cat_18_issue_oa-jomo oa-jomo_0_j88c3m8sgrkx_街にジャズの響き 学生ら10団体 太田 j88c3m8sgrkx j88c3m8sgrkx 街にジャズの響き 学生ら10団体 太田 oa-jomo 0

街にジャズの響き 学生ら10団体 太田

2021年10月25日 14:31 上毛新聞

 ジャズを中心とした音楽イベント「おおた街なかジャズフェスタ」が24日、太田市の市民会館広場で開かれた。太田周辺地域の魅力ある食べ物やこだわりの品を紹介する「OTA CITY MARKET」も同時開催。訪れた人は完成したばかりの芝生広場で音楽を聴きながらくつろぎ、グルメを楽しんだ=写真

 社会人バンドや高校吹奏楽部など10団体がサックスやトランペット、ギターなどの小気味よいリズムを響かせ、手拍子が起こった。マーケットはカレーやスープ、肉料理、焼き菓子などを扱う約30店が並んだ。

 同市熊野町の根岸喜代子さん(70)は「好天に恵まれ、音楽を楽しみながらおいしいものを食べ、気持ちがいい」と話していた。

 ジャズフェスタは秋の恒例行事。今回は同会館前の芝生広場完成を記念して開かれた。
(小泉浩一)

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cat_18_issue_oa-jomo oa-jomo_0_7posc9wqg5xc_インプレッサ初代150台集結 高崎 7posc9wqg5xc 7posc9wqg5xc インプレッサ初代150台集結 高崎 oa-jomo 0

インプレッサ初代150台集結 高崎

2021年10月25日 14:27 上毛新聞

 スバルが開発、販売した初代インプレッサのオーナーやファンらが集まるイベントが24日、高崎市の榛名湖近くにある駐車場で開かれた=写真。1992年10月発表の車が約150台集結。全国各地から約300人が集まり、こだわりの愛車に関する情報交換や写真撮影などで交流した。

 初代インプレッサセダンの型式GC、ワゴンの型式GFに合わせ、「GCGF榛名オフ」と名付けたイベントで今年が5回目。同車をデザインした工業デザイナーの手島彰さん(前橋市)が会員制交流サイト(SNS)で参加を呼び掛けた。

 手島さんは「ゲームやアニメから若い人もファンになってくれている。来年は(発表から)30周年。人気が続くのは幸せなこと」と話した。
(米原守)

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cat_18_issue_oa-jomo oa-jomo_0_tbvv4pfzzv95_プチパティシエ体験講座 大泉 tbvv4pfzzv95 tbvv4pfzzv95 プチパティシエ体験講座 大泉 oa-jomo 0

プチパティシエ体験講座 大泉

2021年10月25日 13:49 上毛新聞

 ハロウィーンにちなんだカップケーキを手作りする「プチパティシエ体験講座」が24日、大泉町公民館で開かれ、町内の親子ら17人がお菓子作りを楽しんだ=写真

 同館を利用するサークルの会員の指導を受け、卵白を泡立てたり、バターやカボチャなどの材料を混ぜ合わせたりする調理に取り組んだ。焼き上がったケーキはお化けやカボチャの旗で飾り付けた。

 母親と参加した大泉南小4年の塗木りんさん(9)は「おいしそうに焼き上がったので食べるのが楽しみ」と声を弾ませた。
(茂木勇樹)

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高崎舞台に農業ドラマ テレ東で23日放送「農家のミカタ」 主役に犬飼貴丈さん

2021年10月8日 11:08 上毛新聞社

 群馬県高崎市は7日、同市を舞台とするテレビドラマ「農家のミカタ」の制作に協力し、23日午後4時からテレビ東京系で放送されると発表した。Uターンで市に就職し農林課に配属された主人公の男性職員が、農業の現実や農家と向き合いながら成長していく物語。地域密着のドラマを通じ、同市は地域の農業振興につなげたい考えだ。

 主人公を演じるのは「仮面ライダービルド」で主演した俳優の犬飼貴丈(あつひろ)さん。アイドルグループ「乃木坂46」元メンバーの松村沙友理さん、実力派俳優の高橋ひとみさん、杉本哲太さんらも出演する。

 ドラマは、市のグルメ情報サイト「絶メシリスト」を手掛けた広告代理店の博報堂(東京都)が、同市と契約するPR事業の一環で企画。事業費は本年度一般会計当初予算で6000万円を計上している。
(真尾敦)

写真説明
高崎市を舞台としたドラマ「農家のミカタ」に出演する犬飼さん(左)と(上段左から時計回り)松村さん、中島歩さん、マギーさん、杉本さん、高橋さん(C)テレビ東京

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サステナブルなこだわりのカフェ 群成舎が高崎に開業

2021年10月8日 11:07 上毛新聞

 環境保全事業を手掛ける群成舎(高崎市上並榎町、芝崎勝治社長)が11日、サステナブル(持続可能性)をテーマとしたコンセプトスペース「エコラボカフェ」を開業する。

 本社近くの国道17号沿いにある群成舎アネックスビル1階に、「サステナブルな未来のカフェ」としてオープンする。端材や廃材に付加価値を付ける「アップサイクル」という手法を取り入れたインテリアを配置し、フェアトレードコーヒーや食品ロス削減をテーマにしたこだわりのメニューを提供する。

