cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_u4ridd6qyx9u_フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される u4ridd6qyx9u u4ridd6qyx9u フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される oa-newswitch 0

フェイクニュースを信じて拡散する人、しない人。「情報の免疫力」が試される

 新型コロナウイルス感染症に関する間違った情報や誤解を招く情報を見聞きした人のうち、「正しい情報である」等と信じて共有・拡散したことがある人は35.5%―総務省の調査(※)でこんな事実が明らかになった。コロナ禍におけるデマの拡散や炎上が問題になったが、実は気づかないうちに拡散に加担しているかもしれない。

 SNS時代の情報の「伝え方」、それと対になる「受け取り方」を国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授に聞いた。(取材・昆梓紗)

フェイクニュース拡散するのはどんな人?


―欧米ではフェイクニュースの研究や対策が進んでいますが、日本の動きは。

 2016年のアメリカ大統領選で大きな問題となったフェイクニュースですが、総務省では2018年10月に「プラットフォームサービスに関する研究会」を立ち上げ調査を進めています。今年6月には「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」を行いました。

 私の研究チームでは、昨年よりフェイクニュースに関する研究を進めています。

―フェイクニュースを信じてしまう人は多いのでしょうか。

 ジャンルを分けた実際のフェイクニュース9本を使って調査を行いました。その結果、10代の25%が1つ以上を信じて拡散していたことがわかりました。全体年代では14.3%でした。

 ただし、10代はSNSを使っている時間が長いのでフェイクニュース接触機会が多く、拡散しているということも。その理由として、フェイクニュースを見抜く力に年齢はあまり関係ありませんでした。

 調査で使用したフェイクニュースに関しては、75%の人が嘘だと見抜けていませんでした。ここで重要なのが、事例に上げた9本はすべてファクトチェック機関がチェック済のものだということです。

出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」

―信じるだけでなく、「拡散」してしまうのは大きな問題です。

 「拡散」で一番多かった行動が「友人・家族に直接話す」で16.3%でした。拡散を防止するにはSNSでの行動を見ればいい、という簡単なものではないことが明らかになりました。

 フェイクニュースを拡散しやすい傾向を調査したところ、自己評価が高い人、政治的に極端な人は拡散してしまう傾向がありました。ほかにメールマガジンやメッセージアプリの利用時間が長いと拡散する傾向が高い。これは両者が閉鎖的な環境なため、エコーチェンバー(自分の見たい情報のみを選ぶことで思考が強化されること)が起こって情報の真偽が検証できなくなっていると想定されます。

出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」

 逆に、ネット歴が長い人、情報リテラシーが高い人はフェイクニュースを拡散しにくい。情報が無数にある状態に慣れているので、学習効果でフェイクニュース判断が適切にできていることがうかがえます。しかし、ITリテラシーが高いからといって騙されにくいわけではありませんでした。

―ネット上には情報が多数あるにもかかわらず、エコーチェンバーになってしまう背景は。

 情報が無数にあるネット上だからこそ、エコーチェンバーになってしまうともいえます。自分で情報をピックアップする過程で、知りたい情報のみを選択するだけでなく、検索アルゴリズムやレコメンド機能がその人にあった情報を上げてくる。そうなると嗜好と異なる情報を得るというのはかなり難しくなってきている。「フィルターバブル」などと呼ばれる現象です。

どうしたら防げるか


―情報真偽の判断スキルを養うには。

 情報の免疫力をつけることが重要です。

 具体的には、以下に気を付けるとよいでしょう。

1.拡散したいと思った情報は他の情報源もあたること

2.発信元やいつ書かれたかを意識する

3.データの加工が恣意的かどうか自分で考える

4.感情的になったときにすぐに拡散しない(SNS上で多く拡散されるのは怒りの感情が伴ったもの。許せないと思ったときこそ、立ち止まる)


 そして、情報を拡散する際には、自分が自信を持っている時ほど注意すること。

 さらに、社会心理学では、交流の多い家族や友人の意見ほど信じやすいといわれています。メッセージアプリやリアルな会話であっても、その内容をさらに他の人に伝えたいと思ったときこそ真偽を気にするようにするだけで、デマの拡散防止効果は高いと思います。

―リテラシーを高めるための教育とはどういったものでしょうか。

 どういった教育内容にすべきかといった研究を進めています。情報の発信に関しての教育だけでなく、「受信」の教育がきわめて重要。情報の偏りやエコーチェンバーについて、認知しているだけでも行動は大きく変わってくるので、この啓発活動が必要です。

 フェイクニュースを拡散しにくい傾向に影響を与えたリテラシーを下の4つの中から調査したところ、「情報リテラシー」のみが拡散しにくくする影響を与えていることがわかりました。

出典:「Innovation Nippon 調査研究報告書 日本における フェイクニュースの実態と対処策」

 また、普段から多様な情報源から多様な情報を接し、自分で考える癖をつけること。特に中高年では得た情報を鵜呑みにしている事例が多いです。いままでマスメディアに接していたマインドのままネットの情報に接するのは注意が必要。また最近ではマスメディアでも視聴者を煽ったりすることも散見されます。

