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頼もしい同期コンビ

2019年10月8日 17:00 西武ライオンズ

 山川穂高と森友哉。2人は入団した翌日からずっと一緒だ。

 メットライフドームで試合がある日は球場に1番乗りで入り、他に誰もいないグラウンドを2人で並走すれば、移動中のバスだっていつも2人は隣同士の席だ。

 今シーズンは自身も納得する数字ができなかった山川だが、その中でもとにかくチームを勝たせるためにスタイルを変えた姿に森は感動したという。

「常に本塁打を狙っている山川さんが、バットを短く持つようになったりして…。チームの勝利のことだけを考えてくれているんだなと知ったときは嬉しかった」。

 そして山川も「そうしないと打てないなと思う自分もいたし、シーズン前に公言した50本はあっさり捨てられた。タイトルよりも優勝したかった。でもこの経験はきっと来年に生きてくる」と自信を持って返した。

 そんな2人は一緒にいるときはいつも野球の話ばかり。そして、後輩の教育にも目が届くようになった。

 自主トレではどんどん率先して練習を促す山川、シーズン中に1軍帯同しながら出場機会の少ない後輩には「ベンチで何かできることあるんじゃないの?」と助言する森。

 本塁打王と首位打者、若い強打のコンビがチームに与える影響は大きい。

「同期で2冠を取ることができてうれしいし、なんだか栗山さんと中村さんみたいだね」と目を合わせる。次にふたりが目指すものは悲願の“日本一”。

 9日から始まるクライマックスシリーズでも2人がチームを引っ張って、昨年の雪辱を果たしてくれるはずだ。

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cat_19_issue_oa-lionsnews oa-lionsnews_0_f5d3408417f8_ハタチのバットマン 西川愛也 f5d3408417f8 0

ハタチのバットマン 西川愛也

2019年10月8日 17:00 西武ライオンズ

 思わぬ祝福の嵐に顔を真っ赤にして照れた。

 その青年は端正な小顔を西武第二球場に照り付ける太陽でこんがり焼いた若干ハタチのバットマン、西川愛也。

 身体中バネと思わせる柔らかいフォームからシュアなヒットを連発、9月は82打数28安打と打ちまくり、3割4分1厘の好成績で「9・10月度スカパー!ファーム月間MVP賞」を受賞した。

 10月2日の練習後、一軍との紅白戦が行われるメットライフドームのベンチ裏で「吉報」を知ったチームメイトたちがニコニコしながら西川のもとに近づいてきた。

「よかったな」
「おめでとう」

 謙遜する西川を面白がって周囲は大騒ぎ。

「も~そんなやめてくださいよ」と笑いながら照れる西川にお構いなしで、大きな拍手が響き渡った。

 西川にとって目の前で祝福してくれている選手たちはみなライバル。当然、その選手たちにとっても西川は手ごわいライバルだ。

 成功を喜びあいながら、切磋琢磨する雰囲気が埼玉西武ライオンズのファームにある。

 その笑顔の群れをよく見てみた。

 時折、祝福と冷やかしの目が「敬意」をのぞかせる。

 綱島龍世、鈴木将平、中熊大智、その場に居合わせた彼からは「俺たちだって来年はやるんだ!」という来季に懸ける想いを感じ取った気がした。

「1年間考えながら練習を重ねてきて、その結果が月間MVPにつながって嬉しい」。西川は受賞の喜びをそう語った。

 努力と成長の証が形となって表れた西川。そして、ハタチの青年に負けまいと、もっとバットを振ろうとする若手が大勢いるのだから、このチームの近未来も、面白い。

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レオの守護神 みんなの夢を背負い

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 ライオンズナインにとってリーグ優勝の喜びは昨年とはまた違う。