 広さは約200平方メートル。カフェのほか、キッズスペースやサロンスペースも備え、ビジネスマンや子ども連れがラウンジ感覚で過ごせる空間に仕上げた。

 カフェは、セミナーやイベントなどのレンタルスペースとしても利用できる。石田環プロジェクトマネージャー(44)は「環境や自然に関する情報が集まり、何かが生まれるような場所にしていきたい」とする。問い合わせは同カフェ(☎027-393-6133)へ。(寺島努)

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地域に愛されるグルメのレッドリスト 「この味を絶やしてはいけない」

2021年8月20日 11:21 https://www.jomo-news.co.jp/

 汗ばむ夏の昼下がり。

 群馬県高崎市の幹線道路沿いにあるカレー専門店「からゐ(い)屋」の厨房で、宮内信正さんが白髪を揺らしながら、忙しそうに鍋を動かしていた。


 からゐ屋は、高崎市が地元の飲食店を紹介する「絶メシリスト」に載る店だ。

 「リストに入って忙しくなって、ランチの時間を短くしました。でも変わらず毎日来てくれる常連さんもいる。いい後継者ができればいいけど、どんな人でもスパイスの調合は自分でしろといいたいね」

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除され、落ち込んでいた客足は徐々に回復。
 入っただけでスパイスが鼻をつく店内は、ようやく宮内さんのカレーを味わえると、次々と訪れる客の笑顔であふれた。


 からゐ屋は、洋菓子業界にいた宮内さんが不惑を機に、カレーを徹底的に学んで始めた。
 それから37年。小麦粉や化学調味料を使わないこだわりのスープカレーは庶民の心をとらえ、妻と娘の支えもあって今も人気は健在だ。

 70代後半に差しかかった宮内さん。体の衰えを感じるが、後継者はまだ見つからない。
 「80歳まで続ける」が当面の目標になっている。

街に根付いた味。個性的な店主


 絶メシリストは、高崎市が2017年9月に始めたグルメ情報サイトだ。

 庶民的な値段や味、ボリュームで地域に親しまれ、根付いてきた市内の個人経営の飲食店、食品店を、店の歴史ストーリーと共に紹介している。


 多くの店主は高齢期を迎え、インターネットを使った発信は苦手。絶品の味は何年かしたら、もう食べられなくなるかもしれない。
 リストは社会インフラともいえるこうした店の存在を世に広め、危機的な状況を浮き彫りにするとともに、誘客や後継者の発掘、高崎のブランド構築につなげることを狙いとしている。

 「客に悪いから」とずっと値上げしない中華料理店、珍しい渓流魚料理専門店はかやぶきの店づくり、揚げたての豚カツやコロッケが人気の精肉店―。
 市民の生活に根差した店と味、個性的な店主がリストに並ぶ。

たとえ一度は断られても


 広告代理大手の博報堂(東京)がコンテンツづくりを担っているが、高崎ブランドの向上を目的に高崎市が始めた事業だ。
 立ち上げから一貫して関わっているのが市企画調整課の中沢弘志さん。からゐ屋など14店で始まったリストの店は徐々に増え、今や掲載ナンバーは61に上る。

 中沢さんは全ての店に何度も足を運び、掲載交渉に当たってきた。


 高崎に生まれ、自分自身も絶メシ店のメニューを食べて育った。おいしかった懐かしい定食の店が、ひっそりと閉店している。
 全国どこでも起きている悪循環。これを断ち切るため、リストを世に出そうと店を回った。

 常連を大事にし、料理の腕には自信があるが、無愛想で営業や話すのは苦手。
 リストの対象となる店主の相場はこんなところだ。中沢さんは力を込める。


 「店に行ったら、料理の紹介じゃなくて、店やご主人の人柄を紹介するためのもんなんだ、という点を分かってもらいました。『うちは無くなっちゃうんだからいいんだよ』という人もいますが、本音ではないんです」

「寺西精肉店」の杉本勝さん、肉を切る際のこだわりについて語る


 からゐ屋の宮内さんは「常連さんが知らないうちに推薦してくれた。ありがたかった」と振り返るが、中沢さんは「すぐにオーケーという感じではなかった」と明かす。

 最初に店に伺った時は「ガイドのようなものは断っている」と。中沢さんは趣旨を丁寧に説明し、娘さんと相談してもらうことに。
 1週間ほどして再訪し、リスト入りが決まったという。店主のキャラクターを象徴するようなエピソードだ。

「ネットに出てこない店」どうすれば…


 高崎市は東京の都心からおよそ100㌔、新幹線で約1時間の所にある。

 約37万人の人口規模は県庁所在地の前橋市を上回るが、近年は集客力のある郊外型のショッピングモールが台頭し、中心街のアーケードはさびれる。どこの地方都市にもある風景だ。

 高崎ブランドの向上に一役買った絶メシリストだが、立ち上げには紆余曲折があった。


 高崎市のブランド向上策は、リスト発表の1年前、博報堂が戦略づくりのための基礎調査を受注した。

 拠点がある伝統の群馬交響楽団、毎年イベントで市内の優勝店を決めるパスタなどを切り口にしたコンテンツが候補に挙がったが、しっくりこない。
 行き詰まりかけた時、博報堂の担当者や中沢さんが同席した協議の場で、富岡賢治市長が言った。

