ドナルド・トランプ氏は常々、「自分はあらゆる方面から攻撃されており、世間からひどく不公平な扱いを受けている…」といった印象をわれわれに与えようとしています。
8歳にして大富豪になった彼の、そんな物言いには同意しかねます。ですが、ある1点においては、「彼は正しい」と言えるのです。それは、「多くのミュージシャンに毛嫌いされ、自らの集会で彼らの音楽を使わないよう求められている」ということ。
そして、そんなトランプ氏に楽曲の使用禁止を求めるミュージシャンのリストに、このたび新たに名を連ねることとなったのがアクセル・ローズ(ガンズ・アンド・ローゼズ)とリアーナ。ローズは「Sweet Child O' Mine」、リアーナは「Don't Stop The Music」の使用をやめるよう要求しています。
ローズはTwitter上で、「不幸にも…トランプは自らの選挙キャンペーンのさまざまな会場で、音楽著作物の演奏権団体と放送事業者の間に取り交わされる包括的使用許諾契約の抜け道をくぐり抜け、われわれの制作サイドの許可なしに曲を使用している…あんな卑怯な政治目的のためにだ。『クソ野郎』だろ?」と説明しています。
もちろん、ローズを支持したいところなのですが…だからといって、トランプ氏による楽曲使用をやめさせることができるわけではありません。トランプ氏は、曲を使われたミュージシャンたちが嬉しく思っているかについては、基本的にほとんど関心を払っていないからです。
それでもミュージシャンたちは、トランプ氏に楽曲使用をやめるよう要請し続けています。今回はそんなトランプ氏とミュージシャンたちのいがみ合いに注目してみました。
ファレル・ウィリアムズ
米ペンシルベニア州ピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で、最近発生した銃乱射事件。ここで11人の犠牲者が出ましたが、トランプ氏はそんな悲劇の数時間後に行われた「フューチャー・ファーマーズ・オブ・アメリカ」の集会で、よりにもよってファレルの「Happy」を流してしまったのです。
ファレルはもちろん、このことについて抗議しました。
彼の代理人を務めるハワード・キング弁護士は、「クレイジーな国粋主義者の手によって、11人もの罪のない人々が殺害されたその日、あなた(トランプ氏)はインディアナ州の政治集会でファレルの『Happy』を流したんです」と投げかけたのち、「あの土曜日に米国で起きたことは、悲劇以外何ものでもありません。あのタイミングで、楽曲『ハッピー』をかけることなど理解できません。今後、この曲をこのような目的で使用することは許可しません。ファレルはあなた(トランプ氏)に対し、公の場で自分の楽曲を使用したりすることは一切許可を与えることはありません」と強く警告しています。
スティーブン・タイラー(エアロスミス)
タイラーの代理人は2015年、集会で『Dream On』を使用していたトランプ陣営に対し、2度にわたって使用中止を要請。
それに対しトランプ氏は、「スティーブン・タイラーの楽曲を使用する法的許可は得ているが、彼は使うなと言っている。他にもっといい曲があるだろう」と言って、最終的に応じていました。しかしながら2018年10月には、トランプ氏はエアロスミスの『Livin' On The Edge』を集会で使い始めるのです。
関係者は再び、同じことを仕出かしたのでした。
ザ・ローリング・ストーンズ
トランプ氏は集会を盛り上げるために『Start Me Up』や、なぜか『You Can't Always Get What You Want』を使うのを好みました。ですがミック・ジャガーや他のメンバーたちは、これに猛抗議。
彼らは「ザ・ローリング・ストーンズはドナルド・トランプを支持しない」とツイートし、「『You Can’t Always Get What You Want』はバンドの許可なしに使われた」と付け加えています。
残念ながら彼らの要求は受け入れられておらず、トランプ氏は現在も選挙運動でこの曲を使用しているのでした…。
クイーン
トランプ氏による『We Are the Champions』の使用に対し、ブライアン・メイやロジャー・テイラーは不快感を表明しました(元メンバーのジョン・ディーコンも怒ったことでしょう)。
メイは、「クイーンの音楽を政治運動の道具として使うことは、これまでの私たちの方針に反すること」とコメントしています(ちなみにクイーンは1984年、国連の反アパルトヘイト運動の一環で文化的ボイコットを受けていた南アフリカにあるボプタツワナのサンシティでコンサートを開催したときにも、このセリフを使っていました)。
しかしトランプ氏は、その後もクイーンの曲を使い続け、同バンドは「自分たちの要求は、明らかにトランプ氏と彼の選挙運動に無視されている」と苛立ちを示しています。
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