長期金利がたった0.3%上昇すれば日銀は債務超過に陥る。0.3%など私のディーラー時代なら1晩で動く。

日銀はたった0.3%の金利上昇で債務超過に陥る

コロナ禍による財政出動で、長期金利は近い将来、世界的に上昇が予想される、中央銀行が必死の買い支えをしているが、いつまで持つか?

4月15日の日経新聞経済教室で小林慶一郎慶大教授は「コロナ危機後の世界では、金利が正常化して80年代ごろの水準に戻るかもしれない」とおっしゃっている。80年代で長期金利が一番高かったのは80年4月の11%、一番低かったのは1988年の4.8%(年末の数字の比較)である。繰り返すが、日銀はたった0.3%の金利の上昇で債務超過に陥る。

日銀は長期国債市場だけでモンスターとなったわけではない。株の世界でも株のETFを爆買いし、今年中には、日本一の株主になるといわれている。世界の先進国で金融政策目的で株を購入している中央銀行など他にはない。

コロナ禍に対し世界各国の中央銀行が大型の金融政策発動を発表したが、そのなかにさえ株の購入案はどこにもない。株価下落で起きる中央銀行の信用失墜が怖くて、そんなものの保有は他の中央銀行には出来ないのだ。当然の感覚だ。

コロナ禍による株価下落で日銀は危機を迎える

今年3月、日本株市場では、日経平均19000円という数字が大いに注目された。日銀の保有株に評価損が生じるかもしれない数字だったからだ。

その攻防戦で「日銀が株式市場に介入した、しない」が注目された。異常な世界だ。そして、日銀はますます深みにはまっていく。私のラフな試算では日経平均1000円の下落あたり1兆3000億円ずつ評価損が膨らんでいく。

日銀は、長期国債や株だけではなく、不動産市場にもリート購入の形で参画している。CPや社債の購入など、他の中央銀行が今回のコロナ禍で、法律を変えてやっと始めようという商品もすでに長い間、時限措置と称しながらも購入を継続してきた。

まさにあらゆる市場に参入し、市場をコントロールしようとしているのだ。市場原理の働かない機関が大きく参加している市場は資本主義の市場とはいえない。計画経済だ。計画経済はいずれほころびが出て崩壊することを歴史は物語っている。

今後、コロナ禍が収まらず、資金繰り倒産が続発すれば、株価は再度下落するだろう。そうなれば、日銀は再び評価損発生の危機に遭遇する。より怖いのは、保有額が莫大な国債の価格だ。今のところ何とか、債務超過を防いでいるが、崖っぷちにいるのが日銀だ。

健康体には程遠い「世界最大のメタボ」

平時にバランスシートを膨らませ、世界最大のメタボになり、しかも利回りの低いのを買いあさったのが日銀だ。まさにジャンクフィードを食べあさってブヨブヨに太っているのが今の日銀だ。健康体とは程遠い。

債務超過が起これば日銀の信用は失墜し、発行する通貨は暴落が始まる。だからこそ、その「Xデー」に備えて保険の意味で、私はドルを買っている。

[フジマキ・ジャパン代表取締役 藤巻 健史]

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テキヤもみかじめ料も激減した暴力団が今稼いでいる仕事

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

【暴力団幹部が告白】コロナでみかじめ料激減、テキヤは花見で大ダメージ、今やマスクもシノギに…(尾島 正洋/Webオリジナル(特集班))

国内最大の6代目山口組や、住吉会、稲川会などで、組員の新型コロナウイルスへの感染情報が飛び交っている。なかには、暴力団業界全体に強い影響力を持つ山口組幹部が感染したとのフェイク情報も流され、警察当局が確認に追われる一幕もあった。

さらに、外出自粛の影響で“夜の街”からの「みかじめ料」、イベントでのテキヤ稼業の収入が減少し、暴力団のシノギ(資金獲得活動)も苦しい状況に追い込まれている。

山口組幹部をめぐるフェイク情報が拡散

緊急事態宣言が出された4月上旬、SNS上に発信者不明の情報が駆け巡り、警察当局も確認に追われる事態となった。

〈六代目山口組若頭高山清司氏、他三名、部屋住み二名、コロナ感染の疑いで、救急搬送。検査の結果、陽性〉(一部略)

6代目山口組系の現役幹部は、次のように解説する。

「(対立している)神戸山口組が流したフェイク情報ではないかと見ている。全くのウソ。こういう情報を流して何か得することがあるのか、目的が分からない。場合によっては、稼業とは全く無縁の素人さんのイタズラかもしれない。どちらにしても、意味がない情報だ」

情報はSNS上で瞬く間に流れ、警察当局も当然ながらキャッチした。事実であれば重大な情報のため、それゆえ振り回されることになったが、愛知県警の捜査員が高山の姿を確認。新型コロナウイルスに感染している様子はなく、警察当局もフェイク情報との見方を固め、騒動は落ち着くこととなった。

とはいえ、6代目山口組では兵庫や大阪の団体、稲川会でも都内の団体などで、具体的な感染例が次々に報じられている。

「新型コロナで重症化しやすいと言われているのは『高齢者』と『喫煙者』。暴力団員は高齢化が進んでいる上に、喫煙者が多い。タバコだけでなく、不摂生な日常をつづけているのだから、万が一、組織内で感染が広がると普通の組織より影響が大きいだろう」(ある指定暴力団幹部)

コロナの感染拡大後、入れ墨をした男性が人工呼吸器を付けている写真が暴力団関係者の間で流れたが、入れ墨も感染拡大に悪影響を及ぼしているとの説もある。

「入れ墨を入れる際に針を使い回したことなどによって、ウイルス肝炎にかかっているケースが多く、肝臓に負担がかかっているとされる。そうなれば当然ながら重症化のリスクは高くなる。このリスクは注射針を使う薬物使用の場合も、同様にあると言われている」(同前)

6代目山口組や神戸山口組は分裂抗争の結果、今年1月に「特定抗争指定暴力団」に指定され、兵庫や大阪など6府県の10市の「警戒区域」内で組員が5人以上で集合することが禁じられている。このため今年に入って、本拠地の兵庫などで意思疎通を図って組織をまとめる場を持てない状況が続いていたが、3月以降はコロナの影響で、警戒区域にかかわらず大半の会合が中止されることとなった。コロナ禍が組織弱体化に追い打ちを掛けているのだ。

「組内では先日、組員本人のほか家族や子どもが感染した場合でも、各地域ブロックの幹部に報告するように通達があった。感染拡大を食い止めるために、組織内の感染状況を事前に知っておこうということだろう」(前出・6代目山口組系幹部)

