京都を代表する繁華街、河原町通の三条-四条間で、居酒屋やカラオケ店などの客引きがゼロになったことが、市がこのほど実施した現地調査で分かった。9月の改正市客引き禁止条例施行で一部商業ビルの私有地も客引き行為の禁止区域に指定されたため、客引き行為をしていた店舗が断念したとみられる。しかし、近くの木屋町通に流れたり、店舗が責任を問われない委託が横行したりと課題も多く、京都から一掃するための道のりは険しそうだ。
河原町通で客引きがゼロだったのは、市が9月に木屋町通、祇園、京都駅北側など各地で実施した目視調査で確認した。河原町通の三条―四条間での客引き行為者は、調査を開始した2014年度は1日平均48人だったが、市客引き禁止条例が施行された15年度は19人に減少。その後、16年度20人、17年度28人と再び増えていたが、今回の調査では初めてゼロとなった。
条例改正前は、禁止区域が公道や公園などに限定され、私有地は未指定だったため、客引き行為者が活動拠点にしたり、逃げ込んだりするケースがあり、市の指導や京都府警の取り締まりが十分にできなかった。河原町通沿いの洋食店で働く男性(45)は「客引きがうちのメニューを見ている人に声を掛け、取られることがしょっちゅうあった」と振り返る。
改正条例は、「京都あじびる河原町」と「河原町DECK」のエントランス部分を禁止区域に指定した。市によると、客引きの横行に悩む両ビルの所有者から要望を受けたという。私有地の指定は、昨年10月の京都タワービル(下京区)に続く2例目と3例目になる。
これを受け、あじびるの敷地を拠点に従業員2人に客引きをさせていた居酒屋は中止を決めた。20代の男性責任者は「2人が連れてきた客で月150万円の売り上げがあったので正直、きついが、行政には従わざるを得ない」と話した。
一方、河原町通の客引きを木屋町通に移して条例違反を続けている店も。複数の居酒屋を経営する30代の男性社長は、木屋町通の客引きを多い日で2人増やした。ただ「観光客が多い河原町通と違い、木屋町通では多くの人を呼び込めない」といい、「(客引き禁止条例が)未制定の滋賀県内などへの進出を検討している」と明かす。
近年は、店舗などから客引きを引き受ける業者も出てきた。京都市の条例では、業者の従業員は指導の対象になるが、委託元の店舗は対象外となっている。
大阪市は昨年6月、委託関係を明らかにするために店舗への立ち入り調査ができるように条例を改正。自治体の対策が始まっている。京都市くらし安全推進課は「大阪市での効果を見極め、京都市に合った形を検討したい」としている。
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