 最も重要なのは、真偽不明な情報を拡散しないこと。調べたり、自分で考えても真偽がわからない情報はたくさんありますが、それを拡散しなければネガティブな影響は起きません。

―学校教育などではリテラシー教育はされていると思います。

 ネットを介した犯罪への対策や、最近では誹謗中傷に関しての教育などが行われていますが、情報の選択的接触やデマに関する教育があまりなされていないように感じます。

 また大人に対する教育は不十分です。最近「高齢者のネトウヨ化」が問題視されています。定年退職後に時間ができて、はじめてネットをよく使うようになると情報をそのまま信じてヘイト的な行動をしてしまうことが起こるようです。

 また携帯キャリア各社も講座などを開いていますが、募集型の啓発活動には限界があります。そこにアクセスしていない人の方が問題なので。

 1つ有効だと思うのが、マスメディアを使う方法。特にテレビは60~70代がメインターゲットとなってきているので、情報リテラシーやファクトチェックに関する番組を作るというのも手です。韓国では実際にファクトチェック番組を制作していて、人気を博しています。総務省で最近出したレポート(※)でも、啓発活動に何が重要かという質問で2番目に多かった回答が「テレビで報じてほしい」というものでした。ニーズはあると思います。

気づかず拡散に注意を


―情報の「拡散」というとネット上で発信するイメージが強く、リアルでの会話やメッセージアプリが「拡散」に含まれると思っていない方も多そうです。

 海外ではメッセージアプリでのデマのやりとりから、殺人にまで発展するという事件が起こっています。日本では「4月1日に東京がロックダウンする」というデマがLINEで流れました。

 フォロワー数百人、数千人にツイートするより数は少ないかもしれないですが、リアルの会話やメッセージアプリは情報が浸透しやすく、拡散行動としては影響力が大きくなります。これが重なると社会的な影響が起きるかもしれないということを皆が知るべきだし、政府が何か行う際も留意する必要があると感じます。

―ここ数年でデマや炎上が変化してきたと思われることは。

 LINEグループなどで、かつてのチェーンメール的なものが増えてきました。利用者やグループの数が増加したことが背景にあります。

 また、マスメディアとソーシャルメディアの「共振」現象が増加していると、法政大学の藤代裕之准教授は指摘しています。最近テレビなどで、ネットで話題になったものを持ってくるというケースが増加しています。すると今度はマスメディアで報じられたものを見た人がネットに書き込む。この繰り返しで共振するように情報が広がっていきます。

 帝京大学の吉野ヒロ子准教授がネット炎上について調査した際、炎上認知経路はツイッター23%、テレビ57%でした。ようするに、ネット情報はツイッターだけで広がっているときはそれほど影響がなく、もっとも影響を持つのはマスメディア、とりわけテレビが報じたときだといえます。

 コロナ禍でのトイレットペーパー不足はこの典型的な例だと考えています。「トイレットペーパーがなくなる」と発信した元ツイートは拡散されておらず、テレビで報じた後に社会的影響が広がりました。特にトイレットペーパー買い占めはネットをあまり利用しない中高年以上が中心だったといわれているので、マスメディアの報道の影響が大きかったといえます。この現象への対処方法はかなり難しく、品切れになったという報道ではなく豊富に生産しているという映像を主として報道する、そもそも報道しないという選択肢もあるでしょう。

―拡散におけるマスメディアの力は依然大きいですね。

 総務省の調査で、若者であってもマスメディアを「信用できる情報」と回答する人が多いことが明らかになりました。共振現象は今後も続くと考えています。

(※)「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」(2020年6月総務省)

山口真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授

慶大院経済学研究科修了。専門は計量経済学。研究分野はネットメディア論、データ利活用戦略など。主な著作に『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版)などがある。経済学博士。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_2jfwljh4tyi5_52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ 2jfwljh4tyi5 2jfwljh4tyi5 52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ oa-newswitch 0

52歳でピアノに挑んだヤクザ専門ライター、講師との二人三脚で憧れの舞台に立つ

―52歳で始めたピアノの挑戦記です。

「50歳を過ぎてから自分の人生をたたみ始めた。これから『できること』『できないこと』を峻別(しゅんべつ)した上で、漠然と憧れていたピアノ演奏はぎりぎり可能だと思っていた。死ぬまでに5曲から10曲のレパートリーがあれば良いという楽しみ方だ。単なる“音楽の本”になると手に取ってもらえないこともあり、日々取材を重ねてきた“アウトロー”の視点を意図的に取り入れた」


―初めての経験に基づく執筆で大変なこともあったのでは。

「まず言葉を知らないと書けない。表現や言い方が分からず、ピアニストのインタビュー40人分をひたすら読んで言葉を補充した。素人ならバッドに当たって『ガーンと鳴る』というように音を音で表現する。しかし、音を蜜の味にたとえるように発想をすれば良いんだとヒントになった」


