11月20、21日に東京・東京ドームで乃木坂46の全国ツアー「真夏の全国ツアー2021」のファイナル公演が開催された。
7月の大阪公演を皮切りに、宮城、愛知、福岡で行われてきた「真夏の全国ツアー2021」 。ファイナルの東京ドーム公演は当初9月に実施される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2カ月延期に。乃木坂46の東京ドーム公演が行われるのが2017年の「真夏の全国ツアー2017」以来4年ぶりということもあり、メンバーにとってもファンにとっても待望の開催となった。さらに21日の公演は10年間グループを明るく支えてきたムードメーカーであり、小説家としての顔も持つ1期生・高山一実のラストライブに。この記事ではその2日目公演の模様をレポートする。
開演直前には2018年上演のミュージカル「美少女戦士セーラームーン」に高山とともに“Team MOON”として出演した樋口日奈、伊藤理々杏、山下美月の3人が影ナレを担当。そしてとうとう開演時刻になると、巨大なスクリーンにオープニングムービーが映し出されたのち、おなじみの「OVERTURE」が流れ始め、会場が大きな期待感と乃木坂46カラーであるパープルのペンライトの光でいっぱいに。ステージにメンバーのシルエットが浮かび上がるのと同時に、1曲目「ごめんねFingers crossed」がスタートした。勢いよく花道を駆け抜けた彼女たちは、センターステージから360°全方向にパフォーマンスを届けたり、さらに3方向に伸びたサブステージに散らばって歌唱したりと、広い東京ドームに笑顔を充満させる。このほか、序盤のブロックではシングルの表題曲が惜しみなく披露され、「太陽ノック」の曲中にはトロッコに乗ったキャプテン秋元真夏が「アメイジング!」という高山の決めゼリフを元気よく叫ぶ。「おいでシャンプー」ではメンバーを乗せて上昇していくセンターステージに観客の視線が釘付けになった。
今回の「真夏の全国ツアー」では事前に募ったリクエストをもとにシングル表題曲、カップリング曲、アンダー曲、ユニット&ソロ曲といった各カテゴリーのトップ10を選出する結成10周年特別企画を実施。東京ドーム公演の2日目でもそのランキングの中から楽曲が披露された。まずはドラマおよび映画「映像研には手を出すな!」に出演した齋藤飛鳥、山下、梅澤美波のトリオがパン型のブローチを付けたユニークな格好で登場し、ユニット&ソロ曲で1位になった映画の主題歌「ファンタスティック3色パン」を歌唱。続く「せっかちなかたつむり」では高山のほか、同じくグループからの卒業が決定している生田絵梨花や新内眞衣よる貴重なパフォーマンスにファンが夢中になり、カップリング曲1位の「ひと夏の長さより…」ではメンバーたちが高山へのメッセージをしたためたスケッチブックを掲げて涙を誘う。インストゥルメンタルのダンストラックで会場の空気が引き締まったあとは、アンダー曲1位のクールなナンバー「日常」、シングル表題曲1位のサマーチューン「裸足でSummer」と続き、最後は与田祐希がセンターを務める「全部 夢のまま」でランキングのブロックが締めくくられた。
齋藤が「ずー(高山)との一番の思い出は、ごはんの約束をドタキャンしたことです」と語るなど、和やかな雰囲気のMCを挟みつつ、ライブはメンバーが期別に分かれてパフォーマンスするブロックへ。4期生が人気曲「I see…」で会場のボルテージを上昇させたのを皮切りに、3期生が「トキトキメキメキ」、2期生が「アナスターシャ」をそれぞれ堂々と披露。高山を含む1期生は2012年発表のデビューシングル「ぐるぐるカーテン」のカップリング曲である「失いたくないから」を歌い、場内をセンチメンタルなムードで満たした。その後は「Route 246」や「僕は僕を好きになる」などのシングルの表題曲が次々に畳みかけられる。乃木坂46の代表曲の1つである「インフルエンサー」ではステージ上から炎や火花が噴出。メンバーは結成10周年を迎えた証として貫禄あふれるライブを繰り広げ、観る者を圧倒した。
ライブ終盤にはこれまでの10年間の歩みを振り返る映像が上映されたのち、3期生や4期生の若手メンバーが力強い決意の言葉を口にしていく。凛々しい表情を浮かべた山下が「乃木坂46は私たちが守り続けます!」と宣言すると、秋元は「新しい時代を作るのはここにいる後輩たちです。これからも後輩たちと一緒に乃木坂を育て、成長させていきたいと思います。乃木坂46をこれからもよろしくお願いします」と頼もしくしっかりとした口調で挨拶。彼女の「10年の感謝の気持ちを込めてこの曲を送りたいと思います」という曲振りを合図に、乃木坂46はセンターステージで円陣を組んで全力でかけ声を叫び、これまでも大切に歌い紡いできた「きっかけ」を歌唱した。この曲では全メンバーが1パートずつソロで歌をつないでいく特別な演出が展開され、場内に降り注ぐ紙吹雪も相まって1人ひとりの歌声が観客の胸にエモーショナルに響いた。