 秋が深まるにつれその存在感、安心感を確固たるものにしていったレオの守護神、増田達至は、初の胴上げ投手を経験し「一年間やってきたかいがありました」と振り返った。

 そしてその安心感はブルペンやベンチではもちろん、選手ロッカーでも放たれていたようだった。

 時には髙橋光成をいじったり、ニールに日本語を教えたり。投手陣のコミュニケーションの中心に増田の姿があったように思える。

 平井克典が痛打を浴びてチームが敗れたある日の試合後、小川龍也とともに寄り添うように一緒にロッカーを出てきたのも増田だった。

 チームが勝って優勝を決めたのは2004年のプレーオフまで遡る。

 そのマウンドにいたのは増田と同じ背番号14をつけたことのある石井貴現楽天二軍投手コーチ。多くの若手を育て慕われてきた投手陣のリーダーだった。そして日本シリーズでは2試合に登板し2勝、計13回を無失点に抑えMVPに輝いた。

「胴上げ投手は誰もが味わえるものではないし最高にうれしかった」

 昨年は不調でファームで調整する期間もあっただけに9月24日のマウンドは増田にとってかけがえのない場所だった。

 もちろん、背番号14の挑戦はまだまだ続く。

 日本シリーズでは15年前、中日打線相手に仁王立ちしたあの男の雄姿に増田を重ねてみる。

みんなの夢を背負い、セ界の王者に直球を唸らせるその姿はきっと我々の心を躍らせてくれる。

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歓喜の夜に見た秋山の気遣い

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 1年間、激闘を繰り広げてきたナインたちが無邪気にビールを掛け合っている姿を、会場の脇から、後藤オーナー、居郷社長が微笑みながら眺めていた。

“今日は思いっきりやってくれ、一年間本当にお疲れ様”

 そんな優しい表情に見えた。昨年、10年ぶりのリーグ優勝を果たした時、2人とも祝勝会に参加しともに美酒を味わった両氏。その姿が今年は会場の外にいることを真っ先に気づいたのが、キャプテン・秋山翔吾だった。

 秋山は2人にビールをかけると、「着替えを持ってきていないんだよ」と後藤オーナー。

「準備が足らないっすわー」。秋山はそう言って笑って去っていくのであった。

 キャプテンとしてチームを率いて勝ち取った優勝は格別だったはず。

 秋山が祝勝会会場から出てきたのは一番、最後だった。きっとスタッフたちとの記念撮影やメディア関係者に感謝の意を伝えていたのだろう。 

 どんな状況でも秋山の気遣いには驚かされる。
 ビジター球場にて1番打者としてスタメン出場する場合、「始球式を行う投手」の対戦相手になるのが秋山だ。
 ご存知の方もいるかもしれないが、秋山は必ず、空振りをした後に「パン、パン、パン」と手を三回叩く。  それは始球式を行った人に対する「ナイスピッチング」の意味だ。

 あれを始めたきっかけって―。そんな質問は秋山の回答を聞いて野暮だったと感じた。

「だって、あの場面は球場のお客さんもみんな拍手をしているわけだし、(俺がそこで拍手するのは)自然な流れだろ」

 優しい空振りに拍手と、その直後に放たれるクリーンヒットとのコントラストに何度も痺れてきた。

 バットだけではない。言葉でもチームを引っ張ってきた。いつも優しく、時には厳しく。チームの勝利のことばかりを考えてきた。
 いつも周囲の人を大事にしてきた秋山は、これから訪れるクライマックスシリーズ、日本シリーズでとんでもないことを成し遂げるんじゃないか…。

 そんなことばかりを考えてしまう。

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“その時” 歓喜の瞬間、選手たちそれぞれの想い

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

今年のリーグ優勝は昨年とは違った喜びがあった。


何より今年は、あと1人、そしてあと1球…。優勝が決まる目前、頼もしきナインたちはグラウンド上にいた。
そして三塁側をびっしり埋めてくれた大勢のライオンズファンたちがそこにいた。