「志村けんが暴力団の意識を変えた」

いまや新型コロナウイルスに対して、暴力団員の意識も変化してきている。

「コロナ騒動が大きくなる前は、夜の街が寂しいからあえてカネを落としてあげるために積極的に飲みに出かけていた。しかし、今の状況になってしまっては、命に係わることになるため外出は控えている」

そう語るのは、東京都内を拠点に活動している住吉会系幹部だ。

「コロナに対しての意識が大きく変わったきっかけは、(タレントの)志村けんが亡くなったことだ。これは大きかった。この業界だけでなく、日本国民全体が志村けんの死亡をきっかけに重大さが分かったのではないか。今はステイ・ホームだ」

一方、6代目山口組系幹部は「コロナが危険だから、飲み歩くなという指示などは全くない。そもそも、『飲み歩くな』と言われたところで、ヤクザは一般的に『はい、分かりました』と聞き分けのよい連中ではない」と解説するが、前出の住吉会系幹部同様、感染拡大の影響が日々大きくなり、夜の街に出かけることはなくなったという。

コロナ禍は、暴力団のシノギの現場にも大きな影響を与えている。

いま暴力団業界で問題になっているのは、スナックにしてもクラブにしても店が開いていないため、大きなシノギとなっている繁華街の飲食店からの「みかじめ料」が全く入らなくなっていることだという。

緊急事態宣言以降は、居酒屋、スナックなどは営業自粛が要請されアルコールの提供は午後7時まで、8時で閉店が求められている。

前出の指定暴力団幹部は、ある地域で行われている“闇営業”の新しい形について打ち明ける。

「東京都内でも、クラブやスナックなど深夜になるまでこっそりと営業している店はある。だいたい、店の女の子が常連の旦那さんたちに『ご飯を食べに行こうよ』と連絡を取って誘い出し店に引き込む。当然、店は看板の灯りなどは消し、入り口には閉店の札を下げる。客の方も『若い女の子がいる店に飲みに行きたいな』とストレスが溜まっているから渡りに船という訳だ」

さらに、この“闇営業”には次のような裏があった。

「誘い込んだ女の子には、飲み代の半分がキャッシュバックされる『システム』になっている。これはすでにシステム化されている。例えば、店で客が5万円を使う。女の子の取り分は2万5000円。店としては売上ゼロのところ、少しでも入るのであればありがたいのだろう。しかも、こっそりとお忍びのように客が来てくれるんだから。女の子にしても収入が途絶えてしまうから、何とか稼ごうということで双方よろしいようになっている。賢く動くヤツはうまくやる」

法律に罰則が規定されている訳ではないが、自粛疲れから人目を忍ぶと楽しさは倍増するということか。店の売り上げが順調に伸びれば、自然と暴力団のシノギになる可能性もある。

この幹部は「アメリカの禁酒法時代までとは言わないが、アングラで儲ける方法は次々と出てくるものだ」と指摘する。コロナ禍が長期化するなかで、夜の街でも新たなビジネスが生まれ、さらにシステム化も進んでいる。

「今のシノギはマスク」

品薄が続くマスクにも、暴力団員の動きが影を落としている。

いまや医療機関でさえマスクが不足して社会問題化しているが、前出の山口組系幹部は、「だからこそ、今は良いシノギとなっている」と明かす。

「先日もマスク50枚入りを40ケース、計2000枚を売ったところだ。仕入れは1枚につき税込みで50円。これを1枚100~200円で売った。マスクはどこの店に行っても長期間、品切れ状態が続いているが、あるところには在庫がしっかりある。自分はマスクを100万枚以上、確保しているところで買い付けている。さすがに、全て買い取るほど持ち合わせがないから全てという訳にはいかないが……。とりあえず、可能な範囲で手に入れる」

さらに、マスク転売禁止の規制は効果がないという。

「マスクを欲しいという人は、1枚2000円でも3000円でも出す。ネットで転売は禁じられているが、手渡しで売れば、どうにも規制は出来ない。どんな状況になろうとも、商売のルートを確保しておくことがカギ。コロナの感染拡大が始まった当初は、もっと大量にマスクを仕入れていた連中がいた。こいつらはすでにかなり儲けたはず。自分もマスクは儲かるのではないかと思っていたが、ここまで騒動が大きくなるとは考えていなかった」

花見は全滅「花火大会もダメだろう」

全国に広がった「緊急事態宣言」だが、その効力は行楽シーズンのゴールデンウィーク最終日、5月6日までとされている。観光地でのシノギも危機的な状況だ。

東京都内で長年にわたり祭りやイベント会場などで飲食を提供する屋台を出す「テキヤ」稼業をしている暴力団幹部が嘆く。

「花見シーズンはまったくダメだった。全滅と言ってもいい。都内では上野公園周辺や靖国神社など花見の名所では大きな商売ができるはずだった。大田区の洗足池周辺も多くの客が訪れる。しかし、今年は花見ができる場所が封鎖され、『花見自体をするな』ということになったから、お客さんが全くいない。この春だけで数百万円から1000万円の実入りがなくなった」

テキヤ業界では、イベント会場で1軒の屋台を出すことを「1本」という用語で数えるという。東京都内に限らず、テキヤ稼業は地域ごとに「庭場」と呼ばれる縄張りを管理している地元の暴力団がいて、地域の顔役たる組織の代表者に「今年は5本出させてくれ」と申し出ることから商売が始まるという。この際に、「(地元の)ウチは今年、焼きそばとかき氷の店を出すから、これ以外の商売の店にしてくれ」などといった調整がなされ、円満に商売が成立するという。

「屋台の出店料にあたるショバ代(場所代)は地域によるが、1日につき5000円だったり、1万円の場合もあったりでさまざま。屋台は1軒につき若い衆2~3人にやらせる。たこ焼きでもカステラ菓子でも、材料をうまく調合すればお客さんが付いてくれてかなり儲かる。稼ぐには技術が必要だ」(同前)

しかし、この先も見通しは暗いという。

「コロナが終われば、夏の花火大会が大きな稼ぎになるはずだった。花火大会は関東各地、そこら中であるし、東京では特に隅田川花火大会が大きな儲けになる。一日だけだが、昼から場所取りの客が多く集まり、食べたり飲んだり。しかし、ついに中止が発表されてしまった。いまは若い衆もヒマでしょうがない」

コロナ禍がどこまで暴力団業界に影響を及ぼすのか。まだ先は見通せない。

[「文春オンライン」編集部 尾島 正洋/Webオリジナル(特集班)]