 「昼飯を食べようと思ってインターネットで検索しても若者向けの店しか出てこない。ネットに出てこない店の情報を見られるようにするにはどうしたらいいんだ」

 この言葉をきっかけに博報堂側が提案したのが、絶えて無くなりそうな食堂、すなわち「絶メシ」の紹介だった。

本当はリストに…"看板候補の店"とは


 「絶」の文字は高齢者が経営する店にとって語感が厳しいと、当初市は難色を示したが、最終的に折り合った。
 行政の公平性を担保するため店選びは博報堂に任せ、提案された店との交渉を中沢さんらが担う。

 中沢さんは「最初はイメージがつかめないまま協力してくれた所もあったはず」と推し量る。
 何度通っても「うちはいいよ」と断られたり、リストに載ることで人気が出て「大切にしていた常連が離れてしまう」との声もあった。


 実は、中沢さんは「絶メシの看板にしたい」と思っていた店があった。

 安くて大盛りのから揚げで知られた店。何度も通ったが、高齢の店主は「混んでしまうからいい。そんなに仕事したくないよ。もう何年かしたら閉めるんだから」と言うばかり。
 結局口説き落とすことはできず、その店は昨年閉店した。

 どの店主も苦労人。このまま続けても先細るのは分かっている。
 受け入れてくれた店主は皆、語り部になった。認められれば誰でもうれしい。

「いし田珈琲」の車いすのマスター、石田登さん 焙煎へのこだわりを語る


 「店と人と料理と。セットになっているのが絶メシ」

 中沢さんは共感が広がった図式を読み解く。

「画一化」に一石。絶メシが輝く時


 絶メシリストが始まって、もうすぐ3年。

 2018年には広告業界最大級のコンテスト「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で最高賞を獲得し、高崎市職員が晴れやかな笑顔でトロフィーを受け取った。

 シンガポールで開かれたアジア太平洋地域最大級の広告祭「スパイクスアジア2019」のPR部門でも金賞に選ばれた。
 全国に共通する地域の課題に焦点を当て、魅力の掘り起こしや活性化につなげたことが世界に認められた。


 各店はメディアに紹介されて行列ができたり、コロナ以前には海外からの観光スポットになる店もあった。
 絶メシは他県に同様のローカルグルメサイトが生まれたり、テレビドラマ化されるなど、今や全国シーンとなっている。

 後継者難に加え、新型コロナの影響で全国の飲食店は受難が続く。
 リスト入りした後に閉店したり、営業している店も後継者はなかなか見つからない。


 でも地域のことを知る店を紹介する絶メシリストがどこの地方にもあるといい。中沢さんはそう思う。

 オンラインで全国が画一化されそうな時だからこそ、地域の食文化の担い手として絶メシが今、輝きを放つのかもしれない。

※この記事は、上毛新聞によるLINE NEWS向け特別企画です。

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L.A.超えるか高崎サウンド  人気ミュージシャンが愛する録音スタジオ

2020年1月13日 11:00 上毛新聞社

 2017年4月。群馬県・高崎駅前のある音楽スタジオ。
 2階部分に設けられたラウンジに、熱のこもった演奏が響いていた。

 ばらの花、ブレーメン…。ギター1本の弾き語りで披露されていたのは、「くるり」のヒット曲。
 そして歌声の主は、まさに同バンドのボーカル、岸田繁その人だった。

 高崎市民100人を無料招待してのイベント。
 スタジオ開設3周年を記念した1時間の生演奏の最後には「もしもこの曲が録音され、発表されたら、高崎で真っ先に聞いたと自慢してほしい」と未発表の曲までサービスした。

 あの岸田繁が、ここでしか聞けないパフォーマンスを、目の前でしている。訪れた誰もが、興奮を隠しきれない様子で拍手を送る。
 その様子を、会場の一角で満足気に見守る男がいた。

 多胡邦夫さん、46歳。
 浜崎あゆみやAKB48などに楽曲を提供したことで知られる音楽プロデューサーだ。腕組みを解いて、静かにうなずく。

 「今日のライブは市民の皆さんが驚くようなプレゼントにしたいと思っていました。実際にそうなって本当によかった。これからも、このスタジオから高崎の街を盛り上げられるような発信を続けていきたい」

覚悟の帰郷。スタジオ開設

 サプライズイベントの会場となった「TAGO STUDIO TAKASAKI」は、2014年に設立された。
 プロ仕様の施設を手ごろな料金で貸し出す一方、若い才能を発掘するオーディションを開いており、都内からスタジオを借りに来る若手ミュージシャンも多い。

 スタジオに冠された名前の通り、運営責任者は多胡邦夫さん。

 高崎で生まれ育ち、アメリカンロックに影響されて中学時代にバンド活動をスタート。
 21歳で上京した後、作曲家として大手レコード会社と契約し、浜崎あゆみさんやAKB48、柴崎コウさんなどの著名アーティストに楽曲を提供してきた。

 現在もプロデュース活動を続ける傍ら、古里への貢献としてこのスタジオの運営責任者を引き受けた。
 自らの音楽活動の原点であり、「青春の全てがここにある」という高崎に恩返しがしたいとの思いからだ。