あの時、若獅子たちはどんなことを想ってその場所にいたのか―。


優勝から少し時間が経った今、選手たちの気持ちを少し紹介したい。

増田達至
「マウンドではいつも通り、気持ちは落ち着いていた。胴上げ投手は誰もが味わえるものではないので最高でしたし、嬉しかった。一年間やってきた甲斐があった」


平井克典
「一年間必死にやってきた。優勝の瞬間にいられたことが嬉しかった」

森友哉
「甲子園(高校野球)の優勝のような感じがした。そして今年は勝って優勝だったので格別でした」

山川穂高
「あと、1アウトで優勝と思ったらニヤニヤしてしまった。優勝が決まった瞬間「ヨッシャー!」と言う気持ちとどこか開放感があった」


外崎修汰
「それほど、高ぶった気持ちはなく、意外と冷静でした。優勝した瞬間は本当にうれしかった!」


源田壮亮
「最後は、一年間を振り返ったところがあった。勝って優勝を決められたことがうれしかった。トノ(外崎選手)に「最後マウンドに行くんだよね」って確認した(笑)」

金子侑司
「優勝を目指して戦ってきたので本当にうれしかったですし、最高のチームメイトと胴上げができたことが幸せでした。」

木村文紀
「少しうるうるしてしまった。優勝の瞬間はヨッシャ~とやった~という気持ちだった」


秋山翔吾
「苦しかったことやチームの優勝に自分は何ができたのかな?と考えた。でも優勝すればそれも含めうれしかった。苦しかったからこそかな?とも思った。泣くかな?と思ったりもしたけど意外と冷静だった」


熊代聖人
「あと1アウトの時は、笑顔を隠し切れなかったし、(胴上げに)行くぞ行くぞという感じだった。マジックがついてから長く苦しかった分うれしかった」



チームは10月9日からのクライマックスシリーズファイナルステージに向けて9月30日より練習を開始した。


日本一という最高の喜びをファンとともに分かち合うため、もうその準備は始まっている。

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所沢でも喜びを共に

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 時計の針が夕方5時を回った途端、スタッフは大忙しで”いつもとは異なる準備”をはじめた。

 9月24日。マジック2で迎えた千葉ロッテマリーンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)にライオンズが勝利すること、そして、楽天生命パークで行なわれている東北楽天ゴールデンイーグルス対福岡ソフトバンクホークス戦で、ホークスが敗れれば、ライオンズのパ・リーグ連覇が決まる運命の日の前日、急遽、メットライフドームでパブリックビューイングの開催を決定した。

 その日は、前日まで行なわれていたイベントの撤収作業終了後にパブリックビューイングの準備をすることになっていたため、準備の時間が限られていた。
試合開始のわずか15分前に開場の予定だった。少しでも早く開場したい、我々スタッフはその一心で準備を進めていた。

 一方、ゲートの外で開場をまだかまだかと待つファンの人数は、徐々に増え続け、平日の夕方でありながらすでに500人を超えていた。

 この光景に、ライオンズファンの温かさのようなものを感じて目頭が熱くなった。

 メットライフドームでのパブリックビューイングは2011年以来の実施となった。

 昨年は、開催する予定こそあったものの、台風の接近により中止。一昨年は、クライマックスシリーズ ファーストステージで敗退したため、ファイナルステージで予定していたパブリックビューイングの開催は叶わなかった。

 今年は、はじめて”フィールドエリア”も開放。フィールド上を駆け回っている子どもや、ライオンズの攻撃時に立ち上がって応援する人、スタンドでは急いで夜ご飯を食べて応援に備える人など、ファンそれぞれが“その瞬間”まで、思い思いの時間を過ごしているように見えた。

 試合は序盤からライオンズが大量リード。ここ数試合、本来の力を発揮しきれていなかったキャプテン・秋山翔吾の一打や、「チームのためにホームランは捨てる」と公言した山川穂高の43号本塁打などで3回までに7点を奪う。