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橋下徹「今のまま『自粛を続けろ』と言うだけの政治家は無責任だ」

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

新型コロナ対策特措法に基づく緊急事態宣言が出されてから2週間。各地の学校で休校措置が続くほか、厳しい外出制限、営業制限が加わり国民生活は逼塞している。医療崩壊やウイルス感染を恐れて、このまま「家にいる」のが正しいのか。子供たちの未来のために、橋下徹氏が一歩踏み込んで政治に提言する。

日本政府の対応が迷走している理由はこれだ

今般、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、日本政府は緊急事態宣言を全国に対して発した。各都道府県知事も完全に緊急事態モードだ。

【1】命を守るために、社会経済活動を抑制する。
【1‐A】それによって営業停止した事業者には、国家の財政破綻までを覚悟して支援を行う。
【1‐B】営業停止した事業者だけを破綻させ犠牲にする。

【2】国家が財政破綻することや営業停止した一部の事業者を犠牲にすることを回避するために、社会経済活動の再開をある程度容認し、その場合には、感染によって死亡者がある程度増加することを容認する。

コロナウイルスCOVID-19雇用の問題で閉鎖する起業家や中小企業の店への社会的な混乱の影響、クローズドサインとCOVID-19ウイルス病原体を持つ悲しい男のビジネスショップの所有者。

今、日本の政治行政がやろうとしているのは、上記の【1‐B】だ。命を守る、と正義を振りかざして、一部の事業者を犠牲にする。そして国会議員や制度を作る役人たちの生活は完全に守られる。

これはおかしい。僕は【1‐A】か【2】の選択をするのが政治の役割だと思っている。国家財政破綻の覚悟を持つか、感染による死亡者数のある程度の増加を覚悟するかである。僕は日銀が数十兆円の札を刷ったところで財政破綻をするとは考えていないが、この点については色々な意見があるので、最悪の財政破綻を前提とするが、いずれの覚悟も足りないのが、今の日本の政治の状況だ。だから新型コロナウイルス感染症に対する日本政府の対応が迷走しているのだ。

このような自分の考えをまとめて、ある人に以下のようなメールを送った。長くなるが、僕の現在の考えを知ってもらうには一番適切だと思うので、ここに少し整理した形で掲載する。

賢人○○さんへのメール:医療崩壊しなければ経済活動を再開していいか?

○○さんは、おそらく、新型コロナウイルスの現状をみて、ここまで強烈な社会経済活動の抑制はしなくてもいいのではないか、他の方法があるのではないか(=営業停止を食らって犠牲になる人をここまで増やさなくてもいいのではないか)という視点を持たれているのではないでしょうか?

「現在の社会経済活動の自粛・抑制を今後もやり続けることは不可能で、医療崩壊を防ぐことができればそれでいいのではないか」というこの問いかけは、政治的な選択肢としては重要なものであり、僕の持論も基本的にはそうです。爆発的な感染拡大を阻止し医療崩壊を防いで、重症者をしっかりと助けることのできるシステムを作っておけばいい。感染しても、命が助かればいい。

感染症の専門家や医療従事者は、とにかく「絶対に命を守れ!」と考えます。具体的な患者さんのことを想像されるので、それは当然です。著名人もみんなそう言います。そのフレーズに反対する者はまずいませんし、絶対的に正しいように聞こえます。ですから社会的自粛を徹底することを唱えます。

しかしその裏に、一部の者の生活が犠牲になることや、仮にその人たちを完全に救おうとすれば国家が財政破綻するリスクがあることを示し、その覚悟までを述べることはありません。というよりも、その点に気づいていないのかもしれません。

そこで、「医療崩壊を防げば、その範囲で社会経済活動を続ければいいじゃないか!」派が出てきます。これは医療体制を強化することを前提に、そして高齢者や基礎疾患者や妊婦などの弱者を守ることを前提に(まあここが難しいところなのですが)、感染はある程度容認するという考えです。この考えは、「健康な若者たちは感染しても命までは落とすことは少ない」という現段階のウイルス特性を前提にしています。

ただ、このウイルス特性についてはまだまだ未解明なところがあり、「命を絶対に守るために社会的自粛を徹底しろ!」派の感染症専門家や医療従事者は、新型コロナウイルスをそんなに甘くは考えてはいけないという論です。

僕のもともとの考えは、薬やワクチンが開発されることと並んで人類が免疫を持つしかないという、いわゆる集団免疫論で、医療崩壊を防ぐことを第一目標にしながら、その範囲内で、じわっと感染者が増えて人類が免疫を付けていくしかないというものです。

欧米は明らかに医療崩壊を招いてしまいましたが、そうなると、本来医療崩壊の怖さとは別の話であるはずの「ウイルスは怖い!」という認識が世間に広がり、「ウイルスを完全に封じ込めるために社会経済活動を自粛せよ!」という論が叫ばれるようになります。当然、医療従事者や著名人たちは「命を守れ!」と主張します。そうなれば政治家も、官僚たちもそちらに乗らざるを得ません。

そこで日本の政治は、「社会経済活動の徹底抑制(自粛)」ということをドーンと打ち出すようになりました。

でも、本当は欧米と日本との違いを科学的に分析すべきです。欧米のあれだけの死者数を見れば、日本国民が恐怖を感じるのは当然です。しかし日本の死者数は著しく少ない。この違いは何が原因なのか。

ハイリスク層に配慮しつつ経済を回し、集団免疫の獲得を目指せ

もちろん集団免疫論であっても、死者をどんどん出してもいいというものではなく、弱者は守らなければなりません。

ですから、社会経済活動をある程度容認するにしても、きっちりと対策を講じてやる、ということになります。しかし、仮に感染者が出たとしても、なんでもかんでも人と人との接触を断つということはせずに、とにかく医療崩壊が生じないレベルに感染者数を抑えればいいという方向性です。

つまり無症状者・軽症者を入院させず、医療機関の力を蓄えて、重症者にきっちりと対応でればいい、ということがここでの目標になります。

さらに発展させて、「高齢者・基礎疾患者などのハイリスク者のみ隔離する=社会経済活動を控えてもらう」という方法も論じられます。その点、○○さんの言うようにどこかの安全地帯に移ってもらうというのは一つの手でしょうが、今の日本には数千万人の高齢者などのハイリスク者に対して安全を提供できる地域・土地がありません。ゆえにそのようなハイリスク者には、自己防衛のために自宅に閉じこもってもらうことを求めるというのが現実的な手法になると思います。