 以前から逸材を発掘するボーカルオーディションの審査員や、歌、作詞、作曲、編曲などを若者に指導する合宿イベントの講師を務めるなど、積極的に地元の音楽振興にかかわってきた。

 多胡さんはこのスタジオ開設に向け、長年住んだ東京から高崎に戻った。

 「もっともっと街を盛り上げることができないか。僕発信で何ができるだろう」と考えていたときに舞い込んだ、自身の名前が付いた音楽スタジオの話。
 恐縮しながらも「こんなに名誉なことはない。高崎から世界に音楽を発信するため、精いっぱいできることをやっていきたい」と覚悟を決めた。

幻のピアノ、伝説のマイク

 東京駅から新幹線で50分の高崎駅。
 その徒歩圏にスタジオはある。

 ミュージシャンにとっての魅力は何といってもレコーディングの環境だ。
 浅間山の溶岩や漆喰を使い、あえて響きの多い、独自の音を醸し出す。ある有名なアーティストは、「(世界で評価の高い)ロスのスタジオの音に似ている」と絶賛する。

 あのハービー・ハンコックがライブで弾いたピアノも人気だ。

ハービー・ハンコック
1940年、アメリカ・シカゴ生まれ。1960年代から今に至るまで、ジャズ・ピアニストの第一人者として活躍。グラミー賞受賞14回を数えるレジェンド。

 イタリア・ファツィオリ社製のビンテージ品だが、ハンコックのサインまで添えてある。
 ジャズ系のピアニストにはたまらない逸品らしく、拝んで写真を撮ったり、興奮した様子で弾いていく人も多いという。

 レコーディング用のマイクには「一口坂スタジオ」の名前が書かれている。

 同スタジオが2012年に閉鎖される際に、多胡さんがマイクを譲り受けていた。
 そしてTAGO STUDIOで、今日も録音に使われている。音楽の歴史に寄与してきた「名門」のエッセンスは、高崎の地に引き継がれている。

 1階のスタジオは広さ約78平方メートルで、防音ガラスを隔てた音質調整室には「プロ専用」らしく本格的な機材がそろう。
 優れたレコーディング環境に加え、画期的な料金システムが大きな魅力だ。

 最新の機材や楽器をそろえるスタジオの利用料は、都内なら安くても1日20万円が相場。
 だが、ここはわずか3万円以下になるケースもある。

 市内で無料コンサートを開いたり、地元のラジオ局に出演したりするなど、地域への貢献度に応じて、通常10万円の料金を軽減する仕組みになっているためだ。

 生演奏の音を追求するミュージシャンに評価され、少しずつ業界にその存在が知れ渡った。今では数カ月、予約で埋まっていることも珍しくない。
 群馬で結成されたロックバンド「Ivy to Fraudulent Game」や日本を代表するロックバンド「LUNA SEA」も、ここでの録音経験を持つ。

人脈を駆使

 多胡さんはこのスタジオを盛り上げるため、人脈を最大限に生かしてきた。

 オープニングイベントには人気音楽ユニット「Every Little Thing」のボーカル、持田香織さん、1周年には人気女性歌手のMay J.(メイジェイ)さんを招いた。

 そして3周年記念イベントは岸田さんが盛り上げた。
 「こういうスタジオがある街はうらやましい。使ってみるとよく分かる」と施設の魅力を指摘した。

 彼らの発信力がスタジオの知名度アップにつながっていることは言うまでもない。

 スタジオの名前を冠したオーディションのスペシャルライブには、高崎出身の世界的ギタリスト布袋寅泰さんが出演。
 初となる凱旋フリーライブに全国から集まった2万5千人のファンが熱狂した。

新たな才能を、高崎の地から

 そうした著名なアーティストに続く存在を世に送り出す仕掛けも、このスタジオ発で進んでいる。

 「いつだって憧れが未来を創る原動力」―。

 2019年4月、都内のライブハウス。シンガー・ソングライターの小玉しのぶさん(29)=神奈川県=が自作曲の「アコガレスター」を歌い上げると、会場を埋めた約100人のファンから熱い声援が飛んだ。

 音楽活動の転機は2016年7月に同スタジオが主催したアマチュアミュージシャン対象のオーディション「TAGO STUDIO MUSIC FESTIVAL 2016」だった。

 開催の告知を偶然見かけて応募。1465組の中から事前審査を通過し、予選も突破。
 決勝には10組が進み、小玉さんは2万5千人の聴衆の前で自作の歌を披露し、最優秀賞に輝いた。

 小玉さんは「自信が持てた瞬間。以後、群馬のイベントに呼ばれるようになった」と振り返る。

 こうしたオーディションが同スタジオの大事な役割。
 2019年6月には5周年記念フェスのイベントで2回目があり、バンド、シンガー・ソングライター、カラオケの3部門に全国から1000組を超す応募があった。

 最優秀賞はシンガー・ソングライターのきえさん(22)=群馬県安中市=が受賞。
 スタジオのコンセプトに賛同したミュージシャンによる「地域貢献」のライブ活動として、「くるり」などもこのフェスに参加し、アニバーサリーを盛り上げた。