 一方で、10連勝中の先発ザック・ニールが粘りの投球を見せ、6回3失点、先発としての役割は果たした。

 試合が中盤に差し掛かると、楽天生命パーク宮城の途中経過がメットライフドームの大型ビジョンに映し出される。

 楽天は6回に逆転、さらに7回に追加得点を奪いリードを広げると、メットライフドームはどよめいた。

「優勝…本当にするかも」
「今日、決まるかも」

 だんだんと現実味を帯びてきた。

 ビジョンには、9回表のソフトバンクの攻撃の様子が映し出された。

 粘るソフトバンク。2アウトながら満塁と攻め守護神の松井裕樹投手を追い込むも最後はセンターフライに打ち取られ楽天が勝利。

 メットライフドームに、あたかもライオンズが勝利したかのような歓声が沸き上がった。

 ファンの感情はどんどん高ぶり、徐々に内野席からフィールドに下りるファンが増えていった。

 さらに西武球場前駅に電車が到着するたびに途切れることなくファンたちが“その瞬間”を共に味わおうと、ひとり、またひとりとメットライフドームの輪の中に加わっていく。

 迎えた最終回。

 今シーズン、最終回のマウンドを守り続けた増田達至がマウンドに上がると、そこには監督の辻発彦の姿があった。

「この1イニング、優勝投手として楽しみなさい」

 増田は、二者連続でレフトフライに打ち取りあっという間に2アウトを奪う。そして3人目の打者を簡単に追い込むと最後は増田の真骨頂である直球で空振り三振に仕留め、ゲームセット。ライオンズナイン、スタッフたちが一気にマウンドに駆け寄ってきた。

「よっしゃー!」
「やったぞー!」
「ライオンズ最高~!」

 終わってみれば12安打で12得点を挙げるライオンズらしい勝ち方を優勝決定した日でも貫いた。

 メットライフドームのフィールドでは、ZOZOマリンスタジアムのライオンズファンに負けないくらいの大盛り上がりで優勝の喜びに包まれていた。

 見知らぬ人だろうと関係ない。同じライオンズファンとして近くにいるファン同士でハイタッチをして”共に”優勝を喜んでいる。中には涙を流して抱き合っているファンもいる。

 そしてビジョン越しのライオンズナインとともに、辻監督をみんなで胴上げした。同じ南関東の空の下、本拠地メットライフドームでも共に優勝の喜びを味わうことができた。

 その光景はまさにビクトリーエンブレム「WE ARE ONE」を象徴するものだった。

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【広報部員コラム】「栄光」と「名誉」の花

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 細やかで飾らない無数の紫が幻想的に揺れている。場所は宮崎県日南市の南郷町。「ジャカランダの森」だ。5月~6月にかけて、その花の見ごろは訪れる。昼はその後方に広がるコバルトブルーの太平洋の美しさと相まって壮大な自然を演出し、夜はライトアップの光に照らされその紫をより鮮やかに光らせる。時間帯によって「顔」を変え、見るものを唸らせる世界三大花木の1つだ。
 
 そんなジャカランダには花言葉がある。「名誉」と「栄光」。ラッパ状に咲く花が、ファンファーレを奏でるトランペットを連想させるからである。我がライオンズの南郷キャンプ中、ジャカランダも近く花を咲かせるその日のために、寒さにじっと耐えながら、その時を待つ。言わずもがなライオンズのナインたちが、咲き乱れるジャカランダの花を生で見ることはない。

 V2に向けて走り出した2019シーズン、下馬評は低かった。それでも、百獣の王のプライドを懸け、獅子たちは2月1日、この南郷で始動した。毎日ユニフォームを黒くして特打、特守に励む若手たち、シーズンにピークを持っていくために黙々と調整を続けるベテランたち。私の目にはいろんな風に映った。ただ、全選手から彼らが半年後の秋、「名誉」そして「栄光」という大輪を咲かせるための準備をしていること、そして「必ずそれを達成するんだ」という強い気持ちを肌で感じたことが、忘れられない。

このチームで広報担当をして丸4年の月日が流れ、10月からその役割が変わることになった。当時からタレントは揃っていたものの、なかなか勝ちきれなかったライオンズ。近年では勝負所で接戦を拾うことができる頼もしい集団になってきた。9月24日、守護神の増田が最後の打者を空振り三振に取り、両手を突き上げた瞬間、これまで彼らと過ごした時間を思い出しながらこみ上げてくるものがあった。本当に逞しく、そして強くなったな、と。


そしてマウンドに集まったナインたちを見つめた。レジェンドブルーのビジターユニフォームを身にまとった面々がカクテル光線に照らされている。パ・リーグ最多安打の秋山翔吾、最多本塁打の山川穂高、首位打者の森友哉に最多打点の中村剛也。最多盗塁の金子侑司に81試合に登板した平井克典…。143試合、色んな「顔」が主役となって勝ち取った連覇であることを改めて実感した。

