スレンダーなボディに、キレイな肌のすっぴんメイク。姿勢が良くてアクティブで、とても70代とは思えない。
生まれつき? いえいえ、今ここに至るまで、試行錯誤の連続。自分で良いと判断したものはきっちり続けて、この美貌と健康体をゲット。
どんなことをしてきたのか、具体的に根掘り葉掘り、聞いてみました!
(話題の映画『罪の声』について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 取材・文/岡本麻佑
梶芽衣子さん
Profile
かじ・めいこ●1947年3月24日、東京都生まれ。モデルとしてスカウトされた後、1965年に日活映画『青い果実』で主演デビュー。日活『野良猫ロック』シリーズ、東映『女囚さそり』シリーズ、東宝『修羅雪姫』シリーズ、松竹『わるいやつら』、ATG『曾根崎心中』ほか多数の映画に出演。ドラマ『鬼平犯科帳』(1989~2016)では、密偵のおまさ役を28年間つとめる。歌手としても活躍し、『恨み節』は120万枚のセールスを記録。1973年日本有線大賞優秀賞を受賞。映画『罪の声』に続き、2021年には劇場版『きのう何食べた?』の公開も決定している。
歯ブラシ6本とニンニク醤油
演じてきた多くの役の上では、鋭い眼光で何かを語り、言葉数が少なく、ミステリアスな印象。だけど素顔の梶芽衣子さんは、好奇心旺盛で研究熱心、気さくで話の面白い、チャーミングな女性だ。美容や健康に関しても、博学にして実践派。
一番気を付けているのは、歯の健康だ。
毎晩お風呂の湯船につかりながら約20分間、歯を磨く。それも6種類の歯ブラシや歯間ブラシを使い分けながら、すべての歯の隙間まで、お掃除するとか。
歯ブラシは柔らかめのものを使い、ペーストは少なめに、力を入れずに磨くのがコツ。そして年に2回は歯科衛生士のプロの手で、歯石クリーニングをしてもらう。
「口の中のものって、飲み込んで身体の中に入りますから、清潔にしておく必要があるんです。46年くらい前に歯槽膿漏だと言われて、その頃は胃とか内臓の調子が悪くて、いつも体調が優れなかったの。でも口の中をキレイに掃除することを始めてからは、薬を飲まなくなりました。歯磨きのおかげで、内臓が元気になったからだと思っています」
食べるものも劇的に改善した経験があるとか。もともと食べ物の好き嫌いが激しく、お肉ばかり食べて野菜は大嫌いだった。
「若い頃は、お肉だけ食べていれば満足、朝からお肉、300グラムのステーキもペロリと平らげちゃうような毎日だったんです。でもある日、胆嚢の不調がわかったんです。お医者さまから『長生きしたかったら、偏食を改めようね。1回の食事の70%は野菜にしてください』って言われました。もう一生お肉は食べられないのかしらと思ったら、1日80グラムまでならいいって」
その時から自分の食生活について真剣に取り組んだ梶さん、まずは野菜を攻略した。
「生の野菜はどうしても苦手なので、温野菜です。でも加熱しすぎると栄養素が逃げてしまうから、ブロッコリーは沸騰したお湯に入れて7秒。ほうれん草も、お湯に入れたら一瞬で取り出します。お肉80グラムでお腹いっぱいになるはずないので、そういう温野菜をたっぷり食べるようになりました」
強い味方になったのは、お父様が教えてくれた、秘伝の万能タレ。実は梶さんのお父さまは、日本料理の料理人だったとか。
「簡単だからお前でもできるって、教えてくれました(笑)。
ジャムの空き瓶とか適当なビンを用意して、ニンニクを一房分、皮をむいて芽を取って半分程度に切って、ビンに入れます。そこに赤とうがらしを3本くらい入れて、あとは減塩醤油をビンの口あたりまで注ぎます。
冷蔵庫には入れないで、常温で保存。減ったら同じお醤油を足していけば、ずっと使えます。カビが生えたらアウトだけど、それまでは大丈夫。最初のうちはニンニクが浮いてくるけど、それが2週間くらいして沈んだら使い頃。
このタレは肉、魚、麺類、パスタ、チャーハン、何に使っても美味しいの。ニンニクがだんだんお醤油の色に染まっていくから、それを細かく刻んでチャーハンに入れてもいいわね。カレーやシチューに少し足すと味に深みが増すし、魚の開きに塗ってから焼くと、それだけで本当に美味しくなります。試してみて」
さらに美容に関しては、石けん洗顔、ひと筋。
「化粧品はいっさい使わずに、石けんで顔を洗うだけです。以前、40代だったかな、コマーシャルでその石けんメーカーの社長さんに会って話を聞いて、試してみてから、以来ずっとです。
もちろん、石けんだけに切り替えてから最初の1~2ヶ月は、肌がガビガビになって、お正月のお供え餅みたいにひび割れちゃって大変だったけれど、それを通り越したら今の肌の状態になりました。ほら、触ってみて。柔らかいでしょ?」
経験に裏打ちされた美容・健康のエピソードは、ずっしり重い。なにより、トライして信じて実感して続ける、そのパワーが今の梶さんを作っているのかも。
「あと、そうね、クヨクヨしないことね。世の中に出て働いている以上、ストレスの無い人なんていないけど。私の人生のモットーは、『媚びない・めげない・くじけない』。前を向いて歩いていけば、ちゃんと次の日は来るから(笑)」
『罪の声』
脅迫テープに使われたのは、幼き頃の自分の声だった・・・。35年前、日本中を震撼させた未解決事件の真相を追う新聞記者・阿久津英士(小栗旬)と、テーラーを営む曽根俊也(星野源)の人生が交錯するヒューマンミステリー。
10月30 日(金)より、全国東宝系にて公開
配給:東宝
監督:土井裕泰 脚本:野木亜紀子
原作:塩田武士 『罪の声』(講談社文庫)
出演:小栗旬 星野源 松重豊 古舘寛治 市川実日子 宇崎竜童 梶芽衣子ほか
©2020 映画「罪の声」製作委員会