―ピアノ教室の門をたたくきっかけはABBAの曲『ダンシング・クイーン』なんだとか。

「潜入ルポ『サカナとヤクザ』の校了明けの躁状態で見た映画にこの曲が流れ、自然に涙がこみ上げてきた。本では必要以上に“けなす”こともあるが、青春賛歌の歌詞にグッときた。齢を重ねたせいもあるのだろうか。曲冒頭のピアノのグリッサンド(鍵盤上で急速に指を滑らせて音階を区切らずに弾く奏法)がとても印象に残り、ピアノを弾きたくなった」


―「練習すれば、弾けない曲などありません」など、著書に出てくるピアノ講師のレイコ先生の言葉が印象的です。

「先生は虎の穴のような音楽大学を卒業しているので、若いのに硬質で毅然(きぜん)とし、迫力がある。こちらが心酔するほど教え方もとても上手だ。ピアノはエレガントなものだと思っていたが、実際は“スポ根モノ”のように学んでいくものだった」


―ピアノ習得の過程は。

「練習するうちに“回路”のように両手別々に動かす神経が生まれ、突然ある日、弾ける喜びがある。ロールプレーイングゲームの冒険に似ている。『クリアするためにこうしよう』と考えながら成長していく。そこからすれば、先生はパーティーを組む仲間だ」


―本書では「学習」も重要なテーマです。

「こうしたら論理的に学べるということを書きたかった。『学ぶことのハウツー』と言える。歳を重ねて経験を積み、その経験があって学び方を体得してきた。ただ、年を取ってから挑戦した方が良いという話でもない。『学習は尊い』という精神的な自己啓発本にはしたくなかった」


―いつの間にか学習自体が目的になることがありますね。

「曲を弾きたいというゴールに向かう必要がある。その上で、予習と復習。レッスンの効果を引き出してくれる。我々は普段の仕事でも同じことをしている。目標をクリアするために各人が学習している。あくまで予習・復習は目的を達成するための手段だ」


-今後考えている執筆テーマは。

「料理の本も出したい。料理は火と包丁という二つの危険物を扱う。だから没頭せざるを得ず、強制的に悩み事も忘れることができる。その点はピアノの演奏と同じと言えるだろう」
(聞き手・日下宗大)

フリーライター・鈴木智彦氏

◇鈴木智彦(すずき・ともひこ)氏 ジャーナリスト
日大芸術除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、専門誌『実話時代』編集部入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。著書に『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。北海道出身、54歳。『ヤクザときどきピアノ』(CCCメディアハウス 03・5436・5721)

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_bektk8log950_グルテン使わずに膨らむ、「米粉パン」の新製法ができた! bektk8log950 bektk8log950 グルテン使わずに膨らむ、「米粉パン」の新製法ができた! oa-newswitch 0

グルテン使わずに膨らむ、「米粉パン」の新製法ができた!

 サタケ(広島県東広島市、佐竹利子代表、082・420・0001)は、小麦由来のグルテンなどアレルギー特定原材料など28品目を使用しない、独自の米粉パン製造法を開発した。グルテンに代わり増粘剤(増粘多糖類)を用いることで、小麦粉パンと同程度の膨らみが得られる。

 今後、製パン業者などへ配合などの技術提供を通じ、学校給食、非常食、地元産米を活用した6次産業などの分野に向けて新製造法による米粉パンの普及を図る。

 開発した製造法で作った米粉パンは、焼き上がりが小麦粉パンと同程度まで膨らみ、ふんわりと軽い食感のパンになる。米粉パンは生地が柔らかく短時間の発酵で膨らむため、製パン時間は小麦粉パンの約半分の120分になる。アレルギー特定原材料など28品目を使用しないため小麦など食物アレルギーを持つ人でも食べられる。

 米粉のみで製造したパンは、小麦粉パンに比べ生地の粘性が低いため膨らみが小さく、十分に膨らませるためには小麦由来のグルテンを配合する必要があった。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_t0gm0d88s6il_「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦 t0gm0d88s6il t0gm0d88s6il 「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦 oa-newswitch 0

「めがねの街・鯖江」で希有な成功モデルを築くフレームメーカー、終わらない挑戦

 「めがねのまち」で知られる福井県鯖江市。この眼鏡枠の一大産地に本社工場を構えるシャルマン。中国に展開する2工場と合わせ、高付加価値の眼鏡フレームを自社ブランドで製造販売し、世界の約100カ国に供給する。独自のチタン合金の素材と加工技術による差別化戦略で、高付加価値フレームという新たな市場を創造するとともに、メディカル分野にも進出した。2020年、新たな成長戦略をスタートする矢先で新型コロナウイルス禍に直面したものの、汎用フェースシールドなど社会が求める商品をいち早く投入する機動力と攻めの経営で果敢に挑む。

発売11年、ヒット商品を支える技術


 「ほら、小さく震えているでしょう。指が震えているのではありません。これぐらい弾性があるということなんです」。本庄正享社長は自らの眼鏡をするっと外しながらこう語る。テンプルと呼ばれる眼鏡の弦(つる)の部分が振動するさまは、しばらく続いた。