その後、ライブは齋藤の熱い煽りとともにラストスパートに突入。「Sing Out!」では観客が曲に合わせてクラップやスティックバルーンを鳴らし、東京ドームに大きな一体感が生まれる。また「夏のFree&Easy」や「ガールズルール」ではメンバーがバルーンに乗って宙高く上昇し、2階席の後方まで隅々に屈託のない笑顔を振りまいた。さらに最新シングル「君に叱られた」でファンを大いに沸かせた乃木坂46は、結成10周年を記念して制作されたナンバー「他人のそら似」を披露。秋元の「皆さんのおかげで結成10周年を迎えることができました。本当にありがとうございます。そして来年はデビューした年から10年を迎えます。その新しい節目とこれから起きる変化、どちらも必ず私たちはプラスに変えます。これからも乃木坂46をよろしくお願いします」という言葉をきっかけに、メンバーが客席に向かって一斉に頭を下げたほか、ファンへのメッセージがつづられた巨大な垂れ幕が宙に浮かぶバルーンから吊り下げられ、会場が温かく感動的な空気で包まれた。
アンコールになると、淡い水色のドレスに身を包んだ高山が1人でセンターステージへ。水色とピンクのペンライトの光できれいに染まった客席に向け、「君に叱られた」にカップリング曲として収録されているソロ曲「私の色」を歌い上げた。「誰かと比べることはないけど 私は私らしく生きて行きたい」という歌詞にありったけの思いを詰め込んだ高山は「実は10年間、ずっと悩んでいたことがあります。それは最後の日に何を語るかです」と切り出し、「今のメンバーも昔のメンバーも、10年間乃木坂のメンバーのことが大好きです。今のメンバーは努力家でおしとやかな子が多くて、心がすごく優しくて暖色な空気をいつも得られています。昔のメンバーといろんなくだらないことをして笑った日も大好きだし、来世でも乃木坂になりたいと思うくらい好きでした」とメンバーへの感謝の気持ちを言葉に。続いてスタッフ、友人、家族への思いを語ったあと、「最後にこんな素敵な景色を見せてくださってありがとうございます」「がらがらの握手レーンのときも、こんなにたくさんの方に囲まれている今もずっと幸せでした。皆さんに与えられた幸せを胸に、これからの人生もがんばっていきたいと思います。皆さんは幸せを作る天才です。天才と過ごせて私は幸せでした。どうかさよならではなく、これからもよろしくお願いしますと言わせてください」と瞳を潤ませつつも晴れやかな表情でファンに呼びかけた。
胸の内から湧き上がる感情を伝え終えた高山は、メンバーと一緒に「サヨナラの意味」を歌う。10年間の思い出の写真が映し出されるスクリーンをバックに、前向きな歌詞が並んだ卒業ナンバーを響かせ、「偶然を言い訳にして」「君の名は希望」の曲中にはバルーンで場内を回ってファンの姿を目に焼き付けた。次のMCでは同じ1期生で、高山の親友である和田まあやが「ずーがいたから私は乃木坂46の活動がより楽しかったし、ずーに出会えたことが本当にうれしくて……ずーに会うとすごく元気が出て、周りのみんなもすごく楽しそうで」と涙ながらに別れを惜しみ、「今までたくさんお世話になったし、これからもたくさんお世話になろうと思います。本当に10年間お疲れ様でした」と卒業を祝福した。
そして高山の「今までの人生、たくさん助けてもらいました。歳を重ねていっても楽しいこと、つらいことがあると思います。でも、一緒に乗り越えましょうね」という柔らかな語りを経て、ライブの最後に披露された楽曲は「泣いたっていいじゃないか?」。曲中にメンバーから鮮やかな花束を受け取った高山は「本当に幸せでした! 10年間、本当にありがとうございました!」と改めて感謝の思いを叫ぶ。すると、会場のファンは「卒業アメイジング」と書かれた紙をサプライズで一斉に掲げ、最後の最後まで高山に愛と幸せを届けた。
乃木坂46「真夏の全国ツアー2021」2021年11月21日 東京ドーム セットリスト
SE. OVERTURE
01. ごめんねFingers crossed
02. ジコチューで行こう!
03. 太陽ノック
04. おいでシャンプー
05. シンクロニシティ
06. ファンタスティック3色パン
07. せっかちなかたつむり
08. 錆びたコンパス
09. ひと夏の長さより…
10. ありがちな恋愛
11. 日常
12. 裸足でSummer
13. 全部 夢のまま
14. I see…
15. トキトキメキメキ
16. アナスターシャ
17. 失いたくないから
18. Route 246
19. 僕は僕を好きになる
20. インフルエンサー
21. きっかけ
22. Sing Out!
23. 夏のFree&Easy
24. ガールズルール
25. 君に叱られた
26. 他人のそら似
<アンコール>
27. 私の色
28. サヨナラの意味
29. 偶然を言い訳にして
30. 君の名は希望
31. 泣いたっていいじゃないか?
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