他方、元気な若者たちは普通に社会経済活動を行い、国民の生活を支えてもらう。それと並んで医療崩壊が生じない範囲で感染を徐々に広げ、みんなで免疫を付けてもらう。人口の6割が免疫を持てば集団免疫獲得と言われています。日本においては2、3年くらいかかると言われています。薬やワクチンが開発されれば、その時点でもう安心ですが、その間、ハイリスク者には自宅に閉じこもってもらうことを求めることになります。

命を守ることにも社会的コストを考えるのが政治です。命の守り方として、全面的な社会経済活動の抑制をするのか、必要な範囲での抑制にとどめるべきか。前者には財政破綻のリスクがあり、後者には命を犠牲にするリスクがある。

どちらに進むにしても大きなリスクがあり、いずれかを覚悟して決めるのが政治だと思います。

[元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹]

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一体いつまで続く…自粛による「コロナ疲れ」の末、私がやめたこと

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

突然の休校要請にママ友LINEグループから叫び声

「いい加減にしろ!」という夫の怒声と共に、ヨーグルトパックが宙を飛び壁に命中した。ドロドロと流れおちる白い液体を、当の怒られた子どもらが茫然と眺めるなか、妻が冷静な一言を放つ。「それ、自分でちゃんと拭いてよね」。数分後、子どもたちと一緒に黙々と壁を拭く夫の姿があった。

何度聞いても印象的なエピソードだが、この光景にこそ、子持ち「自粛生活」のリアルが表れている。いま、多くの家庭で、行き場のないストレスが限られた空間に充満している。

2月27日、夜7時。騒ぐ子どもたちと食卓につき、何気なくつけたNHKニュースを見て、飲みかけた麦茶を噴いた。TVでは「来週から全国の小中学校へ休校を要請する」と神妙に語る安倍晋三首相の姿が。オイオイ、もう金曜の夜ですけど? と思う間もなく、ママ友グループLINEの着信音が一斉に鳴り始めた。「小学校からは何の連絡もない」「幼稚園はどうなるのか」「私立はどうなるのか」。すべてが不明のまま週末を迎え、そして日本の学校が長い長い春休みに突入した。

子どもの休みは親の勤務。つまり無期限勤務だ

4月20日現在も、新型肺炎コロナウイルスは猛威を振るっている。世界の感染者数は240万人を超え、死者は16万人を超えた。医療崩壊只中のイタリアやスペイン、アメリカの状況は、決して対岸の火事などではない。遅かれ早かれ休校措置はとられただろう。

だが、翌週からの各家庭での惨状は予想以上のものだった。たしかにこれまでも夏休みなど長期休暇はあった。子どもにとっての“休み”は、親にとっての“勤務”を意味することも承知している。だが、予定された“休み”と、前触れなしの無期限の“休み”は意味が違う。

そしてそこに新たに加わる「在宅勤務」推奨の波。「子どもの休校」×「親の在宅勤務」×「外出できない自粛モード」が生み出す破壊力は、ほとんど未知の世界だったといえる。

ちなみに断っておくが、冒頭に登場したパパは決してDV夫などではない。普段から子ども思いで、子どもたちもパパが大好き。感じのいい笑顔も、ママさんたちからお墨付きだ。しかしそのパパをしてヨーグルトを投げつけるという蛮行に駆り立てるほど、長引く自粛生活はストレスに満ちている。

子持ち自粛生活の疲れは、「時・食・住」の3重苦からうまれる

構図は単純だ。「育ち盛りの子どもが家で騒ぐ」→「『静かにしろ』と何度いっても聞かない」→「うるさすぎて在宅“勤務”ができない」→「気分転換にスタバで仕事、もできない」→「家族全員のイライラがマックス」。これが何日も続けば、立派な「自粛疲れ」の出来上がりだ。そうならないのは、よほど聞き分けのいい子どもを持つか、豪邸に住んでいるかのどちらかだろう。

今回、周囲のママ友たちに聞き取り調査を行った。集まってきた声はさまざまだが、突き詰めれば3つの問題に集約される。それが衣食住ならぬ、「時(間)・食・住」の問題だった。

何より悲鳴が上がったのは、「食事」問題だ。普段、家庭で食事をつくり慣れているはずの主婦たちですら、家族全員が連日三食食べ続けることの負担は想像以上だった。「食費が半端ない」「買い出しが追い付かない」「一日中食事の準備と片付けに追われている」「もうレシピが思いつかない」「夫の分の、量と品数が余計に負担だ」などの声が届いてきた。なかには「人はなぜ1日に3度も食事をする生活に進化してしまったのか……」と悩む人まで出る始末。ちなみに子どもが3人いる我が家では、8時、10時(おやつ)、12時、15時(おやつ)、18時と、ほぼ2時間ごとに食べ物を要求され、しまいには「バナナでも食っておけ!」と叫ぶ毎日だ。

庶民向け都心マンションなんて3密そのものではないか

だが問題の本質はコロナではないのかもしれない。そもそも日本は家庭料理に求めるレベルが高すぎる。欧米のようにパンとハム、サラダやスープ、あるいは冷凍ピザをチンが夕食と認められる社会なら、何もここまで疲弊はしない。「母親が心を込めた丁寧な食事」を自他ともに求めてしまうからこそ、「自粛生活、三食準備がつらすぎる」事態を生み出しているのもいえる。

「住居」問題も大きい。「ステイホーム」が叫ばれる昨今、強烈な違和感を放ったのは、元俳優・政治家のアーノルド・シュワルツェネッガー氏と、日本の安倍首相だ。緑あふれる広大な敷地でロバやポニーと戯れるシュワちゃんに、ワンちゃんを抱っこしながら、星野源の楽曲を聞き優雅にカップを持つ安倍首相。そりゃ、そんなご立派な空間があれば、さぞや在宅も楽しかろう……。

都市一極集中が顕著な日本において、庶民向け都心マンションの狭さは3密そのもの。我が家では、食事も余暇も仕事も宿題もかくれんぼも忍者ごっこも、すべて1ルームで行われている。ちなみにTVは常に字幕表示。シャウトする子どもの声にかき消され何も聞こえないからだ。周囲からも、「在宅“勤務”する場所がない」「寝室で子ども用テーブルで仕事をしていたら、腰を痛めた」「喧嘩を避けたくても逃げ場がない」という声が響いてくる。

