トラック後輪付近にある眩しいライトの正体
夜間の走行中、トラック後輪付近から発せられる眩しいライトが気になったことはありませんか? 高速道路なら車線を替えたり、追越したり、距離を開けたりで避けられることもありますが、一車線しかない一般道で後ろについてしまうと逃げ場がなくとても危険です。この眩しいライトの正体は何なのでしょうか。
トラック後輪付近から眩しい光を放つ違法「作業灯」(撮影:加藤博人)
筆者(加藤久美子)も高速道路を走行中、眩しいライトを点灯させたままのトラックには、何度も遭遇したことがあり、そのライトは「路肩灯」の位置に設置されていることが多いです。
最近ではSNSやブログでも、トラックの眩しい光に遭遇した乗用車ドライバーが、その危険性を指摘している書き込みをよく目にします。
高速道路なら逃げ場がありますが、一般道となるとかなり厳しく危険な状況になることもあります。
筆者も先日、横浜市内の横浜上麻生線という片側一車線の道路で、眩しい光を容赦なくまき散らすトラックの後ろについてしまいました。
左右後輪付近からかなり強い光が漏れており、直線ならまだ良いのですが、カーブで車体が傾くと、ライトの鋭く眩しい光が視界に飛び込んできます。周囲が暗い道路だったので、目がくらむような白い光は運転操作に影響しそうなほど強く、もしここに歩行者や自転車がいても幻惑されて気付かないかもしれません。かなり危険なライトです。
帰宅して早速、道交法や道路運送車両法を完璧に熟知している大型トラック(日野プロフィア)ドライバーの友人に聞いてみました。
「最近増えていますね。眩しすぎてウザいですよね。あのライトは路肩灯の位置にありますが傘が付いていないので、車検非対応で作業灯扱いになると思います。つまり、走行中は消さなきゃダメなライトです。
流行りのLEDスポットライトで言ってみれば『路肩灯風作業灯』です。純正の路肩灯は日野では『後輪灯』といって使うときはハンドル周りにあるスイッチONで点灯します。走行中も使う事ができますが、マーカーだけで十分明るいのでほとんど使う事はありませんね」(都内物流会社の大型トラックドライバー 内田貴士氏)
法を遵守するトラックドライバーの間でも迷惑なライトだったようです。傘がついているわけでもないので、SUVやミニバンなど着座位置がやや高い車でも運転席のドライバーの目を直撃するケースも少なくないようです。
こんな危険な違法ライトをトラックの公的団体はどんな風に考えているのでしょうか。公共の福祉に寄与するための事業の実施を組織の目的の一つに挙げている「公益社団法人全日本トラック協会」に聞いてみたところ、「トラック協会にはそのような話が入っておらず、まったく認識しておりません」と意外な反応が返ってきました。
保安基準適合の純正路肩灯との違いは?
こちらは純正で装備されている保安基準適合の路肩灯。光が拡散しないよう傘がついている(写真提供:内田貴士さん)
大型トラックやバスにはバックをする際、確認がしやすいよう「路肩灯」または「タイヤ灯」(後輪灯)が装備されていますが、これらは保安基準でいうところの「その他の灯火」になるため、明るさも300カンデラ以下に定められています。
ちなみに自動車のヘッドライト1灯の明るさが12000-15000カンデラ以上なので、300カンデラはとても暗いことがわかるかと思います。道路運送車両の保安基準の細目を定める、告示第 218 条第 2 項によると、車検適合となる路肩灯の主な条件は以下となります。
・300カンデラ以下であること
・点滅しないこと
・直射光や反射光が他の自動車の運転を妨げないこと
筆者が遭遇したトラックの違法路肩灯は、さすがに点滅はしていませんでしたが、明らかに300カンデラ以上あり、直射光や反射光が他の自動車の運転を妨げている危険なものでした。
巻き込み防止には効果ありだが…
夜間、トラックの後輪タイヤ付近は車種によってはとても暗く、交差点で左折する際なども巻き込み事故の危険性が高まります。照明があれば見えにくい自転車や二輪車を巻き込む危険も大幅に軽減されるでしょう。
また、夜間照明のない駐車場などでも明るいライトがあれば後方確認も安全に行うことが可能になります。安全確認のため、必要な時にだけ点灯するなんらかの側方灯はとても有効に使えることもあると思います。
しかし、それら車検適用外の強烈な光を放つライトが走行中も常時点灯しているのは他の交通に迷惑であり、重大な事故を引き起こす危険もあります。作業灯を路肩灯として使えるよう販売している、とある通販サイトには以下の注意書きがありました。
『走行中は点灯させず、左折時や後退時などに左ウィンカーやバックギアと連動して路肩灯が点灯するような取り付け推奨します』
併せて傘をつけて光が拡散しないよう下向きに照らす配慮も欲しいです。前進走行中に後輪タイヤ付近で眩しい光が点灯している必要はまったくないですし、周囲の車にとっても大変な迷惑になります。
ぜひ周囲へ配慮いただき、このような危険なライトを点灯させたまま走行するトラックが減ることを祈ります。
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