 これは同社の主力ブランド「Line Art CHARMANT(ラインアート・シャルマン)」。フレーム全体がチタン製だが、テンプルにはエクセレンスチタンと称する、弾性に優れた独自のチタン合金を使っている。実際にかけて見ると非常に軽く、顔の輪郭に柔らかくフィットし、優しさに包まれているようなかけ心地がある。レーザー微細接合技術が織りなす、美しく繊細なフォルムも特徴的だ。ラインアートの商品化をテコに同社は、国内で小売価格が4万円以上の眼鏡フレームでシェア5割超(同社推定)の座を築いている。

 ラインアートの素材、加工技術は産学連携の賜(たまもの)だ。チタン合金の開発は東北大学金属材料研究所と、レーザー微細接合技術は大阪大学接合科学研究所と共同研究を重ねた。眼鏡フレームメーカーで材料そのものを開発するケースは珍しい。2009年のラインアートの発売はデフレに見舞われた当時の小売り市場で、高付加価値という商品特性をあえて訴求し、潜在需要を呼び起こした。

 200から300もの工程数がある眼鏡づくり。産地は伝統的な分業制があり、シャルマンも1956年創業当時は一部品を作る小規模工場だったが業容拡大に挑み、70年代には一貫生産体制を構築。問屋を通さない直接卸売りも展開し、80年代には世界市場にも打って出た。

 世界ブランドの一角に、後発のシャルマンが参入できた秘訣について本庄社長はこう語る。「眼鏡は顔の中心に来るもの。消費者の志向を調べると、一番は自分に似合うかどうか。有名ブランドかどうかは選択順位は4、5番目。低価格化の進む市場の中で、あえて付加価値の高い商品づくりで市場開拓し、差別化したポジションを切り拓いてきた」。

 実は眼鏡フレームメーカーでは自社ブランドだけで収益を上げる企業は少なく、実際はOEM(相手先ブランドによる生産)を中心とする例が多い。こうした技術力や戦略が眼鏡の一大産地において、同社がいまなお希有な成功モデルとして輝き続ける背景にある。

フレームの仕上げ工程

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、眼鏡も他のビジネス同様に打撃を受け、日本、欧米主要国の小売市場は4~5月にほぼ全面停止した。ただ眼鏡は、ファッションの要素と、視力矯正の生活必需品の両面性を兼ね備えていることから、「ウィズコロナ」のもと日常生活が再開すると、店頭の客の戻りが比較的早かった。同社の販売は4~5月がほぼゼロに落ち込んだ後、6月は前年の6~7割に戻り、以後さらに回復傾向にある。「揺り戻しは意外に早かった。元の水準に戻るのはまだまだ先だが、ありがたい」と本庄社長。

 一方、眼鏡ビジネスが止まっていた間に、新たな商材の取り組みが動きだしている。代表例がコロナ感染対策の汎用フェースシールドだ。額にベルトで止めるタイプの商品が多く出回る中で、同社商品「シャルマンシールド」はバネ性のあるプラスチックのフレームで、眼鏡の感覚でかけ外しが簡単で、蒸れが少ない。

 もともとメディカル事業で手術医が使う高機能フェースシールドを商品化しており、その知見と、眼鏡づくりで研究した日本人の頭部サイズのデータに基づく設計だ。テンプルのR曲線と、前面部は頭のおでこ部分をM字形状にしてシールドフィルムを支える。ウェブ上に設けた受注フォームで効率よく一般注文に対応し、また営業マンが小売店、各種の接客・サービス業へ提案。関東エリアの大手コンビニエンス店の採用も決まった。

 8月上旬から商品を拡充。医療用の高機能シールドフィルムと同レベルの低反射性と防曇性があるフィルム(2枚組み)を一般向けに投入し、また髪の毛を止める『カチューシャ』風の新型フレームとフィルムのセット品も発売した。

 汎用フェースシールドは当初は中国工場で生産を計画したが、国内で新たな連携先を見つけ、ジャパン品質での生産・供給に変更した。安価な製品を試しに使った顧客が、かけ心地の良さや品質の信頼で、シャルマンシールドに切り替える例が少なくないという。海外販売も順次進める予定で、売れ行きしだいで日本と中国の2拠点体制で需要に応えていく計画だ。

医療現場からの要求に応える


 メディカル事業は眼鏡フレームに続く新ビジネスとして、8年前にチタン材料と精密加工の知見で進出した。眼科、脳外科、心臓外科の医師らが手術で使うはさみ、ピンセットなどの鋼製小物に挑戦し、一つの手術具で部位ごとに適材適所のチタン材を使い、「神の手」を持つと称される医師の繊細な要求と向き合った。医師の間で横展開するための改良、医療機関の購買部との接点づくりなど、商品展開における試行錯誤もあった。

高度な機械加工をした後、慎重に医療器具のハサミの刃先をチェックする

 そして現在は「開腹、開頭手術用のはさみ、ピンセット」「手術ロボット用のアタッチメント」「内視鏡を使う低侵襲の手術具」の3分野でシャルマン製品の地歩を築いた。眼鏡で部品の精密加工の腕を持つ地元企業とも連携して、アイテム数は400点まで拡充した。この1、2年が事業拡大の基盤を固める時期と位置づける。