プロの世界を、手の届く場所に

 スタジオの廊下には、無造作に布袋寅泰のサインが残されている。
 周年記念のイベントのたびに、著名なアーティストが参加もする。

 多胡さんの人脈もあって、華やかに歴史が彩られているスタジオだが、一方で市民にとって非常に身近な場所でもある。

 市営ということもあり、休憩スペースとして誰もが自由に使うことができる。ラウンジ内ではドリンクやクレープも販売されている。

 カフェとして利用できる上に、スタジオで録音された作品を自由に聴けるブースも設けられている。

 多胡さんが開発に携わった完全オリジナルのプロ仕様ヘッドホンの試聴まですることができる。プロのアーティストの世界を、気軽に体験することができるのだ。

 地元の学生も、同スタジオの働きかけで成長している。

 東京農業大第二高校吹奏楽部は、5周年記念イベントのオープニングという大役を任された。
 いつにも増す緊張感のなかで部員は必死に練習に励んだという。

 彼らはまた、多胡さんが作詞作曲した東日本大震災復興支援ソングのレコーディングで、May J.さんや福島県内の児童生徒と一緒に演奏したこともある。

 これらの貴重な経験は部員の糧になっている。
 鎌田翼部長(17)は「緊張したが、大勢の人の前で演奏する良い機会だった」と5周年記念イベントを振り返った。

 同市は、戦後間もない1945年に「高崎市民オーケストラ」として生まれた現在の群響を支え続けてきた。
 「音楽のある街 高崎」として、高崎音楽祭や高崎マーチングフェスティバルといった大規模な音楽イベントも開催し続けている。

 そうした素地のある街に、新たな音楽のムーブメントを起こそうというのが、このスタジオ設置の目的であり、それは着実に根付きつつある。

目指す"群馬サウンド"とは…

 多胡氏は語る。

 「タゴスタジオの特徴は、スタジオの中の響き。あえて吸音材を使っていません」

 そのことで、何が起きるのか。

 録音するマイクには、楽器の音だけではなく、スタジオ内に反響する音も入る。
 それこそが、このスタジオでしか得られない「音」になるのだと、多胡氏は強調する。

 「それを求めて、プロはみんなロンドンに行ったり、ロスに行ったりして、レコーディングをするんです。同じような場所に、ここもなりつつある。スタジオの響きを、みんな喜んでくれています」

 「スタジオの壁には、浅間の溶岩を一面に使っているので、響きに必ず影響をしています。それが僕としてはうれしいこと」

 ここでしか録れない響きがある。
 そこに、高崎の音楽の歴史や、高校生や無名のアーティストなど「ここでしか育たない人材」が掛け合わされれば…

 「いわば、群馬サウンド、ですね」

 地方から世界へ。
 拠点を変えてまで始めた、多胡氏の新しい「挑戦」は、大きなうねりを生みつつある。


※この記事は上毛新聞によるLINE NEWS向け特別企画です。

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部活が変わる/休みなく長時間練習…改善なるか「週休2日」賛否も

2019年11月21日 11:00 上毛新聞

 部活を巡り、史上初ともいえる改革論議が全国的に始まっている。

 群馬県では2018年4月に県教委が部活指針を示したことで、学校現場に変化が出始めている。過熱化している状況は変わるのか。部活の実態に迫り、あるべき姿を展望する。

ある吹奏楽部員と母親の「本音」


 群馬県のある中学校に通う女子生徒は、眠そうに目をこすりながら午前7時前に家を飛び出すのが日課だった。

 吹奏楽部の朝練習に参加するためだ。放課後の練習を終えて帰宅するのは夜遅くになってから。家で過ごす時間はほとんどなかった。

 土日も終日練習し、夏休みはコンクールに向けた練習に一層熱が入るため、家族で出掛けることはめったになかった。「部活を休むことはできない」と、参加したかった地域の育成会活動は諦めた。「部活をやめたい」と家族に漏らしたこともあったが、やめた後の友人関係などを気にして我慢を続けた。

 「部活至上主義の雰囲気がある」と40代の母親。「家での勉強がおろそかになるのは本末転倒ではないか」と指摘し、「部活以外のことにも挑戦できるぐらいに休みを増やしてほしい」と打ち明けた。

 中学校の運動部活動の在り方を議論するスポーツ庁の検討会議は18年1月、学期中は週2日以上の休養日を設けるなどとしたガイドライン骨子案を示した。翌日の新聞には「部活休養 週2日以上」「練習は2~3時間に」の見出しが躍った。

 国のガイドラインと群馬県の「教職員の多忙化解消に向けた協議会」の提言を踏まえ、県教委は同年4月、文化系も対象にした指針を策定した。「体が楽になった。よかった」。2年に進級した女子生徒の予定表に、部活が休みであることを示すバツ印が入るようになった。

響く罵声 勝利主義抜け出せず


 「何やってるんだよ、バカ」「てめーが足引っ張ってるの分かってんのか?」。

 ある中学校体育館にバスケットボール部の男性顧問の罵声が響いた。首から笛を下げ、腕を組んでパイプ椅子に座り、時折自らボールを使って技術指導。顧問の指示は絶対のようで、部員たちは何を言われても「はい」とうなずく。