私も仕事があるのに、在宅勤務中は寝室から出てこない夫

トドメは「時間」問題だ。大人でも一日を生産的に律するのは大変だが、子どもにそれを求めるのは至難の業だ。「一日中、兄弟喧嘩が絶えない」「隙あらばYouTubeを見ている」「時間割をつくったが、異年齢兄弟が邪魔して機能しない」。なかには在宅勤務になった夫が、「少しは家事育児に協力してくれるのかと思いきや、“勤務”中は見事に(仕事部屋と化した)寝室から出てこない」「私(妻)も仕事があるのに、『俺は仕事中だから』の一点張り」という声も上がってきた。職場での真面目さが、在宅では裏目に出たケースだろう。

つくづく幼稚園や保育園、小・中学校や高校等の存在意義は大きかったと気づく。学校という場は、学力や社会性を身に付けるためだけに存在するのではない。リズムに則って生活できる場を提供する場でもあったのだ。フリーランスのライターである私は、「コロナ以前」から在宅勤務だったが、保育園・幼稚園・小学校が休みになって以来、まともに仕事はできなくなった。ベビーシッター・家政婦・教師役を兼任して、さらに仕事なんてできるわけがない。同様のことが全国の家庭で起こっている。当たり前だが、子どもはモノいわぬ人形ではない。小さくても人間だ。意志もあれば、欲もある。発言力もあるし、なんなら武力行使に出る行動力もある。ないのは自制心だけだ。だからこそ、全国のオフィスワーカーのPC画面には、全力で襲い掛かってくる子どもたちの映像がリアルに映り込んでいるというわけだ。

夫の在宅勤務、唯一のメリットは…

もっとも、いい変化も報告されている。「平日は深夜帰宅、週末は燃え尽きていた夫が、子どもと遊べる時間を持てるようになった」「すれ違い夫婦の会話が増えた」「子どもが手伝いをするようになった」「夫が料理に目覚め、家事育児に協力的に」「長時間勤務や通勤ストレスから解放され、健康的になった」などなど。暗いニュースばかりが続く日々だが、旧弊の固定観念や価値観がリセットされる機会になったのは、唯一のメリットといえるかもしれない。「自分にとって本当に幸せな日々は、どういうものか」を考えるきっかけになるかもしれないからだ。

そもそも、自粛生活で噴出している声は、これまでも変革を叫ばれながらも放置されてきた課題ばかりなのだから。都市への一極集中・それに伴う住宅問題・長時間勤務・満員電車通勤・家事育児の夫婦分担のひずみ・子育て女性の社会進出の難しさ・育児休暇に対する社会の無理解・リモートワークの環境不備・ハンコ社会……。これらを放置してきたツケが、いま次々に、顕在化しているといえるのではないか。

プリント配布にこだわる近所の公立小学校

特に今回痛感したのは、日本社会のデジタル化のカメのごとき遅さだ。夫婦ともに在宅勤務になった家庭では、「同様世帯の激増で、マンションのWi-Fi速度が低下し、添付ファイル受信に15分、送付には30分かかる」とぼやいている。「自粛したいが、上司のハンコがないと作業が先に進まない」という声も多い。

公立学校のあまりの無策ぶりも、今回驚きの的だった。習い事や塾が続々と苦肉の策としてZoomなどでレッスンを試みる半面、まるで昭和のまま時が止まったままなのが公立校だ(すべてではないだろうが)。ちなみに私が住んでいる区は、偶然にも教育熱心な区として認知されており、区外からの転居者も多いのが特徴だ。しかし、そんなご立派な名声をよそに、突然の休校以降、学校から届いたのは数枚のプリントのみ。オンライン授業など夢のまた夢だ。欧州やアメリカ、韓国などが「休校措置」宣言の数日後にオンライン授業体制を整えたと聞くと、昨今の「公立校でもICT教育を推進しています」アピールはどこの国の話だったのかと首をかしげざるをえない。

アフターコロナの社会が待ち遠しいわ…

今年から小学校でもプログラミング教育が必修化されるはずだが、「こんな状態でいったいどうやって先生たちはプログラミングを教えるつもりなのだろう」と、保護者間では呆れて笑いが漏れている。

今回のコロナの騒ぎでは、禍しか感じられないが、せめてこれを機に世の中のパラダイムシフトが進むことを期待するばかりだ。コロナ収束後の「アフターコロナ」では、デジタル化やICT教育が進み、一人一人の価値観に合ったワークライフバランスを実現できる社会になっていることを夢見たい。

さて、最後に話は少々ずれるが、自粛のせいで精神が疲れきってしまったママパパは日本中にいっぱいいるはず。私は夜9時以降、コロナ関連のニュースやTwitterを見ないことを決めて、だいぶメンタルが楽になった。是非、ここまで読んでくださった皆さんにおすすめしたい。

(※ちなみに今回ご紹介したのは、あくまで日本のごく一部の例だ。都市封鎖が長引く国々では、DV被害や虐待が激増している。日本でも今後「コロナDV」「コロナ虐待」「コロナ離婚」「コロナ鬱」「コロナホームレス」など、“コロナ”がつく問題が表面化していくだろう。そういった課題への対応こそ、早急に取り組むべきであることを付け加えたい)

[フリーランスライター 三浦 愛美]

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これが対コロナ最強布陣「橋下総理、小池長官、吉村厚生相」

2020年4月27日 08:00 PRESIDENT Online

菅直人と安倍晋三、一体何が違うというのか

新型コロナウイルスの猛威を前に、安倍晋三政権は国民の信頼を失いつつある。首相は「戦後最大の危機に直面している」とはいうものの、その対応は後手に回り、打ち出される対策はあまりに遅く、小さい。「1世帯に布マスク2枚配布」など国民の感情を逆撫でするかのようなメッセージも多く、急速に冷え込む人々の懐と呼応するように政権に向けられる視線は冷たさを増している。未曾有の危機を迎えた今、求められる内閣の「最強布陣」を探った。

「非常時においては、役人には100の力を120、130にして出し切ってもらわないと困る。そのためには裁量権をもたせて思い切り働けるようにしないといけない」「求められているのはそうしたスピード感で、地方任せにせず、国が前面に出ていって判断していくことが必要です」。これは今の安倍政権への言葉ではない。2011年に起きた東日本大震災の民主党政権の対応について、安倍首相が「週刊ポスト」の対談で語っていたものだ(2012年3月30日号)。「菅直人さんという人物のパーソナリティが、常識を超えていたということも大きいでしょう」とも批判していた安倍首相。2月末まで記者会見すら開かず、唐突な全国一斉の休校要請、ミュージシャン・星野源氏の曲とともに優雅にくつろぐ様子を投稿したコラボ動画……。今回のコロナ危機下の対応を振り返ると、違った意味で「常識を超えている」と映る向きは少なくないだろう。