欲を言えば一度だけ、南郷の町に咲き乱れるその花を見てみたかった。ただ、あの日、大逆転優勝でファンを唸らせたライオンズナインたち。彼らは自らの手で、季節外れのジャカランダの花をここに咲かせてくれたような気がする。

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若き未来のエース

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

9月29日の先発投手練習後、静かなドームに響くキャッチボールの音。


今井達也の相手をするのは一軍投手コーチの西口文也だ。現役時代の面影を残すフォームがおどる。


今井は日ごろから西口との密なコミュニケーションを欠かさない。
「練習だけで投げ足りなかったら言ってね」

そんな西口の「計らい」に、早速全体練習が終わるや否や、今井は1球1球、西口のグラブをめがけて投じている。

「うわぁ!!すげぇ!」。

やがて西口の肩があったまってくると今井は感嘆の声をあげた。

西口の球が生きている。

「お前はブルペンよりこういう時の方がいい球投げるね!試合でもそれくらい気楽に投げて(笑)」。
そんな助言に思わず今井は苦笑した。

2人のキャッチボールは自然と「言葉のキャッチボール」をも生み出した。


(今井)「どうやってインコース投げるんですか」
(西口)「そこを向いて投げればいいだけの話よ、あとはココ!!(心臓をたたいて)投げるんだという気持ちな!」
 

そして身振り手振り、フォームを中心に今井に話すのであった。
クライマックスシリーズファイナルステージまではまだ時間がある。

今井と西口の2人だけの空間-。そこには依然リラックスした空気が流れている。


(西口)「いま21歳で、12勝でしょ?俺より上いってるやん」
(今井)「やったー!!」
(西口)「俺は23歳で2勝、24歳で足して18勝、25歳で足して33勝。だから25歳までに33勝いったらお前のほうが上や。でも(俺の方がプロ入りは遅いから)23歳で33勝いかなきゃな!」

茶目っ気を含ませ西口は今井に軽くプレッシャーをかけた。

現役時代の西口と今井の共通点は多い。
伸びのあるストレート、そしてスライダーを中心に変化球も多彩だった。

飄々と投げる―。

そんな表現がぴったりだった西口だが、同じストレートでも緩急をつけるなど、熟練の技で打者を抑え込んできたこともある。


「例えば右のインコースとか投げるときに、最初141キロで投げてストライク取って、追い込んだ時に148キロくらいのまっすぐを投げられたらいいよね」

今井は深くうなずいた。

「おれ、現役終えてから一番速い球投げてるわ」

もっともっとこの原石には輝いてもらわなくては困る。
西武の明るい未来のため、思い切り腕を振って見せた西口。


9日から始めるクライマックスシリーズ。若き未来のエースはそこで、その答えを出して見せる。

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百獣の王になった男たちの長い夜

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 パ・リーグを制した男たちの夜は長い。

 歓喜のビールかけが始まったのは、日付を跨いだ25日の午前0時20分。

 ロングゲームの疲れもものともせず、山賊たちは3000本のビールを30分足らずで泡にし、消した。 

 0時55分、祝勝会会場から選手が引き上げてくる。さあ、ここからもうひと暴れ、と行きたいところところだが、そこに「待った」をかけるのは広報部員。選手たちには「もうひと仕事」してもらわなくてはならないのだ。

 皆さんも優勝当日、そして翌日はかじりついて見ていただいたことだろう。選手たちにはテレビ、ラジオ各局に出演し、その喜びを全国のファンに届けてもらう。

 午前1時35分。宿舎の宴会場を貸し切って、テレビとラジオの「出演回り」が始まった。計7局のブースがスタンバイされ、選手たちは出演依頼の入っている各局に足を運んでは、優勝の喜びを話す。

 辻監督、山川、森…。続々と会場に姿を運んでくる。パ・リーグ優勝記念パーカーに身をまとい、さすがにかなり眠そう?な面々。

 ところがこの場面に立ち会った私たちは改めて彼らが「プロ」であることを実感したのだ。

 ナイターゲームでも12時頃には球場入りし、一番乗りでグラウンドを走る同期の山川穂高&森友哉の仲良しコンビ。猛打の中心の2人だけあって、「2人セット」の出演を依頼する局が多かった。