 練習は完全下校時刻が過ぎても終わらず、他の部活が帰ってからはコート全面を使用。体育館の電気が消えたのは辺りが暗くなった午後7時だった。この顧問が試合会場でも暴言を投げ付け、試合中にベンチ入りした選手をずっと立たせている姿を他校の生徒や保護者が目撃している。

 長すぎる練習や強圧的な指導が問題となっている“ブラック部活”は運動部だけではない。中学を今春卒業した長女を持つ母親は「毎日眠そうな顔をしていて、見ていてかわいそうだった」と振り返る。吹奏楽部で練習は週6日。長期休みはお盆の1週間のみで、家族旅行は一度も行けなかった。
 
 練習は平日は午後4時から6時半、土日は午前8時半から午後4時。午前7時半からの朝練習は階段ダッシュや腹筋を繰り返す。楽器をくわえる口は内出血してあざになり、母親は「つらかったら休んでいいよ」と声を掛けたが、長女は「自分だけ抜けるわけにはいかない」と続けた。

「自発的な参加」のはずが…


 学習指導要領によると、部活動は教育課程の授業や学校行事と異なり「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と定められている。それにもかかわらず、群馬県内では中学生の7割以上が加入。教員は専門知識があろうとなかろうと顧問を任せられ、多忙化の一因になっている。

 
 部活動が過熱する理由について、教育制度に詳しい大阪大大学院の小野田正利教授は、学校の校舎などに掛けられている「○○部県大会出場」といった垂れ幕が増えていることを指摘。「学校、保護者、生徒が共依存の関係にあり、『一抜けた』ができない構造になっている」と話す。

 学校にとって部活動の成績は外部にアピールする好材料となり、保護者は高校受験を有利に進めたい気持ちもあって支援を惜しまない。自己顕示欲の強い顧問や素人ながら期待を裏切れない顧問は指導が過剰になり、生徒は努力が結実する喜びや退部することで生じる友人関係の悪化などを危惧して続けざるを得ない。悪循環が起きている。

入試に有利…?


 最後の夏の大会まであと1カ月―。中学3年の男子生徒はバスケットボール部に所属し、県大会上位入賞を目指して練習に気合が入る。「高校入試でスポーツ推薦を狙いたい」。県大会で活躍して強豪高校のコーチの目に留まるのが目下の目標だ。

 ただ「週休二日」を柱とする群馬県教委の部活運営指針を受けて2018年4月から休みの日が増え、もどかしい気持ちも抱えている。

 30代の母親も顧問の負担を理解しつつ「毎日でも一日中でも練習させてほしい」と本音を漏らす。部活を通して体力がつくだけでなく、先輩後輩の関係を学び、礼儀や精神面も鍛えられると力説。「息子は勉強は得意ではないし、休みがあってもどうせやらない。部活中心の生活で全然いい」とも。

 「保護者の部活熱を高めている要因に、高校入試を少しでも有利にしたい、との親心がある」。大阪大大学院の小野田正利教授は指摘する。保護者の間では「部活は高校入試の内申書(調査書)に影響する」との認識が一般的だ。

 実際、県教委によると、部活で優秀な成績を収めれば調査書に記載されるし、推薦入試に相当する前期入試では多くの学校が部活の成果を評価対象としている。

 ただ、学力検査を主体とする後期入試での調査書の扱いは学校によって異なり、「前期入試があるだけに、基本的に後期は試験結果で判断している学校が多いのでは」と伝統校の校長経験者は話す。

"部活抑制"と、生徒の意欲のはざまで


 「部活抑制の動きは賛成だが、練習日を減らそうと言えない空気がある。本当に改革は実現できるのだろうか」

 バスケットボール部の顧問で公立中学に勤める30代男性教諭は嘆く。「練習をもっと頑張りたい」という生徒や保護者からの期待を一身に受け、教員からは戸惑いの声が聞こえる。

 男性教諭は毎日午前7時20分から朝練。放課後は練習と授業の準備で、帰宅するのはいつも午後8~9時になる。週末は練習試合や大会の引率で連休は取れない。2018年4、5月の時間外労働時間はいずれも120時間以上だった。

 生徒のやりたい気持ちは分かる。自身も中学、高校とバスケ部で、部活を通じて得られる成長を感じてきた。それでも、部活は過熱しすぎていると感じる。

 「過度な練習で生徒も教員も疲弊するのは、互いに不幸なこと。生徒のためにも学校側がどこかで線引きをしなければならない」

 練習日を減らすことを考えたこともあったが、声に出せずにいる。保護者からの「他校の顧問は熱心にやっているのに」という意見が怖く、熱心な管理職との温度差も感じる。スポーツ庁のガイドラインや県の指針を受けても「正直、学校現場は変わるのだろうか」との疑問がぬぐえない。

 こうした疑問の背景には、地域に学校の特色をアピールしようと学校側が部活動の成績を重要視していたり、大会での上位進出を望む保護者の期待が大きいという現状がある。ある中学校の男性校長は「地域や保護者からの期待を裏切ることは難しい」と打ち明ける。

「改革」今度こそ進むのか


 1997年にも、当時の文部省が部活の休養日を「中学校は週2日以上」と目安を示したが、現場には浸透しなかった。勝利のためには過酷な練習はやむを得ないという慣習が根強かったことが理由だ。