「コロナ危機管理内閣」に欠かせないのは国民目線

コロナ危機対応で強いリーダーシップを発揮している小池百合子都知事は4月15日の記者会見で、仁徳天皇がかまどの煙から困窮ぶりを把握し、民の苦しみを和らげたとの逸話を例に「残念ながら『民のかまど』のほうも、賑わいにはほど遠い。今こそ、行政としてあらゆる手立てを総動員する」と語り、過去最大となる8000億円の緊急対策を発表した。飲食店などへの出入り自粛は求めても「損失補償」はしないと繰り返す政府とは対照的に、東京都独自で「感染拡大防止協力金」を事業者に支給することを決定。さらにアーティストへの支援策やオンライン学習の導入促進、妊婦へのタクシー券配布など次々に手当てする様子は、二転三転する国の対策とは大きく異なる。

緊急事態下で重要なのは、「民のかまど」に為政者が敏感になることだ。今回の組閣名簿は、「コロナ危機管理内閣」に欠かせない国民目線、発信力、突破力、先見性などを独自に分析し、作成した。

首相は橋下徹、一択だ!

その結果、「首相」に名が挙がるのは元大阪府知事の橋下徹氏だ。歯に衣着せぬ発言は物議を醸し、時に横暴との批判もつきまとうが、批判を恐れずに核心を突いていく「突破力」は有事のリーダーには欠かせない能力といえる。安倍政権に「明日の飯に困る人たちの状況が分からないのか、机上の論に基づいて(支援策には)様々な条件が付されている」「政治家は、国民が一番不安に思っていることに対して、ズバッとメッセージを発するのが仕事だ」(プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」4月14日配信)と厳しく迫る姿には共感する人も多い。

国の緊急事態宣言の根拠である新型コロナウイルス対策特別措置法に「補償」の規定がなく、現場の混乱を招いている点も問題視しており、4月16日に更新したツイッターでは「ほんとこの特措法はクソ法律だった。全国的な蔓延があれば全国的に緊急事態を宣言するのは当たり前。その際は政府が全権限と金も含めての全責任を負う」と痛烈に批判。特措法の欠陥を見逃した国会議員を叱咤激励しつつ、現実的な対策を論じていく姿勢にはインターネット上で「国政に復帰して」「首相になってほしい」との声が相次いでいる。

官房長官は小池百合子! 厚労相は吉村洋文!

国からの「指示待ち」の知事たちが多い中で、1月24日に東京都と並んでいち早く対策本部を設置し、異彩を放っているのが大阪府の吉村洋文知事だ。世論調査で8割もの人々が緊急事態宣言を求めていた中で、吉村氏は早期発令を小池氏とともに要求し、矢継ぎ早に対策を講じている。コロナ対応をめぐる全国の知事の評価は、はっきり明暗が分かれているが、「一人でも多くの命を守りたい」と発信し続けて次々に手を打つ2人の知事は非常事態下でも動じる様子はない。SNS上には、ハッシュタグをつけて「#吉村寝ろ」「#百合子ありがとう」と支持する声も相次いでいる。

国民にわかりやすい明快な説明力と発信力で「政府のスポークスマン役」に適任との観点から「官房長官」には小池氏、現場の声を吸い上げながら国民目線を持つ「厚生労働相」として吉村氏を候補に挙げた。

安倍政権の初動対応を振り返る時に忘れてはならないのは、新型コロナウイルスの「震源地」となった中国からの入国制限が3月5日までなされなかったことだ。海外からの帰国者に「陽性者」が続出したことを考えれば、入国制限や帰国者対応に失点があったことは否めないだろう。

そして内閣官房参与は…

この点を早い段階から言及していたのは、安倍政権にも近い作家の百田尚樹氏だった。1月22日に更新したツイッターでは「中国からの観光客は一時ストップするべきと思う。国と国民の命を守るとはそういうこと」と指摘。そのうえで「経済的には打撃で、一部の業者は悲鳴を上げるだろうが、もし病気が大流行したら、国の打撃のほうがはるかに大きい」と警鐘を鳴らしていた。

同じく警告していたのは、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長だ。高須氏は、1月24日からの春節(旧正月)連休中に外国人観光客が多く訪れることも見据え、同月22日のツイッターで「一時的に鎖国したらいい」と指摘。4月15日には、小池都知事が3月下旬に言及してワイドショーや評論家から猛批判を浴びた「ロックダウン」(都市封鎖)についても、「腹をくくって、政治生命をかけて武漢なみの都市封鎖をすべきです」と提言している。

2人の言葉は、為政者にとっては時に耳障りなこともあるだろうが、有事対応で機動的・多角的に対策を講じていくためには必要な助言との指摘も多い。政治家や官僚の視点から距離を置いた政権アドバイザーとして、「内閣官房参与」のようなポストが望まれる。

菅義偉は総務相! 財務相は玉木雄一郎!

それぞれが「一国一城の主」である国会議員の中で、地方全体を見渡すことのできる政治家は限られるが、人一倍それを注意深く見ているのが菅義偉官房長官とされる。権力中枢にいながら与野党にパイプを持ち、総務相を経験して総務官僚から絶大な信頼を得る菅氏のもとには全国津々浦々の情報が日々入っている。現在は首相官邸内に生じた摩擦で指令系統から外れているとも指摘されるが、全都道府県が緊急事態宣言の対象となった今、地域ごとの実情を踏まえた国の対策が欠かせない。「ポスト安倍」に名前が挙がる菅氏だが、その調整力と突破力を「総務相」の立場で発揮してもらいたいところだ。個別の現金給付に否定的だった麻生太郎財務相に対し、早くから消費税減税や「一律10万円給付」などの必要性に言及し、ロックダウン法案や家賃猶予法案の検討を提唱してきた国民民主党の玉木雄一郎代表は「財務相」として名をあげさせてもらった。

コロナウイルスとの闘いが長期化も予想される中、安倍首相はジャーナリストの田原総一朗氏と面談した際、今回の危機を「第3次世界大戦」に例えたという。世間とのズレが指摘される今、安倍首相には、政治の師と仰ぐ小泉純一郎元首相の座右の銘「無信不立」(信無くば立たず)を思い出してほしいところだ。

[政経ジャーナリスト 麹町 文子]

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ライター絶句!「見なきゃよかった…」人気キャバ嬢のメモ

2020年4月25日 12:00 PRESIDENT Online

キャバ嬢の営業メモ現物をライターが独占入手! いったい何が書かれているのか、そしてあなたは何と呼ばれているのか!