 当然、各局の質問は被ってくる。ただ、この時間まで待っていていただいているスタッフさんのために、少しでも差をつけなくてはならない―。

 そんな2人の阿吽の呼吸があったのかどうかは不明だが、同じ回答でもすこしずつ「差」をつけているのが分かった。表情で差をつけたり会話に“タメ”を使ってみたり、違う単語で言ってみたり…。

 少しやんちゃなイメージがつきものだが、グラウンドを離れても彼らはやっぱり一流選手なんだと感じた。

出演回りが終了したのは午前3時05分。

 引き上げていく選手たちの後ろ姿が、また違って頼もしく見えた。

「CS、日本シリーズとまだまだ続いていくけれど、ここまで本当にお疲れ様でした。今日は存分に千葉の夜を楽しんできてください」心の中でそう送り出した。

今度は日本一になって、奏でられる絶妙なやり取りを楽しみに、その日のために準備をしていきたいと感じる夜だった。

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チームを救う心優しき異国のエース

2019年10月1日 17:15 西武ライオンズ

 それは今年の春季キャンプでの話。

 広報部員も取材対応のため宮崎県日南市の南郷に滞在し選手と同じ宿舎に泊っているが、いつぞやロビー降りるために乗ったエレベーターでニールと一緒になった。

「GOOD MORNING!」

 極めて簡単な挨拶を交わして1階に到着し、私は「開」ボタンを押してニールが先に出るのを待った。

「AFTER YOU(お先にどうぞ)」。きっとそんなことを言われたのだろう。

 ニールは満面の笑顔でもう一つあった「開」ボタンを長押しし、頑なに私が先にでるのを待っていた。端正な顔立ちもそうだけど、まあ素敵な人だな、そんな第一印象だった。

 それから半年度、そんないつでも温厚なニールがマウンドでは、味方の好守を讃えて叫び、激しいガッツポーズを決めている。正直あの時は、そんな男だなんて想像もつかなかった。

 9月11日、ニールが首位奪取をかけて臨んだソフトバンク戦は彼の2019シーズンのハイライトの1つだった。

 緻密な投球で狙ったとおりゴロを打たせる。その姿にベンチ裏のスタッフも感嘆の声をあげていた。

 7回1失点。巧みなコントロールで四死球は1つも出さなかった。この大一番でのグレイトピッチング。どんな充実のコメントが出てくるのだろうか―。

 いわゆる登板後の「先発投手コメント」を求めにベンチに向かったが、ニールの今までにないリアクションに少し戸惑った。

「ナイスピッチング?サンキュー!ただちょっと(コメントは)待ってほしいんだ。いまだいぶアドレナリンが出ちまって。すごく興奮している。だからもう少し時間をほしい」

 身体中から噴き出る汗、そして目も充血していて険しい表情だった。あの試合に懸けていが想いがニールの全身から伝わってくるようだった。

そしてその20分後、ニールは落ち着いて試合を振り返った。

「ファンの熱気もすごく伝わってきたよ。自身の連勝だって?そんなの全く考えなかったね」。
いつもの優しいニールの表情に戻っていた。

 この試合に勝利しチームは初の首位浮上。バッテリーを組んだ森も「いや、本当にニールに感謝です。エースですね」と賛辞を惜しまなかった。

 2年連続の優勝を決めた日、勝利投手になったのもやはりこの男だった。

 今季前半戦、自身の投球ができなかったニール。それでも、腐ることなく西武第二球場で再びメットライフドームのマウンドで勝利に貢献することをずっと考え調整を続けてきた。

 うまくいかないことや理不尽なことがあった時、あの背番号54の姿を思い出してほしい。いつでも優しく、マウンド(仕事場)では冷静に、異国の野球に真正面から向き合ってきた。

 そして仲間の成功には全力で無邪気に喜ぶ。

 どこまでも人間らしく熱い男はきっと、このチームを真の頂点まで導いてくれるような気がする。

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