仕事にお金、住まいなど、これからの暮らし方に悩むことも多い40代。日々を楽しむために、「自分が大切にしたいことを暮らしに取り入れて、いらなくなったものをなくしている」と言う人気モデルでデザイナー、母でもある香菜子さん。今年で45歳を迎えた彼女が、40代からの暮らし方をまとめたフォトエッセイ『毎日、無理なく、機嫌よく。』(すばる舎)から、気持ちを軽くして日々を過ごせるヒントを連載形式でお届けします。
「風邪をひきそう」に敏感になる
「風邪ひいたかも......」
1年に何度かこういう瞬間があります。
よ~し、このまま2~3日寝込むかあ。
こんなことができたら、どんなにいいでしょう。
できることなら日頃の疲れも一緒に出して、ゆっくりしたいところですが、そうもいかない。
朝食作り、掃除、洗濯物、仕事、献立決め、食材の買い出し、夕飯作り......。
食事は外食や弁当を買ってくるなどなんとかなりますが、ほかは休めば休んだだけ溜まっていく一方です。
ここで、なぞなぞ。
寝込んでいる間に溜まっていくもの、な~んだ?
それはホコリと洗濯物(あ、仕事もか!)。
わたしはいつも顆粒の漢方薬を2種類持ち歩いていて、ひとつ目はおなじみ葛根湯。
これは寒気を感じたときに飲みます。
もうひとつは銀翹散(ぎんしょうさん)。
こちらはのどが痛いときに飲みます。
どちらもすぐに飲むことが風邪を短時間で終わらせるポイントだと、漢方の先生に教えてもらいました。
だからいつも持ち歩いています。
お守りのような存在でもあります。
会った人が「風邪ひいたかも」となったときも、お役に立てればいいな、と渡しています。
気をつけていたのに風邪をひいてしまったときは、絶対に翌日に持ち越したくない。
明日の仕事は絶対に穴を開けられない。
こんなこともしょっちゅう。
そんなときは、家族に宣言。
「わたしは風邪をひきました。各自、夕飯はなんとかしてください。そしてもう寝ます」
そう。
いかに早く寝られる環境にするかもポイント。
水分を枕元に用意し、肩甲骨と肩甲骨の間(背中の真ん中)に小さなカイロを貼って布団に入ります。
すると、寝ている間に汗がどんどん出てきます(低温やけどに注意!)。
そして一度着替えて、また寝ます。
すると、だいたい翌朝にはスッキリ。
病原体をだしきったな、と感じます。
ちょっと気合勝負!
みたいなところもあるので、多くの人におすすめはできませんが、わたしの場合はだいたいこれで乗り切っています。
風邪はデトックスに絶好のチャンス。
「日頃の疲れや、どうにもならないこと、言葉にできず、ぐっと飲み込んでしまったようなこと。風邪のときは、きっとそんなものを外に出しているんじゃないかなあ」
こんな話を聞いたこともあります。
布団に入り、うとうとしながら、
「お疲れさま、自分。今日はゆっくり休んでいいよ」
脳内では自分の頭をぽんぽん、やさしく撫でているイメージです。
2~3年に一度、1日では治らず、寝込んでしまうこともありますが、そんなときは各方面に「ごめんなさい」をして、神様からもらった休養だと割り切って、ゆっくり休むことにしています。
風邪をひくということは、案外悪くないのかもしれませんね。
外出時の常備品。マスクは花粉症対策のため。ホッカイロは寒さ対策のため。冬場は腰に貼っていることが多いです。
葛根湯入り常備ポーチ。顆粒のスティックは場所をとらず持ち歩きやすい。人にあげてもいいように、顆粒スティックを6本くらい常に持ち歩いています。
Aésopの、手の消毒用ジェル。NOVA SCOTIAの、のどスプレー。どちらも予防のため。CBD RESCUE ROLL ONの、ミントの香りが爽やかなオイルは、人混みなどで疲れたときに、こめかみや首のつけ根に塗ってリフレッシュ。
Pukkaの「Herbs, Night Time Tea」。ラベンダーとライムフラワーの香りが落ち着く。眠る前におすすめ。水筒に入れ、泊まりロケなどに持っていきます。
写真/砂原 文
「自分のものさし」「体と心の管理」など、5つの視点で「40代の自分」との向き合い方がわかるヒントが散りばめられています
香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。在学中にモデルを始め、1998年に出産を機に引退。2005年、第二子出産を機に雑貨ブランド「LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)」を設立。2008年にイラストレーターとして活動を開始し、モデル業も復帰。2018年には架空のホテル「VILHELMS」を作り、備品などイメージしたプロダクトの制作を開始。著書に『普段着BOOK』(主婦と生活社)、『香菜子さんのおとな服練習帖』(宝島社)などがある。