すぐ帰る客も時には必要である

キャバ嬢と聞くと、無教養でおバカなオネーチャンを思い浮かべがちだが、この世界で生き延びている嬢たちはほぼ例外なく顧客ノートを作っている。それに基づく緻密な接客で売り上げを伸ばしているのだ。

今回、2人のキャバ嬢にそれぞれの顧客ノートを見せてもらった。そこから浮かび上がってくる彼女たちの接客術とは?

まず1人目は新宿・歌舞伎町の某店に所属するAさん(24歳)だ。

彼女に見せてもらったのはバインダーに保管されていたルーズリーフの束。これで客の情報を管理しているそうだ。

ノートに目を通し、まず気づいたのは、客が事細かにプロファイリングされていることだ。

年齢、タバコの銘柄、好きな酒といった基本事項はもちろん、接客時の注意点も詳細に書き込まれている。『(タバコの)火をつけられるのがキライ』『否定的なことは言っちゃダメ、病むから』など、その多くはパーソナリティに関する記述だ。

「お客さんの観察は大事ですよ。疑似恋愛を楽しみに来たのに騒がれたら興ざめでしょうし、その逆も同じで、ワイワイ騒ぎに来たのに色目を使われたら、すぐほかの子に行かれちゃいますから」

彼女の顧客ノートには、もうひとつポイントが。常連客をタイプ別に分類しているのだ。たとえば1回の来店でたくさんカネを落とすものの、来店の頻度が低い場合は「単価高」と記される。逆に単価は低いが頻繁に店に顔を出す客は「単価低・本数」となる。

店によっても異なるが、キャバクラの給与形態は時給に加え、指名につき1本で1000~2000円、飲ませてもらったドリンクの10%前後を報酬としてもらえる店が多い。

さらにAさんが働くような比較的客単価の高い店では、ポイント制で時給が決められる。たとえば指名は1本で2ポイント、同伴出勤であれば4ポイントといった形だ。月単位でこのポイントを集計し、それに応じて来月の時給が決まる。

そのため、たくさんカネを使って長時間居座る客が常に歓迎されるわけではない。月末にポイントが足りず、時給ダウンのおそれがあるときは、短時間で帰る指名客のほうが効率よくポイント稼ぎができるため、都合がいい。

こういった分類が、Aさんの収入増の手助けとなる。

「指名数はクリアしているけど、出勤時間が足りないときは、単価高の客に営業をかけまくるんです。指名客が来なくてお店がヒマな日は『今日はもうあがって』と言われ、時給がもらえなくなりますから。逆も同じで、指名数が足りないときは本数客でポイントを稼ぎます」

なるほど、確かに理にかなっている。しかしAさんの収入は月に30万~60万円ほどで、彼女いわく「私くらいの収入なら歌舞伎町じゃなくても掃いて捨てるほどいる」という。

キャバ嬢向けの顧客管理アプリが

続いて、Bさん(20歳)の顧客ノートを見てみよう。六本木の某店で働く彼女はキャバ嬢向けの顧客管理アプリを利用しており、Aさん同様、客の特徴を細かに記している。

そもそも「キャバ嬢向けの顧客管理アプリ」があるというのが恐ろしい。それほどキャバ嬢にとって顧客管理は当たり前のことなのだろうが、やや話を聞くのが憂鬱になる……。

彼女は常連客を彼女への貢献度、つまり同伴の頻度や金払いの良さなどによって1~4軍に分類している。Aさんと違うのは、客のちょっとしたエピソードを盛り込んでいることだ。

「たとえばお客さんが会話の中で『高校のとき、はじめて家族のために夕飯を作ったんだ』みたいな話をしたとするでしょ。そういう些細な話が出ると必ずメモっとくんです。次にお店に来たとき、その話をしたらチョー喜んでくれるんで」

客に惚れさせてなんぼの商売では不可欠なテクニック

客の立場からすればそんなことまで覚えてくれていたのかと嬉しくなり、ひいてはそこからキャバ嬢への好意も芽生える。客に惚れさせてなんぼの商売では不可欠なテクニックといえるだろう。

「だから話の内容が些細なほど効果も高くなるんですよね」

ところで彼女のノートには「○」「×」といった記号が散見される。いったい何なのか。

「『○』は頭の良い女、『×』はバカな女って意味で、お客さんの好みを表しています。男の人って賢い女が好きか、バカな女が好きかで両極端に分かれるでしょ」

都内の一流私大に在学中のBさんは英語が堪能。しかも、もともと自身が興味を持っていることもあり、政治・経済の話題に明るいのだが、客によって素のキャラとおバカキャラを演じ分けているのだという。

「たぶん、男の人のプライドにかかわる事柄だからだと思うんですけど、経験上、このキャラ選択を失敗したら絶対にもう挽回できません。お客さん、逃げちゃいますから」

しばらく、キャバクラに行くのはやめておこうか……。

[富士 弥勒]

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「理論価格がまったく成立しない」マンション大暴落の底なし沼

2020年4月25日 12:00 PRESIDENT Online

新型コロナウイルスの影響は、商業施設、住宅といった不動産市場にも大きな影を落としている。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「現在のマンション・一戸建て販売については、理論価格がまったく成立しない状況。底なし沼だ」という――。

国内不動産市場は「底なし沼」

「国内外からの観光客でホテルや店舗向け需要が高まっていること、それに働き方改革で職場環境を改善しようと、より広いスペースを確保しようとする会社が増えてオフィス需要が高まっている」

先月公表の全国地価公示(1月1日時点)で躍ったこうした文言も、どこかに吹き飛んでしまった。国内不動産市場の現状は「底なし沼」だ。

国内・海外の株価はもちろん経済指標も軒並み大幅悪化。WTO(世界貿易機関)は8日、2020年の世界のモノの貿易量が前年比で最大32%減るとの予測を公表しており、NTTドコモのデータによれば緊急事態宣言後の週末4月12日、東京や大阪などの中心部では、感染拡大前の水準に比して、70%以上人出が減少した。

政府による不要不急の外出自粛要請や緊急事態宣言に加え、3月の外国人新規入国者数は15万2000人と前年同月の250万4000人から9割超減(出入国在留管理庁)。また2月の国際収支統計(速報・財務省)によれば旅行収支の黒字は前年同月比71%減の579億円と、2015年9月以来の低水準。人が動かなければ経済も動かず、不動産市場には大打撃だ。

ホテルの稼働率、百貨店の売上高は壊滅的

まずはホテル業界。3月の稼働率は30.5%で、とりわけ東京、大阪はともに20%台に低下。リーマン・ショックや東日本大震災後は60%程度だったのに比して格段に落ち込みが激しく、休館や開業延期が相次いでいる。民泊やマンスリーマンション、貸会議室やイベント会場などは言うまでもない。

