少しずつお腹も大きくなってきて、日に日に赤ちゃんに会える楽しみが増してくる妊娠後期に突然足をつるようになった…そんな声をよく聞きます。ふくらはぎが突然に強い痙攣を起こす症状を「こむら返り」といい、全妊婦の実に60%が不快な症状として挙げています。
妊婦がこむら返りを起こしやすい理由は科学的に解明されていて、避けることができません。正しい対処法と予防法を身につけて、こむら返りと上手に付き合いましょう。
こむら返りとは?
こむら返りは、ふくらはぎの痙攣のことを指します。健康な人でも本人の意思とは関係なく痛みを伴う筋肉の収縮が起こりますが、通常は数分以内に治まります。
ふくらはぎ以外の筋肉にも起こることがありますが、ほとんどはふくらはぎに症状があらわれます。健康な人にはそれほど頻繁には起こらないといわれていますが、妊娠中は夜寝ている時などにこむら返りが起こりやすくなります。
高齢者や激しいスポーツの最中に発症することが多いのですが、妊婦の不快症状の上位にも上がっています。お腹が大きくなって下半身の血流が悪くなるためといわれていますが、症状が出るのは全妊婦の40~60%にも上るといわれています。
妊娠中にこむら返りが起こる理由
こむら返りの直接的な原因は、ミネラル不足による筋肉の異常な収縮です。また、筋肉の収縮に大きな役割を果たしている血液中のイオンやカリウム、カルシウムといった電解質のバランスが乱れについても大きな原因であるといわれています。
妊娠後期になると、こむら返りの発生頻度が多くなりますが、睡眠中は脱水症状をきたしやすいため更に頻度が高くなります。さらに、寝ている時に足が伸びている状態が続くとこむら返りをおこしやすくなるともいわれています。
■1.ホルモンバランスの崩れ
妊娠すると女性の身体は胎児の成長を促すためにホルモンのバランスが崩れます。
また、胎児の成長に合わせて子宮も広がり、更に子宮が骨盤を内側から圧迫するのでスムーズな骨盤の広がりが必要となります。特に妊娠後期は骨盤を柔軟にするためのホルモンが多量に分泌されるので、血液バランスも崩れやすくこむら返りを起こしやすくなります。
■2.骨盤の緩み
骨盤を柔軟にするホルモンの働きで妊娠後期に入ると徐々に骨盤が緩んでいきます。
骨盤が緩んでいると脚の筋肉は引き伸ばされた状態になるのですが、それに反するようにふくらはぎの筋肉は元に戻ろうとします。
この引っ張り、引っ張られる状態が、脚に不負荷がかかる度に起こることでふくらはぎの筋肉は急激に収縮しようとします。そのため、妊娠中は立ち上がったり座ったりなどの些細な動きでも足がこむら返りを起こしてしまいます。
■3.お腹が足の血管を圧迫
妊娠中期を過ぎると、それまで緩やかに膨らんでいたお腹が急に大きくなります。
順調に胎児が成長している証拠でもあるのですが、子宮が大きくなり下腹部が膨らむことで脚の血管が圧迫され、下半身の血液の循環が悪くなってしまいます。
血流が悪いと下半身に運搬される電解質も不足し、こむら返りが起こりやすくなります。
■4.カルシウムやマグネシウムの不足
妊娠中の母体の身体は胎児に栄養分を送るため、母体側の栄養が不足することがあります。
特に妊娠中はミネラルやカルシウムが不足しやすく、こむら返りが起こる原因の一つとなっています。こむら返りが頻繁に起こる場合は食生活から見直してみましょう。想像以上に必要な栄養素が足りていない場合もあります。
こむら返りの対処法
妊婦だと避けることが難しいこむら返り。日中でも、睡眠中でも構わずに起こります。実際にこむらが返りが起こってしまった時には少しでも早く適切な対処をすることで収縮を治め、痛みを和らげてくれます。
筋肉が痛むと強くマッサージをしたり、冷やしたりする人がいるかと思いますが、これらの対処は場合によってはこむら返りを悪化させてしまいます。
正しい対処法を身につけて、少しでも早くこむら返りを治しましょう。
■1.歩く
こむら返りに限らず足に痙攣が起こると座り込んでしまうケースが多いですが、歩くことが一番のストレッチになります。伸ばすべき場所が自然と伸びて痙攣を和らげてれるので、痛みがあっても立ち上がって歩くようにしてください。
ただし、あまりに激しい痛みで転倒の恐れがあるときは、痛みのピークが過ぎるまで待ってから歩いてください。
