じゃがいもの芽は毒があるから、取り除かなくてはいけない。とはいえ、実際は食べても平気でしょ?と思っている人がほとんどではないだろうか。侮るなかれ、じゃがいもの芽に含まれている毒は、食中毒にも繋がる危険性があるのだ。今回は、そんなじゃがいもの芽の毒とその取り除き方をレクチャーしていく。
1. じゃがいもと天然毒
ソラニンとチャコニン
スーパーで買ってきたじゃがいも。少し置いておいたら、芽がたくさん出てきてしまった。そんな経験ないだろうか?そのじゃがいもの芽には、ソラニンとチャコニンという天然毒素の一種が含まれている。目と同様、やや緑がかった皮部分にもこの成分が多く含まれる。
天然毒のあれこれ
天然毒とは、一体何か?例えば、フグやキノコなどもその一部。動植物の中に含まれる毒成分のこと。摂取すると食中毒を起こす危険性がある。細菌性食中毒と比べると件数、患者数はそれほど多くないが、致命率の高いものもあり、注意が必要だ。
中毒になる危険性
じゃがいもに含まれるソラニンやチャコニンは、フグ毒のように致命率が高い天然毒ではない。とはいえ、大量に摂取するとやはり危険。症状としては、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどが考えられる。さらに、体調や体質によって、症状の現れ方には差があるので、注意が必要だ。
2. 毒のある部分
じゃがいもの特徴
じゃがいもは、南米アンデス高知原産のナス科植物。かなり古くから食べられていたと記録に残る、人間に馴染みの深い植物だ。現在では、世界各国で広く栽培されている。地中に横に伸びる地下茎を持ち、その先端に塊茎をつける。その部分が、普段食べられているじゃがいもだ。
毒性の強い部分を知る
じゃがいもの中でも、特にソラニンやチャコニンなどの自然毒が多く含まれる部分がある。よく知られているのが、前述の芽の部分だ。実は、これ以外にも毒性の強い部分がある。例えば、芽はもちろん芽の周辺、皮が薄い黄緑〜緑になったもの、小さすぎる(未熟な)もの、さらに地中の浅い部分にあったものだ。
3. じゃがいもを安全に食べる方法
じゃがいもの芽を取る方法
じゃがいもの天然毒の摂取を控えるには、毒性の強い部分を取り除くのが正解。まずは芽の部分。実はこれ、芽だけを取り除けばいいというわけではない。芽だけでなく、周辺も毒性が強いので、広くえぐるように取るといいだろう。
じゃがいもの皮の処理
じゃがいもの皮は、全体的に毒性が強い場合が多いので剥いて食べると安心。前述した毒性の強い緑色の皮の場合は、削ぐような感覚で、かなり厚く剥くといい。間違っても、そのままで食べないこと!
毒性低下に有効な下処理
ソラニンやチャコニンは、加熱では分解されない。170℃以上の油で揚げると減ると言われているが、それよりもずっと有効なのが、水にさらすといった下処理。ソラニンとチャコニンは、水に弱い性質があるので、さらすことである一定量の毒素が水に排出される。面倒くさがらずに、水にさらすことをオススメする。
4. 毒性を増やさない保存法
大敵は光
じゃがいもの芽の成長や皮の変色には、光(光合成)が大きく関係している。自宅で保存する場合、日の当たらない冷暗所で保存するのが吉。ちなみに、明るい居場所で長期保存をすると芽はグングン伸び、皮は緑に変色してしまうので注意しよう。また、家庭菜園で作ったじゃがいもの場合、いもが地上に出ないよう土をしっかり盛る土寄せという作業が上手に行われていないケースがある。そうすると光に当たりやすく、どうしても毒性の強いじゃがいもになってしまう。光に当てない、ということを念頭に育てよう。
なるべく早く食べる
買ってきたじゃがいもを美味しい状態で長く保存するのは、至難の技。食べ切れる分だけ、購入するのがオススメだ。ちなみに、冷蔵庫でじゃがいもを保管するのはNG。じゃがいもに含まれるでんぷん質が糖に変化し、その糖がさらに発がん性のある化学物質に変化してしまう可能性があるのだ。
結論
いかがだっただろうか?じゃがいもに含まれるソラニン、チャコニンと呼ばれる天然毒。大人でも、気をつけないと食中毒になる危険性のある毒。特に小さな子供には注意が必要だ。上手に処理して、美味しいじゃがいも料理を楽しみたい。