企業価値はまだまだ伸ばせる


 本庄社長は20年3月に社長就任。商品企画部門をアジア・欧州で長く担当し、直前は米国で販売法人の社長を務めた国際派だ。コロナ禍の暗雲が広がる中で、攻めの経営、研究開発の強化、明るい職場の3点を基本方針に、「この会社の企業価値はまだまだ伸ばしていける」と社内を鼓舞する。経営の成果を出して社員に手厚く還元し、それをベースに地域を活性化させる姿を描く。策定した新たな経営戦略のもと、「当社のビッグバンと位置づけ、仕事の改革を進め、変化適応力を高める」と精力的に動く。目玉の商品開発でも「市場に衝撃を与えるラインアートのような眼鏡フレームを3年以内に市場投入する。もちろんラインアートはさらに強化する」と展望を語る。

 折しも、眼鏡産地・鯖江はイタリアの大手メーカーが大型生産拠点を建設中で、20年末にも稼働する見込み。コロナ禍と相まって産地には大きな変化の波が押し寄せるなかシャルマンの挑戦は、眼鏡産地のさらなる活性化をも占う動きとなる。

本庄正享社長、厳しい経済情勢下にも果敢に挑む

【企業概要】

▽所在地=福井県鯖江市川去町6の1▽社長=本庄正享氏▽創業=1956年▽売上高=177億円(2019年12月期)

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_k8idup5ex8p0_コロナ禍でコンビニの野菜販売が定着したワケ k8idup5ex8p0 k8idup5ex8p0 コロナ禍でコンビニの野菜販売が定着したワケ oa-newswitch 0

コロナ禍でコンビニの野菜販売が定着したワケ

 大手コンビニエンスストアで野菜販売が定着してきた。もともと一部店舗でキャベツやキュウリなどを販売してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で住宅地にあるコンビニを中心に、野菜の需要が拡大してきた。客が“密”のスーパーマーケットを避け、自宅近くのコンビニをミニスーパーのように利用する人が増えているのが理由で、コンビニ各社も需要を捉える狙いだ。

 ローソンは7月31日に全国の店舗に専用売り場「新鮮野菜市」を設置した。ジャガイモやタマネギなどの野菜約20種類を扱う予定で、本部が週ごとに扱う野菜を決め、その中から各店のオーナーが選んだ野菜が店頭に並ぶ。価格は100円から300円程度。全店舗で流通させることにより、従来価格よりも約1割程度下げた。「自宅で調理する人が増えて、野菜を購入したいという要望に応えた」(ローソン)。

 セブン―イレブン・ジャパンでもこれまで店舗オーナーの裁量で野菜を扱ってきた。現在は、都内東部の住宅地にある店舗で品ぞろえを強化したテストを実施している。「スーパーと同じでは意味がない」(セブン―イレブン・ジャパン)との考えのもと、従来は本部が推奨していた2個入りトマトを1個にしたり、4分の1サイズのキャベツ、1本を半分にしたネギなど「使い切れる量」を販売している。こうした試行により「お客さまの反応を調査中」(同)という。

 ファミリーマートでも一部店舗で野菜を販売している。今後は8月末の伊藤忠商事による株式の公開買い付け(TOB)成立後に、全国農業協同組合連合会(JA全農)と農林中央金庫がファミリーマート株を保有することで、JAの農産物を販売する予定だ。

 新型コロナの影響で、野菜のほか酒類などの販売も堅調に推移しており、これまでスーパーが得意としてきた領域でコンビニとの競争が始まっている。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_hkqd8i5xq9yx_社長だってリモートワーク、激変するオフィスの風景 hkqd8i5xq9yx hkqd8i5xq9yx 社長だってリモートワーク、激変するオフィスの風景 oa-newswitch 0

社長だってリモートワーク、激変するオフィスの風景

新型コロナウイルスの感染防止対策として新しい働き方が浸透してきた。在宅で勤務する「リモートワーク」や観光地や地方で休暇と仕事を両立する「ワーケーション」などはその典型。大手企業やスタートアップ企業では顕著に進んでおり、オフィスが閑散としている風景は日常になりつつある。一方で、働く人の不安や業務の停滞、人事評価の懸念などの問題も浮上する。企業は試行錯誤しながら新しいワークスタイルを確立していく。

役職・席次、気兼ねなく?