商業系も壊滅。3月の売上高についてJ.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)は43%減、高島屋は36.2%減、三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹)は39.8%減、そごう・西武が31.9%減、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店)が28.1%減とインバウンド需要がほぼゼロになったことに加え、3月の景気ウオッチャー調査によると、街角景気の現状判断指数(DI)は前月から13.2ポイント下がり14.2となった。08年リーマン・ショックや11年東日本大震災後を下回る。飲食などのテナントを抱えるビルもアウト。

西村康稔経済再生相は13日の参院決算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請に応じた店舗に対し自治体が独自に行う休業補償について、国から地方自治体に配分される臨時交付金は財源に充てられないと答弁するなど、業界は戦々恐々だ。オフィス系には今のところ影響は見られないが、コロナ騒動で急速に進展するリモートワーク化で、オフィス床ニーズには大きな減少圧力がかかる。

新築マンション・一戸建て販売はほぼストップ

住宅系はどうか。まず、新築マンション・一戸建て販売は、ほぼストップといっていい。三井不動産レジデンシャルや住友不動産・三菱地所レジデンスは一部を除いて新築マンションモデルルームなどの販売拠点を閉鎖している。

大手ハウスメーカーの2020年3月の受注速報によると、消費税増税の影響が残るなかで、新型コロナウイルスの影響もあり、戸建住宅を中心として落ち込みが目立ち、大和ハウス工業は戸建住宅受注が20%減、住友林業は30%減、旭化成ホームズ32%減、積水化学工業・ミサワホーム・パナソニックホームズも軒並み2ケタ減と全く振るわないが、4月以降はもっと悪い数字が出るだろう。

足元ではH形鋼など主な建築用鋼材の流通価格が需要不足によって前月比2%下落、前年比では5~10%の減少幅で推移しており、事態が長引けばやがて建築費の下落圧力になりそうだ。清水建設は13日、建設現場において勤務者がコロナ感染したことから7都府県での工事を原則中止すると発表しており、足元ではさらなる需要減が見込まれる。

各国は家賃滞納者に猶予を与えているのに…

賃貸住宅市場には、一部を除いて大きな影響は出ていない。人は必ずどこかに帰らなければならないからだ。しかし残業がなくなったり、仕事そのものがなくなったりすれば家賃を支払うことが難しくなる向きは増える。

米国では個人や企業が家賃を滞納しても、家主は120日間延滞料を徴収しないとする経済対策法が成立。さらに家主がローンを払えなくても、60日間は金融機関が差し押さえできず金融機関に返済の6カ月延期を求めることができ、最大1年は支払いを先延ばしできる。期間終了後も、家主は通知後30日以内の立ち退き要求ができない。

英国では、6月30日まで家賃未払いを理由とした家主による退去要請を禁止。ドイツは家賃滞納による解約を禁止、4~6月分の家賃に限って2年間支払いを猶予する他、小規模の自営業者を対象に最大1万5000ユーロ(約180万円)をスピード給付する制度を導入した。オーストラリア政府も7日、家賃滞納による契約終了や、未払いに伴う手数料と利息の徴収を禁じると発表。シンガポール政府も企業や個人事業主に最大6カ月の家賃の支払い猶予を与える措置を決めた。

こうした他先進国の措置に比べわが国政府は、家主に賃料支払い延期を要請するに留まる。

中古マンション市場の先行きはどうなる?

中古マンション市場は、とりわけ都心部において日経平均株価と連動する。

現在の都心中古マンション成約平米単価は、株価が2万4,000円水準のもので、もし株価が1万9,000円程度で推移するなら、10~15%程度下落してもおかしくはない。ニューヨーク・マンハッタンの住宅価格は1~3月に11%下落、「外出自粛により住宅物件を見に行くことが難しくなった」「市況の先行き不透明感から消費者が売却を控える傾向が強まったこと」といった傾向が響いた。

都心マンションがアベノミクス以降1.7倍程度上昇したのに対し、東京郊外や神奈川・埼玉・千葉の上昇率は1.2~1.3倍程度と限定的で、下値もしかりだろう。

今後の相場は「政治動向」次第になる

一戸建ては新築・中古とも一部を除き、アベノミクス以降せいぜいプラス5%と、さしたる上昇を示していない。

新築マンション市場は大手デベロッパーによる寡占化が進み、かつての経済危機時のように投げ売りから暴落へ向かうといった市場構造にはないが、このままだともちろん一定程度下げて売るしかないだろう。

現時点での不動産市場は、理論価格が全く成立する状況になく、結局は新型コロナの終息いかんにかかっている、としか言えない。仮に一定程度の落ち着きを見せた後は「政治動向」次第だろう。

12年の民主党から自民党の政権交代以降、株価や不動産市場を支えてきたのは「アベノミクス」であり「日銀の政策」だからだ。仮に安倍政権がチェンジということになれば、「必要があればちゅうちょなく追加の金融緩和に踏み切る」(黒田日銀総裁・9日)といった現行の姿勢が変わる可能性もある。

「次の首相」がどのような経済政策を打ち出すか

共同通信による最新の電話世論調査では、安倍内閣の支持率は40.4%で、3月26~28日の前回調査より5.1ポイント減。不支持率が43.0%と上回った。「休業補償すべきだ」82.0%、「布マスク2枚を評価しない」76.2%といった声が響いた。

とはいえNHKの最新世論調査における各党の支持率は「自民党」33.3%・「立憲民主党」4.0%・「国民民主党」0.5%・「公明党」3.3%・「日本維新の会」1.6%・「共産党」2.9%・「社民党」0.6%・「れいわ新選組」0.5%「NHKから国民を守る党」0.2%・「特に支持している政党はない」45.3%と、消去法的に自民党しかなく、野党が束になってもかなわないといった情勢だ。

一方で『週刊文春』は「和泉首相補佐官が厚生労働省大坪審議官とのコネクティングルーム宿泊にこだわり、外務省側はその調整に奔走していた」「森友問題で自殺した近畿財務局職員の手記公表」など、現政権に対する打撃を緩めておらず、産経新聞・FNNの最新合同世論調査において「次の首相にふさわしい政治家は、石破氏がトップ」と、現首相や小泉環境相を上回っており、そうなるとアンチ安倍政権といった姿勢を隠すこともしなかった石破氏がどのような経済・財政政策を標榜するのかに注目が集まる。

いずれにせよ「アフターコロナ」の世界は、不動産市場に限らず激変必至だろう。

[不動産コンサルタント 長嶋 修]

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