 それから約20年。高崎経済大の吉原美那子准教授(教育行政学)は「部活の在り方を見直すチャンス」と強調。「これまで教員や生徒の心身の負担はブラックボックス化してきた。極端な勝利至上主義を見直し、教育現場や保護者が根本的に考えを変えていかなければならない」とする。

 部活改革は2018年から群馬県内全域で本格的に始動した。休養日の増加などが数字に表れた一方、市町村や学校によって指針の内容が異なっていたり、教員不在で練習時間を維持する部もあり、早くも温度差が出ている。

練習メニューにも苦慮


 18年の2学期以降、練習風景が一変した。

 群馬県大会出場の実力を持つ前橋市内のある中学のバドミントン部。各学級での帰りの会が終わると、部員たちは素早く片付けを済ませて体育館に集まってくる。来た部員からネットを張り、アップを開始。「時間を無駄にしない」と主将の女子部員。「以前は全員が集まるのを待っていて、部活を始めるまでに時間がかかっていた」

 多い時期で週3日していた朝練習もなくなった。走り込みやサーブ練習に充てていただけに、40代男性顧問は練習メニューに頭を悩ませる。12月から平日の放課後1日は走り込みの日とし、サーブは早く体育館に来た部員から練習するなどしてカバーする。

 「量より質。与えられた時間内でうまくやりたい。部活の良さは短い練習でも変わらない」と力を込める。保護者から「もっとやってほしい」との声もあったが、疲労骨折などけがをした部員の例もあり、長時間やればいい―だけではないと感じている。

 ただ「部活では細かい練習までできない」と、物足りなさを口にする女子部員も。部活が休みの日は地域のクラブに参加し、関東大会出場を目標に技術を磨いている。多様なニーズにいかに応えるかが課題だ。

 群馬県教委は18年4月、国のガイドラインに沿って「休養日週2日以上」「練習は平日2時間、休日3時間程度」を柱とした部活動の運営指針を示した。早稲田大スポーツ科学学術院の中澤篤史准教授は「生徒の運動時間が週16時間を超えるとけがの発生率が上がるという研究結果が出ており、それをもとに日数や時間の制限が議論された」と数字の根拠を示す。


そろわぬ足並み。続く模索


 だが教員の中でも指針に対する考えはさまざまだ。

 同校の別の運動部顧問は「これでは上手にならない」とばっさり。「(教員としての)仕事量は減っていないし、休みの日に遊んでいるだけの子もいて、誰のための部活改革なのか」と訴える。

 一方、ある中学校長は「長年同じやり方で部活をしてきた教員もいて、意識を急に変えるのは難しい」と指摘する。

 学校としての指針を策定するに当たり、教職員との話し合いに時間を割いた。各部活の毎月の活動計画を校長自らがチェックし、顧問に助言しながら週休2日を徹底している。同校サッカー部の50代男性副顧問は「一定のラインが示されたことで足並みがそろい、安心して練習時間を区切れる部分はある」と話す。
 

 ただ目を外に向けると、指針の内容は市町村教委や学校によって異なる部分がある。「同一歩調でないと、不公平感からなし崩し的になってしまうのではないか」。校長は懸念する。過渡期のいま、学校現場では手探りで新たな部活像が模索されている。

「制約」の中、練習するために


 「頑張れ」「ラスト」。

 前橋市内で行われた群馬県中学駅伝。競技場に戻ってきた選手たちは1秒でも早くたすきをつなごうと力を振り絞り、チームメートや保護者、学校関係者は一丸となって声援を送った。


 駅伝のメンバーは各部の精鋭で構成されるため、放課後の部活に影響が出ないよう朝の活動が多い。群馬県教委は指針で朝練習について「生徒の学習や家庭生活、教員の長時間労働などを検討した上で実施」「放課後の練習時間が十分に取れる日は原則行わない」としている。

 前橋市教委は朝練習を原則禁止したが、駅伝は例外とする独自の指針を策定した。担当者は「多くの中学が体力づくりのため学校全体で駅伝に取り組んでおり、活動時期は限られている」と説明する。平日2時間程度の活動時間には朝練習も含まれるが、市内の運動部の男性顧問は 「駅伝メンバーに選ばれる子は各部でも主力。練習の途中で抜けるわけにはいかない」と実情を話す。


 部活動の過熱化を防ごうと、県教委は土日を含め週2日以上の休養日を設けるよう求めた。しかし、制約をくぐり抜ける形で練習に取り組むケースも。顧問不在の中で生徒が集まり、外部コーチから指導を受けるといった、部活同様の活動が各地で行われている。

表向きは休み。顧問も不参加で…


 ある中学は春休みから「社会体育」として土日のグラウンド使用を認めている。

 野球部は土曜に練習試合をした場合、日曜は他の部がグラウンドを使わない午後に3時間ほど汗を流す。部の予定表ではあくまで「休み」のため、顧問は参加していない。

 ただ、結果的に前より練習時間は減っており、3年生の元部員は「もっと練習していれば勝てたかもしれないと思うと悔しい。規制するのは新チームになる2学期からでよかったのでは」と話す。改革が進まなかった他地区では最後の夏大会に向けて練習を積んでいるのに、自分たちは思うようにできないジレンマがあったという。