リコーの山下良則社長は、率先してリモートワークを始めた。今も平日5日間のうち、2日は在宅、2日は本社、残り1日は、神奈川県海老名市などにある本社以外の事業所などで執務する。


山下社長は「欧州(拠点)の社員とも定期的にリモート会議をしているが、本社でやるよりも自宅の方がどんどんつないで会議に参加できる」とメリットを実感。今後も週2日は在宅勤務する考えだ。


社員からは「社長との会議では、リモートの方がよりフラットに対話できる」という声もある。リアルな会議室だと役職順で上座に座るなど気を使うケースもあるが、リモート会議ではどこに誰が座るか気にする必要もない。自分の意見を積極的に言いやすい雰囲気にもつながっている。同社は本社を含む首都圏の事業所4拠点で、今後は出社率を最大5割とする方針だ。


ユーシン精機は顧客との打ち合わせのオンライン化を進めた。従来は参加していなかった設計者も加わり「コミュニケーションの深化につながった」(小田康太取締役)という効果もあった。


同社は2018年にRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を導入。20年3月末までに従来比5700時間の作業時間を削減した。RPAでは製造部門を中心に工程の進捗(しんちょく)管理や、一部の設計プログラム作成などを自動化。20年初からは、稟議(りんぎ)書や各種申請フローの電子化に着手しており、リモートワークにスムーズに移行できた。


社員からは「企画など、自身のペースで業務に取り組める業務は(リモートに)向いている」という声が挙がっている。ただ「責任者など部署内で指示伝達する立場の人は、メンバーのそばにいてほしい」という意見もあった。小田取締役は「適切に業務管理する環境整備が課題」としている。



情報見える化、格差防ぐ
コロナ禍を経て“オフィスには社長1人”が日常になったのは、ゼノデータ・ラボ(東京都渋谷区)。同社は企業の業績情報やニュースを人工知能(AI)で分析し、経済や企業の将来を予測するサービスを手がける。25人の社員の半分以上はエンジニアのため、リモートワークを以前から採用し、多くの社員が利用してきた。





縮小移転したゼノデータ・ラボの新本社。関社長だけが働く

3月には完全リモートワークに移行。それまではオフィス出社組だけで話し、リモートワーク組との情報格差が生じることがあった。関洋二郎社長は「業務上のコミュニケーションを見える化できた」と完全移行の効果を説く。


そのカギはビデオ会議の効率性にある。事前に議題を決め、会議中に議事録を作成・共有しながら合意を目指している。情報共有手段の運用も工夫する。チャットツールの投稿は、1対1ではなくチーム全体が原則。情報の齟齬(そご)が生じないようにするためだ。


6月には本社を従来の約3分の1の広さの場所に移転。新本社は関社長の執務スペースと、サーバーの設置場所としての役割のみだが、会社の業務は十分に回っている。



地域貢献、働く場多様に
新しい日常の一環として注目されるワーケーション。ユニリーバ・ジャパン(東京都目黒区)は、19年に導入した。北海道下川町や静岡県掛川市など全国7自治体と提携。市役所や学校をコワーキングスペースとして社員が無料利用できる。働く場所の選択肢を増やし、地域の枠を超えた人材交流でビジネスアイデアの創出にもつなげる。





静岡県掛川市内の森でたき火を使ったワークショップに参加するユニリーバ・ジャパンの社員(昨年5月撮影)

ワーケーション先では業務時間外に各自治体が指定する地域課題解決に関わる活動に参加できる。特産品のPR戦略の策定や、国連の持続可能な開発目標(SDGs)について現地の学校で出張授業を実施。活動に参加すれば、提携宿泊施設の宿泊費が無料または割引となる。


社内会議の予定などでワーケーションを取得した社員はまだ数人だ。コロナ禍で在宅勤務が常態となり、業務のオンライン化が進んだ。新名司アシスタントコミュニケーションマネジャーは「現在は休止中だが、コロナ収束後は取得が進む」と予想する。


DATA/人事評価の公正性に不安

2月以降、多くの企業がリモートワークの導入に踏み切った。パーソル総合研究所(東京都千代田区)よると、リモートワークによる不安感や孤独感は、在宅勤務者が2―3割を占める職場で最も高いことが分かった。


職場全体の実施率によって異なり、実施率が2―3割の職場では実施率6割以上の職場と比較して、不安感が1.2倍となった。また上司や出社勤務者が「在宅勤務者が仕事を本当にしているか」という疑念を持ったり、公正な人事評価ができるかという不安を感じたりすることも明らかになった。







上司に公平・公正に評価してもらえるか不安と考える人は、在宅勤務者が34.9%、出社勤務者が31.3%だった。公正に評価できる自信がないと答えた上司は39.4%だった。


業務の進捗(しんちょく)が分かりにくいとの声も多かった。新しい働き方が根付くには職場の業務フローや評価の新たなルール作りが急務といえる。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_83ca0rx10mec_タッチ式決済、最も利用されているのは? 83ca0rx10mec 83ca0rx10mec タッチ式決済、最も利用されているのは? oa-newswitch 0

タッチ式決済、最も利用されているのは?