■2.ふくらはぎを伸ばす
腰を下ろした状態で、こむら返りを起こしている足の指を掴み、ふくらはぎを伸ばすように意識しながら身体側に引っ張ります。
この状態を8秒キープし、元に戻します。これを痛みが和らぐまで繰り返してください。即効性のある対象法となります。
■3.温める
こむら返りは筋肉の冷えが原因のケースもあります。炎症を起こしている場合は冷やすことが必要ですが、冷えによって血行不良を起こしている場合は温めることが重要となります。
一番良いのは入浴して下半身全体を温めることですが、こむら返り中の入浴は難しい場合がほとんどです。そんな時は温湿布で温めるのがおすすめです。
こむら返り対策として温湿布を準備しておくと安心です。かわいいデザインの温湿布もたくさんあるので、お気入りを見つけてください。
■4.マッサージや足ツボ
患部を優しく摩ったり、こむら返り解消に効果的なツボを押したりすることも痙攣緩和に繋がります。
刺激し過ぎないことが大切なので、マッサージ器具などを使って強く押すことは避けましょう。あくまで筋肉の緊張を解き、血流を促すイメージで優しく行ってください。
詳しいツボの場所は下記の記事を参照してください。
こむら返りの予防法
こむら返りの予防に効果的なのは、血流を良くするための習慣と、食生活でのミネラルの適正な摂取です。
入浴の習慣やマッサージ習慣、自炊での栄養コントロールで、大きな効果を期待できます。妊娠中は大きなお腹を抱えているので少し動くだけでも億劫になりがちですが、辛いこむら返りを予防するためにぜひ実勢してみてください。
■1.入浴
シャワーで済まさず、しっかりと浴槽に漬かって全身を温めるようにしてください。血行が良くなり、筋肉が解れてこむら返りの予防に繋がります。
全身浴が厳しい場合には半身浴や足湯でも問題ありません。就寝前に入浴できると更に夜間のこむら返りの予防になります。入浴中に軽くふくらはぎをマッサージするのもおすすめです。
■2.軽いマッサージ
いつでもどこでも簡単に実践できるマッサージもこむら返りの予防になります。ながらストレッチを習慣づけて、日々の生活に取り入れてみてください。
入浴後の体が温まっている時に、アキレス腱を伸ばしたり、ふくらはぎをマッサージしたりすることで血液循環を促すとよいでしょう。軽いマッサージでも想像以上に効果が発揮されます。
■3.運動不足の解消
こむら返りを解消するには、適度な運動をすることも大切です。長時間同じ姿勢でいることを避け、デスクワークの場合は合間にストレッチや歩行をすることを心がけてください。
また、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れることも効果的です。ただし、ウォーキングもやり過ぎると筋肉に疲労物質が溜まってしまうので、気持ち良い程度で切り上げるようにしましょう。
■4.食生活を見直す
妊娠後にこむら返りをよく起こす人は、下記の栄養素を積極的に摂るようにしましょう。
・カルシウム:乳製品、乾燥した魚介類、豆類など
・マグネシウム:ナッツ類、海藻類、大豆製品など
・ビタミンB:豚肉、レバー、うなぎなど
こむら返りの原因となる電解質不足を補うために、毎日の食事の中に1品加えるように意識してください。
■5.寝る姿勢に気を付ける
就寝時は脚を高く上げるのことでこむら返りを防ぐことができます。
足元をクッションや布団で少し高くして仰向けで寝るのが理想的ですが、仰向けが苦しい場合には横を向いて上になった脚をクッションの上に乗せるなど、少しでも足の位置を上げる工夫をしてみてください。
こむら返りは意識するだけで予防できます
妊娠するとさまざまな理由でこむら返りが起こりやすくなります。完全に予防することは難しいですが、日々の生活を少し意識するだけで症状を緩和することができます。
大きいお腹と安定しない体調の中で、日々のマッサージやバランスの取れた食事を実践するのは難しいですが、繰り返すこむら返りは妊婦生活を更に辛いものにしてしまいます。
できる範囲で対策をして、こむら返りに悩まされない毎日を送ってください。
※引用元はすべて”外部リンクの記事”から確認していただけます。