 一方で保護者の負担は軽くなっていない。2018年4月以前、土日担当者はローテーションで事前に決まっていたが、現在は土曜に雨が降れば練習と担当保護者が日曜にずれる。保護者は「両にらみだから結局予定を立てられない」と嘆く。

 外部コーチによると、少子化に加えて部活が制限されたことで硬式野球クラブのボーイズに選手が移り、大会に単独出場できる学校が減っているという。「現場は困惑している。改革を実行に移すのが早すぎた。高校で一気に練習量が増えればけがにもつながる」と危惧している。

多すぎる「大会」も負担に


 「新人大会後の時季は本来オフになる。だが実際は、この時季の方が大会と称したものが行われている」。前橋市内のある中学校長が指摘する。群馬県中学校体育連盟が主催する公式大会は春季、総体、新人の3大会。その合間に、競技団体や市町村、企業などが主催する大会が組まれているという。

 週末に大会があると部活を休みにしづらく、大会当日も土日両方が活動日になるケースが多い。顧問が大会の運営スタッフを兼ねている場合、学校でその仕事に追われる姿も見てきた。

 「大会と名が付くから、生徒も教員も公式大会と同じレベルで考えてしまう。部活改革で学校は劇的に変わろうとしているが、取り巻く競技団体が変わらないと無理だと思う」。団体など外部と協力しながら改革を進める必要性を強く感じている。


 群馬県教委の部活運営指針は、県教委や市町村教委が学校の部活が参加する大会やコンクールの全体像を把握し、参加することが生徒や顧問の過度な負担とならないよう、大会などの統廃合を主催者に要請すると明記している。

 だが大会の見直しは進んでいないのが現状だ。県教委は競技団体など主催者への要請をまだ個別には行っておらず、「今後、団体と連携しながら大会の実態を把握し、具体的に働き掛けていきたい」とする。県中体連の公式3大会の統廃合は難しいとの考えで、強化練習会などから検討を進めるとした。

 市町村が主催する大会や行事も多い。前橋市教委は中学の部活が参加する市民スポーツ祭について、見直す必要があると認識。担当者は「学校に参加する大会を精査するよう投げ掛けたい」と説明する。

 温度差はあるが、学校現場に大きな影響を与えている部活改革。次の段階に進むためには学校内部だけでなく、これまで連携してきた団体や地域など、外部との関係再構築が避けて通れない課題になっている。

望ましい「部活」のあり方とは


 部活問題を研究する早稲田大スポーツ科学学術院の中澤篤史准教授に、部活改革が始まった背景や将来像について聞いた。

-なぜ国が部活改革に乗り出したのか。

昔から部活に関する問題はあったが、大きな節目は2013年と捉えている。大阪の市立高校で部活中の体罰で生徒が自殺した事件が明らかになったり、日本の中学校教員は世界一忙しいという実情が調査されたりと、生徒も教員も苦しんでいることが表面化した。「部活のやりすぎを何とかしなくてはいけない」と国が対策としてガイドラインを示したところだ。

-現在、改革はどの段階にあるのか。

おおむね全ての都道府県でガイドラインを守る方向で、だんだんと改革は実現されつつある。ただ、市区町村や学校、部によってはガイドラインが降りてきてない、適用されていない問題がある。部活の持続可能性が問われており、改革の行く末を見守っていくべきだ。


-「部活をもっとやりたい生徒もいる」と改革に否定的な意見がある。

何が本当に生徒のためになるのかを第一に考えてほしい。生徒に部活の日数や時間について尋ねた国の調査では「もっと休めるのが理想」という結果が出ており、生徒のためを考えれば部活はもっとゆるくていい。これまでの部活を当たり前と思わず、学校や保護者、地域など関係者全員がこれからの部活の在り方を考えるべきだ。

-部活は残していくべきか。

教師が支えられる範囲で、やりたい生徒ができるゆるやかな部活は残していけたらいい。そもそも部活は生徒の自主性を育てる理念があったはずだが、いつしか強制されていても「自主的」とごまかされている。しかし、部活をなくしてしまえば日本の学校の魅力を損なってしまう。現状に問題はあるが、やりたいことをできる範囲で頑張るのはすばらしいことだ。


-部活を地域に移行させようという意見もある。

地域移行のアイデアは1970年ごろ、2000年ごろにも試行錯誤が繰り返されてきたがうまくいかない。学校外に施設があるのか、指導者をどう確保するのか、学校生活とのバランスを誰が取るのかなどの問題がある。部活の新しい在り方をどう作るかは、関わっている人たちの考え方と実践次第。そこに課題があっても、乗り越えるための前向きな議論を続けていくべきだ。

-部活を巡る議論に生徒はどう関っていくべきか。

生徒がやりたいことをやるのが部活で、今も昔も主人公は生徒。その気持ちを上回って教員や保護者がやらせようとしたり、過剰な期待をするのはいさめるべきだ。部活の在り方を考えていない生徒はいないし、投げ掛ければ「もっとこうすればいいのに」という声が出てくる。生徒が本当の気持ちを言い合い、受け止める空間が必要なのではないか。匿名のアンケートをやってみてもいい。そういう仕掛けがあれば部活改革の大きな一歩になる。

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