MMDLabo(東京都港区、吉本浩司社長、03・6451・4414)がまとめた「スマートフォン決済(非接触)利用動向調査」によると、最も利用している非接触決済(タッチ式決済)サービスは「楽天Edy」(26・2%)だった。以下、NTTドコモの「iD」(21・2%)、JR東日本の「モバイルSuica」(18・3%)と続く。


最も利用を検討しているタッチ式決済サービスでも楽天Edyが22・2%でトップ。2位にモバイルSuica(19・1%)、3位にiD(10・6%)が入った。同調査は18―69歳の男女4万5000人から6月26日―29日にウェブ上で回答を集めた。


上位6サービスの利用者600人を対象に6月26日から7月8日まで行った満足度調査でも、総合満足度で首位となったのは「楽天Edy」で1000点満点中718点を獲得した。以下、2位がイオングループの「モバイルWAON」で708点、3位が「モバイルSuica」で704点。







楽天Edyが評価された点は「使える場所が多く、スマホをかざすだけで買い物ができる」「楽天ポイントがたまる」などが多かった。


一方、タッチ式決済サービスの認知率は79・6%、内容理解率は46・2%に達したが、「現在利用している」と答えた割合は12・7%、利用経験がある割合も20・8%にとどまる。日常使いでの利用率をどう高めるかが今後の課題となりそうだ。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_93bx3vmxpdss_「ここまで当たるとは」。愛知の伝統工芸品のマスクが大人気 93bx3vmxpdss 93bx3vmxpdss 「ここまで当たるとは」。愛知の伝統工芸品のマスクが大人気 oa-newswitch 0

「ここまで当たるとは」。愛知の伝統工芸品のマスクが大人気

名古屋市緑区で江戸時代から続く伝統工芸品「有松絞」のマスクが人気を博している。新型コロナウイルス感染拡大による一時のマスク不足を受けて4月以降、有松絞商工協同組合の会員各社が相次いでマスクづくりに進出。絞り製品を手頃な価格で身に着けられると注目された。各社合計の累計販売数は2万5000枚を超えた。


マスクはすべて職人が伝統の絞りの技法を用いて、さまざまな柄に染めた生地でつくる一点物。各社がつくったマスクは「有松・鳴海絞会館」でまとめて販売している。価格は500―1800円(消費税抜き)。マスクを求めて訪れる来館者が増え、多い日には100人以上が列をなしたという。


同組合の成田基雄理事長は「ここまで当たるとは」と驚きを隠せない。マスク不足はおおむね解消されたが新型コロナが収束しない中、有松絞マスクの需要は「年内は続くだろう」とみている。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_pjij99yq322i_超高速大容量に期待はあるが…消費者が「5G」に不安な理由 pjij99yq322i pjij99yq322i 超高速大容量に期待はあるが…消費者が「5G」に不安な理由 oa-newswitch 0

超高速大容量に期待はあるが…消費者が「5G」に不安な理由

第5世代通信(5G)に対する不安で最も多かった回答は「通信料金が高くなる」の61・7%―。総務省がまとめた2020年の情報通信白書に記載した調査結果では、消費者が5Gの通信料金に不安を持つ実態が浮き彫りになった。5Gを用いた各種有料サービスを利用したいと答えた割合も軒並み15%以下に留まる。ただ、企業の3分の2は5Gに関心を持っており、消費者や利用企業が納得できる料金体系の確立が普及のカギを握る。


総務省が3月に行った「データ流通環境等に関する消費者の意識に関する調査研究」によると、5Gに対する不安点では「端末料金が高くなる」と答えた割合が49・7%と2番目に多かった。「使えるエリアが限定される」(27・9%)、「セキュリティー」(27・3%)と答えた割合も高かった。






一方、5Gに対する期待で最も高かったのは「通信速度が速くなる」で64・3%。現行の4Gと比べてデータ通信速度が約100倍となる1秒当たり10ギガビット(ギガは10億)、伝送時の遅れが10分の1となる1ミリ秒(1000分の1秒)という性能への期待感の高さがうかがえる。


2番目に多かったのは「通信料金が安くなる」(52・2%)。現状では、NTTドコモの5G料金プラン「5Gギガホ」はデータ容量無制限で月4480円(消費税抜き)からと現状の4Gプラン「ギガホ」より500円高い。


料金の安さを求める消費者の傾向は、5Gを用いたサービスの利用意向調査でも浮き彫りになった。「スタジアムやホールで観客が撮影した動画がリアルタイムで共有され、現場の一体感を遠隔地でも楽しめる機能を有料で利用したい」と答えた割合は5・3%、「仮想現実(VR)ヘッドセットなどを用いて高画質な3次元(3D)パノラマ映像から視点を自由に切り替えながらスポーツ観戦できる機能を有料で利用したい」と答えた割合も5・6%にとどまった。無料であれば利用したいと答えた割合は、それぞれ51・4%、45・7%だっただけに、通信料金以外で支払う必要がある付加的な料金の支出には慎重と言える。


「旅行先など遠方で医師の診断を受ける際、地元のかかりつけの病院からカルテ等を送ってもらえる機能を有料で使いたい」と答えた割合も11・9%にとどまった。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大以前の調査結果のため、コロナ禍の状況では「医療」「教育」関連機能を有料でも使いたいユーザーは増えそうだ。



総務省がまとめた「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」では、5Gに対する企業の意識調査を行った。5Gへの関心の有無については66・7%が「関心がある」と回答。業種別では、製造業が最も関心が高く、74・8%が「関心がある」と答えた。以下、情報通信業の74・5%、商業・流通業の63・4%が続く。


関心のある5Gの特徴を尋ねた質問では「超高速・大容量」が69・4%で最多だった。以下、「超低遅延」の52・2%、「多数同時接続」の41・7%となった。






企業が想定している5Gの活用場面についいて聞いた質問では、製造業では「屋内の生産、製造現場」、情報通信業やサービス業では「サービス開発」、エネルギー・インフラでは「屋外の生産、製造現場」が最も多かった。


■工場監視・作業支援・自動化 製造現場スマート化
情報通信白書では、産業別の5G実装効果をまとめている。製造業では三つの利用事例を示した。このうち「工場内のモニタリング」では、工場内に設置した高精細カメラからの映像を5G経由で伝送することにより、リアルタイムで設備や機器の状況監視を行うことができる。IoT(モノのインターネット)センサーによる工場の“見える化”は従来から行われているが、5Gの超高速大容量化で4K・8Kなどの高精細映像の伝送が可能となり、より正確で精緻なモニタリングを可能にする。


住友電気工業とソフトバンクは、5Gを用いて工場内のカメラやセンサーから設備の稼働状況や作業者の動きをリアルタイムに収集する実証を行う。データを人工知能(AI)で解析することで、設備や作業者の異常を自動検知する検証も実施する。


「作業支援」では、拡張現実(AR)ゴーグルなどを使いながら補完的に現場作業を円滑に行えるようにし、遠隔からの指導にも活用できるようにする。オムロンとNTTドコモ、ノキアグループが行う実証では、設備データや作業者の作業動線を撮影した映像データなどを収集し、AIで解析。熟練者との違いを作業者へリアルタイムにフィードバックすることで生産性の向上を目指している。5Gで生産設備を無線ネットワーク化し、オムロンの自動搬送ロボを組み合わせることで、工程ごとに切り離した「レイアウトフリー生産ライン」の構築にもつなげる。




レイアウトフリー生産ライン(イメージ)

「設備等の自動化」では、工場自動化(FA)、プロセス自動制御(PA)技術を5Gによりワイヤレス化することで、IoT(モノのインターネット)による生産ラインからのビッグデータ(大量データ)収集、生産設備の遠隔制御を実現する。


三菱電機とNECは5Gを介したFA―ITソリューション「e―ファクトリー」の高度化に向けた実証を進める。工場内で稼働する複数の無人搬送車のスマート運用、工場内の情報と公衆網の情報をつなげてサプライチェーン(供給網)全体を最適化し、需要変動に臨機応変に対応できるスマート生産の実現につなげる。製造業における5Gの活用は技能伝承に加え、労働力不足の解消にも役立ちそうだ。

外部リンク

cat_11_issue_oa-newswitch oa-newswitch_0_q84obc8qon0c_プラスチックの新用途にロボット、金属の代替で軽量化なるか? q84obc8qon0c q84obc8qon0c プラスチックの新用途にロボット、金属の代替で軽量化なるか? oa-newswitch 0

プラスチックの新用途にロボット、金属の代替で軽量化なるか?

化学各社は、プラスチックなどの新たな用途として、ロボット分野の開拓に注力している。三井化学は特にユニークな活動を展開。メルティンMMI(東京都中央区)のアバターロボット実証試験機「MELTANT―β」のスキン向け素材や、人間の拍手を再現したロボハンドを開発した。ロボの部材は金属製が多く、プラ代替による軽量化も期待される。(梶原洵子)


三井化学は、MELTANT―βのスキン向けに、弱い力でも伸びて元に戻る特徴を持つ素材「アブソートマー」を配合したシートを開発し、供給している。ゴム弾性の強い素材をスキンに使うと筋トレのように多くのエネルギーを消費するが、弱い力で伸びるアブソートマーによって余分なエネルギー消費を抑えられる。また熱をかけてつなぎ合わせられるため、縫製で穴を開けずに済み、防滴防塵性を実現した。「デザイナーさんがやりたいことと素材屋の技術を組み合わせると、面白いことができる」(三井化学)という。


また同社は拍手や声で人を楽しませる、バイバイワールド(東京都品川区)のエンターテインメントロボ「ビッグクラッピー」向けに拍手ハンドを開発した。肌に近い感触のゲル新素材をベースに、素材の分子構造を変えて硬度や反発性の異なる拍手ハンドを作り、音響テストで最適な素材を選んだ。


三菱ケミカルは、自動車などで軽量化部材として使われているエンジニアリングプラスチック製品を、ロボ分野でも販売拡大を図る。軽量化による動作時のエネルギー削減は、車もロボも共通の課題だ。また新たな素材も、ロボ向けにサンプルワークしているという。


ENEOSは、熱刺激で伸縮するエラストマー系新素材を開発した。将来、介護や体の動きを補助する用途でソフトアクチュエーターとしての採用を目指す。


介護ロボや体の動きを補助する装着型ロボの開発は多様化しており、柔らかく、音の出ないアクチュエーターが求められる分野も出てくると予想する。

外部リンク